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2000年9月1日

社団法人 日本ネットワーク
インフォメーションセンター

「汎用 JP ドメイン名に関する方針(案)」

1. はじめに
2. 現在の JP ドメイン名
 2-1. 現行の登録方針とその理由
 2-2. グランドデザイン1999で示された今後の方向性
3. JP ドメイン名の改革
4. 新 JP ドメイン名の提案
 4-1. 新 JP ドメイン名の名称
 4-2. 汎用 JP ドメイン名空間新設の理由
 4-3. 既存の登録要件緩和ではなく、ドメイン名空間の新設である理由
5. 汎用 JP ドメイン名の特徴
 5-1. 既存の JP ドメイン名との違い
  5-1-1. 登録資格要件の緩和
  5-1-2. 登録数の制限の撤廃
  5-1-3. 移転の自由化
  5-1-4. ローカルプレゼンス(国内住所要件)
 5-2. 汎用 JP ドメイン名空間の設計
 5-3. 日本語ドメイン名の導入
  5-3-1. 多言語ドメイン名の技術開発状況と JPNIC のスタンス
  5-3-2. 日本語ドメイン名を構成する文字列・文字数
  5-3-3. 登録サービスの開始と技術実験
 5-4. ドメイン名と商標等との紛争処理
  5-4-1. DRPによる事後の紛争解決
  5-4-2. 著名商標保護のための事前除外について
 5-5. 登録できないドメイン名について
6. 汎用 JP ドメイン名の登録手続き
 6-1. 先願主義
 6-2. 登録開始時の問題とその解決策
  6-2-1. 同時申請期間
  6-2-2. 同時申請期間中の登録ルール その1
  6-2-3. 同時申請期間中の登録ルール その2
 6-3. 登録者の認証方式と変更手続きのオンライン化
 6-4. 登録料、維持料
 6-5. 登録維持の条件
 6-6. ドメイン名廃止手続き後の冷却期間
7. スケジュール


1. はじめに

JPNIC企画検討部会、およびJPドメイン名検討部会では、 2000年2月に「新JPドメイン名に関する検討タスクフォース(dotjp-tf)」を結成し、 これまで6ヶ月にわたり、 JPドメイン名の今後のあり方について検討を行ってきました。 6月15日には、 dotjp-tfの検討の結果として「今後のJPドメイン名に関するタスクフォース案について」を公開し、 皆様からのさまざまなご意見をいただきました。 頂いたご意見としては、 サイバースクワッティング(ドメイン名の不正の目的による登録・使用)や商標権を巡る問題への懸念、 申請方法への要望、 手続きの簡素化といったものが多く見受けられました。

このようなご意見を元にさらに検討を進め、このたび、 その検討結果を「汎用JPドメイン名に関する方針(案)」として公表する運びとなりました。 皆さまに広くお知らせするとともに、ご意見を募集致します。 頂いたご意見を元に、最終的な方針文書および登録規則等を策定し、 施行に向けて進めてまいります。

2. 現在のJPドメイン名

JPNICでは1999年1月に「JPドメイン名グランドデザイン1999(叩き台)」(以下「グランドデザイン1999」と言う)を公開し、 JPドメイン名の現行の登録方針および今後の方向性を提示しました。 以下にこれまでの背景情報としてその概要を記載します。

参考:JPドメイン名 グランドデザイン1999(叩き台)
< http://www.nic.ad.jp/jp/regist/dom/ground-design/draft-19990118.html >

