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    /P▲         ◆ JPNIC News & Views vol.646【定期号】2009.6.15 ◆
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◆ News & Views vol.646 です
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ICANNと米国商務省との間で締結されている、JPAと呼ばれる覚書が2009年9月
30日をもって終了することにともない、2009年4月27日から6月8日まで、米国
商務省電気通信情報局(NTIA)による意見募集が行われました。

本号では、ICANN設立の背景や米国政府との覚書の内容について説明するとと
もに、JPNICがNTIAに提出した意見書の概要をご報告します。

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◆ 目次
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【 1 】特集 「ICANNと米国政府の関係 〜JPA終了に向けて〜」
【 2 】News & Views Column
       「CHANGE ― {from, to} the Net」
        白畑真氏
【 3 】インターネット用語1分解説
       「マルチプレフィックス問題とは」
【 4 】統計資料
         1. JPドメイン名
         2. IPアドレス
         3. 会員数
         4. 指定事業者数
【 5 】イベントカレンダー


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【 1 】特集 「ICANNと米国政府の関係 〜JPA終了に向けて〜」
                                     JPNIC インターネット推進部 山崎信
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ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)(*1)は、米国
カリフォルニア州に設立された非営利法人で、現在ドメイン名、IPアドレス、
AS番号などの、インターネット資源の管理を世界規模で行っている団体です。

(*1) http://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/icann.html


ICANNの設立は、1998年10月にさかのぼります。この少し前、1997年から1998
年頃にかけて、DNS(*2)の管理権限についての議論が、インターネット関係者
の間で世界規模にわたって盛んとなりました。そのような動きの中で、米国商
務省(DoC, Department of Commerce)が、「インターネットの名前およびアド
レスの管理(いわゆる"ホワイトペーパー")(*3)」を発行し、DNSの最終的な管
理権限を米国政府が持つと主張しました。その一方で、DNSの管理は民間主導
で行われることが望ましいとも述べました。その結果、ICANNが設立され、
1998年11月25日にはICANNと米国商務省との間で覚書(ICANN/DoC MoU(*4))が締
結されました。その覚書の内容は、米国政府がDNSの管理をICANNに委託するも
のでした。

(*2) Domain Name Systemの略。インターネットに接続されたコンピュータの
     情報(ドメイン名とIPアドレスの対応など)を提供する仕組みです。
     http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glos-ah.html#01-DNS

(*3) http://www.nic.ad.jp/ja/translation/icann/bunsho-white.html
(*4) http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glos-ij.html#02-ICANN/DOC-Mou


ICANN/DoC MoUはその後6回改訂され、それを引き継ぐ形で2006年9月29日にJPA
(Joint Project Agreement「共同プロジェクト合意」の意)が締結されまし
た。JPAでは、DNSに関する技術的調整を民間に移行するというポリシー目標を
達成するために、両者に以下の点を求めています。

DoCに対しては、次の4点に関連する活動の実施が規定されています。

  - 透明性と説明責任の提供
  - ルートサーバのセキュリティの確保
  - ICANNの政府諮問委員会(GAC)への関与
  - 本覚書で規定される活動実績の監視

ICANNに対しては、DNSの管理を含め、2006年9月25日にICANN理事会決議で定め
られた次の10点にわたる活動の実施による責務の遂行、および毎年の活動状況
報告の実施を定めています。

  - セキュリティと安定性の確保
  - 透明性の提供
  - 説明責任の提供
  - ルートサーバのセキュリティおよび運営者との良好な関係の維持
  - トップレベルドメインの管理
  - マルチステークホルダーモデルの発展
  - GACを通じた政府の役割の確保
  - IPアドレス資源分配についてRIR(*5)との協力維持
  - 組織としての責任の維持向上
  - 組織管理構造の評価改善

(*5) 地域インターネットレジストリの略。特定地域内のIPアドレスおよびAS
     番号の割り当て業務を行うレジストリです。
     http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glos-ta.html#14-tiikirejisutori


