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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1716【臨時号】2019.9.25 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.1716 です
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2019年6月下旬に開催された第65回ICANNマラケシュ会議を受けて、2019年8月
8日に第55回ICANN報告会を開催いたしました。本号では、この報告会のレポー
トをお届けします。

今回の報告会でも、引き続きICANNで議論されている、gTLD登録データの暫定
仕様に関する話題が多く取り上げられました。

なお、本報告会の資料および動画をJPNIC Webで公開しておりますので、こ
ちらも併せてご参照ください。

  第55回ICANN報告会
  https://www.nic.ad.jp/ja/materials/icann-report/20190808-ICANN/

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◆ 第55回ICANN報告会レポート
                                 JPNIC インターネット推進部 藏増明日香
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2019年8月8日(木)に東京・神田のJPNIC会議室で、55回目となるICANN (The
Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)報告会を開催しま
した。報告の対象となる第65回ICANN会議は、2019年6月24日(月)から27日(木)
の4日間にわたり、モロッコ・マラケシュで開催されました。


■ プログラム

今回のICANN報告会のプログラムは、次の通りでした(話者敬称略)。

1. ICANN政府諮問委員会(GAC)報告
   総務省 総合通信基盤局電気通信事業部データ通信課  内藤 めい

2. ICANNマラケシュ会議概要報告
   ICANNジャパン・リエゾン  大橋 由美

3. 国コードドメイン名支持組織(ccNSO)関連報告
   株式会社日本レジストリサービス(JPRS)  高松 百合

4. ICANN理事からの報告
   JPNIC  前村 昌紀

5. DNSルートサーバーシステム諮問委員会(RSSAC)報告
   JPRS  堀田 博文

6. 次期新gTLD募集手続きポリシー策定プロセス検討作業部会報告
   GMOブライツコンサルティング株式会社  マイケル・フレミング

7. ICANN WHOIS暫定ポリシー策定プロセス検討状況
   GNSO評議会副議長  ラフィク・ダンマク

それぞれの報告の内容について、以下、簡単にご紹介します。


■ ICANN政府諮問委員会(GAC)報告

総務省の内藤氏からは、GAC関連の会合で議論された、以下の主なトピックス
についてご報告いただきました。

- GDPRとWHOIS
- セカンドレベルにおける2文字の国および領域コード
- 「.amazon」問題

2018年5月25日からEUの一般データ保護規則(GDPR)に対応した暫定仕様にて運
用されていたWHOISですが、その運用期限が2019年5月25日までとされており、
ICANN理事会は何らかの判断を下す必要がありました。

2019年2月にGNSOへgTLD登録データの暫定仕様(Temporary Specification)に
関する迅速ポリシー策定プロセス(Expedited Policy Development Process,
EPDP)作業部会(WG)による報告が行われ、承認の上でICANN理事会に送られて
いました。その後、2019年5月15日の理事会でGNSOからの勧告のほとんどが承
認され、レジストリに対して5月20日までに「Interim Registration Data
Policy for gTLDs」を実施するよう通知されました。これは暫定仕様の維持
を求めたもので、実質的な運用は変わっていません。

各国法執行機関等はWHOISの非開示情報開示を求めており、現在各レジストリ
の判断となっている開示方法(モデル)を決める必要があることから、現在EPDP
WGによる検討がPhase 2において行われています。ICANN理事会は欧州委員会
(EC)との協議が必要と考えている一方、EC側はある程度モデル案が明らかで
なければ検討できないとのスタンスのため、GACでは作業のスケジュールや範
囲を明確にすべきとの意見が出されたとのことでした(EPDP WGからは現在作
業中との回答があったそうです)。

セカンドレベルでの2文字の国および領域コードについては、2文字コードの
検索ツールを使って調べた結果を持ち寄ることになっていましたが、作業は
遅れており、次回モントリオール会議に先送りすることが確認されました。
また、2文字コードのリリースに関する理事会判断にGACは納得しておらず、
懸念を示している政府(インドネシア等)との協議を継続するよう、理事会に
引き続き求めることとなったそうです。

