事件番号:JP2018-0006

                  裁 定

  申立人:
  (氏名/名称)株式会社大都技研
  (住所)東京都中央区京橋3-1-1 東京スクエアガーデン15F

  登録者:
  (氏名/名称)Game Lounge Limited
  (公開連絡窓口住所)GZR1033, 109, Sir William Reid Street 3rd Floor, Malta

 日本知的財産仲裁センター紛争処理パネルは、JPドメイン名紛争処理方針、JPドメイン
名紛争処理方針のための手続規則及び日本知的財産仲裁センターJPドメイン名紛争処理
方針のための手続規則の補則並びに条理に則り、申立書・答弁書・提出された証拠に基づ
いて審理を遂げた結果、以下のとおり裁定する。

1 裁定主文
  ドメイン名「DAITOMO.JP」の登録を取り消せ。
2 ドメイン名
  紛争に係るドメイン名は「DAITOMO.JP」である。
3 手続の経緯
  別記のとおりである。
 
4 当事者の主張
 a 申立人
  申立人は、登録者が取得したドメイン名「DAITOMO.JP」(以下、本件ドメイン名)に関
し、申立人の商標登録第5405173号に係る商標「Daito Friends/ダ
イトモ(図形)」(以下、引用商標)と同一又は混同を引き起こすほど類似し、かつ、申立
人が過去に本件ドメイン名の下で提供していたウェブサービスのトップ画面と同一又は混
同を引き起こすほど類似したトップ画面を本件ドメイン名で使用しているため、本件ドメ
イン名は不正の目的をもって登録者によって登録又は使用されている旨主張する。また、
登録者はドメイン名について正当な利益を有していない旨主張する。
 従って、申立人は、本件ドメイン名のドメイン名登録の取消を請求する。

 b 登録者
  登録者によって答弁書は提出されなかった。

5 争点および事実認定
 規則第15条(a)は、パネルが紛争を裁定する際に使用することになっている原則に
ついてパネルに次のように指示する。「パネルは、提出された陳述・文書および審問の結果
に基づき、処理方針、本規則および適用されうる関係法規の規定・原則、ならびに条理
に従って、裁定を下さなければならない。」
 方針第4条aは、申立人が次の事項の各々を証明しなければならないことを指図してい
る。
 (1)登録者のドメイン名が、申立人が権利又は正当な利益を有する商標その他表示と
    同一又は混同を引き起こすほど類似していること
 (2)登録者が、ドメイン名に関係する権利又は正当な利益を有していないこと
 (3)登録者のドメイン名が、不正の目的で登録又は使用されていること

 (1)同一又は混同を引き起こすほどの類似性
 本件ドメイン名は「DAITOMO.JP」からなるところ、その要部は「DAITOMO」である。
 他方、引用商標は「ダイトモ」及び「Daito Friends」の文字を含んだ図形からなると
ころ、中央に大きく表示される「ダイトモ」の文字は一見して「ダイトモ」と視認するこ
とができる。図形上部に小さく表示されている「Daito Friends」はそれ自体識別力のあ
る造語であるも、「ダイトモ」が「Daito Friends」の略語であることを説明するために付
されているものと容易に認識することができるため、「Daito Friends」の文字は「ダイト
モ」の文字に遡及するための説明に過ぎないといえる。したがって、引用商標の要部は「ダ
イトモ」の文字部にある。
 そこで、本件ドメイン名と引用商標を対比すると、いずれも要部より「ダイトモ」の称
呼が生じる。また、「DAITOMO」及び「ダイトモ」は辞書に掲載されていない造語と認めら
れ観念において比較する術はないが、「DAITOMO」の片仮名文字は「ダイトモ」であり、か
つ、「ダイトモ」の欧文字は「DAITOMO」となるため、それぞれの語に何らかの観念が生じ
るとしてもそれは必然的に同一となる。
 よって、本件ドメイン名は引用商標と称呼を同じくする同一又は少なくとも混同を引き
起こすほど類似するドメイン名である。

 (2)権利又は正当な利益
 JPドメイン名紛争処理方針第4条Cでは「申立書を受領した登録者は、手続規則第5条
を参照し、答弁書を紛争処理機関に対して提出しなければならない」旨定められていると
ころ、登録者は答弁書を提出していない。そこで、申立人から提出された主張及び証拠に
基づいて登録者が本件ドメイン名に関する権利又は正当な利益を有しているか検討する。
 登録者は、本件申立通知書を受ける前に本件ドメイン名を使用していることは申立人提
出資料から確認できる。しかし、本件ドメイン名で表示されるウェブページ(以下、登録
者ウェブページ)は申立人が同ドメイン名で表示していたウェブページと酷似しているの
みならず、申立人が所有する商標登録に係る商標を使用している。申立人によれば登録者
に商標権の使用許諾を与えていないため、登録者ウェブページには申立人が提出した3件
の商標権(商標登録第5405173、5022743、5685508号)を侵害する
ものである。
 申立人は、登録者による申立人の著作物の無断利用についても主張しているが、どの対
象物について著作権を主張しているのか不明のため、登録者の著作権侵害を特定すること
はできない。しかしながら、申立人提出のスナップショットによれば2016年11月1
4日時点で申立人ウェブページに採用されていたキャラクターはそのまま登録者ウェブペ
ージに使用されている事実は確認できる。これら登録者による申立人の知的財産権の侵害
行為に鑑みると、登録者は商品又は役務の提供を正当な目的をもって行うために本件ドメ
イン名を使用していると言いことはできない。
 また、登録者ウェブページには「ダイトモに「お試し会員登録」機能が登場!!」の表
示やメニュー表示内に「登録方法」「コンテンツ」等があり、一見して商業目的のページで
あることが理解できる。したがって、登録者は本件ドメイン名を非商業目的或は公正に使
用されているとは言えない。加えて、登録者の名称と本件ドメイン名は何ら一致する点は
見いだせず、かかる事実も示されていないため、登録者が本件ドメイン名の名称として認
識されていると認めることはできない。
 その他考慮すべき事情は登録者によって疎明されていないため、登録者が本件ドメイン
名に関する権利又は正当な利益を有しているとは認められない。