2-1. 現行の登録方針とその理由

(1) 組織名とドメイン名の対応と衝突回避方法
ドメイン名は先願主義に基づいて登録する。 ドメイン名を登録者の組織名と関連のあるものしか認めない方針を採っているccTLD(国別トップレベルドメイン)もあるが、 妥当性の審査が必要となり、公平で迅速な登録は難しい。
(2) ドメイン名構造と登録要件
組織種別や地域をあらわす第2レベルドメイン名(SLD)を設け、 組織種別をあらわすSLDへの登録要件は、 可能な限り法律に基づいて厳格に定める。
(3) 組織あたりの登録可能ドメイン数
1つの組織が登録できるドメイン名の数を、 原則として1つに制限する。 これは、将来のユーザに必要なドメイン名を登録しやすくし、 ドメイン名と知的財産権に関わる問題の発生を軽減するために必要。
(4) ローカルプレゼンス
JPドメイン名を登録できる組織を、 原則として日本に何らかの登記があるものに限定する。 海外のユーザが多くのドメイン名を登録し、 日本のユーザが必要なドメイン名を登録しにくくなることは、 JPドメイン名の趣旨に合致しない。
(5) ドメイン名の売買・譲渡の可否
ドメイン名の売買は禁止、譲渡も原則として禁止。 ドメイン名の売買を許可した場合、多くのドメイン名を登録し、 それを販売するというビジネスが成立する。 これにより、 将来のインターネットユーザに不必要な負担を強いる可能性がある。
(6) 紛争解決手段
ドメイン名登録者と第三者の間のドメイン名に関する紛争について、 JPNICでは判断を行わず、 日本において法的に有効な判断が出た場合にはそれに従う。 ドメイン名申請者・登録者とJPNICとの間の紛争に関しては、 JPNIC内で二重に審査する制度を設ける。
(7) 形式的判断
ドメイン名の登録要件を、 できる限り形式的に判断できるようにする。 裁量の余地を排除することで公平性を確保し、 登録手続きを迅速に行う。
(8) ドメイン名の使い方への不干渉
JPNICは、登録されたドメイン名の使い方には関与しない。 JPNICが、すべて把握し関与することは困難。 また、一部の事例のみに関与した場合には公平性が問題になる。
(9) 登録要件の確認と登録者の認証
法人のように登記などに基づいて登録要件を確認できる組織については、 自己申告に基づいてドメイン名を登録し、 登録要件の確認と登録者の認証を省略。 そうでないものは、登録者を認証した上で、 書類による自己申告に基づいてドメイン名を登録。 虚偽が判明した登録については取消可能とする。
(10) 社会的健全性への配慮
ドメイン名登録が明らかに社会的許容性を欠く場合には、 その申請を不承認とする、または、 ドメイン名登録を取消す手段を留保する。
(11) 登録規則変更時の扱い
ドメイン名を登録した後に登録規則が変更になった場合、 すでに登録済のドメイン名についても、 変更後の規則に従って扱うのを原則とする。

2-2. グランドデザイン1999で示された今後の方向性

(1) 組織名とドメイン名の対応
基本的な方針に変更はない。 すなわち、ドメイン名は先願主義に基づいて登録する。
(2) ドメイン名構造と登録要件
商品やサービス、イベントのためのドメイン名など、 法律的に定義が難しい対象にドメイン名を登録したいという要求があり、 それに答えるためにドメイン名構造を拡張することを検討。
(3) 組織あたりの登録可能ドメイン数
前項に関連して、 1つの組織が複数のドメイン名を登録したいという要求があり、 その要求を満たす方向で検討。 この際に、 将来のユーザも必要なドメイン名を登録できるという条件を満たす必要がある。
(4) ローカルプレゼンス
ローカルプレゼンスを求める方針は変更しない。 ただし、ローカルプレゼンスの条件については、 登記等より簡易な条件を採用する方向を検討。
(5) ドメイン名の売買・譲渡の可否
ドメイン名の譲渡に関しても、制限緩和に対する要求がある。 当事者間の合意によりドメイン名の譲渡を可能とするには、 ドメイン名の譲渡を禁止する以外の方法で、 ドメイン名の売買を防ぐ有効な枠組みを設ける方向での検討が必要。
(6) 紛争解決手段
JPNICで判断を行わないという方針には変更はないが、 裁判に代わる簡便な紛争解決手段が作れるなら、 それを導入する方向で検討。
(7) 形式的判断
基本的な方針に変更はない。 すなわち、ドメイン名の登録要件を、 できる限り形式的に判断できるようにする。
(8) ドメイン名の使い方への不干渉
基本的な方針に変更はない。 すなわち、JPNICは、登録されたドメイン名の使い方には関与しない。
(9) 登録要件の確認と登録者の認証
登録者の認証を、印鑑登録証明書よりも簡易な方法で行う方向で検討。
(10) 社会的健全性への配慮
基本的な方針に変更はない。 すなわち、ドメイン名登録が明らかに社会的許容性を欠く場合には、 その申請を不承認とする、または、 ドメイン名登録を取消す手段を留保する。
(11) 登録規則変更時の扱い
登録規則変更時に、 登録者が新しい規則に従うことを確認するための有効な手段として、 ドメイン名登録を定期的に更新する方法が考えられる。 この方法は、 ドメイン名登録の内容を最新の状態に保つためにも有効であり、 事務手数の増大の問題はあるが、コスト負担の方法と絡めて検討。

