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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1360【臨時号】2015.12.7 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.1360 です
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2015年11月上旬に神奈川県のパシフィコ横浜にて、日本での開催は3回目とな
る、第94回IETFミーティングが開かれました。この会議の様子を、本号より
連載にてお届けします。

連載の第1弾となる本号では、全体会議報告をお送りします。次号以降では、
セキュリティ関連WG、IPv6関連WG、DNS関連WGの報告を、順次お送りします。
また、それらに加えて今回のIETF報告では、DHCPに関連した議論の動向や、
IETFミーティング初参加者によるレポートなどもご紹介する予定です。

なお、本連載に加えて、オンサイトでの報告会も明日12月8日(火)に、東京・
神田のエッサム神田ホール1号館にて開催いたします。申込受付は本日7日(月)
の17時までとなっておりますので、本号を読んでIETFに興味を持たれた方は、
ぜひご参加ください。

    IETF報告会(94th横浜)プログラムのご案内
    https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2015/20151130-01.html

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◆ 第94回IETF報告 [第1弾] 全体会議報告
                            青山学院大学 情報メディアセンター 根本貴弘
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■ はじめに

第94回IETF Meetingは、2015年11月1日(日)から11月6日(金)の間、神奈川県
横浜市にあるパシフィコ横浜にて、WIDEプロジェクトのホストで開催されま
した。

今回のIETF Meetingは、2002年に横浜で開催された第54回IETF Meeting、2009
年に広島で開催された第76回IETF Meetingに続き、日本で開催される3度目の
IETF Meetingとなります。

会場はみなとみらい駅近くということもあって、駅に併設された商業施設内
にレストランやカフェも多くあり、開催地としては快適に過ごせる場所であっ
たのではないかと思います。

今回のIETF Meetingは、開催前からISOC-JPとJPNICが共催してIETF勉強会と
いう、IETF Meetingの参加をより有意義にするための勉強会(*1)が開かれた
り、W3C TPAC (Technical Plenary/Advisory Committee Meetings Week)と開
催時期を近づけたり、IETFとW3C TPAC両方のイベントに参加する人向けに参
加料金の割引プログラムが用意されたりと、会期前から今回のMeetingを盛り
上げようとする試みが行われていました。

(*1) https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2015/20150618-01.html
     https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2015/20150910-01.html

また、国内開催ということもあり、国外で開催されるIETF Meetingでは60人
から80人程度の日本人参加者が、今回は364人と多かったことがとても印象的
でした。11月1日(日)のNewcomers' Orientationも、通常の英語によるオリエ
ンテーションの他に、日本語によるオリエンテーションも開催されていまし
た。新規参加者ではないのですが、その様子が気になったためこっそり覗い
てみたところ、株式会社レピダムの林達也氏によるオリエンテーションが行
われており、会場はほぼ満席となっていました。

さらに、11月3日(火)に開催されたSocial Eventでは、日本の伝統文化を楽し
んでもらう趣向が凝らされ、開会挨拶の際には鏡開きが行われました。そし
て、その酒を注いだIETF 94の焼印が押された枡が、今回のSocial Eventのお
土産として配られていました。料理は、職人による寿司や天ぷら、おでんな
ど、日本の代表的な料理が振る舞われ長い行列ができていました。また、飴
細工職人や切絵師による出店も設けられていて、その場で飴や切絵を作って
もらえ、こちらも順番待ちの列ができているなど、海外からの参加者の評判
も良かったようです。閉会の挨拶も、日本風に東京大学の浅井大史氏が音頭
を取り、参加者全員で一本締めを行いました。ただ、その後もなかなか盛り
上がりが治まらず、2度目の閉会の挨拶ということでNTTコミュニケーション
ズ株式会社の宮川晋氏が音頭を取り、三本締めにてようやく閉会となるくら
い、今回は盛況だったようです。

さて、ここからは11月4日(水)に開かれた「IETF Operations, 
Administration, and Technical Plenary」の様子について、簡単にご報告し
ます。


