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ニュースレターNo.42/2009年7月発行

第1回IPv4枯渇 Watch
〜IPv4アドレス在庫枯渇問題って、どのくらい認知されていますか〜

巷では2011年の地上アナログテレビジョン放送停波が取りざたされていますが、 インターネットの世界においても、大きな転機が訪れつつあります。 インターネット接続にはIPアドレスが不可欠ですが、 その中でも最も多く利用されているIPv4アドレスの在庫が、 分配元のインターネットレジストリにおいて、 あと2年強でなくなってしまうと予想されているのです。

IPv4アドレスの在庫がなくなっても、 現在のインターネットが利用できなくなるわけではありません。 従って、適切なサービスを選んでさえいれば、 ほとんど影響を受けない一般企業もあるでしょう。 一方、大量のグローバルアドレスを使うサービス提供者の中には、 新規サービスを生み出してインターネットらしいイノベーションを起こすことはおろか、 事業継続すら困難になってくる可能性もあります。 程度の差こそあれ、 数多くの企業活動や市民生活にはインターネットが必要である今、 今後もインターネットを円滑に使い続けていくためには、 関係するあらゆる方々とこの問題を検討し、 それぞれに見合った対応策を見出していかなくてはなりません。

日本国内でのインターネットレジストリであるJPNICは以前より、 各所での講演やアナウンスを通じて、この問題への注意喚起を行い、 また解決への糸口として、 対応策に関する検討結果を報告書にまとめてきました。

今後連載記事で、この問題に向けた特筆すべき取り組み、 対応策などを取り混ぜてお伝えしていきます。 なお、この問題についての「最新動向」については、 JPNICから不定期に発行するメールマガジン「JPNIC News & View」 (http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/) をご覧ください。

1回目の今回は、まず、「IPv4アドレス在庫枯渇は、どの程度認識され、 対応されているのか」の現状をお伝えします。

テレコム/インターネット関連諸団体で結成された 「IPv4アドレス枯渇対応タスクフォース」※1が、 その活動の一環として、2009年2月下旬に、アンケートを行っています。 タスクフォースに加入する団体のうち9団体が、それぞれの会員、 顧客に聞く形式でアンケートを実施し、合計378件の回答を得ました。 その集計結果をご紹介します。 貴社の対応状況とぜひ比べてみてください。


◆Q1. 近い将来、新しいIPv4アドレスが分配されなくなるって知っていましたか?

→認知はされている。しかし、ベンダーの認知度の低さが目立つ

最初にIPv4アドレス在庫枯渇の認知状況について尋ねたところ、 8割以上の方が予測時期を含めて知っているという結果となりました。 全体で見ると、 IPv4アドレス枯渇対応タスクフォースに参加する団体に所属している組織内では、 かなり認知が進んでいることがわかりました。 ただし業種別で比較すると、 ベンダー(通信機器製造業、 その他製造業)では全体よりも認知が進んでいない状況がうかがわれます。

認知状況表


◆Q2. 貴社の事業に影響があると思いますか?

→6〜7割が「大きな影響あり」と回答

次に、IPv4アドレス在庫枯渇が事業に及ぼす影響度合いと在庫枯渇への対応策の検討実施状況を確認したところ、 事業に「大きな影響があると思う」と回答した人が59.1%でした(JPNIC会員、 IPアドレス管理指定事業者のみの回答では76.8%)。 影響について具体的に記入していただいたものを見ると、 やはりユーザー獲得が困難になることを挙げている人が多く見受けられました。 一方、「軽微な影響があると思う」 「特に影響はないと思う」と回答した人たちは、その理由を見ると、 現在手元にあるIPv4アドレスで今後の需要を満たせると考えているようです。


◆Q3. 貴社内での、対応策の検討状況ってどうですか?

→ほとんどの組織が「現在対応策を検討中」

また、現在の対応・検討状況について確認をしたところ、 「既に対応策を実施中」と回答した人は16%程度に留まり、 残りの84%の人が「現在対応策を検討中」または 「今後検討予定」ということでした。 大きな影響があると考えながらも、具体的な対応についてはまだこれから、 というのが事業者の現状であることがわかりました。 これを東京とその他の地域で比較すると、対応策の実施、 検討は東京の事業者の方が先行しているようです。

対応検討状況グラフ


◆Q4. IPv6アドレスの対応への進み具合は、どの程度?

→全体的な進行具合はボチボチ。対応機器待ちのところもあり。

IPv4アドレス在庫枯渇への対応策としては、 全体の72%が「IPv6の導入」を選択しています。 しかしこのうち、「既にIPv6の導入を終了した」または 「IPv6の試験的な運用を開始している」と答えたところは合わせて31%であり、 残りの69%程度が、 「IPv6の導入手順を検討中」「これから検討する」という状況でした。
業種別で見ると、 ISPなどサービス事業者関連の中で放送事業者(CATV) だけがIPv6の導入が遅れている状況ですが、これはIPv6に対応した、 DOCSIS(Data Over Cable Service Interface Specifications:ケーブルテレビのネットワークでデータ通信を行うための機器の規格) のVersion 3.0を搭載した機器の提供状況に依存していることが影響しているものと思われます。 全体的にIPv6導入の必要性は理解されているものの、 実際の導入についてはまだまだこれからが本番という状況が見て取れます。

IPv6移行状況グラフ


◆Q5. IPv4アドレス在庫枯渇へ対応するにあたり、問題となることは?

→コストと技術知識!!

IPv4アドレス在庫枯渇対応策を推進するにあたって問題となるもの (既になっているもの)を聞きました。 その結果、 「コストの工面」次いで「技術知識の不足」が課題として挙げられており、 特に地域で比較した場合、 東京以外の地域ではそれぞれ7割程度の人が課題として挙げています。

枯渇対応への問題点グラフ


◆Q6. 貴社に欲しい支援策って何ですか?

→東京では「ユーザー啓発」、その他の地域では「技術者教育・技術情報」

この問題意識を踏まえて、 対応策推進にあたり欲しい支援策があるか尋ねてみたところ、 「技術情報(マニュアルなど)」「技術者教育(研修会・セミナーなど)」 を望む人がそれぞれ半数以上と、他を大きく上回る結果となりました。 地域で比較すると、東京以外の地域では技術者教育と情報提供を望む一方、 東京では一般利用者の啓発を望む声が多いようです。

欲しい支援策グラフ


今回のアンケート結果から、 「東京以外の地域における技術者教育・情報提供」 が大きな課題であるとわかりました。 これまでIPv4アドレス枯渇タスクフォースは、 Internet WeekやIPv6 Summit などのイベントの機会を利用したハンズオンセミナーに協力してきましたが、 このようなプログラムについて、 今後は東京以外の地域での実施も検討していく必要があるようです。 また、情報提供という点でもまだ足りていません。 これまで以上にさまざまなチャネルを利用するとともに、JPNICとしても、 IPv4アドレス枯渇対応タスクフォースと連携して、 Webサイト(http://kokatsu.jp/)等に必要な情報を集積し、 情報発信に努めていきます。


※1 IPv4アドレス枯渇対応タスクフォース http://kokatsu.jp/



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