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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1739【臨時号】2020.1.9 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.1739 です
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前号vol.1738より、2019年11月下旬にシンガポールで開催された第106回IETF
ミーティングのレポートをお届けしています。第2弾となる本号では、Webに
関連した議論として、トランスポートエリアの中から、Web Packing BoFと
WebTransport BoFをご紹介します。

次号以降では、DDoS対策やメールに関連した各分野の動向をご紹介する予定
です。また、vol.1738でお届けした全体会議のレポートについては、下記の
URLからバックナンバーをご覧ください。

  □第106回IETF報告
    ○[第1弾] 全体会議報告 (vol.1738)
    https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2020/vol1738.html

なお、本シンガポール会合のオンサイトでの報告会を、本日1月9日(木)13:30
より、東京・大手町プレイスウエストタワーにてISOC-JPとJPNICの共催で開
催しますので、ご興味のある方はぜひご参加ください。また、会場に来られ
ない方向けに、YouTubeでの中継も予定しています。

    IETF報告会(106thシンガポール)開催のご案内
    https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2019/20191226-01.html

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◆ 第106回IETF報告 [第2弾]  トランスポートエリア関連報告 
   ~Web Packing BoFと WebTransport BoF~
                                               グリー株式会社 後藤浩行
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2019年11月16日(土)から11月22日(金)にかけて、IETF 106がシンガポールで
開催されました。IETFのミーティングでは、ワーキンググループ(WG)のセッ
ションとは別に、WGになる前に特定領域のトピックに関して興味がある参加
者で議論を行う、Birds of a Feather (BoF)というセッションがあります。

Webに関連する関係するトピックのうち、今回新しく開催されたWeb 
Packaging (wpack) BoFと、WebTransport (webtrans) BoFについて紹介いた
します。


■ Web Packaging (wpack) BoF

Web Packagingとは、Webサイトを構成する複数のリソース(html、画像、CSS、
JavaScript)を、一つのファイルにパッケージングし再配布できるようにする
ための技術です。

このような技術が生まれた背景に、AMPが持つ課題に対する解決があります。
AMPとはAccelerated Mobile Pagesの略であり、Google社が中心として進めて
いる技術およびプロジェクト名です。AMPで定義された形式に則って記述され
たWebページを、Google社のキャッシュサーバから配信することによって、検
索結果からWebサイトへの閲覧を高速化することが目的となっています。

しかし、この方式には多くのWebページがGoogleサーバより、GoogleのURLに
て配信されることに懸念が示されました(http://ampletter.org/?lang=ja)。
この懸念に対して、標準化されたより公平な方式でWebページを再配布(キャッ
シュサーバから配信)するために、Web Packagingが提案されました。

Web Packagingでは、上記のようなCDN (Content Delivery Network)を利用し
配信するユースケースの他、USBメモリなどに格納して受け渡すなどオフライ
ンでの利用が想定されています。また大きな特徴として、もともとのコンテ
ンツオーナーが署名することで、エンドユーザーがWeb Packagingのファイル
が改ざんされていないことを確認できる仕組みになっています。

これによって、仮にCDNなどから配信されていたとしても、もともとのコンテ
ンツオーナーのサーバから配信されるのと、まったく同じWebページを閲覧し
ていることが保証されます。ですので、もともとのコンテンツを配信するサー
バ(オリジン)を見るのと差異はなく、WebブラウザもURLバーにオリジンのURL
を安心して表示できます。

Web Packagingに関しては、主に三つの仕様があります。これらを組み合わせ
ることによって、Web Packagingが実現されています。

- Signed HTTP Exchanges (draft-yasskin-http-origin-signed-responses)
- Bundled HTTP Exchanges (draft-yasskin-wpack-bundled-exchanges)
- Loading Signed Exchanges (W3Cで議論 https://wicg.github.io/webpackage/loading.html )

Signed HTTP Exchangesは、HTTPリクエストとレスポンスの組に対して署名を
付ける方法および、それを検証する方法を定義します。Bundled HTTP 
Exchangesは複数のリソースを一つのファイルにパッケージングするに当た
り、そのファイルフォーマットを定義します。Loading Signed Exchangesは
W3Cで議論されているドキュメントであり、Webブラウザがどのようにパッケー
ジングされたファイルを読み込み、どう表示するかを定義します。

IETF 106では、WGの結成を目的としたWG Formingとしてwpack BoFが開催さ
れ、Web Packaging技術に関するユースケースとデモが紹介されました。ま
た、2019年6月に、出版業界、CDN、ブラウザベンダーなどがAMPやコンテンツ
の再配布およびWebのエコシステムについて議論した「Exploring Synergy 
between Content Aggregation and the Publisher Ecosystem (ESCAPE) 
Workshop」の紹介がありました。

