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    /P▲         ◆ JPNIC News & Views vol.913【臨時号】2011.12.14 ◆
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◆ News & Views vol.913 です
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2011年11月13日から18日の6日間にわたり、台湾の台北にて第82回IETFミー
ティングが開催されました。この会議の様子を、本号より4号の連載でお届け
してまいります。

まず連載の第1弾として、本号では全体会議報告をお送りします。次号以降で
は、IPv6関連WG報告、DNS関連WG報告およびセキュリティ関連WG報告を順次お
届けする予定です。

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◆ 第82回IETF報告 [第1弾]  全体会議報告
                               アラクサラネットワークス株式会社 新善文
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第82回IETF meetingは、2011年11月13日(日)から18日(金)の間、台湾の台北
にて開催されました。会場は、信義新都心という台北で最も新しい開発エリ
アの「国際会議中心」で、独特な形をした台北101ビルの近くでした。非常に
きれいでおしゃれな地域でしたが、参加者が多く泊まっていたGrand Hyatt 
Taipeiは、建っている場所が旧日本軍の処刑場だったので、幽霊が出るとい
う話がありました。期間中に幽霊を見たと、ホテルを替わった参加者もいた
ようでした。しかし、台湾のWikipediaによれば、ロビーに高名なお坊さんに
よる魔除け/お守りの書があるためにできた都市伝説で、実際には農地だった
ようです。

さて、ここでは「IETF Operation and Administration Plenary」および
「Technical Plenary」の二つの全体会合および気になったトピックについ
て、感想を交えて報告します。

11月16日(水)に開かれた「IETF Operation and Administration Plenary」で
は、台湾の紹介および台湾の通信事情、インターネットの状況を説明したホ
ストプレゼンテーションに続き、Postel Awardの発表、表彰が行われました。
これは前回、受賞者が参加できなかったため、延期されていたものです。受
賞者は、アジア地域におけるインターネットの発展と振興に貢献したという
ことで、Kilnam Chon氏(慶應義塾大学特任教授、韓国科学技術院(KAIST; 
Korea Advanced Institute of Science and Technology)名誉教授)でした。
続いて、IPv6の普及、発展に貢献した人に送られるItojun Awardの発表、表
彰がありました。これには6rdを実装したAlexandre Cassenと、6rdを設計し
たRemi Despresの両氏が、受賞者として選ばれました。

それからレポートが続き、最初のIETF chairレポートでは、参加者の内訳や
RFC、Internet-Draftなどの、前回のIETF meetingからの差分の紹介がありま
した。今回の参加者は、48ヶ国から合計931人でした。参加者の多い国から米
国、中国、日本の順でした。ただし、日本、中国は同じぐらいの人数に見え
ました。申し込みの時点では、中国からもっと多くの人が登録していたので
すが、ビザがおりなくて参加できなかった人がいるようでした。

前回のmeetingから四つの新しいワーキンググループ(WG)ができ、八つのWGが
クローズされました。512件のInternet-Draftが書かれ、1,112件の
Internet-Draftがアップデートされました。また、RFCは97件が発行されまし
た。その内訳は、51件がスタンダードトラック、7件がBCP、31件がインフォ
メーショナル、2件がエクスペリメンタルでした。

NOCレポートでは、今回のネットワークはChunghwa Telecom HiNetから2系統、
会場やホテルに引き込まれ、IPv4だけでなくIPv6ネイティブの接続がされた
ことが報告されました。

IAOC&IADレポートでは、ファイナンス関係の報告が行われた後、今後の開催
地についての話がありました。アジア地域で開催地を探しましたが、ホテル
代などが非常に高くなってしまうため、第88回の開催はアジアの代わりにカ
ナダのバンクーバーに決定しました。それから第87回は、ドイツのベルリン
で開催することが紹介されました。また、いつか近いうちに、日本で開催す
るという話がありました。

11月14日(月)に開催された「Technical Plenary」では報告として、IRTF 
chairレポート、IAB chairレポート、RSOCレポート、そしてテクニカルセッ
ションがありました。

IRTF chairレポートでは、Lars Eggert氏からIRTFの報告として各WGの活動紹
介がありました。それからApplied Networking Research Prize (ANRP)とい
うAwardの報告があり、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科の本多倫夫
さんが、TCPの拡張可能性に関する研究で受賞しました。これは、インター
ネット上で実際にTCPの処理がどうなっているかを計測して、拡張について考
察したものです。もう1人は、デラウェア大学のNasif Ekiz氏が、やはりTCP
の振る舞いに関する研究で受賞しました。