この基本的な構造は、ICANN/DoC MoUを引き継いでいます。JPAでは、さらにこ
れらの実現状況を確認するため、次の2点を規定しています。

a) 民間への移行についての進捗を評価するための、DoC〜ICANN間での定期的
   な会合の開催
b) 中間評価の実施

b)については、DoCの一機関である米国商務省電気通信情報局(NTIA, National
Telecommunications and Information Administration)が、ICANNのパフォー
マンスについて、10項目からなる意見募集を2007年10月30日より2008年2月15
日まで実施しました。その結果を受け、2008年2月28日にDoCにて公聴会が開か
れました。

JPAの期限は2009年9月30日までとなっており、期限満了後については特に定め
られていませんが、JPA期限満了に向けて、NTIAより意見募集が2009年4月27日
から6月8日まで行われ、合計87件の意見が提出されました。JPNICは、民間主
導によるDNSの管理運営を長年支持してきた立場から、「米国政府が最終的
に、DNSの技術的調整と管理の最終権限を、現時点における唯一の適切な主体
であるICANNに移管することを望む」との意見書を提出しています(*6)。

(*6) http://www.nic.ad.jp/ja/pressrelease/2009/20090610-01.html


その理由として、意見書では次の4点を述べています。

1. インターネットの発展のためには、「安定性」「競争」「民間によるボト
   ムアップ調整」「さまざまな観点によるインターネットステークホルダー
   の参加」の全ての要素が不可欠である。
2. インターネットの進歩は、これまで民間主導によって管理されてきた単一
   の権威ルートDNSゾーンに強く依存してきたが、ICANNはその創立以来、
   ルートゾーンの一意性を保証するために重要な役割を果たしてきた。
3. ICANNの創立以来、ルートサーバ管理者との関係において、DNSルートゾー
   ンの管理に支障を来すような問題は生じていない。
4. ICANNは、各国政府との対話を実現する仕組み・場を有している。

上記は、従来のJPNICの見解を踏襲したものです。また、意見書では移管の時
期については触れませんでした。

JPNIC以外から提出された意見では、JPAの継続を求めるもの、JPA終了後は同
様の覚書は不要とするもの、国際的な委員会による監督を求めるもの、JPAの
期限満了後の仕組みについては触れていないものなどが見受けられました。

これとは別に、意見募集終了直前の6月4日に米国下院エネルギー・商務委員会
通信・技術・インターネット小委員会にて公聴会が開かれました(*7)。これに
はNTIAとICANNに加えて、レジストリ、レジストラ、通信企業、シンクタンク
より参考人がそれぞれ1人ずつ出席し、議員からの質疑応答に答えていまし
た。質疑応答の様子から、今回のJPA期間満了をもって移管するのではなく、
JPAを継続すべきという意見を持っている議員がかなりいたように思います。

(*7) ICANNの監督についての公聴会映像・資料
     http://energycommerce.house.gov/index.php?option=com_content&view=article&id=1642&catid=134&Itemid=74#toc2
     (このページの最下部にストリーミングおよびダウンロードリンクがあり
      ます)


JPA終了まであと3ヶ月と少しとなりましたが、終了後の枠組みがどのようにな
るのか、そしてICANNと米国政府の関係がどのようになるのかが興味深いとこ
ろです。インターネットガバナンスの最重要議題の一つとして、さまざまな場
での議論が、今後巻き起こるものと思われます。


参考:

■インターネット用語1分解説 〜ICANNとは〜
  http://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/icann.html

■2007年度インターネット資源の管理体制と活用に関する調査研究
  第1部 インターネット資源の国際的な管理体制とその在り方に関する議論の
        動向
  第2章 インターネット資源管理体制の現状及びそれに関する議論の動向
  http://www.nic.ad.jp/ja/research/200807-dom/chapter1-2.pdf

■ICANNの歴史
  http://www.nic.ad.jp/ja/icann/about/history.html

■JPA全文
  http://www.ntia.doc.gov/ntiahome/domainname/agreements/jpa/ICANNJPA_09292006.htm

■JPA中間評価コメント・公聴会会議録へのリンク
  http://www.ntia.doc.gov/ntiahome/domainname/jpamidtermreview.html


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 2 】News & Views Column
       「CHANGE ― {from, to} the Net」
                                                                白畑真
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僕の好きな言葉に、とあるネットワーク機器メーカのスローガンとなっている、
"Changing the way we work, live, play, and learn"というフレーズがある。
何が変化を起こすのかと言えば、もちろんインターネットである。

