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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1675【定期号】2019.4.15 ◆
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◆ News & Views vol.1675 です
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毎月15日(土日祝の場合はその翌日)に発行している定期号では、特集記事の
みならず、業界メンバーのコラムや用語解説、統計などもお届けしています。

本号から、2019年3月9日(土)~14日(木)に兵庫県神戸市で開催された第64回
ICANN神戸会議(ICANN64)の様子を、前後編にてお伝えします。本号ではその
前編として、会合の全体概要をご報告します。今回の神戸会議は、2000年7月
の第6回ICANN横浜会議以来、実に19年ぶりの日本開催でした。日本における
関係者の力が結集し実現した会議で、海外からの参加者にも大好評でした。

News & Views Columnでは、ICANN64でネットワークスポンサーとしてご参画
いただいた西日本電信電話株式会社の徳永正己さんに、今回の会議での思い
出や環境構築にまつわるお話をご寄稿いただきました。

インターネット用語1分解説では、ICANNにおけるポリシー策定プロセス(PDP)
の一つである「EPDP」について解説しています。

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◆ 目次
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【 1 】特集 「第64回ICANN神戸会議報告 [前編]
              19年ぶりのICANN会議日本開催を終えて」
【 2 】News & Views Column
       「ICANN64 in KOBE開催を終えて」
         西日本電信電話株式会社  徳永正己氏
【 3 】インターネット用語1分解説
       「EPDPとは」
【 4 】統計資料
         1. JPドメイン名
         2. IPアドレス
         3. 会員数
         4. 指定事業者数
【 5 】イベントカレンダー

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【 1 】特集 「第64回ICANN神戸会議報告 [前編]
              19年ぶりのICANN会議日本開催を終えて」
                                     JPNIC インターネット推進部 山崎信
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2019年3月9日(土)から14日(木)にかけて、第64回ICANN会議(ICANN64)が兵庫
県神戸市で開催されました。2000年7月に開催された第6回ICANN横浜会議以
来、実に19年ぶりの日本開催です。気が付くと、ICANN64が終わってからあっ
という間に1ヶ月近くが経ちました。ここで振り返りを兼ねて、ICANN64を総
括したいと思います。

■ 会場準備

会議自体の主催はICANNですが、現地の組織が実施した方が効率的な事柄につ
いては、ローカルホストと呼ばれる現地運営組織が担当することになってい
て、今回は日本国内でローカルホスト委員会(LHC)を組成して対応しました
(*1)。このローカルホストの責務の一つには、ネットワーク接続性の提供が
ありますが、会議前週早々には接続が完了し、無線LAN環境の構築や各会議室
の設営にスムーズにつながったようです。ICANN64で利用した会議室の多くは
遠隔参加を可能にするため、映像・音響設備およびネットワークを完備して
おり、設営も運用もかなり複雑そうに見えましたが、会期中は問題なく提供
されていたようです。

(*1) ICANN64 Local Host Committee
     https://www.icann64.jp/

ちなみにICANN発表の報告書(*2)によれば、ICANNが持ち込んださまざまな機
材の総重量は10.8(メートル/メトリック)トンだったそうです。同報告書に
は、機材の総重量は神戸ビーフの元となる但馬牛(たじまうし)換算17頭とい
う面白い記述もあります。機材に加え、神戸入りしたスタッフ数も166名と大
変な人数でした。

(*2) ICANN64 By the Numbers Report
     https://meetings.icann.org/en/kobe64/icann64-technical-report-09apr19-en.pdf

筆者が神戸入りしたのは会議初日の前日3月8日(金)でしたが、その時点で会
場の設営はほぼ完了しており、最終確認をしている光景があちこちで見られ
ました。


■ 参加者数

ICANNが公式発表した受付ベースでの参加登録者の最終的な数字は、全体で
1,759名、日本を含むアジア・オーストラリア・太平洋からは721名で、その
うち日本国内からの参加者は371名となっています。また、初参加者は614名
でした。過去の同時期に開催されたICANN会議では、参加者数の概数が1,500
名から2,200名の間となっており、今回も同程度の参加規模となりました。


■ オープニングセレモニー

3月11日(月)のオープニングセレモニーは、まずICANNアジア太平洋バイスプ
レジデントであるJia-Rong Low(ジアロン・ロウ)氏の挨拶から始まり、つい
でICANN理事長Cherine Chalaby(シュリーン・シャラビ)氏、ICANN事務総長
Goran Marby(ヨーラン・マービー)氏の挨拶と続きました。次いで、日本側よ
り佐藤ゆかり総務副大臣、久元喜造神戸市長、村井純ローカルホスト委員長
の挨拶と続きました。

