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ニュースレターNo.25/2003年11月発行

第16回 APNIC Open Policy Meeting

2003年8月19日(火)〜22日(金)の4日間、韓国・ソウルにて第16回APNIC Open Policy Meeting(以下、APOPM16)が開催されました。全体概要、アドレスポリシーの主要な議論、技術動向などをお伝えします。

オープニングレセプションの様子 写真提供:APNIC

1. APOPM16 Overview

韓国でのミーティングは2000年3月にAPRICOT※1のプログラムとして開催された実績はありますが、APRICOTから独立した形での開催は初めてです。そして今回は、主にISPを対象としたKRNIC主催のテクニカルセッションが、KIOW2003※2と併せて開催されました。

APOPM16はいつも通りカジュアルな雰囲気で進められましたが、韓国の省庁(Ministry of Information and Commerce)の方のご挨拶、IT業界の重鎮の方々のご紹介を拝聴しながら、着席でフルコースのディナーをいただくという、APNICミーティングとしてはかなりフォーマルなレセプションも催されました。予想しなかった展開に、参加者もはじめは少し戸惑っていたようですが、アジア太平洋地域(以下、AP)と韓国の業界における主要な方々が、ステージ前の大テーブルに一同着席されている様子は壮観であり、ミーティングホストを務める組織の個性がミーティングにも反映されることを実感した、興味深い体験だったと思います。

今回のミーティングはホスト国ではないにもかかわらず、JPNICも含めた日本コミュニティのプレゼンスを強く感じたミーティングでもありました。世界28ヶ国から160名の参加者のうち、日本は韓国を上回り、国別ランキングでは1位の35名。そして、SIG※3チェア(3名)、プレゼンター(14名)、そして議論での発言者としても、能動的にミーティングに関わっていました。その他、発言が目立っていたのはAPNIC、RIPE NCC、ARINなどのRIR※4とIETF関係者です。APコミュニティのミーティングでありながらも、地域外の参加者による発言のほうが多いなか、このような日本のコミュニティのプレゼンスは大変大きいと思います。

「どのようにしたらAP地域の人々に、積極的にルール策定に参加してもらえるか」というテーマは、APNICが強く意識している課題でもあります。AP地域は、英語を普段使い慣れていない人が多く、文化的にも公衆の場で意見を表明することに馴染みの薄いところがあります。APOPM16でも地域内の議論活性化のための新しい工夫がいくつか見受けられました。

たとえば、同時通訳サービスに加えて提供された「リアルタイムスクライブサービス」。これは発表者や会場からの発言をリアルタイムに文字に起こして表示するもので、このミーティングのために、APNICはオーストラリアから専門のスクライバーを連れてきたそうです。たまに「LIR※5」が「liar(うそつき)」と表示される等、読みながらドキドキしてしまうタイポもありましたが、私も発言の内容を聞き漏らしたときや、発言者の意図がつかめなかった時、多いに活用しました。

リアルタイム筆記のアーカイブ
http://www.apnic.net/meetings/16/programme/transcripts/

会議の内容としては、過去のミーティングと比較すると、たとえば、ポリシー策定プロセスやIANAからRIRへの割り振りポリシー等、ポリシーの基盤にかかわる発表が多かった印象を受けました。また、APNICのサポートをうけ、現状に則したIPv4アドレスの寿命予測がGeoff Huston(Telstra/APNIC EC)より紹介されています。APNICが設立されて約10年経った今、そういった根底からの見直しが必要な時期に差し掛かっているということなのかもしれません。

ミーティングを通して得ることのできたAP地域の動向把握、また、国内外のコミュニティの方々とのつながりをJPNICのIP事業において活かしていきたいと思いますので皆様、今後ともよろしくお願いいたします。

(JPNIC IP事業部 奥谷泉)

※1 APRICOT: Asia Pacific Regional Internet Conference on Operational Technologies
※2 KIOW2003: Korea Internet Operation Workshop 2003
※3 SIG:Special Interest Group
※4 RIR:Regional Internet Registry
地域インターネットレジストリ
※5 LIR:Local Internet Registry
ローカルインターネットレジストリ 座:CRISP & EPP」をご覧ください。

2. アドレスポリシーの主要な議論のご紹介

今回のAPNIC オープンポリシーミーティングのプログラムも従来通り、各種チュートリアルおよびSIG、BoF※6、そしてAPNIC総会から構成されました。SIGは、NIR※7(今回よりSIGに変更)、IX、DNS Operations、Routing、DB、IPv6 Technical、そしてAddress Policyの分野別に開催されました。

また、非公式ではありますが、ホストマスターコンサルテーションセッション、ホストマスターワークショップというAPNICと各NIRのIPアドレス審議担当者がディスカッションする場もありました。普段メールで確認できない細かい点や最近の動向の情報共有など、2003年5月から6月に行われたAPNICへの担当者派遣と同様、メールではカバーしきれない、向き合っているからこそできる意見交換を行いました。

