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JPNICはインターネットの円滑な運営を支えるための組織です

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	JPNICレポート12
	佐野 晋、 後藤邦夫
	会費制度の見直し


  前回報告したように、1994年4月5日に東京の機械振興会館でJPNICの平成6
(1994)年度総会が開催されました。総会終了後、JPNIC委員による「会費検
討ミーティング」が開かれました。今回は、この会議の模様と今後のスケジュー
ルについて報告します(注1)。


	FINANCE-WG

  前年度は、CHARGE-WGという運営委員会のワーキング・グループ(WG)がJPNIC
の会費制度に関する検討と会員間の意見調整をおこなっていました。今年度は、
会費制度だけではなく、JPNICの体制や将来の財政基盤についても多角的な視
点から検討するため、FINANCE-WGを新設しました。
  このWGでは、JPNIC会員の意見をできるかぎり今後の論議に反映させようと
考えています。そこで、運営委員会の外部の方々にも参加を求め、メーリング
リスト上での論議を中心として、国内のインターネットに関する検討と主とし
て会費制度にかかる会則の改定作業に着手しました。今回の会議は、この活動
のキックオフという意味合いをもっています。


	会費に関する検討のポイント

  会議では、まず前年度の検討作業に当たったWGから経過報告があり、続いて
問題点や検討項目を整理するために論点をリストアップしました。以下に、そ
のうちのおもな項目を紹介します。これらは、JPNICのあり方はもちろん、
JPNICを含む国内のインターネットの調整機構のあるべき姿にかかわる問題で
す。

JPNICの構成員と会員資格

  現在のJPNICの会員は、ネットワークを運用するネットワーク・プロジェク
トから構成されています。これは、JPNICが各ネットワーク・プロジェクトの”
共同センター”という位置づけで設立されたからです。また、ネットワーク・
プロジェクトを単位として国内のインターネットの調整を進めるという考え方
にももとづいています。しかし、インターネットに接続しているユーザー組織
を会員とすべきだという意見も根強く残っています。

会費と委員数の比率

  現在、JPNICの会費は、原則として参加ネットワークの規模に応じた金額の
納入をお願いしています。各ネットワークの”規模”は、参加組織の数(正確
にはドメイン数)にもとづいて算定されます。多くのネットワーク・プロバイ
ダは、JPNICの会費を捻出するために参加組織に均等に割り当てています。国
内には複数のネットワーク・プロジェクトに属している組織もありますが、そ
のようなところでは、JPNICに会費を二重に納めているという印象もあるよう
です。現在、会費はドメイン数の対数を階段関数に近似したもので算出してい
ますが、もうすこし単純な計算式にすべきだという考え方もあるでしょう。さ
らに、JPNIC委員の数は会費の納入額とほぼ相関関係にあります。このバラン
スをどう考えるかも検討のポイントです。
  商用のインターネット・プロバイダや地域ネットワークの誕生により、個人
や個人事業所のインターネットへの参加が増えています。これらのユーザーと
大きな組織のドメインを対等に扱うか否かも検討すべきでしょう。

会員種別

  JPNICでは、学術研究ネットワークとそれ以外のネットワークの会費に格差
をつけています。これは、前者がJPNICに対し会費以外の面でさまざまな貢献
をしてきたことを考慮した措置です。しかし、JPNICの規模が大きくなり、商
用に使うユーザーが増えるにつれ、このような貢献はこれ以上期待できなくなっ
ています。

JPNICの業務

  国際的なNIC活動の枠組のなかで、安定したサービスを維持するための国際
データベースの開発、APNIC(Asia Pacific NIC:アジア・太平洋地域NIC)設
立の支援など、新しい業務が発生しています。これについて、現行の体制で対
応すべきなのか、それとも別の組織に任せるべきなのかはもうすこし論議が必
要です。