Jia-Rong氏からは、参加者、登壇者、グローバルなICANNコミュニティ、およ
びローカルホスト委員会への謝辞があり、ICANN64は19年ぶりの日本開催であ
ること、アジア太平洋地域にICANNオフィスが設置されてから6年経つことな
どが紹介された後、Chalaby氏にバトンタッチされました。

Chalaby氏は、福澤諭吉の「学問のすすめ」に記されている名言「進まざる者
は必ず退き、退かざる者は必ず進む。」を引用して、インターネットの発展
と進化のためにICANNが前進しなければならないことを訴えました。次に、サ
イバー主権の興隆、セキュリティ脅威の指数関数的な増大、インターネット
分断の脅威増大などの外部状況の中で、戦略・運営・財務計画の策定状況を
共有し、計画実行のためには我々全員のコミットメントが重要と訴えました。

Marby氏は、インターネット利用者が40億人まで増えたこと、人々の暮らしを
大きく変えたこと、インターネットガバナンスはマルチステークホルダーモ
デルによる稀有な成功例であることを指摘しました。また、ICANNは技術的な
組織であり、政治には踏み込まないと述べつつ、インターネットを利用しよ
うとする人々を妨げないよう、世界中の国々の立法府に対して啓発が必要と
し、現在進行中の政府や国際機関へ働きかけるための活動について触れまし
た。

佐藤総務副大臣からは、データが経済を前進させる推進力となり、それによ
り社会的な課題を解決でき、人々を幸せにし、生活をより便利にできるとい
う見通しが語られました。次いで、一つのインターネットの維持が、自由市
場や表現の自由を担保し、イノベーションの原動力となるべきであり、その
ためにはビジョンの共有と、ネットワーク中立性に関する規則のグローバル
な調和が必要だと述べられました。

久元神戸市長からは、1994年に国内の地方自治体では最も早く、地域型JPド
メイン名である「city.kobe.jp」を登録しWebサイトを公開したこと、翌1995
年に発生した阪神・淡路大震災で甚大な被害を受けたものの、市のWebサイト
は無事で、被害や援助の状況を市民に伝えることができ、かつ世界中からの
援助の申し出と励ましについてのメッセージであふれたことが語られました。
神戸市はこれにより、信頼できる情報ネットワークの重要性を認識し、IoT技
術を使った強力な通信ネットワークを構築したとのことです。震災からの復
興を成し遂げたので、安全な街をつくるという次の段階に向かっているとい
うことでした。

村井委員長からはまず、神戸はインターネットの発展における初期の1992年
にInternet Society (ISOC)が開催した、INET会議の開催地という特別な場所
であるという話がありました。そして震災のあった1995年は、Microsoft
Windows 95でTCP/IPが標準でサポートされるようになり、一般利用者が気軽
にインターネットに接続できるようになったこと、2000年に初めてICANN会議
を日本で主催したことなどに触れました。その上で、日本には優れたブロー
ドバンド環境があり、自然災害や高齢化社会などの課題にインターネットが
必要であること、また、誰もがインターネットを利用することからマルチス
テークホルダーが地球上の共通のプラットフォームとして必要とされること
に言及しました。村井委員長はICANNの創設期理事の1人として、ICANNが引き
続き成功し、持続的な成果を出して欲しいと締めくくりました。

次に、NROチェア/アフリカ地域の地域インターネットレジストリ(RIR)である
AFRINIC CEOのAlan Barrett(アラン・バレット)氏より、ともすれば影が薄く
なりがちな、ICANN内の番号資源に関するグループである、ASO/NROについて
紹介がありました。

スピーチがすべて終わった後には、和太鼓グループ「打打打団 天鼓(だだだだ
んてんこ)」による演奏が行われました。世界中で1,200回も公演しているグ
ループで、古典的にも見える楽器を使いつつも現代的なエッセンスも取り入
れ、エネルギーレベルの高い演奏がなされました。

最後にJia-Rong氏より、当日は東日本大震災が発生した3月11日に当たること
から、発生時刻である14時46分に参加者全員で黙祷を行うための時間を取り
たいこと、および当日夕方から開催するガーライベントについてアナウンス
がありました。


