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    /P▲         ◆ JPNIC News & Views vol.958【臨時号】2012.4.20 ◆
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◆ News & Views vol.958 です
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2012年3月25日から30日の6日間にわたり、フランスのパリにて第83回IETFミー
ティングが開催されました。この会議の様子を、本号より連載でお届けして
まいります。

まず連載の第1弾として、本号では全体会議報告をお送りします。次号以降で
は、DNS関連WG報告、IPv6関連WG報告を順次お届けする予定です。

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◆ 第83回IETF報告 [第1弾]  全体会議報告
                               アラクサラネットワークス株式会社 新善文
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第83回IETF Meetingは2012年3月25日から30日の間、フランスのパリにて開催
されました。パリといえばエッフェル塔に凱旋門、シャンゼリゼ通りやお洒
落なカフェを想像されると思います。しかし、会場は中心街より西に外れた
国際会議場です。IETF参加者の多くは近くの高級ホテルに宿泊していました。
高級ホテルで安全かと思いきや、客室から現金、iPadなど盗難の報告が相次
ぎ、IETFセクレタリとホテル側が協議する事態となりました。街中でも地下
鉄で財布を取られたとか物売りが来るとか、優雅な街というより治安の悪さ
を印象づけられました。そういえば以前パリでIETF Meetingが開催されたと
きも、盗難騒ぎが報告されていました。旅慣れた人たちが多い会議のため、
他の都市ではこんなことはまずないのですが。

さて、ここでは「IETF Operation and Administration Plenary」および
「Technical Plenary」の二つの全体会合および気になったトピックについ
て、感想を交えて報告します。


◆ IETF Operation and Administration Plenary

3月28日に開かれた「IETF Operation and Administration Plenary」では、
各種報告、アナウンスがありました。

IETF chairレポートでは、参加者の内訳やRFC、Internet-Draftなど前回の
IETF Meetingからの差分の紹介がありました。今回の参加者は56の国と地域
から合計1,318人でした。参加者の多い国から米国、中国、フランス、日本の
順でした。ただし中国は約150人、日本は年度末にかかったことから約80人と
かなり少ない数でした。参加者の順位で日本が4位まで下がったのは、2011年
3月の、東日本大震災発生直後に開催された第80回会合以来です。

前回のミーティングから三つの新しいワーキンググループ(WG)ができ、五つ
のWGがクローズされました。576件の新規のInternet-Draftが書かれ、1,144件
のInternet-Draftがアップデートされました。またRFCは115件が発行されま
した。その内訳は64件がスタンダードトラック、5件がBCP (Best Current
Practice)、40件がインフォメーショナル、6件がエクスペリメンタルでした。

IAOCのレポートでは、今回のパリは参加人数が増え、収支が改善されたこと
が報告されました。前回の台北は212人予定より参加者が少なく、収支として
は苦しかったようです。それでも2011年はすべてのミーティングにホスト、
スポンサーがつき、なんとかやりくりできたそうです。今回のミーティング
もなかなかホストが決まらず、本当に直前にCisco社が名乗りを挙げたそうで
す。それから、今後の3年間の計画を立てることがほぼできたということで、
まだ開催地が決まっていなかったところの発表がありました。IETF89(2014年
3月)はイギリスのロンドン、IETF90(2014年7月)はカナダのトロント、IETF91
(2014年11月)米国のハワイとなるそうです。また、IETF94(2015年11月)は横
浜に決まり、WIDEプロジェクトがホストになると発表されました。「日本は
大好きだし、村井純先生と仲間たちだから楽しみだ」という発言もありまし
た。

それから新しい試みとしてNANOGの"Beer and Gear"イベントにならって、
"Bits and Bites"イベントをやってみようという話が出ています。飲み物と
おつまみを出して、情報交換に役立てたり人の輪を広げようということだそ
うです。

また、ISOCが20周年を迎え、記念イベントとしてISOC's 20th Anniversary:
Global INET 2012を、2012年4月22日から24日にかけてスイスのジュネーブで
開催することが発表されました。「会場はITU-Tのすぐ近くだけど、仲良く
やっているから大丈夫」と笑わせていました。

NOCレポートでは、今回のネットワークはISPから1Gbpsの回線を2本引き、会
場およびホテルもすべて1Gbpsの線で構成されたそうです。また、ホテルにも
IETFの無線LANを持ってこようと、いろいろと調整しながら引き込みました。
ただ、ホテルのネットワークがまともに動くようになったのは、火曜の夜あ
たりでした。無線アクセスポイントの調整が難しかったそうです。


◆ Technical Plenary

3月26日に開催された「Technical Plenary」では報告として、IRTF chairレ
ポート、IAB chairレポート、RSOC & RSEレポート、World IPv6 Launchのア
ナウンス、そしてテクニカルセッションがありました。

