ニュースレターNo.27/2004年7月発行
IPアドレス事業料金体系見直しについて
2004年6月18日に開催された第23回総会にて、IPアドレス事業料金体系の見直し案の承認をいただきました。本稿ではこの料金体系見直しについて、これまでの過程、背景とねらいを含めてご説明いたします。
●現行料金制度の問題点と改定方針
これまでの料金体系では、割り当て手数料が全体収入の6割を占めるにもかかわらず、それに対応する業務支出が全体の1割程度となっていたことから、まずはこの収支構造のバランスの悪さを是正していきたいという動機がありました。
また割り当て手数料と維持料を合算した場合、大規模指定事業者の支払額がAPNIC※1の料金と比較して著しく高い状態となっており、大規模な指定事業者においてはJPNICにとどまるよりも、APNICに乗り換えてアドレスの割り振りを受ける方がコスト的に圧倒的に有利であるという状況です。現在の収入は、上位10社からの維持料・手数料収入が全体の2/3を占めるほど大規模事業者からの収入に依存している構造があり、乗り換えが現実化した場合の影響が甚大であることから、早急な是正が必要であると判断いたしました。そこで、
- 基本的に維持料をベースにした収入構造に移行する
- 大規模指定事業者においてもAPNICに対して競争力のある料金レベルを設定する
の2点を大方針として、料金改定に向けて検討を進めて参った次第です。
●料金案の提示とご意見の反映
今回の料金体系の見直しは、2003年12月より具体的な検討を開始し、事務局素案の作成、理事会承認を経て、2004年2月13日の第22回総会にて会員の皆様に検討内容のご報告をさせていただきました。また総会直後の2月17日、18日には指定事業者の皆様にも、東京、大阪、名古屋で連絡会を開催して改定案をご説明しました。
総会、連絡会でいただいた意見や、連絡会の後1ヶ月程度設定したご意見募集期間にいただいた会員・指定事業者の皆様からのご意見に基づいて、修正案を作成しました。この修正案は4月19日、20日に東京、大阪、名古屋で開催した指定事業者連絡会、5月11日の会員説明会を経て、6月18日の第23回総会に諮り、承認を得ることができました。
2月の案に対していただいた意見の中で反映されたものとその修正内容を以下に述べます。
- 2月の改定案では「特別維持料」という形で、当面の間非会員の指定事業者の皆様から追加の維持料をいただく構造になっていたが、これが結果的に小規模な指定事業者の多数に大きな値上げを強いる形となっていたため、改善を望む意見を多くいただいた。これに対してコスト計算の絞込みを行って小規模指定事業者における値上げ幅を圧縮させて、代わりに割り当て手数料が全廃されることによって大きな値下げとなる大規模指定事業者の維持料を据え置く形とした。
- 2月の改定案では、前述の「特別維持料」を非会員のみからいただく代わりに、会員に対しては会費からIP事業支出を支弁することを認めていただくことにしていたが、会費からの独立性を保つべきだという意見を多くいただいた。これに関しても「特別維持料」の考え方を取りやめ、維持料と割り振り手数料でIP事業支出を賄えるよう変更した。
また、多かったご意見の中には検討の結果反映することができなかったものもあります。
- IPアドレスのサイズに正比例する維持料、あるいは割り当て手数料を残す形で、ユーザーに転嫁しやすい料金体系を維持してほしいという意見を多くいただいたが、改善しなければならない点がAPNICとの間の価格競争力であり、維持料も最終的にはエンドユーザーに転嫁される性質のものである点と、正比例による料金体系の試算、割り当て手数料を残す料金体系の検討いずれも、料金改定の大方針を満たすものとならないことから、反映することはできなかった。
さらに、公平性を期する意味でも歴史的なPIアドレス※2にも課金をすべきであるというご意見もいただきましたが、こちらについては料金体系の見直しとは別に取り組んでいく予定です。
●新料金体系について
今回の新しい料金体系による大きな変更点としては、これまでユーザー割り当て申請1件ごとにかかっていた割り当て手数料を廃止すること、維持料体系と金額の変更、それに加え、追加割り振りの際に割り振りアドレスサイズに応じてかかる割り振り手数料を新たに設定したことです。料金の詳細については表1、表2をご参照ください。
新料金体系は2004年8月からの実施となります。具体的には、割り当て手数料は7月末日までで廃止、8月18日以降に割り振りが完了したものから割り振り手数料がかかります。なお、新たな維持料については、2005年度にご請求させていただく分より適用されます。
また、料金体系の変更に伴い一部業務も変更されます。詳しくは下記URLをご参照ください。
http://www.nic.ad.jp/ja/ip/doc/fee20040818.html
●料金改定により目指した方向性
今回の料金改定では、規模にかかわらず発生する最低支出部分を小規模な指定事業者の皆様にもご負担いただき、それを前提とし、/15を越える指定事業者の皆様の維持料を当面据え置くことといたしました。ただし、本来のAPNICと競争力のある料金体系とする目標に変わりはありませんので、今後のIP事業における一層の支出削減努力を進め、2008年にはAPNICと同水準の維持料を実現します。この料金改定の実施により、JPNICのIPアドレス事業をより安定的なものとし、さらなるサービス向上につなげていきたいと思います。
(JPNIC IP事業部)
| 表1:IPアドレス維持料 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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- 注意1
- 記載金額は消費税および地方消費税相当額を含みます。
振り込み手数料はIP指定事業者の負担とします。 - 注意2
- 割り振りが行われていない状態は、/20以下とみなします。
- 注意3
- IPv4およびIPv6両方のアドレスの割り振りを受けている場合、該当するIPアドレス維持料をそれぞれ算出し、どちらか金額の高い方がその年の維持料となります。
| 表2:IPアドレス割り振り手数料 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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- 注意1
- 記載金額は消費税および地方消費税相当額を含みます。
振り込み手数料はIP指定事業者の負担とします。 - 注意2
- Pv6アドレスの追加割り振りを受ける場合において、その割り振り空間が、既に割り振りを受けている空間を含むようなアドレス空間だった場合、既に割り振りを受けている空間を含んだ全体のアドレス空間に応じたサイト基準値をもとに、割り振り手数料を算出します。