■ ガーライベント

3月11日(月)の19時より、総務省とローカルホスト委員会との共催で、ガーラ
イベントをホテルオークラ神戸にて開催しました。ICANN会議の主なプログラ
ムが開催された、神戸ポートピアホテルからは少し離れているため、参加者
は貸切バスで移動しました。開催前にはホワイエにて、日本雅楽協会による
雅楽の演奏で参加者を迎えました。また、ローカルホスト委員会のメンバー
でもあるGMOインターネット株式会社が招聘した2名の舞妓さんが会場に到着
すると、早速参加者からひっきり無しに記念写真の撮影をお願いされていま
した。

前村がブログ記事(*3)に書いたように、通常ガーライベントでは酒食が用意
され参加者間で会話するだけで、スピーチなどのプログラム進行はないので
すが、今回は関係者のコンセンサスにより、スピーチおよび鏡開きを実施す
ることになりました。

まずは総務省、およびローカルホスト委員会を代表して、計4名の方より挨拶
が行われました。挨拶を行ったメンバーは、次の通りです。

・村井 純 LHC委員長
・総務省国際戦略局 局長 吉田 真人 氏
・GMOインターネット株式会社 専務取締役 伊藤 正 氏
・株式会社日本レジストリサービス 取締役 堀田 博文 氏

その後、ICANNよりChalaby氏とMarby氏も加わって鏡開きを行い、次いで村井
LHC委員長が乾杯の音頭を取りました。他にガーラで実施した仕掛けは、次の
通りです。

・利き酒コーナー:
  神戸を代表する灘五郷(西郷(沢の鶴)、御影郷(菊正宗)、魚崎郷(櫻正宗)、
  西宮郷(白鹿および白鷹)、今津郷(大関))の日本酒および試飲用の枡を用意
  しました。

・縁日コーナー:
  屋台を設置し、提灯と飴細工を提供しました。

・野点(のだて)エリア:
  野点とは屋外の茶会のことですが、それを模したしつらえを会場のど真ん
  中に設置しました。当初は写真撮影スポットとする意図でしたが、参加者
  の皆さんは飲食やお喋りに使うなど、思い思いの使い方をしていました。

会場は、下見の際には相当広いと感じましたが、参加者(約900名)でいっぱい
になり、適度に混んで賑わっていたという印象です。通常のガーライベント
と大きく異なる進行がうまくいくか、参加者のおしゃべりにかき消されるの
ではないかという懸念もありましたが、まずオープニングVTRを上映して参加
者を前方に注目させ、登壇者をスクリーンに投影、プロの司会者の登用など
の工夫により、無事乗り切ることができました。この場を借りて、設営およ
び運営に関わってくださった多数の皆さまに御礼申し上げます。

(*3) ICANN神戸会議を振り返って
     https://blog.nic.ad.jp/blog/icann64review/


■ ネットワーク

LHCにはネットワークスポンサーとして、NTTコミュニケーションズ株式会社、
KDDI株式会社、西日本電信電話株式会社(NTT西日本)の3社にご協力いただき、
会期中特に問題なくネットワークを提供することができました。インターネッ
ト回線は、冗長化された1Gbpsの広域イーサネットサービスで、ICANNが要求
するISP一つあたりの最低帯域幅(400Mbps)を上回り、ICANNのネットワーク担
当によれば十分余裕があったようです。隣り合ってはいますが、会場が神戸
ポートピアホテルと神戸国際会議場の2ヶ所ということで、これら2会場間の
接続の増強をICANNが希望したところ、NTTビジネスソリューションズ株式会社
(NTT西日本の関連会社)に通常の帯域幅をはるかに上回る回線を、複数本ご提
供いただくことができました。この場を借りまして、同社に厚く御礼申し上
げます。

ICANN事務局の執務スペースには、ネットワークオペレーションセンター(NOC)
があり、筆者は所用で事務局を訪問した際に少し見せてもらうことができた
のですが、会場内のネットワークの状況が一目で分かるようになっていまし
た。NOCについては、ICANNが公開しているレポートで触れられています(*4)。
同レポートでは、無線LANアクセスポイント数は73、ピーク時の会場における
無線LAN接続数は1,877、IPv6の全トラフィックに占める割合は24%といった数
字も紹介されています。

(*4) ICANN64 By the Numbers Report
     https://meetings.icann.org/en/kobe64/icann64-technical-report-09apr19-en.pdf


