ニュースレターNo.49/2011年11月発行
「場」であるということ
JPNIC理事 宇井 隆晴
「インターネットの円滑な運用のために各種の活動を通じてその基盤を支え、豊かで安定したインターネット社会の実現を目指します」
これは、 JPNICの活動理念です。この理念のもと、JPNICはさまざまな活動をしています。 IPアドレスやAS番号といったインターネット資源の登録管理や、ルーティングレジストリの運営などは、まさにインターネットの運用の基盤を支える大切な役割です。 IPv4アドレスの在庫が枯渇しても、 IPv4アドレスによるネットワーク運用がなくなったわけではなく、アドレスの移転による流動化も踏まえれば、その登録管理の大切さはより増していると言えます。
しかし、「人」や「コミュニティ」、または「社会」という視点から、 JPNICには別の重要な役割があると思っています。それは「場」であり続ける、ということです。
私が JPNICの活動に参加したのは1998年からで、部会・タスクフォースの活動に参加したのが最初でした。当時、私自身の研究活動の応用が、 JPNICでの議論と重なるものだったので、お役に立つのであればと参加したのですが、この時に感じたのは、 JPNICは、単なる組織ではなく、インターネットの基盤運営に関わる人たちが集まり、これからのインターネットについて議論している、この「場」そのものなのではないかということでした。その後、1999年から私はJPNICの職員となり、組織の内側から JPNICとしての活動を行うこととなりましたが、立場が変わったことでこの考え方はより強くなりました。
当時、インターネットは爆発的な普及期の真っ只中にあり、ドメイン名とI Pアドレスの管理も急拡大という頃で、 JPNIC事務局内部では、資源管理という機能を十分に果してくための作業で手一杯という状態でした。しかし、そんな中でも JPNICは常に「場」であり続け、インターネットの基盤運営に関わる多くの人たちが集まり、これからのインターネットはどうあるべきか、という議論を行っていました。
この議論からJPNICの次の施策が生まれていくわけですが、しかしそれ以上に大切なことは、JPNICで議論したことを糧に、またJPNICでの交流を元に、多くの人がJPNICの外で活躍し、インターネットの発展に貢献するという仕組みが動いているということだと思います。
今回のニュースレターは、JNIC設立から数えて20周年、そして15回目となるInternet Weekという、二つの話題を特集しています。
時代の流れの中でインターネットは大きく変化していますが、JPNICの理念は変わるものではありません。JPNICは、インターネットの基盤の将来を考える人たちの集まる「場」であり続けてきました。Internet Weekもその一つです。これからも、情報の要、人の交流の要であるために、JPNICがいかにあるべきかということを、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
プロフィール●宇井 隆晴(うい たかはる)
株式会社日本レジストリサービス 総務部長 兼 広報宣伝室長
1999年、国立豊橋技術科学大学大学院情報工学専攻修了、同年、JPNIC入社。社内システム開発、IPv6サービス、汎用JPドメイン名サービスの立ち上げに従事。2001年、株式会社日本レジストリサービスの設立とともに転籍。JPドメイン名のサービス設計・企画に従事しつつ、ドメイン名とDNSに関する講演、記事執筆などの対外活動を担当。現在は総務部門と広報宣伝部門を担当。2008年よりJPNIC理事。