3. JP ドメイン名の改革

「グランドデザイン1999」では、上記、 登録方針に関する今後の方向性をふまえて新しく導入するドメイン名として「汎用SLD」を取り上げましたが、 その導入に当たっては、 知的財産権に関する問題を解決する必要があり、 その有力なアプローチとして、 裁判に代わる簡便な紛争解決手段の設置について言及しました。

JPNICでは、「グランドデザイン1999」を出した1999年1月以降、 この問題に関するICANN等の世界的な動向を見つつ、本年7月、 「JPドメイン名紛争処理方針」(以下「DRP」という。 DRP: Dispute Resolution Policy)を策定し、 10月より実施の運びとなっております。 これにより、 知的財産権に関する問題への一定の解決策は準備できたものと考えております。

また、日本においてインターネットが急速に社会に浸透し、 ビジネスや経済活動の基盤としても広く使われるようになってきている中、 現在のJPドメイン名では利用者の多様化する要求に、 必ずしも対応しきれていない状況が顕著になってきています。 例えば、1組織1ドメイン名の原則により、 商品名やブランド名ごとにドメイン名を登録することができないということや、 個人でドメイン名を登録する場合、登録手続きが複雑、 コストが高いといった状況があげられます。

JPNICとしては、現行の方針の良い点を維持しつつ、 改革を進める必要があると考えています。

4. 新JPドメイン名の提案

以上の状況をふまえた上で、JPNICは以下の提案を致します。

<新JPドメイン名>
  • EXAMPLE.JP のような、SLD (Second Level Domain)への登録
  • 登録資格要件の緩和
  • 1つの組織・個人が登録できるドメイン名の数を制限しない
  • ドメイン名の移転可能
  • 簡素化された登録手続きの提供
  • 日本語ドメイン名の登録

※ 既存の JP ドメイン名は現状維持

4-1. 新 JP ドメイン名の名称

今回提案する新JPドメイン名を既存のJPドメイン名に対して、 「汎用JPドメイン名」とよぶことにします。 「汎用」とは、 登録申請者の種別によって登録可能なドメイン名を制限せず、 誰でも自由に登録・利用が可能であることを示しています。 なお、既存のJPドメイン名とは、 「属性型(組織種別型)JP ドメイン名」および「地域型 JP ドメイン名」のことを意味しています。

4-2. 汎用 JP ドメイン名空間新設の理由

JPNICではJPドメイン名の登録と維持・管理を行っていますが、 これまで皆様からさまざまなご意見を頂いてきました。 その中には、 現在のJPNICのドメイン名登録規則が設けている1組織1ドメイン名の制限を撤廃することに関する要望も含まれています。 インターネットが利用され始めた初期の段階では、 自社のホストを識別するために、 組織ごとにドメイン名を登録して運用するという形が一般的でしたが、 WWWなどの登場とともにインターネットが社会に浸透するに従ってその利用形態も非常に多岐にわたるようになってきています。 このような中、 一つの広告手段として商品やサービスのための Webサイトを立ち上げ情報発信をすることも一般的になっており、 それに合わせてドメイン名も商品やサービスごとに登録したいというニーズが出てきております。 このようなニーズは当初想定されておらず、 ドメイン名登録規則との間にずれが生じてきています。