■ ブース

LHC自身のブースでは、留学生ボランティアによるさまざまな案内に加え、神
戸コンベンションビューロー(CB)から観光案内ボランティアに来ていただき、
神戸の紹介などをしていただきました。留学生の皆さんは、いずれも日本語
と英語が堪能で、頼もしい方々ばかりでした。観光案内ボランティアの皆さ
んはシニア世代の方々でしたが、元気あふれる方々ばかりでした。神戸を、
そして日本を印象付けてくれたのではないかと思います。

さらに、神戸CBのご厚意により、3月9日(土)および10日(日)の2日間、関西国
際空港ターミナル1到着エリアにブースを設置して、来場者の便宜を図ってい
ただきました。空港利用の参加者からは、非常に好評だったようです。

また、LHC自体のブースの他に独自ブースを出展した委員もいくつかあったの
ですが、各ブースさまざまな工夫を凝らしていました。本物の桜の木を飾り
抹茶を点てていたブースなどもあり、国外の参加者の方からとても興味を引
いていたようです。


■ 各社プロモーション

会場内のあちこちの壁面、エスカレーターなどには、ローカルホスト委員で
もあるスポンサー2社のロゴが掲示され、その前で記念撮影する参加者なども
たびたび見受けられました。コーヒータイムが午前と午後にあるのですが、
その際には両社のロゴ入り紙コップが使われ、こちらも参加者に強い印象を
与えたのではないかと思います。他にもTシャツ、ストラップ、ボトルウォー
ター、ウォーターサーバーへの広告が提供されるなど、これまでのICANN会議
に比べると、LHCメンバー各社のおかげで賑やかになったICANN64だったと言
えると思います。さらに、株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)から
は無料SIMカードが提供され、国外からの会議参加者に大好評でした。


■ おわりに

JPNICはLHCの一員として、かつLHC事務局として、ICANN64を支えました。LHC
会員各組織は費用を分担すると同時に、会議の成功に向けて各委員さまざま
な協力を行いましたが、LHCだけでそれが実現できたわけではありません。イ
ベント業務全般を担当いただいた各社、サポートいただいた総務省、神戸CB、
神戸ポートピアホテル、中内力コンベンション振興財団のご支援なしにはLHC
の責務を果たすことは難しく、ICANN64の成功はなかったと思います。

ICANN64の参加者から聞こえてくるフィードバックは、ポジティブなものばか
りで、例えばアジアでの開催は日本に固定するのに1票、とネットに書き込ん
だ人もいたくらいです。19年ぶりの日本開催として、十二分におもてなしが
できたのではないかと思います。

個別にすべてのお名前や組織名を挙げていくことまではできませんが、ここ
でご紹介した以外にも多くの方々のご支援により、無事ICANN64神戸会議を終
えることができました。この場を借りてお礼申し上げます。

いつものようにこのICANN64の報告会も、近日中に開催する予定です。日程や
内容が決まりましたら、また改めて皆さまにお知らせいたします。

なお、次回の第65回ICANN会議はモロッコのマラケシュにて、2019年6月24
(月)~27日(木)に開催される予定です。

  ICANN65 | MARRAKECH
  https://meetings.icann.org/en/marrakech65


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 ┃悪かった                                                          ┃
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【 2 】News & Views Column
       「ICANN64 in KOBE開催を終えて」
                                       西日本電信電話株式会社 徳永正己
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

2019年3月9日から6日間、兵庫県神戸市で開催されたICANN64 in KOBEに、ネッ
トワークスポンサーとして参画させてもらった出来事を書かせてもらいます。

私は日本で開催される(会社の都合上、西日本になりますが)、インターネッ
ト関連の国際会議や大規模イベントのインフラ構築、支援に携わることもあ
り、今回も同様に大規模な国際イベントのインフラ準備、構築、運用に関わ
らせていただきました。

ICANNミーティングが日本で開催されるのは19年ぶり2回目となり、今回は神
戸ポートピアホテル、神戸国際会議場の2箇所にて開催されました。ICANNネッ
トワークチームが会場内ネットワーク接続(Wi-Fi環境など)を構築、運用し、
会場内ネットワークのインターネット接続にあたるサービス(接続)を、ネッ
トワークスポンサーチームであるKDDI、NTTコミュニケーションズ、NTT西日本
の3社で構築、運用する構成でした。