SIGで行われたプレゼンテーションの中でいくつか抜粋して報告します。

◆顧客割り当て情報のDB公開任意化について <Database SIG>

APNICのPaul Wilson氏より、LIRは、自身の顧客への割り当て情報をWhois DB上で公開する/しないという選択をできるという提案が行われました。顧客の割り当て情報のAPNICのDBへの登録は引き続き必要となります。対象となる情報は、inetnum(IPv4ネットワーク情報)、inet6num(IPv6ネットワーク情報)、autnum(AS番号割り当て)情報です。提案内容にてコンセンサスが得られました。

提案の背景には、個人情報保護の必要性、およびAPNICはそれらの情報を正確に維持する責任の帰属問題などから、通常のWhois検索の結果としては、顧客割り当て情報が公にアクセスできる必要性がないという考えがあるとのことでした。

本件は、今回のAddress Policy SIGでコンセンサスが得られた「APNICポリシー策定プロセス」にのっとって、実施に移される予定です。JPNICとしては、コンセンサスが得られた背景を踏まえ、IP指定事業者の皆様の意見を伺いながら、今後の方向性について検討していきます。

◆IPv4アドレス追加割り振り基準の変更について <Address Policy SIG>

現在IPv4アドレスのLIRからRIR/NIRへの追加割り振り基準は、LIRへ割り振られた空間の80%以上を割り当て済(DB登録済)であることが必要であるとされています。APNICのPaul Wilson氏より、現在の基準から、既に割り振られているIPアドレスの大きさによって、割り当て済である空間の比率が異る基準への変更について紹介されました。割り当て済である空間の割合は、AD-Ratioという数式を用いて算出される値に基づきます。

この基準が適用されると、合計で/20の割り振りを受けているLIRは、75.37%が割り当て済であると追加割り振りの基準を満たしていることになり、合計で/16の割り振りを受けているLIRは、68.59%が割り当て済であると基準を満たしていることになります。

このように、割り振られた空間が大きなLIRほど、低い割り当て率で追加割り振り申請を行うことが可能となりますが、この背景としては大きなISPは階層的にアドレスの管理を行っているケースが多く、それによって割り振り分割ロスが発生してしまいます。したがって、追加割り振り基準である80%を満たすことが難しい場合もあるという状況を考慮した結果ということです。

こちらは提案ではなく、紹介という形式で行われたものですので、なんらかの決議はなされませんでしたが、会場からは賛同を示す声があがりました。今後のミーティングで提案される可能性が高い案件ですので、引き続き状況を追っていきます。

◆IPv6ガイドライン作成について <Address Policy SIG>

今回も、IPv6ポリシーにかかわるプレゼンテーションが行われました。今回は、現在のIPv6ポリシーにおける課題の紹介、続いて現在のポリシーの内容を補足するガイドライン作成についての紹介が、JPNIC IP事業部の奥谷より行われました。

課題として紹介された内容は、

です。2003年7月8日に開催したJPOPMでも発表し、そこで出た意見等を反映させた内容となっています。

本件については、プロポーザルではありませんでしたが、ガイドライン作成についてボランティアを募ってワーキンググループ(以下、WG)をつくり、ガイドライン文書のドラフトを作成するということでコンセンサスが得られました。

今後APNICより、WGメンバーの募集アナウンスが行われます。興味のある方は是非メンバーとして参加してみてはいかがでしょうか。

◆ASO AC※8の選挙

ASO ACの任期満了に伴う改選が行われました。今回は、2名の立候補があり、投票の結果はなんと同数でした。コイントスの結果、Hyun-joon Kwon氏(KRNIC)が当選しました。

その他のプログラムやプレゼンテーションはすべて右記Webページに掲載されていますのでご興味のある方はそちらをご参照ください。

(JPNIC IP事業部 鈴木由佳)

16th APNIC Open Policy Meeting
http://www.ietf.org/html.charters/pkix-charter.html

※6 BoF:Birds of a feather
※7 NIR:National Internet Registry
国別インターネットレジストリ
※8 ASO AC:Address Supporting Organisation Address Council

3. 技術動向について

ここでは、SIG等で行われた提案・報告事項をはじめとする技術面の動向についてご紹介します。プライバシー保護やセキュリティ強化など課題が多い中、着実に前進しているという感があります。

◆DNS Operations SIG

DNSサーバ間のNSレコードの不整合(Lame delegation)排除のための提案がありました。NIRから送られるデータは対象外とのことです。具体的な提案内容は以下の通りとなります。

a. Lameの可能性を特定
b. 逆引きの委譲をテスト:15日間のテスト期間を設ける。AUとJPにテストポイントを設置する。
c. ドメイン名登録者への通知:45日間の周知期間
d. c.の周知期間経過後、Lameである逆引きの委譲を無効化

今回の提案は、JPNICからAPNICへ転送されるデータには影響はありませんが、JPNICとしては、Lameを減らすための対策を今後引き続き検討します。

その他に、2.0.0.2.ip6.arpaでの委譲における(6to4における)逆引きDNSにおける問題点についての報告がありました。

◆Database SIG

松本順一氏(日本テレコム/JPNIC IRR企画策定専門家チームメンバー)より、IRRサーバ間の階層化されたミラーリングを行うためのポリシーが提案されました。ポリシーよりもミラーそのものについて議論となり、継続審議となりました。