■ IETF Operations, Administration, and Technical Plenary

11月4日(水)の「IETF Operations, Administration, and Technical 
Plenary」は、会期中の各WGの会合スケジュール問題を改善する一環として、
これまで別日程で開催されていた「IETF Operation and Administration 
Plenary」と「Technical Plenary」の二つの全体会合を一つにまとめて、会
期中の全体会合の時間を短縮する目的で試みられました。

11月3日(火)に開催されたSocial Eventの開会式の際にも着用していた、赤い
法被を羽織ったIETF ChairのJari Arkko氏のウェルカムスピーチから始まり、
ホストプレゼンテーションが続き、各ホットトピックの報告として、以下の
トピックごとに報告がありました。

  - IETF-wide issues
  - Administrative topics
  - Invitation to IETF 95
  - NomCom update and requests
  - New research groups
  - Progress in format work
  - Meeting calendar updates

その後、IAB (Internet Architecture Board) ChairからのIAB活動報告、
Technical Topicが一つ、IABとIAOC (IETF Administrative Oversight 
Committee)、IESG (Internet Engineering Steering Group)オープンマイク
という流れで、議事進行がされました。

○ホストプレゼンテーション

ホストプレゼンテーションでは、WIDEプロジェクトの代表である江崎浩氏よ
り挨拶がありました。今回のNOCボランティアは、加藤朗氏、関谷勇司氏、大
江将史氏が中心となり、WIDEプロジェクトのNOCメンバーとIETF NOCメンバー
が協調して、会場ネットワークを準備したと紹介がありました。また、今回
のNOCボランティアは会場ネットワークに加えて、会場近くにあるよこはまコ
スモワールドの観覧車「コスモクロック21」の頂上付近で利用可能な、SSID
「ietf-wheel」というWi-Fiネットワークを提供しているという紹介もあり、
会場からはNOCボランティアの貢献に対する拍手がありました。そして、今回
のIETF Meetingのスポンサーをした各組織の紹介があり、今回のIETF Meeting
はこれら各組織の協力のもと実現することができたと謝辞を述べ、会場から
も大きな拍手が起こりました。

○IETF-wide issues

IETF-wide issuesでは、IETF ChairのJari Arkko氏より、参加者の内訳やIETF
の全般的なホットトピックについて報告がありました。第94回の現地参加者
は、52の国と地域から1,298人の参加となり、前回の1,358人の参加から60人
ほど減少していました。また、2015年の同時期に米国ハワイにて開催された、
第91回の参加者数の1,109人と比較すると、189人程度参加者が増えたとのこ
とでした。新規参加者は全体の約21%の278人で、ここ数年開催されているIETF
Meetingの中でも、今回は特に新規参加者が多い回となったことがわかりま
す。国別の参加者数は、1位米国、2位日本、3位中国、4位ドイツとなってお
り、日本からの参加者数は、全体の参加者数の1/4程度の割合となっていまし
た。

今回はホットトピックとして、.onionとGen-ART (General Area Review Team)
の紹介がありました。

・.onion

.onionは、経路情報の匿名化を行う、Torネットワークで利用するトップレベ
ルドメイン名です。このドメイン名を既存のドメイン名と同様にDNSで利用す
ることを防ぐために、RFC6761 "Special-Use Domain Names"に従い、.onion
を予約を行うことを記述した、RFC7686 "The ".onion" Special-Use Domain 
Name"が発行されたとの紹介がありました。

・Gen-ART

Gen-ARTは、RFCの品質向上を目的として、General Area Directorと共に、
IETF LC (Last Call)中のI-D (Internet Draft)を多角的にレビューするため
のチームです。今回、Arkko氏より、そのレビュワーとして参加しているボラ
ンティアの紹介がされると、会場から拍手が起こりました。

また今回のRecognitionでは、会期中に25周年を迎えるBMWG (Benchmarking 
Methodology Working Group)の紹介が行われました。BMWGは、これまでに34
本のRFCを発行し、インターネット技術に大きな貢献をしています。初代BMWG
Chairを務めたScott Bradner氏をはじめとした、BMWGに関わったボランティ
アの方々に感謝の意が述べられ、会場からもその貢献を讃えた拍手が起きて
いました。