ICANNネットワークチームは、各会場の既設設備を会期中に借りる形でメイン
ホールや各会議室のネットワークを構築し、どうしてもネットワーク設備が
不十分な箇所は、ネットワークスポンサーチームで光ファイバを引き回すこ
とで構築しました。

ネットワークスポンサーチームで準備するインターネット接続については、
ICANN側のネットワーク要求(接続I/Fや必要帯域など)に合わせて構築方法や
手段の打ち合わせを実施。不測の事態も想定し、ICANNネットワークチームが
準備を始める前の2月上旬から準備を始め、ローカルでの導通確認、拠点間で
の接続試験等を実施しました。

万全の準備で迎えることで、会期中はバタバタすることもなく、ICANNネット
ワークチームからの追加要望やトラブル報告もなく、無事に会期を終えるこ
とができました。

また、後日ICANNの方々から、ネットワークスポンサーチームの接続(サービ
ス)についてお褒めの言葉をいただいていると聞き、頑張った甲斐がありまし
た。

会期中は会議スタッフの方達と仲良くさせてもらったり、たくさんの方との
情報収集や共有、新たなコミュニティーができたこと、Galaイベントでは会
議に参加されている諸外国の方々がたくさん集まっていることに驚かされつ
つ、会期中は刺激的な毎日でした。

イベント環境構築(特にレイヤの低い箇所)あるあるを……

今回も同様に、イベント環境構築はICANN64 in KOBE会議が始まると何もする
ことがない……何もすることがない=ネットワークトラブル(障害)がない

と、言うことで、とても幸せな時間を過ごせました。

それもあってか、会期中にソワソワ、ウロウロしていると会議をサポートし
ている皆さんから、何かネットワークに問題あるのかなと不安がられたりも
しました。

最後に、あれだけ盛り上がった会議の後に誰もいない会場で、インフラ構築
環境を撤収する……若干の寂しさと、会議が無事に終わった(成功した)時の
満足感など、いろいろな思いがこみ上げてくるのが撤収作業だったりします。

せっかくなので、何かトラブル対応事例などのご紹介をしたいところなので
すが、今回は本当に何のトラブルもなく、無事に会期を終えることができま
した。

これも大変お世話になった、ネットワークスポンサーチームや、ネットワー
ク回線構築に関わってくれた人達がいて、日本のインターネットのクオリティ
の高さがあるんだなと実感した、ICANN64 in KOBE会議でした。


■筆者略歴

徳永 正己(とくなが まさみ)

1983年4月、日本電信電話公社入社
1996年2月、日本電信電話株式会社 関西法人営業本部を経て
2013年7月、西日本電信電話株式会社ビジネス営業本部クラウドソリューショ
ン部勤務
サイバー関西プロジェクト、WIDEプロジェクトメンバー
1995年 地球温暖化会議(COP3) Conference on Demand インフラ構築
APRICOT2005、ACM SIGCOMM2007、IETF 2009などのインフラ構築運用に携わ
り、現在もインフラネットワークの先端的な利用、普及に取り組んでいる。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 3 】インターネット用語1分解説
         「EPDPとは」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

EPDP (Expedited Policy Development Process)とは、ICANNの分野別ドメイ
ン名支持組織(Generic Names Supporting Organization; GNSO)が、gTLD登録
データの暫定仕様書(Temporary Specification for gTLD Registration Data)
を検討する目的で設計した、迅速版のポリシー策定プロセス(PDP)です。EPDP
では、通常のPDPだと初期段階にある、課題報告書(Issue Reports)の作成や
パブリック・コメントが省かれ、参加メンバーも限定されるなど、大幅な簡
素化・短縮化が図られています。

通常のPDPに加えてEPDPが誕生した背景には、以下の特殊事情があります。

ICANNは、2018年5月25日の欧州連合(EC)一般データ保護規則(GDPR)の施行日
までに、WHOISサービスを同規則に準拠したものに改める必要がありました。
ICANN事務局は同規則に対応した暫定仕様書を策定し、理事会が施行日の1週
間前の5月17日に承認。暫定仕様書は、5月25日から最長1年間の期限付きで発
効しました。

ICANNでは、支持組織(Supporting Organization; SO)が分野ごとにポリシー
を作成する役割を担っており、例えばgTLDのポリシーに関わるものは、GNSO
が策定することが定款に定められています。gTLD登録データの仕様書も、本
来であればGNSOのPDPに従って策定されるべきものですが、今回の仕様書は事
務局が作成したために、「暫定」の2文字が付されることとなりました。