Whoisレコードを保護するため、全てのリソースオブジェクトがメンテナーオブジェクトで保護されること、つまりMAINT-NULLが値として入っているmnt-by属性がその親のmnt-byの値で上書きされることと、メンテナーオブジェクト中の認証項目の属性NONEを廃止する提案がAPNICより行われ、コンセンサスが得られました。

◆Routing SIG

提案事項はなく報告事項のみでした。長橋賢吾氏(東京大学大学院)と衛藤将史氏(奈良先端科学技術大学院大学、両者ともJPNIC IRR企画策定専門家チームメンバー)より、ルータとIRRを組み合わせた経路の確認システム、およびIRR内でのデータの整合性確認システムについての報告がありました。

その他、BGPのふるまいについての研究、Bogon※9の統計、およびIPv6のBGPルーティングテーブルの集成におけるふるまいの追跡結果が報告されました。

◆NIRシステムミーティング

このミーティングの趣旨は各NIRのレジストリシステム担当者が集まって情報交換をしようというものです。APJII※10、中国、日本、韓国、台湾、ベトナムのNIRおよびAPNICからの参加がありました。議題は以下の2点についてでした。

ミーティングの内容はNIR SIGで報告され、次回よりBoFとして報告を行うことになりました。

◆PKI関連情報収集

ミーティング期間中に、日頃忙しいAPNICなどの技術者とも個別に会って話をする機会ができ、認証/セキュリティについての話を聞くことができました。APNICでは、LIRへの認証局証明書の発行によるセキュアな階層的資源管理、MyAPNIC※11によるWhois DBの直接編集、so-BGP等への応用を考えinetnum単位の証明書発行なども検討中とのことです。

(JPNIC 技術部 山崎信・木村泰司)

※9 Bogon:割り振りの登録がないIPアドレスブロックまたはAS番号の、BGPによる広告
※10 APJII:Asosiasi Penyelenggara Jasa Internet Indonesia (Indonesian Internet Service Provider Association)
※11 MyAPNIC:APNICで運用されている、Webを使ったLIR向けの情報登録システム


4. JPNICからのプレゼンテーションのご紹介

今回のAPOPM16では、JPNIC関係者が10点のプレゼンテーションを行いました。数が多ければよいというものでもありませんが、これは過去最大の発表件数であり、これまで以上に能動的に参加したミーティングであるともいえます。

プレゼンターからのコメントも含めて、ここでJPNIC職員が行ったプレゼンテーションをご紹介いたします。

◆Address Policy SIG

「The Current Issues in IPv6 Policy」
(IPv6アドレスポリシーの課題)
IP事業部 奥谷泉

2003年7月に開催されたJPNIC Open Policy Meeting(以下、JPOPM)でご紹介した課題に、日本での議論も反映して発表を行いました。紹介した課題の一つである初回割り振り基準については、ARIN、RIPE NCCの方のコメントによると、他の地域でも議論を呼んでいるそうです。興味深い進展がありましたらまた日本のコミュニティと共有させていただきますが皆様からもご意見がありましたら是非教えてください。

「Developing IPv6 Address Guildelines」
(IPv6アドレスガイドの策定)
IP事業部 奥谷泉

JPOPMで行った提案をAPOPMでも発表したものです。申請者に対して、ポリシーに記載されている基準の意図や背景、さらに申請時に参考となる情報を提供するためのガイドライン文書の策定を提案しました。APNICからの公募により結成されるWGが、文書を策定することで合意しましたので、JPNICとしてもWGに積極的に参加し、申請者の皆様のお役に立てる文書の策定にかかわっていく予定です。

◆NIR SIG

「JPNIC Open Policy Meeting update」
(JPNICオープンポリシーミーティング報告)
IP事業部 鈴木由佳

NIR SIGにおいて、7月に開催した内容を含めたJPOPMの紹介を行いました。韓国、台湾、インドネシア、中国、ベトナム等のNIRからの参加者がほとんどでした。JPNICのようなオープンポリシーミーティングを開催しているところはまだ少なく、どうやって参加者を集めるのかという点で議論になりました。このプレゼンテーションが少しでも今後各NIRがオープンポリシーミーティングを開催する際の参考となればと思います。

「Summary of NIR System Meeting」
(NIRシステムミーティングのまとめ)
技術部 木村泰司

NIR SIGで、NIRシステムミーティングのサマリーを紹介しました。ミーティングの内容は標準化動向の紹介と各NIRの動向というもので、話題性に富んでおり、より情報交換の必要性を感じさせるものだったと思います。このプレゼンテーションを受けて、会場では更に情報交換が行われていました。

◆NIRシステムミーティング(非公開)

「JPNIC IP Resigsry System Update」
(JPNIC IPレジストリシステム報告)
技術部 山崎信

NIRシステムミーティングでのプレゼンテーションは持ち時間が5分しかなかったため非常に駆け足となってしまいました。次回は要点を絞った上でミーティング全体の時間を十分取りたいと思います。



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