・その他

その他のホットトピックとしては、Code & Hackathonとして、Code Sprintや
IETF Hackathonの紹介がありました。インターネットの発展形態と、IETFが
行っている標準化プロセスを端的に表現した言葉として、David Clark氏が述
べた"We reject kings, presidents and voting. We believe in rough 
consensus and running code"という言葉があります。この"Running Code"を
IETFでは重要視しており、近年イベントを通じてさまざまなWGにて議論中の
提案を、実際に実装するイベントが開催されるようになりました。今回開催
された第3回IETF Hackathonは、10月31日(土)と11月1日(日)の2日にわたり開
催され、参加者は2日合わせて100人程度だったと報告がありました。

また、Arkko氏のスライドには、IETF HackathonにてSFC (Service Function 
Chaining)に関する実装を行った日本人チームの写真が掲載されており、
"Running Code"においても日本からの貢献があることが印象的でした。第4回
IETF Hackathonは、第95回IETF Meetingの直前の2016年4月2日(土)と3日(日)
の2日にかけて行われるそうで、現在、準備や参加者募集していると呼びかけ
がありました。

○Administrative topics

Administrative topicsでは、IAOC ChairのTobias Gondrom氏と、IETF Trust 
ChairのBenson Schliesser氏から報告がありました。

Gondrom氏からは、はじめに次回以降のIETF Meetingについての報告がありま
した。第95回のホストは、ラテンアメリカとカリブ海地域を担当する地域イ
ンターネットレジストリ(RIR)である、LACNICに決まりました。第96回はベル
リン、第97回はソウルで開催される予定ですが、第98回は開催地を予定して
いたモントリールの会場ホテルと調整がまとまらず、開催のめどが立たなかっ
たため、現在、開催地を北米地域から再度探しているとのことでした。第99
回はヨーロッパ地域での開催が決まっており、最終契約を行っているとのこ
とです。第100回は開催地をアジア太平洋地域と決めたが、契約などについて
はこれから行うそうです。

IASA (IETF Administrative Support Activity)に関する予算報告では、2016
年から2018年にかけての予算が決まったとの報告がありました。また、
Acknowledgmentsでは、NOCボランティアと会場のネットワーク機器や回線を
提供した企業、Code Sprintの参加者の紹介がありました。

最後に、11月5日(木)の昼には慶應義塾大学の村井純氏による"Japan x 
Internet"と題したTech Talk、そして、その晩にはBits-N-Bitesが開催され
るという紹介がありました。

Schliesser氏からは、IETF Hackathonにて作成されたコードなどの著作物
(IPR; Intellectual Property Rights)の取り扱いをまとめた、Hackathon 
IPRの紹介がされました。

○Invitation to IETF 95

Invitation to IETF 95では、LACNICのCTO Carlos Martinez氏より、第95回
IETF Meetingの紹介が行われました。また、2016年1月でIETFは30周年を迎え
ることとなり、第95回は30周年を迎えた後で最初のIETF Meetingとなるよう
です。ホストを務めるLACNICの紹介動画を流した後、ブエノスアイレスの魅
力について紹介がありました。会場の周囲には、港や画家Quinquela Martin
の出身地でありカラフルな建物が有名なボカ地区、また、ボカ地区が発祥と
されているタンゴなど、さまざまな見所やビールが飲めるお店もあります、
と紹介がありました。

○NomCom update and requests

NomCom update and requestsでは、NomCom (Nominating Committee) Chairの
Harald Alvestrand氏より、NomComの活動の進捗報告がされました。はじめ
にNomComのメンバーの紹介がされ、今回は男性37名、女性6名の、計43名の推
薦があったとの報告がありました。また、今回のIETF Meetingにて43名中39
名の面接を行う予定であり、年末までには候補者をまとめられる予定である
と報告がありました。