IRTF chairレポートでは、Lars Eggert氏からIRTFの報告として各WGの活動紹
介がありました。現在、活発に活動しているのは、ASRG (Anti-Spam Research
Group)、CFRG (Crypto Forum RG)、DTNRG (Delay-Tolerant Networking RG)、
ICCRG (Internet Congestion Control RG)、NMRG (Network Management RG)、
SAMRG (Scalable Adaptive Multicast RG)と今回初めてミーティングを開く
NCRG (Network Complexity RG)です。継続的に活動を続けているグループと
しては、HIPRG、MOBOPTS (IP Mobility Optimizations RG)、P2PRG
(Peer-to-Peer RG)、RRG (Routing RG)があります。VNRG (Virtual Network
RG)は活動を中止します。

IAB chairレポートでは、Bernard Aboba氏よりIABの活動の紹介がありまし
た。今回より新たにJari Arkko氏、Marc Blanchet氏、Mary Barnes氏の3名が
加わりました。入れ替わりにOlaf Kolkman氏、Andrei Robachevsky氏、Dow
Street氏が退任しました。さらにIABで執筆しているRFCの状況の報告とリエ
ゾンの報告がありました。

それから、ISOCのLeslie Daigle氏よりWorld IPv6 Launchの説明がありまし
た。この目的はIPv6普及のための鶏-卵問題を打ち破るきっかけであり、通常
のビジネスとしてIPv6を扱っていく、しかもIPv6をデフォルトにしていくと
いうものだそうです。昨年のWorld IPv6 dayは1日だけのイベントだったのに
対し、World IPv6 Launchは2012年6月6日よりずっとIPv6サービスを始める日
ということで、キックオフだと表現されています。今回の参加対象とされて
いるのは、アクセスネットワーク、ホームルータ、Webサイトということで
す。詳細は次のURLを参考にしてください。

http://www.worldipv6launch.org/

http://www.attn.jp/worldipv6launch/ (日本語)

今回のテクニカルプレナリのテーマは、"Implementation Challenges with
Browser Security"で、モデレーターはHannes Tschofenig氏でした。背景と
しては、現在のインターネットには多くのセキュリティ問題があるが、今回
はWebにフォーカスを絞って議論するということでした。「WebはDNS、TLS、
HTTP、URIs、HTML、XML/JSON、JavaScriptなど多くの技術要素が組み合わさっ
て実現している。それらはOS、デバイス、ブラウザというさまざまなところ
で実装されているが、どうセキュリティを確保していくのか」という質問が
パネラーに出されました。

最初にRTFMのEric Rescorla氏は、TLSは大丈夫かという話をしました。
「httpsならTLS/SSLで暗号化されるが、99%のトラフィックはhttpのまま暗
号化されていない。httpsを要求するのは約1%である。多くの人たちは
http://を使っている。他にもセキュリティを確保する方法があるか検討した
が、自動的にhttpをhttpsにする仕組みを入れたりしながら、どこでもTLSを
使うのがよい」という話でした。Mozilla FoundationのThomas Lowenthal氏
はCryptography Infrastructureというタイトルで、「暗号化は安全にできる
し、650あるCA局はすべての人から信用されているが、時々CA局はミスをす
る。そのため実装時にはいろいろと考慮しないといけないことが増えている。
信用モデルによって制限を加えるといったようなことを考えないといけな
い」、といった話がされました。Casaba Security社のChris Weber氏はWebの
新たな機能とWebブラウザの実装、それに標準化という関係の中で複合した問
題が起きることを指摘しました。Google社のIan Fette氏は先日RFC6455とし
て発行されたWebSocketのセキュリティをどのように実現しているかを説明し
ました。PayPal社のJeff Hodges氏は、Webブラウザの実装について話をしま
した。「多くの種類のブラウザがあるが、スタンダードはきちんと決まって
いる。また、セキュリティの枠組みも実装されていく。これらは安定性の競
争である。従って世界の終わりではない」と説明しました。それから、オー
プンマイクでモバイル端末のセキュリティは大丈夫だろうかといったコメン
トが出ていました。

今回のテーマもアプリケーションエリアを中心にした話題であり、従来のIETF
の中心と言われていた、インターネットエリアやルーティングエリアの人た
ちの興味とずれてきています。しかし、多くの人たちにとってインターネッ
トの入り口は今やブラウザであり、そのセキュリティ対策を総合的に考えて
いこうというのはIETFとしてのメッセージとして非常にタイムリーだったと
思います。

次回のIETF Meetingは、2012年7月29日から8月3日にかけてカナダのバンクー
バーにて開催されます。


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       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
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 JPNIC News & Views vol.958 【臨時号】

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