実行委員長からの挨拶

Internet Week (IW)について、 今年も皆さまにご案内できる時期となりました。 今年のIWは、 東京・浅草橋の「ヒューリックホール&ヒューリックカンファレンス」にて、 2018年11月27日(火)~30日(金)に開催します。

今年のテーマは「知ればもっと楽しくなる!」です。 このイベントテーマは、新年度を迎えた4月に実行委員が集まり、 議論をして決定しています。 今年はどのような方針でいこうか、 ざっくばらんに意見交換を行う中で、 ふと「これだ!」と出席者全員の想いが一致するフレーズが生まれる瞬間が毎年あります。 今年はこのフレーズがそれです。

IWはインターネットに関わる技術者・研究者同士の調整と議論の場、 そして教育の場として始まり、今年で22回目を迎えます。 この20数年の間に、 インターネットはいつの間にか人々の生活になくてはならないインフラになりました。 近年、IoT、AI、 ブロックチェーンなどに未来への大きな期待が寄せられるのに比べると、 インターネットの基盤に関わる技術はささやかな存在です。 世間一般に注目される機会と言えば、 大規模なサービス停止やセキュリティインシデントなど何かが起こった時。 あのインターネット黎明期のダイナミックさを体感していない若い技術者や研究者は、 インターネット基盤技術を、 (悪く言いますと)地味と思う方もいるのではないでしょうか。 しかしながら、それに昔から関わっているイチ技術者としては、 その面白さや奥深さをぜひ知ってほしいと思うのです。 その想いを今年のテーマに込めました。

同じ想いを持つ方は多いのではないかと感じた出来事がありました。 5月31日と6月1日に広島大学で開催したIWの地域版: 「Internet Weekショーケース in 広島」での慶應義塾大学 教授の村井純さんの講演(PDF、1.44MB)です。 村井さんは講演の中で、この30年のインターネットの歩みを総括し、 今後の展望を述べました。 そして最後に、インターネット全体を氷山に例え、 海に浮かぶ氷山を真横から描いた絵をスクリーンに映し、 こう語ったのです。 「この30年間、時代の注目を集める華やかな技術、 すなわち氷山のうち海面から見えている部分は、 時代と共に移り変わっていった。 FTPなどのアプリケーション層の技術、 WWW、そして現在はIoTやAI、ビッグデータなど。 一方で我々はその間もずっと変わらず、 氷山の水面下に沈んでいる部分のように、 たとえ外からは見えにくくても、 インターネットをじっと一生懸命支えてきた。 これが『インターネット屋の心意気』だ」と。

IWにいらっしゃる皆さんは、業種や職種が多少違えども、 このように縁の下の力持ちのような根幹の業務に従事されている方が多いのではないでしょうか。 自社や顧客の業務やサービスが常に安定して提供されるよう、 ネットワークやサーバーを設計/構築/運用に心を砕いている方々。 システムやネットワークが外部からの攻撃や浸入に耐えられるよう、 また万が一インシデントが発生した場合にも影響を最小限にできるよう、 日々の備えや対応体制を整えている方々。 今年のIWは、そのような方々に向けて、 業務に生かせる最新動向や知っていると役に立つtipsをお届けし、 たくさんの多様な知識やノウハウを持っていることで、 日々の業務が一層楽しく感じられることをお伝えしたいと思います。

現在、プログラム委員会では9月下旬のプログラム公開に向け、 検討の真っ最中です。 プログラム委員会では、 情報共有の手段としてSlackを利用しているのですが、 「○○さんに登壇OKをもらった」「関係者で打ち合わせをしよう」 などというメッセージが毎日流れています。 本稿執筆時点では、 今年実施するプログラムの大枠が決まったばかりではありますが、 この活発なやり取りを見て、 今年も興味深いプログラムが多数ご提供できることを確信しています。 11月は浅草橋で、 皆さまと「インターネット屋の心意気」を分かち合い、 そして次の世代に伝えたいと思います。 ぜひお越しください。お待ちしております。