僕が大学へ入学した2000年に、村井純さんが講義された授業資料(*)が公開さ
れている。あらためて見てみると、従来アナログ技術の守備範囲だった技術
が、徐々にインターネットの役割へと置き換えられるという予言だった。約10
年前と現在を比べると、インターネットは物理層からアプリケーション層、は
たまた経済層や政治層まで大きな影響を及ぼしたのは間違いない。

実際、インフラ面を見れば、ダイヤルアップ時代から光ファイバや無線データ
通信など、ブロードバンド全盛の時代になった。インフラ面だけではなく、社
会に対して起こした変化も無視できない。プロ野球の結果がニュースで報じら
れるたびに、インターネットビジネスを中心とする企業名が入ったチームや球
場の名前を耳にすることになった。また、オンライン書店といったECサイト、
あるいはネット証券に代表されるようなインターネットを基盤とした事業者の
台頭により、構図が大きく変化した業界もあると聞く。

さらに、技術的な観点から考えると、SkypeやWinnyといったP2Pアプリケー
ションの影響力も無視できない。これらのアプリケーションは、単に新しいソ
フトウェアが登場したといったレベルにとどまらず、著作権を取り巻く法制度
などに大きな一石を投じることになった。

今後の10年を考えたとき、一番大きな変化をもたらすであろう技術的制約があ
る―ご存知の通り、IPv4アドレスの在庫枯渇問題である。ネットワーク層が、
アプリケーション層など上部レイヤの動作を規定するかどうかはわからない
が、IPv4アドレスの枯渇がNATの利用範囲拡大をもたらすと同時に、IPv6導入
の牽引役となるだろう。とにかくネットワーク層にとっては、激動の10年が今
まさに始まろうとしている。この状況を乗り越えて、どのようなインターネッ
ト社会の未来を創っていけるか、あるいは革新的サービスの登場を支援できる
かが、インフラに関わる者に課せられた使命であると考えている。

福澤諭吉は、幕末から明治への変化を「一身にして二生を経るが如し」と表現
したが、ネットワーク層を取り巻く情勢は、ナローバンドからブロードバン
ド、IPv4グローバルアドレスから枯渇後の世界へと変わるだろう。「一身にし
て三生を経るが如し」と言えるかもしれない。

(*) SOI 革新企業の戦略分析 第1回目「オリエンテーション」より
    (アナログ技術の守備範囲)
    http://www.soi.wide.ad.jp/class/20000008/slides/01/index_17.html
    (2005年には全ての基盤がインターネットになるという予言は、少し早す
     ぎたと言うべきか……。)

■ 著者略歴

白畑 真

1997年よりクララオンラインの事業に参画。ホスティングサービスの開発、運
用等に従事。2001年より同社取締役最高技術責任者。2008年9月より、6to4を
通じてIPv6の現実的な普及活動を行うTokyo6to4プロジェクトを設立。修士(政
策・メディア)。現在、慶応義塾大学大学院後期博士課程在学中。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 3 】インターネット用語1分解説
         「マルチプレフィックス問題とは」
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IPv6環境下では、一つのインタフェースに対し、複数のIPアドレスを付与する
ことが可能ですが、このことをマルチプレフィックスといいます。

マルチプレフィックスには、エンドユーザーのインタフェースに対し、複数の
IPv6アドレスを付与した場合に発生する問題がいくつか知られており、それら
の問題をまとめてマルチプレフィックス問題と呼びます。

マルチプレフィックス問題では、経路制御やDNSに関するものなど複数の点が
問題視されていますが、ここでは、送信元IPアドレス選択問題について解説し
ます。

IPv6環境下においては、ノードがある宛先と通信を行う場合、複数のIPv6アド
レスを割り当てられたノードは、どのIPv6アドレスを送信元として使用するの
か、選択する必要があります。

アドレス選択の優先順位に関連した文書として、RFC3484(*1)、RFC5220(*2)、
RFC5221(*3)が存在していますが、送信先のIPv6アドレスによっては、誤選択
の可能性があり、アドレス選択を誤った場合、通信を行うことができなくなり
ます。

