事件番号:JP2026-0008
裁定
- 申立人:
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(名称)株式会社ジーエヌエーカンパニー(GNA COMPANY CORP)
(住所)大韓民国 京畿道水原市●(省略)● - 代理人:
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弁護士 加藤 聡志
弁護士 山下 信章 - 登録者:
- (名称)playio.jp
- 公開連絡窓口:
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(名称)Whois情報公開代行サービス by バリュードメイン
(住所)大阪府大阪市●(省略)●
日本知的財産仲裁センター紛争処理パネルは、 JPドメイン名紛争処理方針(以下、「処理方針」という。)、 JPドメイン名紛争処理方針のための手続規則(以下、 「手続規則」という。)及び日本知的財産仲裁センターJPドメイン名紛争処理方針のための手続規則の補則並びに条理に則り、 申立書・提出された証拠に基づいて審理を遂げた結果、 以下のとおり裁定する。
1 裁定主文
ドメイン名「PLAYIO.JP」の登録を申立人に移転せよ。
2 ドメイン名
紛争に係るドメイン名(以下、 「本件ドメイン名」という。)は「PLAYIO.JP」である。
3 手続の経緯
別記のとおりである。
4 背景となる事実
申立人は、主にゲームアプリ「Playio」(プレイオ。 以下、「本件アプリ」という。)を開発運営する会社である(資料4-1、 資料4-2、資料5)。 本件アプリにおいては、 加入ユーザーがアプリ内にあるゲームの中から利用したいゲームをダウンロードして一定時間以上利用することでリワード(ギフトカードなどに変換できるポイント)を獲得することができる。
申立人は、「Playio」の文字からなる、 2023年10月13日に登録された商標第6744670号(以下、 「本件登録商標」という。)の商標権者である(資料2、資料3)。
本件ドメイン名は、2026年3月1日に登録された。
5 当事者の主張
a 申立人
申立人の主張は以下のように整理できる。
登録者の本件ドメイン名は、申立人が保有する本件登録商標と同一、 あるいは少なくとも一般消費者に混同を引き起こすほど類似している。
登録者は、 本件ドメイン名「PLAYIO」またはこれに類似する名称についていかなる法的権利も有していない。 申立人は、登録者に対して、 本件登録商標の使用及び本件ドメイン名の登録・使用について、 いかなる許諾(ライセンス)も与えていない。
登録者は、 本件ドメイン名を成人用同人誌のダウンロードサイトとして利用している。 すなわち、登録者は、本件ドメイン名を用いたウェブサイトにおいて、 成人向けデジタルコンテンツを蔵置し、 これらのコンテンツを電磁的手段により頒布させる配信プラットフォームとして利用している。 このような申立人のブランドの汚染を招く利用形態は、 商標権者に対する嫌がらせ、 あるいは商標権者の正当な事業展開を妨害する不正の目的があると言わざるを得ず、 当該目的をもって本件ドメイン名を登録または使用しているといえる。 また、登録者は、当該ウェブサイトのコンテンツについて、 アフィリエイトプログラムを利用していることから、これにより、 申立人の顧客を成人向けサイトへ不当に誘引し、 成果報酬等を得る目的で、または、 申立人が将来的に本件ドメイン名の取得を希望することを予見し、 高額な譲渡対価を要求するための交渉材料として、 本件ドメイン名を保持・使用しているといえる。 登録者が本件ドメイン名を登録・使用していることは、 申立人のビジネスを妨害し、 不当な利益を得ようとする「不正の目的」に基づくものであることは明らかである。
よって、本件ドメイン名は、 申立人の商標と混同を引き起こすほどに類似し、 登録者は本件ドメイン名に関係する正当な利益を有しておらず、 本件ドメイン名は不正の目的で登録または使用されている。
したがって、申立人は、ドメイン名登録の申立人への移転を請求する。
b 登録者
登録者によって答弁書は提出されなかった。
6 争点および事実認定
a 適用すべき判断基準
手続規則第15条(a)は、 パネルが紛争を裁定する際に使用することになっている原則についてパネルに次のように指示する。 「パネルは、提出された陳述・書類及び審問の結果に基づき、処理方針、 本規則及び適用されうる関係法規の規定・原則、ならびに条理に従って、 裁定を下さなければならない。」
