実行委員長からのご挨拶

今年からInternet Weekの実行委員長を務めます、JPNIC常務理事の長谷部克幸です。 どうぞよろしくお願いいたします。

新たな四半世紀のスタートに、変わらぬ使命を再確認して

多くの方に支えられて、Internet Weekは昨年2021年に25周年を迎えました。 今年は新たな四半世紀へのスタートです。 この節目の年に、改めてInternet Weekの役割を考えてみます。

Internet Weekの前身は「IP Meeting」です。 今では最終日に実施するInternet Week締めのプログラムとしてお馴染みかと思います。 1990年、インターネットが学術・研究目的で使われ始めた時に、 インターネットの運用に関わる人々が一堂に会し、 課題解決を行う場として始まりました。 Internet Weekと名を変えたのは1997年、 インターネットが一般にも広く使われ始め、多くの技術者が必要とされた頃です。 そのような方々に正しい情報を伝える場として、 60以上のセッションを擁するインターネットの技術に関する総合イベントとなりました。

それぞれの分野で第一人者の方々を講師に迎え、 インターネットのことを学びたいなら「Internet Week」しかないと当時は言われました。 これからインターネットに関わる方に、 自身の知識を常にアップデートしたい方のために、正しい情報を提供することは、 今後も変わらずInternet Weekの使命と言えるでしょう。

変わりゆくもの – インターネットは「みんなのもの」へ

一方で、Internet Weekが始まった頃と比べると、 インターネットを取りまく環境は大きく変わりました。 例えば2021年9月に発足したデジタル庁が「誰一人取り残されない、 人に優しいデジタル化を」と掲げたように、 インターネットはごく一部の関係者や最新技術に詳しい人々だけが使うものではなくなりました。 むしろ、 今インターネットから遠いところにある分野や人々にも積極的に目を向けて巻き込んで、 使っていただけるようにするものになりました。

また先ほど述べたように、知識の習得という点では、 当時はInternet Weekが唯一と言っていいほどの役割を果たしていましたが、 現在はどうでしょうか。 大小さまざまなイベント・セミナー・勉強会が開催され、 この数年の急激なオンライン開催、オンデマンド配信対応なども相まって、 学ぶ場や手段に関して私たちは多くの選択肢を手にしています。

このような中で、Internet Weekはどうあるべきか。 まさに今のインターネットを総覧できる場でありたいと考えます。 この1年のインターネットに関する技術動向、社会動向、 各種事象に対する傾向と対策などが、 Internet Weekに来ればわかるという状態です。 もっと詳しく知りたい、関係者間で議論したい時には、 テーマや対象者をより絞って深堀りするようなイベント・セミナー・勉強会を探してさらに知見を深める。 Internet Weekをそのように活用いただけたら幸いです。

今年のテーマに込めた想い

今年のテーマは、「インターネットの羅針盤 ~ 針路を未来に」です。 まさに先ほど述べたような、 Internet Weekがインターネットに関わる方々の羅針盤でありたい、 という想いを込めました。 ますます巧妙化するサイバー攻撃、「インターネットの精神」を改めて見つめ直し、 考えさせられる社会問題など、私たちが考え、 議論すべきことは多くあります。 このような航海に細心の注意を払うべき局面で、 どちらの方に進むべきかを指し示す、あるいはどちらの方に進むべきか、 議論できる場にしたいと考えています。

また、これから1年間、IETF 116(2023年3月)、IGF2023(2023年秋)と、 二つの国際会議が日本で開催されます。 日本にいながら、 世界中の関係者ともダイナミックな議論に参加できる年でもあります。 その2023年を前にしての情報収集にもご活用いただけるプログラムを現在準備中です。

Internet Weekの新たな試み - ハイブリッド開催

今年の新しい挑戦の一つが、ハイブリッド開催です。 過去2年は新型コロナウイルス感染症対策のためオンライン開催でしたが、 今年は会期後半の3日間は、オンライン参加に加え、 オフライン会場参加もご提供する予定です。 特に講演者と参加者による活発な意見交換を期待するプログラムについては、 ハイブリッドで開催します。

もちろん、本稿執筆時点ではまだ予断を許さない状況ではありますので、 当日の現地参加が叶わない方もいるかもしれません。 また、この数年で働き方が大きく変わるなどして、 引き続きオンライン参加を希望する方もいるでしょう。 現地参加できない方向けの「おまけ」的な扱いだった以前とは異なり、 オンライン参加の方も同じように質問し、意見が言える場となるよう、 インターネットの力を最大限活用していきます。

プログラム公開と参加登録開始は、2022年9月末を予定しています。 11月に多くの皆さまと、 オンラインおよびオフラインでお会いできることを楽しみにしています。