また、ドメイン名の登録者は研究機関や大学、 企業といった組織でしたが、 インターネットの利用者層が広がったことで、 一般利用者である個人がドメイン名を登録して利用するといった形が一般化してきています。 現在のJPドメイン名では登録者の審査や書類の確認等、 登録手続きが複雑であり、 またそれによって登録に必要なコストも大きくなっています。 ドメイン名の登録が一般化する中で、この登録手続きを簡素化し、 ドメイン名の登録・維持に関する料金の適正化を図ることが必要であると考えています。

現在のJPドメイン名に設けられている登録規則やその手続きは、 これまでのJPドメイン名をとりまく状況と、 安定したインターネット環境を提供するというJPNICの目的を鑑みた上で必要なものであり、 これによりさまざまな問題を回避し、 今日のJPドメイン名の信用と発展を支えてきたものであると考えています。

これまでの状況の中では上に述べたような要求に従って規則や手続きなどを変更することは、 それらが防いできた問題を引き起こすことになるという懸念から、 その実現が難しいという判断でいました。 しかしながら、JPNICでは先述の通り、 今年10月実施に向けてDRPの策定を行い、 紛争の事後解決ができることになったため、その実施に合わせて、 汎用JPドメイン名空間新設を検討する運びとなりました。

4-3. 既存の登録要件緩和ではなく、ドメイン名空間の新設である理由

今回のJPドメイン名に関する新しい方針が、 既存のドメイン名登録要件を緩和するのではなく、 汎用のドメイン名空間を新設するという形になったことにはいくつかの理由があります。

既に多くのドメイン名が登録されている既存の属性型(組織種別型)と地域型のドメイン名空間は、 時間をかけて構築された秩序あるドメイン名空間として定着していると考えています。 この空間に対して、 まったく新しい性質の登録規則を持ちこむことは、 既存のドメイン名登録者や、 新規の登録者に対して混乱を招くことが予想されます。

また、ドメイン名登録規則のみならず、 ドメイン名登録を代行しているインターネットサービスプロバイダ(ISP)やJPNIC会員に対する手順の変更も大きく、 ISPやJPNICのシステムに対する影響も大きなものとなることが考えられます。

更に、既存空間の登録要件を緩和という方法では、 これまで資格要件を満たさなかったため登録できなかった人たちへの不公平感が生じると予想されます。 公平感維持の観点から、 既存空間の登録要件緩和は必ずしも適当とは言えません。

このような事より、既存のドメイン名空間は従来どおり運用を続け、 新しいドメイン名空間を作り、そこで新しい規則、 システムを運用するほうが混乱も少なく、 導入が容易であると考えています。

5. 汎用JPドメイン名の特徴

5-1. 既存の JP ドメイン名との違い

5-1-1. 登録資格要件の緩和

既存のJPドメイン名では、 その登録にあたって組織種別や登録資格を確認する必要があり、 その手順(書類の提出等も含む)も繁雑なものでした。 今回の汎用JPドメイン名では、属性の区分もなく、 個人の登録も可能とし、 1組織1ドメイン名原則も撤廃することから、 登録資格要件として組織種別を設けないことにしました。

なお、ローカルプレゼンスについては、 後述の通り登録要件として残すことにしました。

5-1-2. 登録数の制限の撤廃

JPNICでは、 登録の際「1組織1ドメイン名の維持」を原則にしてきました。 これは、将来のユーザへのドメイン名空間の確保、 サイバースクワッティングの防止を目的としたものです。

しかし、インターネットのビジネス利用の拡大から、 複数登録ニーズが急速に高まってきました。 そこで、汎用JPドメイン名については、この原則を廃止し、 誰でも複数のドメイン名を登録できるものとします。 また、懸念されていた事項については、 DRPによって解決するものとします。