処理方針第4条aは、 申立人が次の事項の各々を証明しなければならないことを指図している。
- 登録者のドメイン名が、申立人が権利または正当な利益を有する商標その他表示と同一または混同を引き起こすほど類似していること
- 登録者が、当該ドメイン名に関係する権利または正当な利益を有していないこと
- 登録者の当該ドメイン名が、不正の目的で登録または使用されていること
b 紛争処理パネルの判断
(1)同一または混同を引き起こすほどの類似性
申立人は、上記4に認定したとおり、 日本において「Playio」の文字からなる本件登録を保有している(資料2、 資料3)。
本件ドメイン名は「PLAYIO」と「.JP」からなり、 「.JP」の部分は日本の国コードトップレベルドメインであって、 常に登録で必要となるものであるから、 「同一または混同を引き起こすほどの類似性」の要件(処理方針第4条a(i))を判断するに当たって考慮しないのが通常である(WIPO Overview of WIPO Panel Views on Select UDRP Questions (“WIPO Overview 3.1”) 第1.11.1項参照)。
そして、ドメイン名では大文字と小文字を区別しないため、 本件ドメイン名から「.JP」の部分を除いた部分である「PLAYIO」の部分は、 申立人の本件登録商標と同一である。
したがって、本件ドメイン名は、 申立人が権利又は正当な利益を有する商標その他表示と同一又は混同を引き起こすほど類似していると認められる。
(2)権利または正当な利益
登録者は、答弁書を提出しておらず、 本件ドメイン名に関係する権利または正当な利益を有していることについて何ら主張を行っていない。
本件ドメイン名のもとで登録者が運営するウェブサイト(以下、 「本件サイト」という。)においては、 「エロ漫画無料読み モモンガ」との表題が付けられているところ(資料6、 資料9)、本件サイトの「プロフィール」及び「サイト運営者について」と題するページによれば、 運営者として登録者の名称とは異なる個人の氏名が記載されており(資料9)、 本件サイトのコンテンツに「PLAYIO」の表記は見当たらない。 また、申立人が登録者に対して本件ドメイン名や本件登録商標の使用を許諾した事実も認められない。
その他、一件記録を検討しても、 処理方針第4条c(ⅰ)乃至(ⅲ)に該当するような登録者の本件ドメイン名に関係する権利又は正当な利益の存在を裏付ける事実や、 権利又は正当な利益の不存在を否定する例外的な事情は認められない。
したがって、 登録者は本件ドメイン名に関係する権利又は正当な利益を有していないと認められる。
(3)不正の目的での登録または使用
申立人の主張及び提出した証拠によれば、 申立人が本件アプリについて申立人の保有する本件登録商標を使用して事業を行っていること、 日本において当該事業について一定の周知性を獲得していることが認められる(資料4-1、 資料4-2、資料5)。
これに対して、登録者は、 2026年3月1日に本件ドメイン名を登録しているところ(資料1)、 これは申立人の本件登録商標の登録日である2023年10月13日よりも後のことである(資料2、資料3)。
登録者は、本件ドメイン名を、 成人向け同人誌のダウンロードサイト(以下、 「本件サイト」という。)として利用している(資料6、資料7)。 本件サイトには、 「本ページはアフィリエイトプログラムを利用しています。」、 「本ページ内に公式サンプル画像を掲載しています。 続きは公式サイトよりご確認ください。」との記載がある(資料7)。 申立人の提出した証拠から、本件サイトの閲覧者が、 本件サイトにおける特定のコンテンツ(成人向け同人誌)のページにおいて、 「続きはこちら!」との記載のある部分をクリックすると、 他社が運営する成人向け同人誌販売ウェブサイトに遷移するようになっていることが認められる(資料7、資料8)。 これらのことから、登録者が、 本件ドメイン名を用いた本件サイトにおいて、 アフィリエイトプログラムを利用して、 成人向け同人誌の情報提供を商業目的で行っていることが推認される。