○New research groups

New research groupsでは、IRTF ChairのLars Eggert氏より、会期中に開催
されるRG (Research Group)の紹介がありました。今回開催されるRGの会合
は、以下の五つです。

  - Crypto Forum (CFRG)
  - Information-Centric Networking (ICNRG)
  - Network Function Virtualization (NFVRG)
  - Network Management (NMRG)
  - Software-Defined Networking (SDNRG)

またこの他に、以下の四つのProposed RGの会合も開催されるとの報告もあり
ました。

  - Proposed Human Rights Protocol Considerations (HRPC)
  - Update on the Internet Research Task Force at Proposed 
    Thing-to-Thing (T2TRG)
  - Network Machine Learning Research Group(NMLRG)
  - Proposed How Ossified is the Protocol Stack (HOPSRG)

RGの紹介の後は、IRTFとISOCが共催したワークショップ"Research and 
Applications of Internet Measurements (RAIM)"が、10月31日(土)に開催さ
れたとの報告がありました。

○Progress in format work

Progress in format workでは、RSE (RFC Series Editor)のHeather 
Flanagan氏から、RFC formatの改訂作業のゴールと進捗についての報告があ
りました。改訂作業のゴールとしては、XMLによる記述は変更しない一方で、
アウトプットのファイル形式はplain textやPDF、HTMLに対応することをめざ
しているとのことです。また、図表については、従来のASCIIアートによる表
現ではなくSVG (Scalable Vector Graphics)ファイルを利用可能とすること、
文字については、Non-ASCII文字も利用可能とすることが説明され、今後も作
業を継続するとのことでした。

○IABの主な活動報告

IAB Chairレポートでは、ChairのAndrew Sullivan氏から、IABの活動内容の
紹介がありました。また、今回はBoFの開催が少なかったことを受けて、IAB
ではBoFの開催を手伝う姿勢があるので、BoFを開催したい人はぜひ気軽に声
をかけて欲しいとのことでした。

○Technical Topic

今回のTechnical Topicは、計測結果に基づくエンジニアリングがインター
ネット技術においても重要であるという観点から、IABのBrian Trammell氏と
CAIDA (Center for Applied Internet Data Analysis)のAlberto Dainotti氏
からそれぞれ、"Measurement-Driven Protocol Engineering"と"Measuring 
and Monitoring BGP"と題した発表がありました。

Trammell氏からは、IABが取り組んでいるIP Stack Evolutionプロジェクトを
例に、このプロジェクトではインターネットはUDP上で正しく動作することを
前提に設計が進められているが、本当にインターネットはUDPでカプセル化し
たパケットが増大しても問題なく動作するのかという問いかけをし、計測を
行うことの必要性について説明していました。また一方で、計測を行うツー
ルはいろいろとあるものの、実際にはインターネットの計測を行うことは困
難であり、計測結果のデータが不足しているため、計測したデータを共有で
きる仕組みを持つ必要があるとのことでした。

Dainotti氏からは、「アラブの春」の際に行われた国単位でのブロッキング
や、東日本大震災の時に発生したBGPの変化、MITM BGP attacksなど、BGPに
大きな変化が見られた代表的な出来事の紹介がありました。

○IAB、IAOC、IESGオープンマイク

今回のオープンマイクは、これまで「IETF Operation and Administration 
Plenary」と「Technical Plenary」でそれぞれ別に設けられていたオープン
マイクが、一つにまとめて行われました。会場から「今回はBoFが少なかっ
た」という声があった一方で、IAB ChairのSullivan氏からは、Bar BoFにつ
いては「開催については特に許可を取る必要はないので、必要に応じて開催
して問題ない」などの、BoFに関する話がありました。また、「W3C TPACや
OpenStack Summit等、関連するイベントがIETFと会期が近くまとまっていて
参加しやすかった」という声もありました。

                  ◇              ◇              ◇

次回のIETF Meetingは、2016年4月3日(日)から4月8日(金)にかけて、アルゼ
ンチンのブエノスアイレスにて開催されます。


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       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
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