5-1-3. 移転の自由化

現行規則上、合併、営業譲渡、 親子会社関係など一定の事由がある場合を除いてドメイン名の移転を禁止してきました。 これは、ドメイン名の移転を制限することにより、 サイバースクワッティングなどのドメイン名をめぐる対処困難な紛争について、 当センターとしても一定の予防策を講じなければならない、 という事情を考慮したための措置でした。

しかしながら、DRPの導入により、 紛争が発生した際の解決の体制ができあがるとともに、 その導入によって紛争の種となる不正の目的によるドメイン名の登録・使用も抑制されることが期待できるため、 汎用JPドメイン名の移転に関する制限は特に設けないことにしました。 また、 既存のドメイン名空間に設けられている移転制限についても緩和を行います。

5-1-4. ローカルプレゼンス(国内住所要件)

JPドメイン名は、日本国を表示するもので、 日本に割り当てられたccTLD(国別トップレベルドメイン)であることから、 現行規則では登録者は日本登記された法人であるか、 日本在住者であることが登録要件になっています。 新設の汎用JPドメイン名空間でもこの原則を維持することとしますが、 実体審査についてはより簡便な方法となるように検討を進める予定です。 なお、 何らかの理由で登録者がこのローカルプレゼンスを満たしていないことが判明した場合には、 それを理由に登録を取り消すことがあります。

5-2. 汎用 JP ドメイン名空間の設計

グランドデザイン1999でも言及していますが、 JPNICでは、 これまで新しいドメイン名空間として「汎用SLD(複数の汎用SLDを新設し、 3LDに申請された文字列を登録する)」を新設することを検討の前提としてきた経緯があります。 その後、日本におけるCOMドメイン名の利用の急増・一般化により、 JPNIC内でCOMドメイン名同様「SLDの開放(SLDに申請された文字列を登録する)」についても検討の必要性があるとの問題提起がなされ、 これら2つの可能性を検討してきました。 以下は、2つの可能性の比較です。 (なお、以下で例示されているAAA、BBB、CCCは、 あくまでも異なる文字列の第2階層を表すものであり、 実際に採用される文字列ではありませんのでご注意下さい。 また、EXAMPLEは文字列の例で、実際には登録できません。)

可能性1 複数のSLDを新設し3LDに登録を行う
形態: EXAMPLE.AAA.JP、EXAMPLE.BBB.JP、EXAMPLE.CCC.JP 等
長所: SLDの種類を追加することができるため、 ドメイン名空間の広さと拡張性の制限が少ない。
また、SLDで緩やかなカテゴリーを表現することができる。
短所: SLDの種類が増えれば増える程、 3LDに同じ文字列を含むドメイン名が増えるため、 ユーザに混乱をもたらす可能性がある。
可能性2 SLD に登録を行う
形態: EXAMPLE.JP
長所: SLDに任意の文字列を登録できるため、 可能性1と比較して、短いドメイン名を構成することができる。 (ユーザの覚え易さ、タイプ打ちの容易さという観点から長所)
短所: 可能性1と比較して、 ドメイン名空間の広さと拡張性が制限される。

JPNICとしては、それぞれの長所・短所を比較検討した結果、 ユーザにとっての使い易さ、そして、 ひいてはそれをWebサイトやメールのアドレスとして使う登録者にとっても利点になると考えられることから、 「可能性2 SLDに登録を行う」を採用することにいたしました。

5-3. 日本語ドメイン名の導入

従来、ドメイン名には、英字、数字、 ハイフン(ただし、ハイフンは文字列の最初と最後には使用できない)しか使えませんでした。 ドメイン名として、 これらに加えて日本語などいろいろな言語の文字を使えるようにしたものが多言語化ドメイン名です。 この中で特に日本語(漢字/ひらがな/カタカナ)をドメイン名として登録するものを日本語ドメイン名と呼びます。