.amazon問題については、ICANN理事会は2019年4月17日に.amazonに関する申
請処理を進める決定をしました。マラケシュ会合はその決定後初の会議でし
たが、ブラジルをはじめとするアマゾン川流域諸国(ACTO)がこの決定に強く
反発し、対話の継続を求める意見がGACマラケシュ勧告に記載されました。
なお、マラケシュ会合直前にコロンビア政府が理事会決議に再検討要求の申
立てを行ったことから、申請処理プロセスは再度止まっています。

内藤氏からは他に、GAC副議長5名中3名が交代したことについて、ご報告いた
だきました。


■ ICANN64マラケシュ会議概要報告

ICANNジャパン・リエゾンの大橋氏からは、マラケシュ会議の概要をご報告い
ただきました。主な話題として、WHOISの暫定ポリシーに関する検討状況、ユ
ニバーサルアクセプタンス問題、ICANNのマルチステークホルダーモデルに関
する課題についてお話しいただきました。


■ 国コードドメイン名支持組織(ccNSO)関連報告

JPRSの高松氏からは、ccNSO関連会合について、以下の三つの話題をご紹介い
ただきました。

- TLD-OPS (Top Level Domain operators)関連活動紹介
- ccTLD委任終了の際のプロセスの検討
- セカンドレベルにおける絵文字ドメイン名

「TLD-OPS」はレジストリ間の連携が目的の運用者コミュニティです。インシ
デントの対策(play book)は完成し、続けて共通のDisaster Recovery (DR)お
よびBusiness Continuity Plan (BCP)に関するplay book作成に取り組んでい
るとのことです。

ccTLDの委任終了のプロセスについては、手続きの詳細について、メンバー間
でほぼ合意に至ったとのことです。

絵文字ドメイン名はICANN理事会がRFC違反としていますが、自身の判断でサー
ビスを提供しているccTLDがあります。その実態についてstudy groupが聞き
取り調査を試みたものの、応答しないccTLDがある等、思うようには調査はで
きなかったとのことです。予算にも限りがあり、今回は得られた情報で報告
書をまとめるとのことです。


■ ICANN理事からの報告

JPNICの前村からは、ICANN理事としての報告を行いました。最近の活動や神
戸会議以降の理事会決議概要を説明したほか、ICANNの2021-2025 5ヶ年戦略
計画・戦略目標およびその策定についてお話ししました。また、現在の理事
会の構成や任期、年次総会(Annual General Meeting、AGM)に向けた理事の改
選等に関してもお話ししました。

会場からは、ICANNの収入は右肩上がりにもかかわらず戦略計画・戦略目標の
課題に「財政的安定性の向上」が挙げられている理由、について質問があり
ました。これに対して前村からは、ICANNの収入は新gTLDプログラムによる収
入が落ち着きを見せる中、方針策定などのコミュニティプロセスが以前より
確立してきている分、費やされる費用も増えており、以前のような余裕はな
くなっていること等について説明しました。

他に会場からは、緊急バックエンドレジストリ運用者(Emergency Back End
Registry Operator、EBERO)契約の必要性に関する理事会の認識や、戦略計
画・戦略目標における「セキュリティ」の定義について質問がありました。


■ DNSルートサーバーシステム諮問委員会(RSSAC)報告

JPRSの堀田氏からは、ルートDNSサーバーのガバナンスについてお話しいただ
きました。

現在、ルートDNSサーバーは費用面も含めボランティアベースでの運営で、明
確なルールもないため、今後も安定的なサービス提供を行うためにはルール
やガバナンスが求められています。当初はRSSACによる検討でしたが、ガバナ
ンス案の提示を受け、ICANNも本年4月に検討に向けたプロセス案を公開しま
した。報告会時点ではこのプロセス案への意見募集中だったため、意見次第
で今後の方向性が左右される可能性に触れつつ、ICANNおよびRSSACからの提
案についてご説明いただきました。

