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ICANNローマ会議:一般討論会(Public Forum)第2部
日時:2004年3月5日(金)9:00~14:00
会場:Melia Roma Aurelia Antica Hotel(イタリア・ローマ)
司会:Vint Cerf(ICANN理事長)
出席者:約70~80名
内容:1. 各諮問委員会からの報告
2. 各支持組織からの報告
3. その他組織からの報告
4. .aeroに関するアップデート
5. IANA機能について
6. レジストラ間のドメイン名移転ポリシー(レジストラ変更ポリシー)
7. ASO-ICANN間のMoU状況報告
8. オープンマイク
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<概要報告>
- 各ICANN構成組織からの報告では、分野別ドメイン名支持組織(GNSO)の評議会
チェアが、通常の活動報告ではなく、ICANNの意思決定プロセスに関する問題
提起を行い、その真摯な姿勢が極めて印象的であった
- オープンマイクセッションでは、昨日の第1部に続き、VeriSignのWait Listing
Service(WLS)についての賛否両論がレジストラを中心に激しく展開された
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<詳細記録>
■1. 各諮問委員会からの報告
● 政府諮問委員会(GAC)
- 新規参加メンバ:カメルーン、クロアチア、リトアニアなど
- ccNSOの結成を歓迎
- GAC ccTLD Principles見直しについては進捗あり
- WIPO IIプロセス 3月末までに報告書提出予定(?)
- GNSOの問題を扱う新WGを設置
- IPv6への移行については進捗しているが、まだなすべき作業が多い
- SSACとの対話を歓迎
- Vice Cairを選出
●ルートサーバシステム諮問委員会(RSSAC)
- Anycastが主要トピック
+ ルートサーバの数は米国外の方が米国内より増えている
+ オペレーションは安定
- IPv6デプロイメントのためのガイダンスを理事会から要請されている
- その他の活動
+ b.root-servers.netのリナンバリング など
- 今回のローマ会議では、GACとのリエゾン関係構築が充実
- 次回会合は8月のIETFにて
●セキュリティと安定性に関する諮問委員会(SSAC)
- 略称を「SECSAC」から「SSAC」に変更
- メンバ紹介
- Wildcard問題:
報告書提出が遅れ気味。内部ドラフト作成後、発表予定。目新しい内容
ではない
- 新TLD:
+ gTLDの数が現在の2倍になっても大した問題ではないが、100、1000と
なると別問題
+ 統計的確率として、いくつかのドメインは破産する可能性がある。それに
備えての準備が必要
- DNSSEC:
トライアルや実験は実施しているがフルスケールのデプロイメントはまだ
- 未解決の問題:
Root Keyのマネジメント など
- SSAC結成から2年経過。メンバ交替の必要
●At-Large諮問委員会(ALAC)
- 組織化
+ 地域別At-Large組織(At-Large Structure: ALS)申請の承認プロセス
開始
+ チュニス会議以降、さらに8件の申請
+ 各地域の進捗状況報告
- ポリシー活動
- WSIS関連
国連事務総長下のワーキンググループへの参加を希望
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■2. 各支持組織からの報告
●アドレス支持組織(ASO)
- ASOはRIRsを直接代表するものではない
- アドレス評議会の運営
- 年1回ASO総会を開催
アムステルダムで2004年5月に開催
- 理事会メンバ選出
- AFRINIC設立プロセスのオブザービング継続
- その他
+ RFC2050の見直し
+ グローバルアドレスポリシーに関する限られた議論
- NROの新設
+ グローバルな調整機関
+ ASO傘下の組織
- RIR-ICANN間の現行MoUは非常に古い。両者間で交渉し直す時期に来ている
●分野別ドメイン名支持組織(GNSO)
- ICANNの意思決定プロセスを全面的に見直すべき(ICANNに対する訴訟の
多さがそれを示している)
- パブリックインプットプロセス
+ 昨日のPublic Forumを見ても、パブリックスピーキングが少ない
+ きちんとしたデータに基づく議論がない
- ポリシー策定
+ もっと分析が必要
- 意思決定
+ クライテリアの明確化が必要
+ Wait Listing Service(WLS)に関する意思決定プロセスを見ても、
きわめて不明確
- ポリシー実施
+ ポリシー策定済みの事項で実施にまで至っていないものが多数ある
- 遵守
- 見直し
+ ポリシー策定の段階できちんと見直しのための計画を立てる
●国コードドメイン名支持組織(ccNSO)
- 3月1日、理事会にccNSO結成を報告
- 現メンバ内訳:
南米---12
アフリカ---11
アジア太平洋---8
北米---4
ヨーロッパ---4
- KL会議までにccNSO評議会メンバを選出予定
- さらなるccTLD Managerの参加を歓迎
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■3. その他組織からの報告
- レジストラ部会
- ccTLDコミュニティ
コミュニケ発表
http://www.wwtld.org/communique/20040302.ccTLDrome-communique.html
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[質問/意見]
- GACからの報告にWSISに関するものが含まれていなかったが?