5-3-1. 多言語ドメイン名の技術開発状況と JPNIC のスタンス

JPNICでは、 多言語ドメイン名について主に技術的な視点で調査・検討するためのタスクフォース「iDN-TF」を1999年5月に設立しました。 このタスクフォースでは、関連する活動と技術の調査、 分析を行うとともに、 JPNICとして多言語ドメイン名を導入するのに必要な要件の整理を行ってきております。

JPNICでは、 多言語化されたドメイン名がインターネットで混乱を招くことなく受け入れられ、 普及していくためには、 技術の公開と標準化が不可欠であると考えています。

このため、 2000年7月13日にはJPNICのWebページにて「多言語ドメイン名評価キット(mDNkit)ベータ版」の配布を開始し、 現在提案されている各種技術の評価を行っています。

5-3-2. 日本語ドメイン名を構成する文字列・文字数

日本語ドメイン名は、第2階層が、漢字、全角ひらがな、 全角カタカナより構成され、次のような形になります。 (以下の事例で「日本語名」の部分は、 申請者が登録する任意の文字列を表します。)

 日本語名.jp

なお、第2階層の文字数は、最大で15文字程度とする予定です。

5-3-3. 登録サービスの開始と技術実験

多言語ドメイン名の技術の標準化にはまだ時間がかかるものの、 gTLDおよび、幾つかの国ではすでにその登録サービスが開始されています。 また、このような動きが一般ユーザの関心を高め、 さらなる市場圧力となっていることも事実です。

JPNICとしては、 技術的な側面においては標準化に向けた実験をしつつ、 登録サービスとしては正式な受付を開始する予定で準備を進めております。 最終的には標準化された技術にてこのサービスを提供する予定です。

5-4. ドメイン名と商標等との紛争処理

インターネットの利用の拡大とともにサイバースクワッティングの問題が大きく取り上げられるようになってきています。 JPNICでは、DRPによる紛争解決が基本であると考え、また、 その対象となる紛争は「不正の目的によるドメイン名の登録・使用」に限定することとしております。

5-4-1. DRPによる事後の紛争解決

DRPに規定されている「JPドメイン名紛争処理手続」の申立の根拠は、 (i) 登録者のドメイン名が、 正当な権利を持つ申立人の商標その他表示と同一または類似していること、 (ii) 登録者が、 当該ドメイン名の登録についての正当な権利を持っていないこと、 (iii) 当該ドメイン名が不正の目的で登録・使用されていること、 となっております。 このような状況は、 ドメイン名の登録・使用の秩序を明らかに乱すものであり、 事後であっても迅速なる対応をもって解決していくべきものと考えています。 汎用JPドメイン名は、誰でも複数登録できることから、 既存のJPドメイン名に比較して、 サイバースクワッティングの可能性が高いことは否定できませんが、 DRPによる解決と合わせて、 DRP制定による紛争抑止効果も期待できると考えております。

5-4-2. 著名商標保護のための事前除外について

gTLDの世界では、ICANN設立以前から、 新gTLDの追加に当たって、 著名商標保護のための事前除外が必要ではないかとの議論が長らく行われてきています。 著名商標保護は別の観点から見れば一般消費者保護にもつながる(正当な権利を持たない者が著名商標を文字列として含むドメイン名を使うことによって一般消費者に誤認混同を与える可能性があるため)ということもあり、 総論としてはほぼ賛同が得られているように思われます。 しかし、いざ実際の導入を考えると、 著名商標の定義が困難であること、 著名商標を構成する文字列のみを除外するのか、 それともそのバリエーションも除外するのか、 事前除外(他者が登録できない状態にする)という形が良いのか優先登録(権利者が優先的に登録する)という形が良いのか等、 実現が難しい点、 実現までに解決策が求められる点があることが報告されています。

JPNICとしては、このような一連の議論から、 汎用JPドメイン名において著名商標保護のための事前除外の制度を設けることは困難であると判断し、 著名商標についても、問題が発生した時点で、 現在のDRPにて解決するという考えにいたりました。

