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トップページ > JPNICライブラリ > 調査報告書 > コンピュータネットワークの在り方に関する調査研究報告


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2 調査結果の概要

本章はアンケートの集計結果を概説し、その結果から学会および研究室を対比しつつ、インターネット利用の実態について考察している。

なお、本章の根拠となる集計結果はA 付録:集計結果としてまとめた。また、調査票はB 付録:調査票に付した。

2.1 情報基盤の状況

ユーザの情報基盤の状況を把握するために、コンピュータやLAN の設置状況に関する質問を行った。

学会の1 人あたりのコンピュータ設置台数とコンピュータ・ネットワークの状況を表2-1に示す。学会の80 %近くにコンピュータが設置され、約30 %には「1 人に1 台以上の割合で」コンピュータが設置されている。ネットワークの状況に関しては、30 %でLAN が構築され、インターネットにも接続されている。「LAN のみに接続」との回答割合は2.8 %と小さく、LAN を構築している学会のほとんどはインターネットに接続しているということができる。一方、コンピュータを設置していながら、ネットワークに接続していない学会が約23 %ある。
コンピュータ設置台数とネットワーク状況のクロス集計では、1 人あたりのコンピュータの設置台数が多くなるにつれて、ネットワークに接続する割合も大きくなる傾向が見られるが、その傾向はそれほど顕著ではない。

表2-1:学会の情報基盤の状況

  ネットワークの状況  
コンピュータなし 非接続 LANのみ Internetのみ LAN+Internet わからない
1 人あたりのコンピュータ設置台数 置していない 20.6% - - - - - 20.6%
5人以上に1台程度 - 4.0% - 1.7% 3.8% 0.2% 9.8%
3人〜4人に1台程度 - 3.8% 0.2% 1.9% 1.3% 0.4% 7.7%
1人〜2人に1台程度 - 10.0% 1.1% 6.6% 10.2% 0.6% 28.5%
1人に1台以上 - 4.9% 1.5% 7.2% 14.3% - 27.9%
20.6% 22.8% 2.8% 17.4% 29.6% 1.3% 94.5%

( 率は学会数N に対する割合, N = 470 , 無回答5.5 %)

表2-2:研究室の情報基盤の状況

  ネットワークの状況  
コンピュータなし 非接続 LANのみ Internetのみ LAN+Internet わからない
1 人あたりのコンピュータ設置台数 置していない 0.3% - - - - - 0.3%
5人以上に1台程度 - 0.3% - 0.3% 2.7% - 3.4%
3人〜4人に1台程度 - 0.3% - 1.0% 16.3% - 17.6%
1人〜2人に1台程度 - 0.3% - 0.7% 40.7% - 41.7%
1人に1台以上 - 0.3% - 1.0% 34.6% 0.3% 36.3%
0.3% 1.4% - 3.1% 94.2% 0.3% 99.3%

( 率は研究室数N に対する割合, N = 295 , 無回答0.7 %)

研究室の1 人あたりのコンピュータ設置台数とコンピュータ・ネットワークの状況を表2-2に示す。研究室では99.7 %にコンピュータが設置されており、36.3 %では「1 人に1 台以上の割合で」設置されている。ネットワークの状況では、LAN を構築しインターネットにも接続している研究室の割合が94.2 %に達する。研究室の情報インフラの状況をまとめると、「90 %以上がコンピュータを1 人〜2 人に1 台以上設置し、LAN を構築し、インターネットに接続できる環境にある」ということができる。

2.2 インターネット普及率と接続形態

学会におけるインターネット利用状況を図2-1に示す。インターネットを利用している学会は37.7 %、利用していない学会は60.2 %と、利用している学会はまだ小数派である。インターネットの利用歴でみると、全体の約65 %が2 年未満であり、後述する研究室と比較すると利用歴は浅い。接続回線の種別では、54.4 %が専用線接続であり36.3 %がダイアルアップで接続ある。接続先別の割合は、関係の深い大学または機関が45.1 %、商用サービスプロバイダが35.2 %、学術情報ネットワーク(SINET) が7.1 %である。

図2-1.学会におけるインターネット利用状況
図2-1.学会におけるインターネット利用状況

研究室におけるインターネットの利用状況を図2-2に示す。インターネットを利用している研究室は96.9 %であり、利用していない研究室は2.0 %である。インターネットの利用歴でみると、学会の場合とは対称的に、全体の約60 %の利用歴が3 年以上である。接続回線の種別では専用線接続が91.7 %、ダイアルアップ接続が5.5 %である。接続先別の割合は所属の大学または研究機関のLAN を経由しての接続が95.5 %であり、商用サービスプロバイダを利用しているのは、僅か1.0 %である。大半の大学ではWWW の普及以前からインターネット接続のプラットフォームとなるLAN が設置されており、この効果が研究室の利用率の高さという数字となって現れたと言うことができよう。