IAB chairレポートでは、Bernard Aboba氏よりIABの活動紹介がありました。
IABではアーキテクチャなどの検討、ワークショップのまとめのRFC化、他の
組織とのリエゾンを行っているそうです。またIPの評価、 IPv6 for IAB 
Business、HTTP/Web評価、DNS、非常時サービスといった事項についての検討
が、グループごとに行われているそうです。

今回のテクニカルセッションのテーマは、"Interconnecting Smart Objects
with the Internet"でした。まず、はじめにJari Arkko氏より、"IAB 
Workshop on Interconnecting Smarts Objects with the Internet"の報告が
ありました。これは2011年の3月25(金)から26日(土)にかけて開催され、参加
者は90名以上だったそうです。このワークショップで、スマートオブジェク
トに関してIETFでどのような活動を進めていくかの議論があり、プロトコル
スタックの検討(ND、Routing)、軽量のTCP/IPを実装するためのWGなど、複数
のWGの活動へ結びついていると報告がありました。また、スマートオブジェ
クトを考える上でいくつかの選択肢があり、例えば一つのインターネットか、
あるいはアプリケーションごとに特化したネットワークかとか、間欠接続か、
現状のプロトコルモデルのままかとか、IPを使うか、あるいはレガシーなプ
ロトコルを使うかといった点が問題となります。これらは、すべてのデバイ
スがインターネットにつながらなければならないか?といった課題について、
IP至上主義に拘らずIETFが現実的な活動をしようとしていることを示してい
ます。

次にFred Baker氏が、"Smart Objects and the Internet Architecture"とい
うタイトルで、スマートオブジェクトの接続方法、セキュリティについては
どの層で技術開発がするのがよいか?という話がありました。

Robert Assimiti氏は、"The Holy Grail of Smart Object Interoperability"
というタイトルで話をしました。これまでに、センサーなど小さなデバイス
に使用可能な技術が、いろいろな組織で開発されています。これらの成果を
使ってスマートオブジェクトは実現されるので、キメラのようにいろいろな
異なる技術の組み合わせになるだろうと主張されました。

Zach Shelby氏による話のタイトルは、"The Web for Smart Objects"で、ス
マートオブジェクトに関連するWeb技術には、W3C、OASIS、ETSI、BACnet、
Zigbeeなど多くの団体がいろいろな層、幅をもって活動しています。IETFで
も多くのWGができています。これを理解した上で、Internet of Things(IoT)
では、取り組んでいく必要があるのではないかと話されました。

最後にCarsten Bormann氏は、これまでセンサーネットワークの研究をしてき
た経験を発表されました。センサーネットワークでは、電力、メモリの制限
が非常に大きくなります。またネットワークとしてはロスが大きいし、
Ethernetではないネットワークとなります。またこれらの進歩は、PCやサー
バなどに比べてゆっくりしたものです。これらの課題を解決するために、IETF
では現在、6LoWPAN向けのIPv6 NDの拡張や、CORE WGでの取り組みが行われて
いるそうです。

また、今回も新たなWGを立ち上げようと、多くのBoFが開かれましたが、その
中で印象に残ったものとして、Software Definition Network(SDN) BoFがあ
りました。IETFでもOpen Flowに取り組むということか?ということで、多く
の人が集まりました。提案側より、Open Flowではないものを検討しよう、そ
れからアプリケーションAPIとNetwork APIを検討しよう、という絵が示され
ました。つまり、このBoFを開催した人は、IETF標準のOpen FlowのためのWG
を作りたかったと思われます。しかし、問題を提起した複数のプレゼンテー
ションを聞く中で、「データセンターなどでダイナミックに構成を変更した
い」という要求は支持を集めました。ただし、「SDNは必要ない」という意見
も聞かれました。BoFの最後に、「どこでWGを作るか」という問い合わせが
あったのですが、結果として、「ルーティングエリアよりアプリケーション
エリアの方がいい」という意見が多かったように見えました。参加者は、デー
タセンター運用、ルーティング、アプリケーション、コンテンツというとこ
ろに興味がある人が、非常に多く集まっていましたが、どうやらBoFを仕組ん
だ人の思惑とは、違った結果となったようです。IETFにおいてはこれまで、
Internet/routing vs アプリケーションでは、明らかにInternet/routingが
強い、と思われていました。しかし、インターネットのベース部分は、もう
出来上がってきたので変化を受け入れられず、アプリケーション層で対応し
ようということのようです。IETFでも参加者の考え方が、変化してきている
ように感じられました。

次回のIETF meetingは、2012年3月25日(日)から30日(金)にかけて、フランス
のパリにて開催されます。


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       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
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 JPNIC News & Views vol.913 【臨時号】

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