 (3)不正の目的での登録及び使用
 申立人の主張及び証拠によると、登録者ウェブページには申立人と無関係なテキストリ
ンク(以下、本件テキストリンク)が「ダイトモ対応機種」の直下に貼られている事実が
確認できる。そこには「スロット好きなあなたにオススメ!オンカジスロットならめちゃ
シコカジノを要チェック!」と表示されている。そしてその下に申立人が過去に提供して
いたコンテンツが表示されている。そのうちの一つ(押忍サラリーマン番長)は申立人の
登録商標であることが認められる。かかる本件テキストリンクの表示方法及び位置は、あ
たかも申立人又はその関連会社が提供或は公認しているサイトへのリンクと誤認されるお
それがあり、申立人の信用を利用してサイト訪問者を誘導する行為と言わざるを得ない。
申立人は商標権及び著作権について登録者に許諾を与えていないと主張している点も争わ
れていないことから、登録者は不正の目的で本件ドメイン名を登録及び使用している。

6 結論
 以上に照らして、紛争処理パネルは、登録者によって登録されたドメイン名「DAITOMO.JP」
が申立人の商標と混同を引き起こすほど類似し、登録者が、ドメイン名について権利又は
正当な利益を有していない、登録者のドメイン名が不正の目的で登録され且つ使用されて
いるものと裁定する。
 よって、方針第4条iに従って、ドメイン名「DAITOMO.JP」の登録を取り消すものとし、
主文のとおり裁定する。

   2018年9月14日

   日本知的財産仲裁センター紛争処理パネル
              弁理士  宮永 栄
              単独パネリスト

別記  手続の経緯
(1)申立書受領日
      2018年7月2日(電子メール)及び7月3日(書面)
(2)手数料受領日
      2018年7月10日  申立手数料の受領確認
(3)ドメイン名及び登録者の確認
      2018年7月10日  JPRSへ照会
      2018年7月10日  JPRSから登録情報の回答
      回答内容:申立書に記載された登録者はドメイン名の登録者であること、JPRSに登
      録されている登録者の電子メールアドレス及び住所等
(4)適式性
      日本知的財産仲裁センター(以下「センター」という。)は、2018年7月13日
      に補正(申立書の記載不備、証拠の一覧と説明書、法人の代表者の資格を証明する公
      的証明書類、及び書類の提出方法)が必要と判断してその旨を申立人に通知し、7月
      19日に補正書類を受領し、申立書が処理方針と規則に照らし適合していることを確
      認した。
(5)登録者への通知日及び内容
      1) 申立書送付日(手続開始日) 2018年7月24日(電子メール及び郵送
         ※(6)のなお書き参照)
      2) 申立書及び証拠等一式
      3) 答弁書提出期限  2018年8月21日
(6)手続開始日  2018年7月24日
      センターは、2018年7月24日に申立人に電子メール及び郵送で、登録者に電
    子メールで、JPRS及びJPNICには電子メールで、手続開始日を通知した。
      なお、登録者宛に送信した電子メールに対し、同日に登録者以外の者から登録者宛
    郵送先の変更を求めるメールを受信した。このメールの送信者は、JPRSの登録情報と
    は一致しなかったため、登録者としての適格性の確認が必要と判断して、いったん郵
    送を保留した上で、同日に当該登録者以外の者に対し、その旨を通知した。7月25
    日に当該登録者以外の者から送信されたメールに対し、7月30日に改めて説明を求
    める通知をしたが、回答はなかったため、センターは、8月9日にJPRSの登録情報
    の住所に郵送で通知を発信した。
(但し、登録者宛郵送分については「あて先不完全で配達できません」として返送された)
(7)答弁書の提出の有無及び提出日
      センターは、提出期限日までに答弁書を受領しなかったので、2018年8月22
    日に「答弁書の提出はなかったものと見做す」旨の答弁書不提出通知書を、電子メー
    ル及び郵送で申立人及び登録者に送付した。
(但し、登録者宛郵送分については「あて先不完全で配達できません」として返送された)
(8)パネリストの指名 2018年8月27日
      申立人は、1名のパネルによって審理・裁定されることを選択。
      言明書の受領日:2018年8月30日
      パネリスト:弁理士 宮永 栄
(9)紛争処理パネルの指名及び裁定予定日の通知
      2018年8月27日  JPNIC及びJPRSへ電子メールで通知
                          申立人及び登録者へ電子メール及び郵送で通知
(但し、登録者宛郵送分については「あて先不完全で配達できません」として返送された)
      裁定予定日:2018年9月14日
(10)パネリストへのパネリスト指名書及び一件書類受け渡し
      2018年8月27日(電子メール及び郵送)
(11)パネルによる審理・裁定
      2018年9月14日  審理終了、裁定。