事件番号:JP2014-0008

裁 定

申立人:
(名称)バイエリシエ モトーレンウエルケ アクチエンゲゼルシヤフト
(住所)ドイツ連邦共和国 80809 ミュンヒェン
    ペトウエルリング 130
代理人:弁護士 小林 幸夫
    弁護士 河部 康弘
    弁理士 江崎 光史
    弁理士 佐久間 洋子
    弁理士 田崎 恵美子
登録者:
(名称)有限会社小泉工務店
(住所)東京都品川区西大井2-6-11 カマイナヴィラ101

 日本知的財産仲裁センター紛争処理パネルは、JPドメイン名紛争処理
方針、JPドメイン名紛争処理方針のための手続規則及び日本知的財産仲
裁センターJPドメイン名紛争処理方針のための手続規則の補則並びに条
理に則し、申立書・答弁書・提出された証拠に基づいて審理を遂げた結
果、以下のとおり裁定する。

1.裁定主文
  ドメイン名「BMW.TOKYO.JP」の登録を申立人に移転せよ。
2.ドメイン名
  紛争に係るドメイン名は「BMW.TOKYO.JP」である。
3.手続の経緯
  別記の通りである。
4.当事者の主張
 a 申立人
   申立人は、登録者が申立人の登録にかかる登録番号第42865
  3号の登録商標BMW他4件の登録商標を実質的に模写し、マーク
  における申立人の好評を利用する意図をもって登録者によって採択
  されたドメイン名を登録していることを主張する。申立人によれ
  ば、ドメイン名は、申立人の商標と同一又は混同を引き起こすほど
  に類似し、登録者はドメイン名について正当な利益を有していな
  い、そしてドメイン名は不正の目的で登録され且つ使用されてい
  る。
   従って、申立人は、ドメイン名登録の申立人への移転を請求す
  る。
  b 登録者 
    登録者は本件ドメイン名は申立人の事業とは関係ない登録者の
   建設建築業に関する事業のプロジェクト名の略称であるから、申
   立人の知的所有権を侵害しない。
    またドメイン名の取得は、販売を目的としたものではなく、不正
   の目的で登録したものではない、と主張し、申立人の請求を拒否す
   る。
5.争点および事実認定
  規則第15条(a)は、パネルが紛争を裁定する際に使用すること
 になっている原則についてパネルに次のように指示する。「パネルは、
 提出された陳述・文書および審問の結果に基づき、処理方針、本規則
 および適用されうる関係法規の規定・原則、ならびに条理に従って、
 裁定を下さなければならない。」
  方針第4条aは、申立人が次の事項の各々を証明しなければならな
 いことを指図している。
(1)登録者のドメイン名が、申立人が権利又は正当な利益を有する商
 標その他表示と同一又は混同を引き起こすほど類似していること
(2)登録者が、ドメイン名に関係する権利又は正当な利益を有してい
  ないこと
(3)登録者のドメイン名が、不正の目的で登録又は使用されているこ
  と