「暫定」が取り除かれ正規の仕様書として採択されるには、GNSOがコンセン
サスポリシーとして決議し、ICANN理事会が承認することが必要となります。
暫定仕様書の有効期限が満了する2019年5月25日までに、一連の作業を速やか
に完了するために生まれたのがEPDPです。


■ 参考

ICANN定款のPDPおよびEPDPに関する部分
https://www.icann.org/resources/pages/governance/bylaws-en#annexA

GNSO PDP
https://gnso.icann.org/en/basics/consensus-policy/pdp

GNSO EPDP Charter
https://gnso.icann.org/sites/default/files/file/field-file-attach/temp-spec-gtld-rd-epdp-19jul18-en.pdf


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 4 】統計資料
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1. JPドメイン名

o 登録ドメイン数(2018年11月~2019年4月)
--------------------------------------------------------------------------------------------
日付|  AD  AC    CO    GO   OR    NE   GR   ED   LG   GEO   GA     GJ     PA   PJ   TOTAL
--------------------------------------------------------------------------------------------
 11/1|254 3642 415091 572 36079 13298 6054 5307 1888 2228 937114 100226  9469 2011 1533233
 12/1|255 3646 416210 576 36196 13287 6040 5315 1888 2227 945808 100112  9546 1989 1543095
  1/1|255 3643 417440 578 36313 13272 6024 5321 1888 2222 952963  99869  9616 1953 1551357
  2/1|254 3645 418415 575 36423 13249 6008 5332 1887 2220 953672  99447  9696 1940 1552763
  3/1|253 3658 419464 578 36530 13213 5999 5343 1889 2217 955619  99031  9737 1926 1555457
  4/1|252 3653 420548 580 36655 13202 5982 5356 1889 2212 958850  98654  9916 1932 1559681
--------------------------------------------------------------------------------------------

 GA:汎用ドメイン名 ASCII(英数字)
 GJ:汎用ドメイン名 日本語
 PA:都道府県型ドメイン名 ASCII(英数字)
 PJ:都道府県型ドメイン名 日本語


2. IPアドレス

o JPNICからのIPv4アドレス割り振りとJPNICへのIPv4アドレス返却ホスト数
  (2018年10月~2019年3月)
------------------------------------------
  月 |   割振   |   返却   | 現在の総量
------------------------------------------
  10 |     4096 |        0 |   93169864
  11 |     3072 |        0 |   93172936
  12 |   766208 |   764160 |   93174984
   1 |    65536 |     1024 |   93239496
   2 |        0 |        0 |   93239496
   3 |     7168 |        0 |   93246664
------------------------------------------


□統計情報に関する詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/stat/


3. 会員数  ※2019年4月12日 現在

 ---------------------
  会員分類  | 会員数 |
 ---------------------
  S会員     |      3 |
  A会員     |      1 |
  B会員     |      2 |
  C会員     |      2 |
  D会員     |     94 |
  非営利会員|     10 |
  個人推薦  |     33 |
  賛助会員  |     45 |
 ---------------------
  合計      |    190 |
 ---------------------

□会員についての詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/member/list/


4. 指定事業者数  ※2019年4月5日 現在

   IPアドレス管理指定事業者数           441


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【 5 】イベントカレンダー
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  2019.4.17(水)~23(火)        JPNIC技術セミナー (東京、JPNIC会議室)
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  2019.5.6(月)~10(金)         LACNIC31 (Punta Cana, Dominican
                               Republic)
  2019.5.9(木)~10(金)         初心者向け「インターネット入門」(東京、
                               パンドウイットコーポレーション セミナー
                               ルーム)
  2019.5.20(月)~24(金)        RIPE 78 (Reykjavik, Iceland)
  2019.5.30(木)~31(金)        Internet Week ショーケース in 仙台
                               (宮城県、東北大学 片平さくらホール)
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  2019.6.9(日)~21(金)         AFRICA INTERNET SUMMI/AFRINIC-30
                               (Kampala, Uganda)
  2019.6.9(日)~12(水)         NANOG76 (Washington, U.S.A.)
  2019.6.24(月)~27(木)        ICANN65 (Marrakech, Kingdom of Morocco)


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 JPNIC News & Views vol.1675 【定期号】

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