今後は、コミュニティにおけるコンセンサス形成と併せて、ガバナンス体制
の構築作業が進められることになります。RSSACは一番の当事者として、コ
ミュニティにおける検討プロセスが走り出すのを待たずに、独自の検討を進
めているとのことでした。


■ 次期新gTLD募集手続き検討状況報告

GMOブライツコンサルティング株式会社のマイケル・フレミング氏からは、次
期新gTLD募集ラウンドに向けた作業状況についてご説明いただくとともに、
ICANNがマラケシュ会議直前に公表した、次期新gTLD募集に向けたICANN GDD
(Global Domains Division)の見込みを示した文書、"ICANN Org's Readiness
to Support Future Rounds of New gTLDs"についてご報告いただきました。

次期ラウンドに向けた作業においては、包括的な課題について議論が行われ
ゴールが見えてきている状況となっており、合意内容の文書化に向けて作業
を進めているとのことでした。検討は以下の五つのテーマに分けられて、進
められているとのことです。

- Overarching Issues
- Foundational Issues
- Pre-Launch Activities
- Application Submission
- Application Evaluation/Criteria

ICANNは、次期ラウンドに向けた予測や準備や開発が必要だと考えている事柄
(申請のためのツール開発や業務フローの整理、人材確保や教育等)を整理し
た文書を、マラケシュ会議の直前に公開しました。これによると、次期ラウ
ンドも前回同様2,000件程度の申請で年1,000件程度を上限にTLDの委任を想定
していることや、申請者ガイドブックの修正が必要と考えているとのことで
す。ただし、この文書自体は完成されたものではなく、次期ラウンドの開始
までに修正されていくものだとのことでした。

先の前村の報告でもお話した通り、ICANNの予算は従前ほど余裕がない状況で
す。フレミング氏もこの点に触れ、マラケシュ会議中の関係会合で最も議論
を呼んだ話題は、次期ラウンドのための予算やその確保方法だったと述べて
いました。タイムラインについては、次期新gTLD申請ラウンドに向けたポリ
シー検討作業を、2019年中くらいに終える見込みであるとのことでした。


■ ICANN WHOIS暫定ポリシー策定プロセス検討状況

GNSO評議会副議長 ラフィク・ダンマク氏からは、gTLD登録データの暫定仕様
書に関するPDP作業部会(EPDP WG)の検討状況をご報告いただきました。現在
Phase 2の段階にあり、最優先課題である非公開の登録者情報へのアクセスシ
ステムに加えて、Phase 1で不十分だった課題の検討も進めているとのことで
す。マラケシュ会議ではアクセスシステムの検討のほか、ICANN事務局が各国
のデータ保護当局の見解を求めるという次のステップに向けた取り組みにつ
いて、事務局と会議を行ったとのことでした。

今後は非公開情報の開示請求についてユースケースの分類整理を行い、その
結果をもとに9月にロサンゼルスで対面会議を開いて、さらに検討を進める予
定とのことです。


■ 終わりに

マラケシュ会議では前回の神戸会議に引き続き、gTLD登録データの暫定仕様
に関する議論が盛り上がったことから、今回の報告会でも暫定仕様に関する
話題が中心となりました。EPDP WGによる検討はPhase 2の段階に入り、非公
開の登録情報へのアクセスのための枠組みが、具体的にどのようなものにな
るか注目されます。Phase 1での勧告でICANN理事会が承認済みのものについ
ては、実装に向けた準備も進められています。新gTLD次期申請募集手続きに
ついても次期ラウンド開始の見込みが立ってきており、引き続き議論の動向
を注視していきたいと思います。

次回第66回ICANN会議は、2019年11月2日から7日まで、カナダのモントリオー
ルにて開催される予定です。


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