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prop-050: IPv4 address transfers
翻訳文

社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター
最終更新2008年8月8日

この文書は2008年7月22日に公開された
http://www.apnic.net/policy/discussions/prop-050-v003.txt
を翻訳したものです。
JPNICはこの翻訳を参考のために提供しますが、その品質に責任を負いません。


prop-050-v003:IPv4 アドレスの移転

Author:    Geoff Huston
           gih@apnic.net
Version:   3
Date:      22 July 2008
      

1. 序文

 本文書は、 IPv4アドレスの割り振りおよびPI割り当てに関する登録情報の、 既存のAPNICアカウントホルダー(※)間での移転について、 現行ポリシーの制約を見直す提案である。 本提案は歴史的資源に関する移転ポリシーに改良を加えたものであり、 既存のAPNICアカウントホルダーに利用されているIPv4資源に適用される。

2. 現在の主な問題点

 現行のAPNICポリシーでは、 運用ネットワークの管理組織の吸収合併に関わる場合に限定して、 保有しているIPアドレスの登録情報の移転を認めている。

 現在、 未割り振りIPv4アドレスの在庫は2009年から 2011年の間に枯渇することが予測されている。 アジア太平洋地域では、 IPv4ベースのサービスに対して非常に多額の投資が行われており、 IPv6ベースのサービス提供への移行は、 未割り振りアドレスの在庫が存在しているよりもおそらく長い期間を要するだろう。 従って、 未割り振りアドレスの在庫枯渇後もIPv4アドレスの需要はおそらく継続し、 そのような継続的需要を満たすために 「アドレスの保有者間でIPv4アドレスブロックが移動される時期」 に入ると考えられる。

 APNICのIPv4アドレスレジストリとしての目標は、 現在のアドレスの分配情報を正確に記録することである。

 本提案はAPNICが既存のAPNICアカウントホルダー間での移転を認め、 APNICによる登録情報の移転の前提条件として、移転の当事者に対し、 いくつかの制約を課すことを可能とする。

 本ポリシー提案は、以下の前提に基づいている。

 本提案の主目的は、 APNICアカウントホルダー間で移転が行われたIPv4アドレスの移転について、 レジストリ(記録簿)にそれを記録することを可能とすることで、 APNICのアドレスレジストリ(記録簿)が一般的に利用され、 価値を保つようにすることである。

 そして、APNICが移転の当事者を知っており、 移転されるアドレスブロックが(歴史的なものではなく) 現在APNICが管理しているアドレスであれば、APNICはその移転を認め、 登録することを提案する。

 以下については、本提案には含まれない。

3. その他RIRの状況

 アドレスの移転について似通った提案が、 以下のRIRでも議論が行われている。

RIPE
2007-08: Enabling Methods for Reallocation of IPv4 Resources
http://www.ripe.net/ripe/policies/proposals/2007-08.html
ARIN
Policy Proposal 2008-2: IPv4 Transfer Policy Proposal
http://www.arin.net/policy/proposals/2008_2.html

4. 提案内容

 APNICは本ポリシー施行後、 以下の条件に基づきIPv4アドレス移転の申請を処理する。

移転されるIPv4アドレスの条件

移転元の条件

移転先の条件

アドレス移転の手続き

 APNICは移転元、移転先それぞれから通知を受けた後、 以下の手続きを進める。

  1. APNICは移転されたアドレスに関する登録情報の更新を行う。
  2. APNICは移転日より、移転元が分配を受けているアドレスについて調整する会費/サービス料の算出にあたっては移管日よりアドレスの返却と同じ方法にて処理を行う。
  3. APNICは移転日から、移転先が分配を受けているアドレスについて、移転されたアドレスも含めて調整する。会費/サービス料の算出にあたっては移管日より、割り振りまたは割り当てを受けた場合と同じ方法にて処理を行う。
    移転における経路集約機能を維持するにあたり、移転先が移転を受けたアドレスをAPNICの未割り振りアドレスプールへ返却することをAPNICへ通知すれば、同じサイズの異なったアドレスレンジが移転先のものとして登録される。この選択肢はアドレスの移転先に対して提供されるものであり、APNICに代替アドレスの在庫が存在することを前提として、移転先の任意で利用することができる。
  4. APNICは移転に関する以下の情報「公開ログ」として公開する。
    • Source (移転元)
    • Recipient (移転先)
    • Address resources (アドレス資源)
    • Date of transfer (移転日)