(1)同一又は混同を引き起こすほどの類似性
   登録者のドメイン名であるBMW.TOKYO.JPと申立人の商標
  BMWを比較すると、外観において、BMWの部分を共通にし、称呼
  において前者は
  ビーエムダブリュー トウキョウ ジェイピー あるいはベー エム
  ヴェー トウキョウ ジェイピーと発音され、後者はビー エム ダブ
  リューあるいはベー エム ヴェーと発音されるが、前者はその構
  成から見て、外観においてBMW、称呼においてビー エム ダブ
  リューあるいはベー エム ヴェーが要部をなし、観念においては
  両者とも特別の意味をもつものではない。
   従って両者は同一又は混同を起こすほど類似している。
(2)権利又は正当な利益
   登録者はドメイン名登録の前後を通じBMWの名称を使用した事
  実は認められない。また登録者の社名もBMWとは全く異なり、そ
  の事業の上でもBMWを使用する何らかの必要性を認めることがで
  きない。この点登録者は答弁書において、本件ドメインを取得した
  のは登録者のプロジェクト名の略称として正当正式な商取引による
  ものであると主張するが、その根拠を認めることができない。
   すなわち登録者はBMWなる表示について、これを使用する何ら
  の権利も正当な利益も見出すことができない。 
(3)不正の目的での登録及び使用
   申立人の商標BMWは、世界的に著名であり、そのブランドの価
  値は、申立人の経済活動により生じたものである。申立人は、登録
  者のドメイン名の存在による出所の混同その他の障害を除去すべ
  く、ドメイン名を登録するために要した費用、登録を維持するため
  に要した費用、ドメイン名を申立人に移転登録するために必要な費
  用を支払い、登録者にドメイン名の譲受を申し入れた。
   それに対し、登録者は一億円の対価を提示し、その上場合によっ
  ては本件ドメイン名を第三者に売却する可能性も示している。(甲第
  4号証)
   従って登録者のドメイン登録は不正の目的に基づくものと認めら
  れる。
6.結論
   以上に照らして、紛争処理パネルは、登録者によって登録された
  ドメイン名「BMW.TOKYO.JP」が申立人の商標と混同を引き起こ
  すほど類似し、登録者が、ドメイン名について権利又は正当な利益
  を有していない、登録者のドメイン名が不正の目的で登録され且つ
  使用されているものと裁定する。
   よって、方針第4条iに従って、ドメイン名
  「BMW.TOKYO.JP」の登録を申立人に移転するものとし、主文の
  とおり裁定する。


   2015年3月25日

   日本知的財産仲裁センター紛争処理パネル
                   小林 十四雄
                   単独パネリスト
別記  手続の経緯
(1)申立書受領日
      2014年12月10日(電子メール)及び12月11日(書面)
(2)手数料受領日
      2014年12月10日  申立手数料の受領確認
(3)ドメイン名及び登録者の確認
      2014年12月11日  JPRSへ照会
      2014年12月11日  JPRSから登録情報の回答
      回答内容:申立書に記載された登録者はドメイン名の登録者であること、
        JPRSに登録されている登録者の電子メールアドレス及び住
        所等
(4)適式性
   日本知的財産仲裁センター(以下「センター」という。)は、2014
  年12月15日に、代表者の資格を証明する公的証明書,証拠一覧表及び
  証拠説明書の提出が必要と判断してその旨を申立人に通知した。
   証拠一覧表兼証拠説明書と上申書を12月17日に受領した。補正期間
  を2015年1月30日まで延長することを12月18日付けで通知した。
   代表者の資格を証明する公的証明書を2015年1月29日に受領した。
  センターは、同日、申立書が処理方針と規則に照らし申立書が適合してい
  ることを確認した。
(5)登録者への通知日及び内容
      1) 申立書送付日(手続開始日) 2015年1月30日(電子メール及
    び郵送)
      2) 申立書及び証拠等一式
      3) 答弁書提出期限  2015年3月2日
(6)手続開始日  2015年1月30日
      センターは、2015年1月30日に申立人及び登録者には電子メール
  及び郵送で、JPRS及びJPNICには電子メールで、手続開始日を通知した。
(7)答弁書の提出の有無及び提出日
   センターは、2015年2月27日に答弁書を受領した。
(8)パネリストの選任  2015年3月6日
      申立人、登録者とも1名のパネルによって審理・裁定されることを選択。
      中立宣言書の受領日:2015年3月10日
      パネリスト:弁護士 小林 十四雄
(9)紛争処理パネルの指名及び裁定予定日の通知
      2015年3月6日  JPNIC及びJPRSへ電子メールで通知
                         申立人及び登録者へ電子メール及び郵送で通知
      裁定予定日:2015年3月26日
(10)パネリストへのパネリスト指名書及び一件書類受け渡し
      2015年3月6日(電子メール及び郵送)
(11)パネルによる審理・裁定
      2015年3月25日  審理終了、裁定。