図2-2.研究室におけるインターネット利用状況
図2-2.研究室におけるインターネット利用状況

2.3 連絡の手段とインターネットの利用

学会における日常の連絡のなかで、インターネットがどの程度利用されているかを調べるために、学会事務局と学会員、学会の研究会内の連絡に利用されている手段を質問した。連絡形態として、学会事務局と特定の会員との間の連絡(1 対1)、学会事務局から多数の会員へ向けた広報的連絡(1 対多) および学会内部の分科会・ワーキンググループのような組織内での連絡(多対多) の3 種類の連絡形態を想定し、それぞれの場合に利用される手段を質問した。

学会における連絡形態別の利用手段を図2-3に示す。連絡形態によらず、郵便が他の手段よりも多く利用されていることがわかる。その他、電話は「1 対1」の連絡に多く利用され、FAX は「1対1」、「多対多」の場合に同程度利用されていることが分かった。

この中でインターネットのサービスである電子メール、メーリングリスト、Web ページは、利用される割合が前述の3 手段に較べてかなり小さくなっている。それぞれの連絡形態に対する利用頻度を見ると、電子メールでは「多対多」「1 対1」「1 対多」の順に多く利用されており、これは他の手段には見られない特徴である。メーリングリストは「多対多」「1 対多」「1 対1」の順に多く利用され、これも他に見られない特徴となっている。Web ページは「1 対多」に特に多く利用されている。郵便も似た傾向を持つが、Web ページのそれは際立っている。グラフの中でWebページに似た特徴を持つ「その他」の記述回答の多くが、学会誌、会報、ニューズレターなどである。

図2-3.学会で利用される連絡手段
(頻度の大きいものから2 つ選択)
図2-3.学会で利用される連絡手段

研究室に対しては共同研究プロジェクトのメンバーとの間で利用される連絡手段を質問した。その結果を図2-4に示す。電子メールが最も多く、次いでFAX が多く利用されている。

図2-4.研究室で利用される連絡手段
(頻度の大きいものから2 つ選択)
図2-4.研究室で利用される連絡手段

2.4 電子メールの利用

学会と研究室に対し、メールアドレスを把握している会員・共同研究者の割合および電子メールの利用に関する問題点を質問した。メールアドレスを把握している割合を図2-5に示す。学会では「ほとんど把握していない」との回答が56.8 %を占めた。これに対して研究室では「ほとんど全てを把握している」が71.8 %を占め、対称的な結果となった。

図2-5.メールアドレスを把握している割合
図2-5.メールアドレスを把握している割合

電子メール利用の問題点についての回答結果を図2-6に示す。学会では「会員のメールアドレスを全て把握していないので、一括処理できない」との回答が最も多かった。これに対して研究室では「相手が読んでいるかどうか確認できない」との回答が最も多かった。その他、「ニュアンスが伝わりにくい」、「特に問題はない」と回答した研究室の割合が学会の2 倍以上であることが特徴として挙げられる。

なお、その他の問題点として、学会では電子メールの秘匿性に対する疑問や会員のコンセンサスが得られないこと、研究室では文字以外の伝達に適さないことが挙げられた。また、いわゆる文字化けの問題が学会、研究室共通して指摘された。

図2-6.電子メールの利用に関する問題点
図2-6.電子メールの利用に関する問題点

2.5 Web ページの利用

インターネットを利用している学会および研究室に対して、Web ページ2開設の有無、Webページの内容、運用上の問題点等を質問した。

学会におけるWeb ページの開設状況を図2-7に示す。インターネットを利用している学会に占める、一般向けと会員限定を合わせたWeb ページを開設している学会の割合は81.2 %である。Webページの開設に必要なWWW サーバの運用形態で最も多いのが学術情報センターが提供する「学会ホームヴィレッジ」で36.5 %を占めた。次いで多いのが学会と関係のある大学のサーバであり、全体の31.8 %を占めている。Web ページを開設している学会の78.7%は学会内部で作成・更新を行っており、外注の割合は4.5 %にとどまる。Web ページの作成・更新を行う担当者の多くは学会職員または会員のボランティアである。

図2-7.学会におけるWeb ページの開設状況
図2-7.学会におけるWeb ページの開設状況

Web ページの内容に関しては、学会の紹介、大会・年次集会の案内、研究会・セミナーの案内、論文誌の目次などを提供する学会の割合が高く、学会誌、論文誌の内容そのものを提供する学会の割合は小さい。これには、Web ページ更新の手間、執筆者のコンセンサス、会員の認証や課金システムの必要性などが影響しているためではないかと思われる。Web ページを開設している学会に対し、その効果を質問したところ、「広報活動が効率的になった」、「学会員へのサービスが向上した」との回答が多かった。ただし、「メリットはあると思うが確認できない」というように、効果を評価する手段がないことも指摘された。

研究室におけるWeb ページの開設状況を図2-8に示す。Web ページの開設率は、一般向けと研究室内限定を合わせると、インターネットを利用している研究室の53.6 %である。WWW サーバの運用形態では、大学のサーバを利用している例が最も多く、Web ページを開設している研究室の約60 %を占めた。

