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インターネットガバナンスとの付き合い方

2014年7月15日

インターネットガバナンスってどんなもの?

はじめに

「インターネットガバナンス」という言葉から、 みなさんは何を連想しますか。 難しいインターネットの政策に関わるトピックスを取り扱っている分野というイメージを持つ方も、 少なくないかもしれません。

実際にはインターネットユーザーの立場から困っている、 課題となっている、 またはインターネットを利用する上で社会的に問題となっているといった背景が、 発端となっている議論が少なくはありません。

例えば、ビッグデータによる情報収集、 SNSを利用する上でのプライバシー、 スパム対策、児童ポルノや有害コンテンツへの対応といった、 ニュースなどで目にするような課題も議論されています。

また、 2013年に国家安全保障局(NSA)による情報監視活動が明るみに出たことをきっかけに、 インターネットにおける監視活動も着目されている課題として挙げられます。

このように「インターネットガバナンス」という言葉を意識せずに、 実はみなさんもこれに関わるトピックスについて議論をしていることもあるのではないでしょうか。

「インターネットガバナンス」が着目される背景

当初は米国政府の軍事目的、そして学術的な研究から商用化され、 現在にいたるまで普及・発展したインターネットは、 社会インフラとしての役割が強くなってきています。

しかし、歴史的な経緯から、 IANA機能に対して米国のみが監督権限を有するなど、 1ヶ国の影響力が強い仕組みに対する懸念が一部の人々からは挙げられてきました。 また、インターネットを利用した情報発信の影響力も増えている中、 インターネットの利用に関する社会的な影響も軽視できない状況です。 一方、ネットワーク上で新たに現れる違法行為に対する法規制に対する考え方は、 整備されていない部分がまだ少なくないと考えられます。 このような背景から、インターネットのあり方について、 その技術・運用のみならず、 公共政策や社会的な問題への対応としての側面から、 インターネットの仕組み、インターネット資源の管理、 基盤インフラの整備、 そしてインターネットの利用に伴う諸課題について議論したいとのニーズが、 高まってきています。

こうした流れの中「インターネットガバナンス」という言葉が使われ、 この言葉を利用して活発な議論が行われるようになった発端は、 2003年12月に国際連合によりスイスのジュネーブで開かれた、 世界情報社会サミット(World Summit for Information Society; WSIS)になります。 ここでの主要なテーマは「ICTによる開発」であり、 発展途上国に対するインターネットの普及でした。 その中で、 インターネットガバナンスという言葉もテーマの一つとして挙がっていました。

それ以前の、 インターネットの資源管理体系を取り巻く議論も含め、 詳細は「インターネットガバナンスの経緯」のページをご覧ください。

何が議論されているか

インターネットガバナンスに関する議論は、 特定の誰かを対象としてはっきり定義しているものではなく、 その時々の状況によって議論の対象となる課題は異なります。

また、インターネットの技術標準の策定や運用は、 それに関わっている人たちが、 誰もが議論に参加できる形で、 自分たちで決めるという精神に基づいていますが、 このようなインターネットコミュニティの基本姿勢は、 多くの場合、社会的な通念や、 政府機関における常識と異なる点も多く、具体的な課題に加え、 議論のあり方そのものも議論の対象となっていることも、 インターネットガバナンスに関する議論の特徴です。

これまで議論の俎上に挙げられたトピックスの例としては以下が挙げられますが、 議論される内容は多岐にわたり、 その時々に課題と考えられる内容が議論されるため、今後、 その他のトピックが着目される可能性もあります。

  • インターネットのセキュリティ・安定性・復元性
  • スパム
  • プライバシー
  • 情報の自由な流通(ネット中立性、検閲等)
  • ISPなどの中間媒介者に対する(過度の賠償責任からの)保護
  • インターネット資源の公平な配分
  • 途上国における基盤インフラの整備 (アクセス網、IX、IPv6等の次世代基盤の整備等)
  • インターネットのあり方(オープンな分散型アーキテクチャ、オープンな標準、持続的な革新と創造を可能とする環境、分断されない単一のインターネット空間等)
  • 人権(言論の自由、情報へのアクセスに関する権利等)
  • インターネットガバナンスのあり方

なお、NETmundial会議(2014年4月、 ブラジル・サンパウロ開催)の成果文書では、 2014年時点で重視されている原則と今後の方向性がまとめられています。 ここに挙げられている原則と今後の方向性は、 誰にも開かれた形で公募された寄書に基づき、政府、 市民社会、アカデミア、民間企業、 技術コミュニティといったあらゆる関係者が合意できる内容にまとめられたものですので、 2014年時点で重視されている原則を理解する上で、 ご覧になってみてください。

NETmundial Multistakeholder Statement
原文:http://netmundial.br/netmundial-multistakeholder-statement/
和訳:https://www.nic.ad.jp/ja/translation/governance/20140424.html

