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ニュースレターNo.38/2008年3月発行

第3回 江崎 浩のISOC便り

執筆者近影
JPNIC副理事長 江崎 浩

前回の報告から、2回のBoTのフェイス・フェイスでの会合が行われました。スケジュールの都合で参加できないボードメンバーは、Marratechという遠隔会議システムを介して会議に参加します。

IABチェア、IRTFチェア、IESGチェアなど、インターネット技術の研究開発、標準化、ガバナンスに関係する主要なメンバー30名弱が集合し、ほぼFull-Interactiveなブレインストーミングと議論を行い、方向性を見出す会合です。 英語の能力に乏しい筆者にとっては、かなり疲れる会合でありました。

ISOC BoT主催のReteat会合(カナダ・トロントカナダ):2007年10月4日(木)〜6日(土)

議論のテーマは、「Trust and the Future of the Internet」、現在のインターネットの抱える問題を分析するとともに、インターネットとしてのTrustの定義、今後のインターネットにとって必要なTrustの姿を明らかにして、ISOCとしての活動の方向性を見出すのが目的でした。

Ted Hardie氏(Qualcomm社)がまとめた以下が、方向性を明確に表したもののように思えました。米国の隣国であるカナダの特徴が、今後も維持すべき、また次世代インターネットが満たすべき特徴であるというものです。

さらに、以下が本会合における、次世代インターネットが実現すべき要件として認識されたものでした(Cisco Systems社のFred Baker氏が草案を作成)。

すなわち、「インターネット上でデータ通信を行う実体(“persona”)は、確認/認識可能で、必要に応じてトレース可能、検査/監査可能で、かつ予想可能(predictable)であるべきである。同意/合意した通信実体の間には、良好なデータ通信が提供されるべきである。さらに、水平型のサービスやビジネスモデルを展開できる可能性が維持されなければならない。」という内容です。

定例の BoT会合(カナダ・バンクーバ): 2007年12月8日(土)〜9日(日)

IETF会合の終了後に引き続き、土曜日と日曜日に開催されました(年に2回は、IETF会合直後の土曜日と日曜日に開催)。 筆者は、今回のBoT会合における、決議事項の一つでもあった、萩野純一郎君(通称itojun)を記念した基金(Fund)創設に関する提案を承認してもらうという、大きな課題も持っていました。月曜日(2007年12月3日)に、IETF会場において開催された“itojun farewell party”(主催:WIDEプロジェクト)に急遽スケジュール調整をして出席(ホスト役:慶應義塾大学 村井純教授)、本会合の終了後一旦帰国し、再度、BoT会合のためにバンクーバを訪れることになりました。月曜日の会合には、この会合のためだけにバンクーバに駆けつけてくれた方も数多くいて、itojunの功績と、彼に対する、インターネットコミュニティの畏敬の念がいかに大きいものかを実感することができました。なお、今回Fred Baker氏(Cisco Systems社)の提案により、BoT会合での提案事項/決議事項となった、「itojun fundに対するISOCの事務的支援」の提案は、全員賛成(棄権1名=江崎)で採決されました。

今回のBoT会合における、主な決議事項ならびに議題は、以下の通りでした。

  1. “Trust & Identifier”をISOCのStrategic Major Initiativeとし、戦略的かつ重点的に活動を展開する(採択&決議)。
  2. 各リージョンにおける、国ごとのChapter間での、協調/協力関係の強化を行う。
  3. PIR(Public Interest Registry, http://pir.org/)の、ISOCから派遣するボードメンバーの選定が行われた(採択&決議)。
  4. ISOCにおける2007年予算執行状況の確認。
  5. ISOCにおける2008年予算案の承認(採択&決議)。
  6. 次期ISOC BoT改選に関する手続きの確認(現在、Nominationを受付中)。
  7. ChapterメンバーシップとISOCメンバーシップの関係を同一化する提案(承認)。
  8. 中国が、ISOC BoT Retreat会合のホストに立候補。

次回会合は、Philadelphia(米国)でのIETF会合の直後(2008年3月15日〜16日)に開催する予定です。

(追記)

“itojun”のアカウント名で知られる萩野純一郎君が、37歳の若さで、2007年10月29日、永眠されました。彼は、KAMEプロジェクトを通じたIPv6参照ソフトウェアの研究開発や、IETFにおける標準化活動など、次世代インターネット技術の確立と普及に向けて、献身的な貢献をされました。itojunのIPv6に関連する幅の広い、そして情熱的な貢献と偉大な業績なしには、今日のIPv6技術は存在することがなかったでしょう。itojunは、長年尽力されたIPv6がいよいよ本格的展開へ向かおうとしている今日、それを見届けることなく、他界されてしまいました。本当に、残念です。我々は、itojunのIPv6への情熱と意志をしっかりと受けとめ、IPv6の本格展開とIPv6を用いたインターネットのさらなる発展を実現しなければなりません。これが、我々のitojunへの敬意と感謝の最大の表現になることでしょう。心からitojunのご冥福をお祈りいたします。

故 萩野純一郎(itojun)氏
故 萩野純一郎(itojun)氏
クロージング
村井純氏によるクロージング2007年12月3日(月)
案内板
itojun farewell partyの案内板


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