Web ページの運用に関しては、作成・更新を内部で行っている研究室が約90 %を占め、ほとんどが学生または教官が担当しているようである。

Web ページの内容に関しては、研究課題、研究者・学生の紹介が多い。学会と比較して研究室ではインターネットの利用率、利用歴ともに上回っていたが、逆にWeb ページの開設率では半分程度である。

図2-8.研究室におけるWeb ページの開設状況
図2-8.研究室におけるWeb ページの開設状況

学会および研究室に対して、Web ページの運用上の問題点について質問した。その結果を図2-9に示す。学会、研究室ともに80 %近くが何らかの問題を抱えており、「適当な人材がいない、または不足している」ことを最も大きな問題としている。Web ページを開設していない学会および研究室にその理由を質問したところ、「開設したいが、作成に手間がかかるから」という理由が最も大きく、開設者、非開設者ともに、Web ページを簡単に作成したいという要求が大きいことがわかる。

図2-9.Web ページ運用上の問題点
図2-9.Web ページ運用上の問題点

2.6 インターネットの必要度と影響

学会および研究室に対して、インターネットをどの程度必要としているかを質問した。その結果を図2-10に示す。

学会では「あれば便利という程度」との回答割合が最も大きく38.1 %である。これに対し、研究室では「必要不可欠である」との回答割合が最も大きく53.9 %を占めた。学会の回答結果をインターネットの利用/非利用でクロス集計した結果を表2-3に示す。インターネットを利用している学会と利用していない学会との間に必要の程度に大きな差が見られる。既に利用している学会が必要性を認めているのは当然であるとしても、利用していない学会の半数以上が「あれば便利という程度」と一応の利便性を認めているところが興味深い。

図2-10.インターネットの必要度
図2-10.インターネットの必要度

表2-3:学会におけるインターネットの必要度の回答結果

  インターネットの利用  
利用 非利用
必要不可欠である 16.8 % 5.3 % 22.1 %
どちらかといえば必要である 12.1 % 14.7 % 26.8 %
あれば便利という程度である 8.1 % 30.0 % 38.1 %
なくても構わない 0.6 % 8.3 % 8.9 %
37.7 % 58.3 % 無回答=4.0%

学会の運営と学問領域、研究室の学問領域にインターネットが与える影響について質問した。その結果を図2-11に示す。学会では「学問領域と学会運営の両方に影響を与える」との回答が最も多く41.5 %を占めている。研究室でも59.0 %が「学問領域に影響を与える」と回答している。

図2-11.インターネットの影響
図2-11.インターネットの影響

学会に対し、インターネットが与える具体的な影響について質問したところ、「会員への連絡や原稿収集における時間節約」などの業務効率化の効果と「不特定多数の人々への情報提供による会員数の増加」などの広報的効果を挙げる回答が多く見られた。また、「インターネット上の遺伝子データベースのチェックが原稿執筆の必須条件となっている」など、分野によってはインターネットが不可欠になっていることが明らかになった。

研究室に対し、インターネットが与える具体的な影響について質問したところ、「研究進展のテンポが早くなる」、「成果発表の即効性が増す」というような情報伝達のスピードが増すことによる効果や、「より広域な研究者との関係が形成できる」、「共同研究と学際領域の研究の進展」などのような学問領域拡大の効果、「海外との交流が盛んになる」、「国際共同研究にはインターネットは不可欠である」のようにコミュニケーションエリア拡大の効果などが指摘された。一方で「雑用が増える」、「情報過多」といったマイナス面を指摘する声もある。

研究者間の交流に関して、全体として「広域な研究者と共同で境界領域の研究がしやすくなる」などの意見、個別には「共同研究者を見つけることができた」という回答があり、インターネットが実際の共同研究活動に大きな影響を及ぼした事例が少なからず存在するということが判明した。

2.7 インターネットに対する不満・要望

インターネットを利用している学会および研究室に対して、利用上の不満を質問した。その結果を図2-12に示す。

学会では「不満はない」とする回答が最も多く、全体の35.8 %を占めた。これに対して研究室では「回線のスピードが遅い」との回答が最も多く、その割合は41.9 %である。学会と研究室との対比では、「つながりにくい」「回線のスピードが遅い」といった通信速度に対する不満が研究室で大きいのが目立つが、ほとんど全てが専用線で接続され、日常的にインターネットを活用している研究室の要求の高さの現れとみることもできる。逆に「覚えなくてはならないことが多すぎる」との不満は学会に多く、研究室に比べ利用歴が浅い面が影響していると思われる。学会の記述回答では「システムについて相談できる人材が欲しい」などの技術面のサポートへの要望、研究室からは「SINET の外部接続との充実を望む」のように、より高速な通信への要望が多かった。

図2-12.インターネット利用上の不満
図2-12.インターネット利用上の不満



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