なぜ幅広い参加が望ましいのか

幅広いグループが参加することで、 例えば以下のような偏った結論に至らないように、 意思表明をすることが大切になってきます。

  • 誰もが参加できる仕組みではなく、一部の関係者中心の検討の枠組みとなる可能性
  • サイバーセキュリティ対策として運用上適切ではない対応が国際的に合意される可能性
  • サイバーセキュリティ対策として、個人のプライバシーに踏み込んだ情報収集が行われる/ISPが提供できる範囲を超える情報協力の要請が行われる可能性
  • 政策上のスパム対策が、インターネットのあり方にとって不自然な運用を強いられる可能性
  • IANA機能を運営する形態が、インターネットの基盤を維持する上で困難な形となる可能性
  • ネットワーク中立性の是非に関する議論がインターネットの発展/利用者に望ましくない方向につながる可能性
  • インターネット上にある情報の一部が検閲され、参照できなくなる可能性、またはそのような運用を事業者として強制される可能性

こういった議論において、ある立場からは望ましく見える対策が、 他の立場から見ると望ましくない影響につながる可能性があります。

そのため、 議論されている分野において影響を受ける立場の関係者が、 政策、社会的影響、インターネット事業・サービスにおける影響、 インターネットの運用上の影響、それぞれの専門性の立場から、 課題とされている問題が実際どの程度深刻なものなのか、 適切な対策は何か、 そして議論されている対策における影響に対してそれぞれの立場から知見を提供できることで、 より適切な対応につながると考えられます。

これらの検討は公共的な側面に留まらず、 ネットワーク中立性、コンテンツのフィルタリングなどは、 不適切な対応が浸透した場合、 それに関わる事業を行っている企業にとっては、 事業に重要な影響を及ぼされる可能性も考えられます。 また、途上国における基盤インフラの整備に関する議論は、 公共事業として実施する側面もありますが、 外資を含む民間による整備を受け入れるケースもあり、 国際的な展開を視野に入れている事業者であれば、 ビジネス面でも確認しておきたい動向かもしれません。 実際、例えば米国においては企業からの参加も非常に活発です。

こういった議論が進められる中、もし国際的な議論の場において、 自らの立場から懸念されるべき事項が発生してから参加しても、 議論の行われているフォーラムにおける信頼関係が構築されないだとか、 すぐに意見を聴いてもらえるとは限らないことも考えられます。

従って、 ある程度のどのような人がどのような考えを持っているのか文脈を理解し、 特定の課題に対する主な意見を理解しておくということが、 大切になってくるのではないでしょうか。

インターネットガバナンスをもっとよく知り、関わるには

インターネットガバナンスを取り巻く最新動向

このWebサイトで、定期的に最新の動向や、 関連するイベントについてご案内しています。

IANA機能の監督権限の移管に関する議論の動向も、 「IANA機能の監督権限の移管について」で随時JPNICよりご紹介いたします。  

JPNICからの記事・お知らせ

どういう形で関われるのか

インターネットガバナンスへの関わり方にもいろいろあります。 まずは動向を追って理解することからスタートをしてはいかがでしょうか。

1. 動向を追う

まずはここをめざしてスタートし、動向を追って理解することだけでも、 必要に応じて議論に参加する準備を行う上で、有効です。 JPNICをはじめ、 定期的に動向をまとめて共有している組織がありますので、 それらの情報を追ってみることもお勧めです。 JPNICから発信している情報はこのWebページをご覧ください。 ご不明な点はingov-query@nic.ad.jpまでお問い合わせください。

2. 国内での議論・検討の場に参加する

国内において、 インターネットガバナンスに関するトピックスについて議論できる場があります。 それらの会に参加するということも、 日本語で国内の状況をベースに議論に参加できるため、 比較的関わりやすい方法です。

JPNICでは「日本インターネットガバナンス会議」を定期的に開催しており、 IGCJのメーリングリストに参加することで、 会議の開催案内を受け取ることができます。

その他:国際的な議論・検討の場に参加したい場合

国外において、 誰もが議論に参加できるメーリングリストやフォーラムがあります。 まずはメーリングリストの登録からはじめてみると雰囲気がつかめるかもしれません。 ただし、投稿数が総じて多く、また、プロセス論や事実の訂正など、 具体的な課題に直結しない議論も多いため、ある程度の覚悟が必要です。

誰もが参加できるミーティングのうち、定期的に開催されているものは、 国際連合が主催している「Internet Governance Forum (IGF)」です。 グローバル、地域、国などの単位で開催されており、 自分とは異なる立場グループの人々の意見やその文脈を知る、 自分の立場からの主張を普段接する機会のない人々に共有する上ではよい機会です。 あらゆる関係者に開かれているメーリングリストとしては1netが挙げられます。

また、I*10団体の中ではICANNやRIR、IETFのフォーラムでも、 インターネットガバナンスに関する議論が行われることもあります。 IETFの中でもIABは、 インターネットガバナンスに特化したメーリングリストを設けています。 以下のリンク先をご参照ください。

Internet Governance Forum (IGF)
http://www.intgovforum.org/cms/
1net
http://1net.org/
IABの関連ML
http://www.iab.org/mailman/listinfo/internetgovtech

特にIANAの移管に関する提案の検討は、これらのフォーラムで行われる議論が取りまとめられ、 米国商務省に提案されることが見込まれています。

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