5-5. 登録できないドメイン名について

汎用JPドメイン名では、 一部特定の文字列を予約語として設定する方向で現在検討を進めています。 予約語には、 あらかじめ指定された組織のみ登録できるもの(行政機関名など)、 誰も登録することができないもの(既存のJPドメイン名で予約ドメイン名として規定されているもの、 明白かつ現実的に社会的許容性を欠くものなど)があります。 該当する文字列に対する申請があった場合の手続については、 登録規則にて規定されます。

6. 汎用 JP ドメイン名の登録手続き

6-1. 先願主義

ドメイン名は、 登録申請の受付順に所定の手続が行われ登録完了となります。 登録されたドメイン名と同一のドメイン名が後から申請された場合、 その申請は受け付けられないことになります。

6-2. 登録開始時の問題とその解決策

汎用JPドメイン名の登録開始時に、先願順の受付を行うと、 申請受付開始の瞬間に大量の申請が行われる可能性があり、 多くの混乱が予想されます。 また、汎用JPドメイン名は、 誰でも自由に登録できるという利点がある反面、 新設時にサイバースクワッティングを誘発する可能性もあります。 そこで、こういった問題をできるだけ回避し、 無用な混乱や紛争を少なくする対応策を検討し、 汎用JPドメイン名の登録開始時には、 「同時申請期間」を設け、 登録の調整を行うことにしました。

6-2-1. 同時申請期間

申請の先願順を問わない期間です。 この期間中に、 同一のドメイン名を希望する申請が複数あった場合は、 「同時申請期間中の登録ルール」に基づき登録者を決定します。 この期間を設けることで、申請者は、 申請受付開始時に先を競って申請をしなくてもよくなり、 申請受付開始の瞬間に大量の申請が行われる可能性が低減します。

6-2-2. 同時申請期間中の登録ルール その1

サイバースクワッティングを抑制するための対策を検討した結果、 現在の登録規則に基づいて登録されているドメイン名は、 1組織1ドメイン名の原則等により、 サイバースクワッティングという観点からの問題が少なく、 これをベースに汎用JPドメイン名を優先的に登録することで、 無用な紛争の発生を抑制できるのではないか、 との結論に至りました。 なお、この優先的な登録は、同時申請期間終了後、 次のルールで決定されるものとします。

  • 優先的な登録は永続的に申請を受け付けるものではなく、 汎用JPドメイン名新設時の同時申請期間のみ申請可能とする。
  • 汎用JPドメイン名の登録要件(日本にローカルプレゼンスがある)を満たす既存のJPドメイン名登録者は、 同じ文字列での SLD 登録の優先権がある。
    (例)
    EXAMPLE.CO.JP の登録者は、EXAMPLE.JP の優先権がある
  • 優先的な登録の対象となるドメイン名登録者は、 2000年3月31日までに登録された属性型および地域型ドメイン名の登録者とする。 ただし、ドメイン名が既に廃止されている場合は除く。 また、2000年3月31日以降にドメイン名が移転されている場合は、 移転先の新しいドメイン名登録者を対象者とする。
  • 優先権は、 汎用JPドメイン名に対する申請があった場合にのみ有効となる。 従って、 既存ドメイン名の登録者が自動的に汎用JPドメイン名の登録者になるわけではない。
  • 対象ドメイン名の文字列が同じになる登録者が複数いる場合は、 ドメイン名の登録年月日が一番早い登録者を優先する。
    (例) EXAMPLE.JP の優先登録

    登録年月日 登録者 申請
    EXAMPLE.CO.JP 1998/01/01 株式会社 A社 なし
    EXAMPLE.NE.JP 1999/01/01 A ネットワーク あり
    EXAMPLE.CHIYODA.TOKYO.JP 2000/01/01 A 氏 あり
    この場合、申請をしてきた登録者の中で、 登録年月日が早いEXAMPLE.NE.JP登録者にEXAMPLE.JPが登録される。