JPNICの法人化について

  JPNICの運用を安定させ、恒久的なサービスを提供するためには、法人化す
べきだという意見があります。そうすれば社会的にも正式に認知され、専任ス
タッフの確保や寄付、助成、補助の対象となるなど、多くのメリットがありま
す。一方で、オーバーヘッドの増大を懸念する声もあり、法人化に必要な財政
基盤の確立も含めてさらに検討が必要です。


	討議内容

  以上の論点をめぐって活発な討議がおこなわれ、さらに相原玲二氏(CSI/広
島大学)から配布資料「JPNIC会費について」にもとづくプレゼンテーション
がありました。これは、原則として接続ドメイン数にほぼ比例するかたちで会
費を徴収し、アカデミック・ディスカウントなどの例外を設けようという提案
です。
  以降では、相原氏の提案をめぐる論議とあわせて、会議で討論された内容の
概略を記します。

今後の方向と組織形態について

●次年度のことだけでなく、長期的な展望に立って検討せよ。

●任意団体という現状では、「校費」ではJPNICの会費は支払えない(支払い
にくい)。法人化、業務委託などの措置をどうするかを至急解決してほしい。

●専属委託の会社を設立するのは容易ではない。法人化以外の方法もありうる。
事務局を支えるのが主眼だとすれば、法人化の必要はないのではないか。

●官主導ではなく、ネットワークの現場から生まれたJPNICの活動は米国にも
あまりないユニークなものなので、その姿勢を崩さぬよう頑張ってほしい。

公平な会費負担方式とは?

1.ドメイン数にもとづく会費算定方式の是非
●ドメイン数にもとづいてネットワーク・プロジェクトの規模を算定すること
に対し、JPNIC会員の過剰な反発があるのではないか。ドメイン数はあくまで
規模の目安にすぎず、その数に単純に比例させて会費を算出するのは不適当で
ある。

●JPNICの活動資金のうち、ある程度は会費収入に頼らざるをえない現状は理
解できる。しかし、データ量(ディスクやCPUなどの購入費等に反映)と業務
の負荷(維持、更新などにともなう作業量)に応じたものが望ましい。現行制
度では、規模が大きいほうが有利になってしまう。

●誰にとって公平であるべきだろうか。JPNIC会員間あるいは組織(ドメイン)
間の公平さを考えるのではなく、利用者個人が公平と感じる制度を考えるべき
だ。たとえば、acドメインはオープンな環境だが、coドメインなどでは限られ
た人しか使っていない。したがって、アカウント数とインターネットの利用頻
度に応じて会費を決定する方式が望ましい。しかし、アカウント数、利用頻度
まで調べるのは難しい。

●アカウント数の多い大学は、より多額の会費を負担するという原則は納得で
きる。

2.アカデミック・ディスカウントについて
●学術研究機関はボランティア作業などで大きく寄与するからこそ、会費を安
くするという発想だった。しかし、もはや”アカデミック対商用”という図式
では捉えられない。端的にいえば、”(アカデミックは)払えないから安くす
る”というのが実状ではないか。

●現在、タイプAの会費合計とタイプBのそれとの比率はほぼ1対1だが、現行制
度ではタイプBからの会費収入比率が増えても全体の70%には達しない。したがっ
て、タイプBからの会費収入に過度に依存するのは危険である。

3.会員の単位、ネットワーク・プロジェクトの規模の算定
●営利目的(商用)BBSもJPNIC会員になるべきだ。

●JPNICの業務量は、ドメイン数には単純に比例しない。登録フォーム作成上
のミスなどを、事前に各ネットワーク・プロジェクトでチェックしてもらえば
負担は軽くなる。

●ネットワーク・プロジェクトの規模は、ドメイン数では算定できない。
JPNICがおこなうサービスを、ドメイン名やIPアドレスの割当てだけではなく、
それらの名前、番号管理に関する情報提供と捉え、その情報の利用者数を考慮
して規模を割り出すとよいかもしれない。