マルチプレフィックス技術のメリットとして、IPv4ではPIアドレス(プロバイ
ダ非依存アドレス:Provider Independent Address)(*4)が必要であったマルチ
ホーム接続が、IPv6ではPAアドレス(プロバイダ集成可能アドレス:Provider 
Aggregatable Address)(*5)で可能となります。

(*1)http://www.ietf.org/rfc/rfc3484.txt
(*2)http://www.ietf.org/rfc/rfc5220.txt
(*3)http://www.ietf.org/rfc/rfc5221.txt
(*4)http://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/pi-address.html
(*5)http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glos-ha.html#16-paaddress


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 4 】統計資料
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.JPドメイン名

o 登録ドメイン数(2009年1月〜2009年6月) 
--------------------------------------------------------------------------------
日付|  AD  AC    CO    GO   OR    NE   GR   ED   LG   GEO   GA     GJ    TOTAL
--------------------------------------------------------------------------------
 1/1| 273 3482 325639 887 24470 17327 8103 4500 1931 2986 539212 134921 1063731 
 2/1| 272 3485 325828 878 24539 17326 8102 4507 1931 2975 544709 134565 1069117 
 3/1| 272 3496 326646 875 24624 17283 8103 4518 1929 2970 550346 134790 1075852 
 4/1| 270 3516 327911 870 24772 17232 8095 4534 1931 2963 555635 134785 1082514 
 5/1| 271 3524 329046 849 24904 17207 8086 4552 1931 2954 561571 135581 1090476 
 6/1| 272 3528 329816 843 24971 17190 8091 4559 1925 2943 565795 131280 1091213 
--------------------------------------------------------------------------------

 GA:汎用ドメイン名 ASCII(英数字)
 GJ:汎用ドメイン名 日本語 


2.IPアドレス

o JPNICからの割り振りとJPNICへの返却ホスト数(2008年12月〜2009年5月)
------------------------------------------
  月 |   割振   |   返却   | 現在の総量
------------------------------------------
  12 |   377856 |    61440 |   57378750
   1 |    14336 |        0 |   57393086
   2 |   565248 |        0 |   57958334
   3 |   269312 |    24576 |   58203070
   4 |   401408 |     4096 |   58600382
   5 |   599040 |     8192 |   59191230
------------------------------------------


□統計情報に関する詳細は → http://www.nic.ad.jp/ja/stat/


3.会員数  ※2009年6月1日 現在

 ---------------------
  会員分類  | 会員数 |
 ---------------------
  S会員     |      3 |
  A会員     |      1 |
  B会員     |      4 |
  C会員     |      5 |
  D会員     |    129 |
  非営利会員|     10 |
  個人推薦  |     35 |
  賛助会員  |     39 |
 ---------------------
  合計      |    226 |
 ---------------------

□会員についての詳細は → http://www.nic.ad.jp/ja/member/list/


4.指定事業者数  ※2009年6月8日 現在

  IPアドレス管理指定事業者数           381


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 5 】イベントカレンダー 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  2009.6.14(日)〜17(水)        NANOG 46
                               (Philadelphia, Pennsylvania, USA)
  2009.6.19(金)                第38回通常総会
                               (東京、八重洲冨士屋ホテル)
  2009.6.21(日)〜26(金)        ICANN (Sydney, Australia)
  --------------------------------------------------------------------
  2009.7.1(水)                 第16回JPNICオープンポリシーミーティング
                               (東京、日本教育会館)
  2009.7.3(金)                 IPアドレス管理指定事業者定例説明会
                               電子証明書を用いた認証方式に関する
                               説明会(東京、JPNIC会議室)
  2009.7.9(木)〜10(金)         JANOG 24 (東京、日経ホール)
  2009.7.15(水)〜23(木)        SANOG 14 (Chennai, India)
  2009.7.20(月)〜24(金)        28th APAN (Kuala Lumpur, Malaysia)
                               11th APNG Camp (Kuala Lumpur, Malaysia)
  2009.7.26(日)〜31(金)        75th IETF (Stockholm, Sweden)
  --------------------------------------------------------------------
  2009.8.24(月)〜28(金)        APNIC 28 (Beijing, China)


     〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
             http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
     〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
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