6-2-3. 同時申請期間中の登録ルール その2

上記登録ルールその1で決定されたドメイン名以外に対する申請は、 同時申請期間終了後、次のルールに基づいて登録者を決定します。

  • 同一のドメイン名を希望する他の申請者がいない場合、 その人が登録者として決定される。
  • 同一のドメイン名を希望する申請者が二人以上いる場合、 抽選を行い、登録者を決定する。

なお、従来の同時申請に関する手続は、 同一のドメイン名を希望する申請者同士で調整をおこない、 申請者全員の合意により登録者を決めるか、 あるいは抽選で登録者を決定するという合意をとった後抽選を行なうという形にしておりました。 しかし、今回は、多くの申請件数が予想されること、また、 合意するための手続が申請者にとって過度の負担となることから、 最初から抽選という方法を採用することにしました。 なお、ドメイン名の移転が可能であるため、 抽選の結果が半永久的に固定されるという懸念はなくなりました。

また、抽選は、立ち会いによる抽選ではなく、 コンピュータによる方式を検討しています。

6-3. 登録者の認証方式と変更手続きのオンライン化

登録者の本人確認は登録後の各種申請の際に重要な役割をもちます。 現在の登録システムでは、重要な変更の場合は、 申請書への捺印とその印鑑登録証明書による確認を行なっています。 この方式は、確実ではありますが、 申請者および申請の受付処理をするJPNICともに大きな負担です。

登録者の事務的負担を軽減すると共に、 申請者の成り済ましなどの第三者による虚偽の申請を防止し、 正しい申請者を保護するための新しい本人確認の手段が必要です。

汎用JPドメイン名登録では、 登録者ごとに登録者番号とパスワードを割り当て、 これをもとに登録者を識別します。 また、登録内容は郵送で通知され、 本人の意志によらない虚偽の申請による登録を防止します。

郵送することによって、登録者の所在が確認できるだけでなく、 オンラインだけの方式にくらべて安全性が高いというメリットがあります。

申請内容の変更やドメイン名の抹消などは、 この登録者番号とパスワードをベースに、 オンラインでおこなうようにします。

6-4. 登録料、維持料

ドメイン名の登録を行う際には登録料が必要となります。 また、登録されたドメイン名は1年ごとにその登録を更新し、 その際に年間維持料が必要となります。 登録料・年間維持料の金額の目安としては、 それぞれ数千円~1万円程度を目処に検討しています。

同時申請期間中の申請には、 別途定める申請手数料が必要となります。 この申請手数料は、 汎用JPドメイン名登録開始時の特別対応(同時申請にともなう事務処理等)にかかるものです。 こちらは数百円~数千円程度を目処に検討しています。

6-5. 登録維持の条件

登録されたドメイン名を維持するためには以下の要件が必要となります。

  • ドメイン名維持料を支払うこと
  • 登録ドメイン名のためのネームサーバが運用されていること

属性型(組織種別型)、 地域型で必要となっているJPNIC会員による接続承認は、 汎用JPドメイン名では必要ありません。

なお、登録料および維持料は、 JPNIC会員を通じて支払うことも可能です。

6-6. ドメイン名廃止手続き後の冷却期間

現在の属性型(組織種別型)、地域型のドメイン名は、 その廃止手続きを行うと冷却期間として6ヶ月間同じドメイン名の登録ができない状態になります。 これは、短期間に登録者が変更され、 ユーザが誤認混同する恐れがあるために設けられた措置ですが、 登録廃止されたドメイン名の速やかな登録の要望は大きく、 また、誤認混同はドメイン名登録者の責任において回避するべきという自己責任の考え方の元で、 汎用JPドメイン名については冷却期間を設けず、 可能な限り短期間で再度の登録ができるようにします。

7. スケジュール

汎用JPドメイン名に関する今後のスケジュールは以下の通りです。

2000/09/01 ~ 2000/09/30 「汎用 JP ドメイン名に関する方針(案)」に対するご意見の募集
2000/10/10 JPNIC 方針文書公開
2000/10/10 登録規則公開
2000/11/20 登録規則施行
2000/11/20 ~ 1000/12/22 同時申請期間
2001/01/22 先願受付開始

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