また、申立人の保有する本件登録商標の指定役務には、 インターネット経由での画像・テキスト・ユーザー作成コンテンツの送信(第38類)が含まれるところ、 登録者が運営する本件サイトも、 画像とテキストからなるデジタル漫画をダウンロード可能としており(資料6、資料7)、 本件登録商標の指定役務に類似するサービスを提供するものといえる。 そのため、インターネット上のユーザーが、 本件サイトを申立人が運営するものであると誤認するおそれがないとはいえないと認められる。
以上の事実からすると、登録者は、 アフィリエイトプログラムによる商業上の利得を得る目的で、 本件サイトについて、 申立人との間で出所等の誤認混同を生ぜしめることを意図して、 インターネット上のユーザーを本件サイトに誘引するために、 本件ドメイン名を使用していると推認できる。
よって、本件は、処理方針第4条b(iv)に規定する、「登録者が、 商業上の利得を得る目的で、 そのウェブサイトもしくはその他のオンラインロケーション、 またはそれらに登場する商品及びサービスの出所、スポンサーシップ、 取引提携関係、 推奨関係などについて誤認混同を生ぜしめることを意図して、 インターネット上のユーザーを、 そのウェブサイトまたはその他のオンラインロケーションに誘引するために、 当該ドメイン名を使用しているとき」に該当すると認められる。
したがって、紛争処理パネルは、登録者の本件ドメイン名が、 不正の目的で登録又は使用されていると考える。
7 結論
以上に照らして、紛争処理パネルは、 登録者によって登録されたドメイン名「PLAYIO.JP」が申立人の商標と混同を引き起こすほど類似し、 登録者が、ドメイン名に関係する権利または正当な利益を有しておらず、 登録者のドメイン名が不正の目的で登録または使用されているものと判断する。
よって、処理方針第4条iに従って、 ドメイン名「PLAYIO.JP」の登録を申立人に移転するものとし、 主文のとおり裁定する。
2026年7月22日
日本知的財産仲裁センター紛争処理パネル
単独パネリスト 井上葵
別記 手続の経緯
(1)申立書の受領
日本知的財産仲裁センター(以下「センター」という。)は、 2026年5月8日に申立書(添付する関係書類を含む。)を申立人から電子的送信により受領した。
(2)申立手数料の受領
センターは、2026年5月12日に申立人より申立手数料を受領した。
(3)ドメイン名及び登録者の確認
センターは、2026年5月13日にJPRSに登録情報を照会し、 同日にJPRSから申立書に記載された登録者が対象ドメイン名の登録者であることを確認する回答並びにJPRSに登録されている登録者の電子メールアドレス及び住所等を受領した。
(4)適式性
センターは、 2026年5月18日に補正(申立人の登録事項証明書の翻訳の提出)が必要と判断してその旨を申立人に通知し、 2026年5月22日に補正書類を受領した。
センターは、 2026年5月25日に追加の補正(申立人の登録事項証明書の翻訳における商号と申立書及び委任状記載の申立人名の同一性の確認)が必要と判断してその旨を申立人に通知し、 2026年5月26日に補正書類を受領した。 センターは、2026年5月27日に申立書が処理方針と手続規則に照らし適合していることを確認した。
(5)手続開始
センターは、2026年5月27日に申立人、 JPNIC及びJPRSに対し電子的送信により、手続開始を通知した。 センターは、 2026年5月27日に登録者に対し郵送及び電子メールにより、 開始通知を送付した。 開始通知により、登録者に対し、手続開始日(2026年5月27日)、 答弁書提出期限(2026年6月24日)並びに書面の受領及び提出のための手段について通知した。
(6)答弁書の提出
センターは、提出期限日までに答弁書を受領しなかったので、 2026年6月25日に「答弁書の提出はなかったものと見做す」旨の答弁書不提出通知書を、 電子的送信により申立人及び登録者に送付した。
(7)パネルの指名及び裁定予定日の通知
申立人は、1名のパネルによって審理・裁定されることを選択し、 センターは、2026年7月1日に弁護士 井上 葵を単独パネリストとして指名し、 一件書類を電子的送信によりパネルに送付した。 センターは、2026年7月1日に申立人、登録者、 JPNIC及びJPRSに対し電子的送信により、 指名したパネリスト及び裁定予定日(2026年7月22日)を通知した。 パネルは、2026年7月1日に公正性・独立性・中立性に関する言明書をセンターに提出した。
(8)パネルによる審理・裁定
パネルは、2026年7月22日に審理を終了し、裁定を行った。