●誰がインターネットを作っていくのかを考えると、NSP(Network Service
Provider:ネットワーク・プロジェクト)を会員とするのが自然だ。大きな
NSPは多数の顧客(接続組織)を抱え、サービスを提供しているので、JPNICの
負担は軽くなる。データ量とその維持管理費用(機器、諸作業)の関係にはス
ケールメリットが現れ、費用はデータ量の増加とともに頭打ちになる傾向があ
る。

●上記のスケールメリット論を、すべての組織に適用することが公平といえる
だろうか。

●さまざまな相反する要求を満たすような会費の算定方式を決めるのは、実質
的に不可能だろう。タイプAの会費を上げるのではなく、予算に余裕がある場
合はタイプBの会費比率を下げ、徐々にAとBの差を縮める努力をしたほうがよ
い。もっとも、方式まで変わると会計担当者に説明するのが難しい。

議論の進め方について

●4つの問題が錯綜している。1)ネットワークの規模、データ量などの尺度、
2)将来の需要予測を考慮した関数形(線形/対数/平方根など)、3)JPNICの総資
金、4)タイプA、Bの種別とディスカウントなど、は独立に議論すべきである。

  以上のような活発な議論が交わされましたが、(予想されたとおり)問題の
複雑さ、立場、考え方の違いなどから、その場で結論は出せませんでした。し
かし、これらの問題の存在を認め引き続き検討を重ねること、今後のスケジュー
ルについて合意したことは、今回の会議の最大の成果であったといえるでしょ
う。


	今後の活動

  会費制度の変更は重要な問題であり、JPNIC総会の議題にとりあげるべきも
のです。来年度予算案を作成する今秋までに承認を得るには、十分に吟味した
案を提出する必要があります。FINANCE-WGでは、地理的に離れている参加者の
あいだで円滑に意見を交換するため、メーリングリストを中心に活動をおこな
うことにしました。しかし、メールで返事を書く時間もないほど多忙な人が多
く、やはり実際に顔を合わせないと短期間で作業を進めることはできないよう
です。そこで、各自草稿を準備したうえで、8月前半に1~2日間の事前ミーティ
ングを開き、集中的に議論する計画を立てました。そこでは、2種類以上の会
費負担方式を含むJPNICの1995年度以降の活動資金計画案の骨子を作成する予
定です。各案はさらに検討され、最終的には臨時総会などにおける会員の投票
を経て決定されます。


	おわりに

  運営委員会、理事会、事務局の構成員は、日本、そして世界のインターネッ
トのさらなる発展のため、本業の合間を縫ってかなりの時間をJPNICでの活動
に割いています。しかし、限られた費用と時間でできることには限界がありま
す。JPNIC会員の、さらなる協力と理解をお願いいたします。具体的には、会
員(ネットワーク・プロジェクト)の代表者(JPNIC委員)は、各ネットワー
ク・プロジェクトの会員に対し、『JPNICニュースレター』を配布するだけで
なく、オンライン(メールサーバー、anonymous FTP、Gopher(注2))で公開
している議事録などにもぜひ目を通すように依頼してください。会員はもちろ
ん、非会員の方からのご意見も歓迎します。電子メールで、

goiken@nic.ad.jp

までお送りください。

  運営委員の多くは技術者であり、非営利任意団体の運営や公益/営利法人の
設立に関する実務経験者、財務処理などの知識をもつ者はごく少数です。経験
豊かな専門家のアドバイスをお願いいたします。
  会費制度検討のためのメーリングリストに参加を希望される方は、氏名、メー
ルアドレス、所属ネットワーク・プロジェクト、所属を明記のうえ、

finance-wg-request@nic.ad.jp

まで、電子メールでお申し込みください。
			(さの・すすむ  WIDE、ごとう・くにお  TRENDY)


注:
1. 現行の会費制度については、1993年12月号を参照してください。
2. 近日中に、WWWでも公開する予定です。

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