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ICANNローマ会議:WSIS ワークショップ
日時:2004年3月4日(木)11:00~13:00
会場:Melia Roma Aurelia Antica Hotel(イタリア・ローマ)
出席者:パネル+会場参加者約80名
内容:1. WSIS概要
2. パネルディスカッション
3. WSIS&ICANNに関し、主要な利害関係者が取りうる今後のステップ
について
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<概要報告>
世界情報社会サミット(WSIS)に関するワークショップが開催された。
ICANNコミュニティとして、WSISにおけるインターネットガバナンス問題に
ついて何らかのコンセンサス形成を目指すというものではなく、単に情報共有
を目的としたもの。
http://www.icann.org/meetings/rome/wsis-workshop-04mar04.html
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<詳細記録>
■1. WSIS概要
●1.1 WSIS概要紹介(by 会津泉氏、David Fares)
○概要
- WSISとは:国連主導のサミット
- 経緯:1998年ITUによって提案、国連総会決議にてエンドース
- スケジュール:2段階にて開催
2003年12月ジュネーブ
2005年11月チュニス
- 準備プロセス
+ オブザーバー参加者は発言を許されなかったり、政府によって会場から
締め出される場面あり
+ オブザーバー参加の3つの組織(ビジネス、市民社会、国際機関)
- WSIS基本宣言と行動計画
- ジュネーブ会議での未解決事項:
+ チュニス会議に向けてのプロセスと実質的成果
+ インターネットガバナンス問題 など
○WSISとインターネットガバナンス
- 議論は混乱:
+ 各政府によって、スパムやセキュリティなど論点が異なっている
+ 技術的問題と公共政策問題
- 結論:
本質的合意はなされず、国連事務総長下にワーキンググループを設置する
ことになった
- ジュネーブ会議後の議論
ITUフォーラムに参加(2004年2月26~27日、ジュネーブ)
UNICT TF(3月25~26日、NY)
- 議論への参加方法
ビジネス:Coordinating Committee of Business Interlocutors
市民社会:Civil Society Internet Governance Caucus
●1.2 Paul Twomey(ICANN事務総長)からのコメント
- 国連事務総長によるデジタルデバイド問題解決の提唱を支持
- WSISプロセスを支持
- 実際的解決を図るためには利害関係者間のバランスが必須
- 多様な利害関係者の参加が重要
- 今後のラウンド:議論は広範囲にわたっているため、技術的調整機関である
ICANNとして関与できる問題を明確にすることが大切
●1.3 Vint Cerf(ICANN理事長)からのコメント
- WSISでの議論はICANNの範囲を超えるもの。参加者とその影響を受ける者に
とって危険(?)
- 議論があまりに狭義。ICANNはスパムなどの広範な問題に対処するような
ストラクチャになっていない
- 市民社会、ビジネス関係者の参加
- ICANNはあらゆるポリシー問題には関われない
●1.4 Stefano Gattiからのコメント
(Adviser to the Minister and Head of the International Affairs,
Office, Ministry for Innovation and Technologies, Italy)
- ヨーロッパ、イタリアの関係者は多国間のガバナンスを主張(?)
■2. パネルディスカッション
●2.1 パネルからのコメント
○レジストラ部会
- ICANNにおけるアプローチを支持。ICANNの使命とゴールの向上を希望
○レジストリ部会(by PIR)
- ICANNは技術分野のみに専念すべき。DNS相互運用性の監視者としての役割
○ルートサーバシステム諮問委員会
- ルートサーバ運用組織は多岐にわたっている(政府も含む)
- 我々はデータのパブリッシャー
- WSISについては、オペレーションの継続の重要性を主張
- ICANNが対話のホステス役となることを期待
○RIRs(NRO)
- 独立性
- ICANNがオーバーサイズの多国籍組織とならないことを期待
○InternetNZ(by Peter Dengate-Thrush)
- NZ政府はICANNモデルをレビュー
- WSISによる議論は混乱のリスク
- ccTLDの主権(sovereignty)の問題など要議論
○Civil Society Caucus
- 意思決定のパワーの調整
- より高レベルでの対話
○ISP部会
○IP部会
○ビジネス部会
- ICCイシューペーパーにより詳細を記載
○非商用ユーザ部会
- ワーキンググループ設置を歓迎する理由:ICANNのアカウンタビリティに
対するプレッシャーを増す
○CENTR
- 先週ITUワークショップでパネルをした
- ガバナンスという用語について混乱がある。「インターネットマネジメント」
or「インターネットコーディネーション」の方がよい?
- 政府はDNSの管理母体を移行させたいとは考えていないと思う
- CENTRは途上国にアウトリーチ(教育普及活動)を開始している
○セキュリティと安定性に関する諮問委員会(SSAC)
- セキュリティの活動についての紹介
- スパム、サイバークライム、プライバシー等はセキュリティの範囲外
○At-Large諮問委員会
- ICANNの使命は限定されたものであることを支持
- ICANNの構造については改善の余地あり
- ワーキンググループは、多様な利害関係者の参加が重要
●2.2 一般コメント
- 今回、ICANN内でこのようなワークショップを開いた目的は?ICANNの役割
についてコンセンサスを図ろうとしている?
→情報共有が目的。
- ICANNは技術的調整のみをしてきたわけではない。公共政策にも関与して
いる(Mueller)
- ICANNは実験途中の組織。WSISはICANNに比べてより広範な問題を扱って
いる(Kane)
- 昨年北京に行って政府関係者にヒアリングしたところ、技術的問題につい
てはICANNが担当することに何の問題もないと言っていた。グレーな部分
については返答なし。ICANNが担う限定された分野の活動に参加できる
メンバは十分なのか。ユーザ参加はICANNのインターナルガバナンスに
重要(会津氏)
- ICANN内でGACと支持組織(SO)との交流が見られるようになってきたことは
よい兆候であり、進歩(Cade)
■3. WSIS&ICANNに関し、主要な利害関係者が取りうる今後のステップについて
(by Cade)
- 自国の政府代表との対話を奨励
- プロセスについて
- インターネットの維持が重要
- 詳細情報:
www.wsis.org
www.businessatwsis.net
www.wsis-cs.org
www.wsis-online.org
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