移転手数料

 APNICは移転手続きに対するサービス料を移転先に対して課金をする可能性がある。 移転手数料は移転されるアドレスブロックの合計サイズに応じて異なることも想定される。

 移転手数料の料金表は、本ポリシーの施行にあたり、 当初はAPNIC ECにより定義される。 移転手数料の料金表は、 将来的にAPNICの手数料および料金が見直されるにあたり、 その対象に含まれる。

5. 本提案のメリットおよびデメリット

5.1 メリット

 本提案はアドレスの移転の存在を認知し、 その結果を登録することにより、 APNICのアドレスレジストリ(記録簿)が、 資源および資源の保持者に関する正確な情報を今後も引き続き維持することを確実にする。 また本提案は、当該登録情報の正確性を信頼している関係者が、 今後もその情報の正確性を継続して信頼できることを確保する。

 特に、以下の効果があげられる。

5.2 デメリット

5.2.1 従来のIPアドレス概念の変更

 本提案は、IPアドレスがそれ自体は資産ではなく、貨幣価値を持たず、 ネットワークにおけるルーティングおよびエンドポイントの識別に利用するものである等の、 アドレスとその価値に対する従来の認識をいくつか見直すことになる可能性をはらむものである。 アドレスとその利用に関するこれらの共通認識が変わることで、 いくつかの反応が想定される。すなわち、

 それに対する返答。いくつかの要素が上記のリスクを軽減する。

5.2.2 本ポリシーの施行が、アドレスの回収・再利用への原動力を失わせる

 本ポリシー提案が、 IPアドレスの回収・再利用を促進する提案策定への原動力を失わせることになるとの意見も出ている。

それに対する返答

5.2.3 APNICが規制を行う役割を求められる可能性

 もしAPNICが本ポリシーを施行した場合、 APNICはアドレスの流通市場において規制を行う役割 (レギュレーター)を求められる可能性がある。 そして、APNICが規制措置を執行するにあたっての経験、知識、 権限を持たないことへの懸念が表明されている。 また、 そのような役割を担うことでAPNICがさらなる訴訟にさらされることになる危険性もある。

それに対する返答

5.3 移転提案に対するコメントのまとめ

 本件については、さまざまなRIRのポリシーフォーラムにおいて、 これをテーマとしたさまざまなポリシー議論が行われ、 いくつかの見解が確認されている。 APNICのこのポリシー提案は、 RIPEで現在検討が行われているポリシー提案と大筋似通っている。 ARINで現在検討されているアドレス移転のポリシーは、 レジストリにより移転が認められるにあたって、 さらに多くの制約が適用される。 これらポリシーの違いに関する議論のまとめは下記の通り。

5.3.1 "最小限"のポリシーを支持する見解

5.3.2 より多くの制約をポリシーで適用することを支持する見解

5.3.3 市場の出現に関する議論

 本件についてはさまざまな意見が述べられており、 これに関わるアドレス移転のポリシー提案は 「アドレス移転を認めることにより、 単一または複数の IPv4アドレス市場の出現を事実上認めることになるとの一般認識がある」 との見識へ根拠を提供している。 この状況にあてはめた場合、関連する議論のトピックとして、 これら移転に関する提案のメリットまたはその他に関する議論は、 市場行動の相対的なメリットおよびリスクに関する検討となっている。

 市場の出現に反対する意見には以下があげられる。

 市場の出現を支持する意見としては以下があげられる。

 アドレス移転に関する本ポリシー提案は、 アドレス移転市場のトピックについてはなにも語っておらず、また、 そのような複数または単数の市場の出現を擁護するわけでも、 特に反対するわけでもないことに注目されたい。 本ポリシーはAPNICが、APNIC会員間でのアドレスの移転を認め、 登録するにあたっての制約事項を列挙するに留めている。 当事者がどのようにして移転を行う決断に至ったのか、 そして移転に関わる資産に関する課題、 経済的および法的な体制と市場の出現、当該市場の規制の必要性、 市場の規制者の特定は、明示的に本提案で網羅しておらず、 また、そのような役割をAPNICが担うことを主張するものではない。

6. APNIC会員への影響

 APNIC会員は、 APNIC会員間でIPv4アドレス資源の移転を登録することが可能となる。

7. NIRへの影響

 本ポリシーはNIRが管理をしているアドレス、また、移管元、 移管先がNIR管理下の組織である場合は網羅しない。



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