→GACメンバのWSISに対する関心は高いが、GACとして声明できる立場にない
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■4. .aeroに関するアップデート(by SITA)
- SITA(.aeroのスポンサー組織)の紹介
- .aero運用の歴史
2002年3月運用開始
- .aeroは航空運輸業界での協調の役割を果たしている
- 3文字コードについては業界間での利害衝突があったが、コミュニケーション
をテレックスからインターネットに移行させるためには、こうした衝突を解消
せねばばらない
- 目的:
業界内でのコミュニケーション
「原始インターネット」から「真のインターネット」へ
- 航空会社コード・空港コード利用の活性化
# この.aeroのプレゼンは趣旨が全く不明だったが、後の関係者への聞き取り
# 調査によると、.aeroとしては航空会社コードと空港コードを活発利用した
# いが、そのためにはICANNとの契約改定が必要。しかし、この場でそれを公
# に要請してICANNが承認したとなると、VeriSignが訴訟の材料にする可能性
# があるため、あいまいな表現をした模様
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■5. IANA機能について(by Paul Twomey, ICANN事務総長)
- IANA機能のさまざまなプロセスをより明確、透明、迅速なものにするための
取り組みをしているが、目下注力しているのは、TLD(特にccTLD)とIANAとの
やりとりにワークフロー・ソフトウェアを取り入れること
- ウェブベースのインターフェース開発のための初期作業を完了した。現在遂行
しているのはバックエンドのチケッティングシステム
- この点でIANAにおける最も高い価値は「正確性」ではなく「権威/信頼性」が
あること
- ネームサーバ変更要請処理は人的作業で行われており、リスクを伴う。
これらをコンピュータベースのシステムに移行しようと考えている
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■6. レジストラ間のドメイン名移転ポリシー(レジストラ変更ポリシー)
- ポリシー策定の経緯
+ 2003年4月、ICANN理事会がポリシー承認
+ その後、Transfer Assistance Goup結成
- レジストラ変更ポリシー
+ 認証については変更先レジストラが責任を持つ
+ 変更要請が拒否されるのは、登録先レジストラが具体的理由に基づき
変更先レジストラに拒否の通知をした場合のみ
- 紛争解決ポリシー
- 統一認証フォーム(Standardized Authorization Forms)
+ 一つは、変更先レジストラが変更要請の認証を行う場合に使用
+ もう一つは、登録先レジストラが使用
- 今後のステップ
+ 最終ポリシーを3月末までに発表
+ レジストラとレジストリのポリシー実施準備期間:3ヶ月
+ レジストリのtransfer-undoメカニズム実施準備期間:6ヶ月
+ ICANNが紛争解決機関のための提案書を募集予定
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■7. ASO-ICANN間のMoU状況報告
- NRO letterを2月24日に掲載し、MoU案について概説
- RIRと協議を実施。今後さらに協議する予定
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■8. オープンマイク
- Public Forumのあり方に疑問。各自の意見を主張する段階で止まっており、
次のステップとしての回答が得られない。パブリックの対話が必要(Amadeu)
- スポンサー付き新gTLDの選定プロセスを短縮するよう要請
(Tralliance Corporation, .travelの申請者)
- レジストラ部会でのWLSについての非公式投票結果:
19 支持
7 棄権
3 反対
# 昨日に続いて、WLSへの賛成・反対表明が続く(以下抜粋)
- WLSの仕組みは奇妙。propertyの所有者が所有物の予約のための料金を取る
ようになっている。競争・革新を強く要請し、消費者のためとなる判断を
するよう希望
- WLSに対して賛否の議論が激しいが、マーケットに回答を委ねるべき。
WLSは競争を排除すると言うが、WLSを提供するのはレジストラであり、レジス
トラ間で競争が発生する(Chuck Gomes, VeriSign)
- VeriSignのやり方はイジメ。WLSは現行のRRPでは利用不可能。VeriSignの
NameStoreを通してのみ可能。
- .IQについて情報を教えてほしい
→.IQの再委任についてはさまざまな所から2桁の問い合わせを受けているが、
詳細は教えられない。ccTLDの再委任要請については、決定がなされないうち
は機密保持をすべきなので
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