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    /P▲         ◆ JPNIC News & Views vol.879【臨時号】2011.8.30 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.879 です
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2011年7月24日から7月29日の6日間にわたり、カナダのケベックシティで第81
回IETFミーティングが開催されました。この会議の様子を、本号より連載で
お届けしてまいります。

まず連載の第1弾として、本号では全体会議報告をお送りします。

また、次号以降では、IPv6関連WG報告、DNS関連WG報告およびセキュリティ関
連WG報告を順次お届けする予定です。

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◆ 第81回IETF報告 [第1弾]  全体会議報告
                                           株式会社インテック 廣海緑里
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2011年2回目のIETF会合が、7月24日から7月29日の間、カナダのケベックシ
ティにて、RIM (Research In Motion社)のホストで開催されました。市内の
旧市街地はユネスコの世界遺産に登録されており、ヨーロッパ風の城郭や建
物を眺めることができます。そんな旧市街地を離れ、丘の上の新市街地に会
場となったケベック・コンベンション・センターはありました。急な坂の上
に位置しているためか、ケベックは坂の多い町という印象を持って帰ってき
ました。

ここでは、「Operation and Administration Plenary」と「Technical
Plenary」の、二つの全体会合についてご報告します。

Operation and Administration Plenaryは、IETFの運用と管理についての報
告を中心とした会合で、7月27日(水)に行われました。Operation and
Administration Plenaryの中で表彰される、Jon B. Postel Awardは、受賞者
が参加できなかったため延期となった旨の報告がありました。IETFチェアで
あるRuss Housley氏からは、今回のIETF81会合の運営状況について46ヶ国
1,057人の参加者があったこと、前回の会合からのアップデートとして五つの
WGが活動を終了し、五つのWGが新設され、合計121のWGが現在活動中であるこ
とや、149もの文書がRFCとして発行されたことなどが報告されています。

7月25日(月)に行われたTechnical Plenaryは、"Report from World IPv6 Day"
と"The Web Privacy Tussle"という二つの技術トピックスでのパネルディス
カッションをメインとして、IRTF (Internet Research Task Force)のリサー
チ報告、IAB (Internet Architecture Board)の活動報告、RSOC (RFC Series 
Oversight Committee)の報告など技術系の報告がされました。

IRTFのチェアのLars Eggart氏からは、12のリサーチグループの活動状況報告
があり、DTNRG (Delay Tolerant Networking Research Group)の活動が活発
でたくさんの文書が提出されている状況が伝えられました。その一方で活動
が活性化していないものとして、VNRG (Virtual Network Research Group)や
P2PRG (P2P Research Group)が挙げられていました。TMRG (Transport 
Modeling Research Group)は、ICCRG (Internet Congestion Control 
Research Group)にマージされることが報告されました。

今回からIRTFの活動に貢献し、実際に研究成果を実用化させた人を讃える
Applied Networking Research Prize (ANRPと略するそうです)の授与がされ
ることになりました。1回目の受賞者は、Mattia Rossi氏とBeichuan Zhang氏
の2名で、それぞれBGPの研究とトラフィック制御にかかる省電力化に対して
評価がされました。賞金500ドルとIETFミーティング参加にかかる費用などが
副賞として贈呈されると同時に、会期中に行われるIRTFミーティングへの招
待がされ、研究内容に関するスピーチが行われたとのことです。次のIETF82
でも表彰を予定しており、ノミネートの受付が開始されています。ノミネー
トは、IRTFのWebページ(http://irtf.org/anrp/)から行えます。

IABチェアのBernard Aboba氏からは、新しいWebサイト(http://www.iab.org/)
の紹介がありました。IABの活動内容もI-Dの形で文書化されますが、沢山の
文書が投稿され、RFC化されている状況が報告されました。IABではインター
ネットの他団体とも連携した活動を行っており、プライバシーや多言語化な
どのアクティビティの紹介がされました。プライバシーに関する活動の一環
で、このプレナリでのパネルディスカッションが企画されています。

RSOCチェアのFred Baker氏からは、RFC文書の発行を行う実務者の活動と予算
の管理について、実務者採用基準の明確化の状況報告がされました。

続く、World IPv6 Dayの開催意義に関するパネルディスカッションでは、
Google社、Facebook社、Yahoo社、Microsoft社などコンテンツサイト側での
計測とその分析結果、ユーザーサイドからみたWorld IPv6 Dayの観測結果な
どが報告されました。このパネルディスカッションでは日本企業からの正式
な報告はなかったのですが、Google社の発表の中で、KDDI社のIPv6ネイティ
ブサービスが良いサービス例として取り上げられました。しかしその一方で、
KDDI社以外のサービスでは問題もみられたという指摘もされていました。
Google社が日本の通信事情に興味を持っているのは、他国に比べるとIPv6接
続といってもいろいろな方式が展開されているからなのではないかと思いま
した。

まとめると、World IPv6 Dayの開催目的の一つであるWebサイトを含む業界内
のIPv6対応のモチベーションを上げることに関しては、世界各国から多くの
関心が寄せられ、1,000サイトにも上るイベント参加者もあったことが報告さ
れました。3分の2の参加者がイベント後もIPv6対応を継続しており、IPv6の
トラフィックも順調に伸びているそうです。IPv6対応サイトが増えることで
問題点やDDoS攻撃が増加するという不安がありましたが、そういった観測は
なく成功裏に終わったようです。

またIPv6導入に関する問題点として、"Brokenness"と総称して呼ばれる6to4
などの移行技術を使ったアクセスの問題点や、OSやブラウザの実装に関する
不具合点が指摘されていましたが、イベントの前後で観測される問題数に大
きな変化はないようです。むしろ問題点の一部に関しては減ってきている状
況という報告がされました。実際Yahoo!へのアクセス全体における"Broken
User" は、0.078%から0.022%に落ちたそうです。一般的にWebサイトのIPv6対
応は、サイト運営者が個別に進めるものですが、6月8日というターゲットに
向けて取り組んでみると、期限があると強い動機づけになること、実験イベ
ントというスタイルであったためユーザーにも説明がしやすかったこと、テ
ストによって準備してきたことが間違っていないことを確かめられたことな
どが、今回のイベントのメリットが報告される一方で、世界中に理解を求め
ることの難しさも挙げられていました。いずれにしても、WebサイトがIPv6対
応するにあたって障壁と考えられていたようなことは大きな問題ではないこ
とが分かり、今後はIPv6対応が進むと考えられます。

プライバシーに関するパネルディスカッションでは、3人の専門家から発表が
されました。プライバシーの認識と行動の関係をもとにプライバシーに配慮
したWebサイトのデザインが可能であることや、実際にどのような原則でWeb
サイトを構築すると良いか、利用に気をつける技術としてCSSやGeolocation
があること、User Trackingに関して一つのWebサービスの背後にある何十、
何百の情報連携の現実など興味深い内容が提示されました。これらを踏まえ、
IABのプライバシープログラムの成果として、実装開発やモデル化など研究開
発のいろいろな段階で参照できる文書がまとめられます。

次回IETF82は、2011年11月13日から18日にかけて、台湾で開催されます。


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 JPNIC News & Views vol.879 【臨時号】

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