BoFの中ではユースケースへの理解は得られ、IETFで扱う技術領域であること
もコンセンサスが得られました。引き続きWG Charterの議論が進み、WGへの
結成へ向かうでしょう。


■ WebTransport (webtrans) BoF

Webの双方向メッセージングの仕組みとして、WebTransportという仕様が議論
されています。まず、双方向メッセージングについて簡単に紹介します。

HTTPでは、クライアントのHTTPリクエストによって通信が開始され、サーバ
からのレスポンスが返されます。そのため、チャットやゲームのようにリア
ルタイムで、クライアントやサーバのどちらからでもデータを送信するのに
は不向きでした。そこで、HTTP上でコネクションが確立した後であれば、ク
ライアント・サーバどちらからでもメッセージを送信可能にする、WebSocket
という技術が標準化されています。

WebSocketは、Webブラウザ上のJavaScriptから使用するためのAPI (HTML 
Standard)の仕様、プロトコルの仕様(RFC 6455、RFC 8441)からなっていま
す。

一方、近年QUICやHTTP/3という、新しいプロトコルの標準化が進められてい
ます。Webで双方向のメッセージングを行う際も、これらの新しいプロトコル
の利点を活用したいという背景から、新しいWebTransportという仕組みの検
討が始まりました。

まずは、QUICやHTTP/3についてご紹介します。QUICやHTTP/3はIETF QUIC WG
で議論されており、Draftは以下の通りです。HTTP/3はトランスポートとして
QUICを利用する、新しいバージョンのHTTPです。

- QUIC: A UDP-Based Multiplexed and Secure Transport (draft-ietf-quic-transport)
- Hypertext Transfer Protocol Version 3 (HTTP/3) (draft-ietf-quic-http)

QUICは、UDP上で動作する新しいトランスポートプロトコルであり、コネク
ションの確立や、パケットロスしたデータの回復などにおいて、多くの長所
を持ちます。パケットロスしたデータの回復も、QUICレイヤで行われます。
TCPでは、パケットロスしたデータは再送を待ち、整合性を確保してからアプ
リケーションに渡すようになっていて、仮に後続のパケットが届いていたと
しても、アプリケーションには渡されません。UDPを使用するQUICでは、途中
のパケットがロスしたとしても、後続のパケットが持つアプリケーションデー
タが利用可能であれば、処理を進めることができます。

また、「An Unreliable Datagram Extension to QUIC 
(draft-pauly-quic-datagram)」として、再送処理を行わないアプリケーショ
ンデータの送信機能が、QUICの拡張機能として議論されています。

Unreliable Datagram Extensionのような、既存のWebSocketでは行えなかっ
た機能を持つため、API仕様とともに新しい仕組みである、WebTransportが議
論されています。

WebTransportの仕様は、現在はW3C Web Platform Incubator Community Group
でAPI仕様が(https://wicg.github.io/web-transport/)、プロトコルとして
は以下のdraftが提出されています。

- The WebTransport Protocol Framework (draft-vvv-webtransport-overview)
- WebTransport over QUIC (draft-vvv-webtransport-quic)
- WebTransport over HTTP/3 (draft-vvv-webtransport-http3)

現在は、QUICを直接トランスポートとして使うものと、QUIC上のHTTP/3を利
用するものの二つがあります。HTTP/2へフォールバックできるような仕様が
検討されてはいますが、draftはまだ提出されていません。

IETF 106では、初めてのwebtrans BoFが開催されました。今回はまだ、WGの
結成を行うための、WG Forming BoFではありませんでした。セッションでは、
WebTransportの背景や、各仕様の著者よりプロトコルの紹介がありました。

多くの参加者があり、このWebTransportへの興味の高さが確認された一方で、
「WebTransportの技術領域と解決する問題は、明瞭でかつ解決されるべきか」
という問いかけに対して、複雑性への懸念や、他標準化団体との連携および
スコープを明瞭化するよう、フィードバックがありました。

引き続き、その部分に対するdraftの改善が進められる見込みとなっていま
す。


■ 終わりに

今回は、IETF 106で議論が行われた、Web PackagingとWebTransportのトピッ
クを取り上げました。Webといってもさまざまな技術的側面を持っており、そ
こがとてもおもしろい部分でもあると思っています。興味があれば、IETFで
の議論をうかがってみては如何でしょうか。


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