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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1924【臨時号】2022.6.9 ◆
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◆ News & Views vol.1924 です
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2022年2月下旬~3月上旬にかけて開催された第73回ICANN会議を受けて、恒例
となる第63回ICANN報告会を開催しました。今回のICANN会議では、gTLD関連
やDNSの不正利用に関する話題などに加えて、ブロックチェーンをベースにし
た分散型ドメイン名に関する議論や、ロシアのウクライナ侵攻を巡る話題な
どが注目を集めたようです。

なお、本報告会の資料および動画をJPNIC Webで公開しておりますので、こち
らも併せてご参照ください。

  第63回ICANN報告会
  https://www.nic.ad.jp/ja/materials/icann-report/20220426-ICANN/

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◆ 第63回ICANN報告会レポート
                                     JPNIC インターネット推進部 山崎信
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2022年4月26日(火)に、63回目となるICANN (The Internet Corporation for
Assigned Names and Numbers)報告会を開催いたしました。報告の対象となる
第73回ICANN会議(以下、ICANN73)は、Prep Week(会議前の事前インプットの
ための週)が2022年2月22日(火)から24日(木)、本会議が3月7日(月)から10日
(木)に開催されたものです。同会議は、元々はプエルトリコ・サンフアンに
て開催予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、オンライン
会議として開催されることが2021年11月のICANN理事会で決定されました。会
議は、プエルトリコのタイムゾーン(大西洋標準時、UTC-4)に合わせて開催さ
れました。

  ICANN73 to be Virtual Meeting, Board Affirms Intent to Hold Hybrid 
  ICANN74
  https://www.icann.org/en/announcements/details/icann73-to-be-virtual-meeting-board-affirms-intent-to-hold-hybrid-icann74-4-11-2021-en


■ プログラム

今回のICANN報告会のプログラムは、次の通りでした(話者敬称略)。

1. ICANN73会議概要報告
   ICANNジャパン・リエゾン 大橋 由美

2. 国コードドメイン名支持組織(ccNSO)関連報告
   株式会社日本レジストリサービス(JPRS) 高松 百合

3. ICANN政府諮問委員会(GAC)報告
   総務省 総合通信基盤局電気通信事業部データ通信課 森下 大

4. ICANN理事からの報告
   JPNIC 前村 昌紀

5. GNSOレジストリ・レジストラ部会報告
   株式会社インターリンク ジェイコブ・ウィリアムズ

6. 次期新gTLD申請手続きポリシー検討状況報告
   GMOブライツコンサルティング株式会社 寺地 裕樹

それぞれの報告の内容について、以下、簡単にご紹介します。


■ ICANN73会議概要報告

ICANNの大橋氏より、146の国/地域から1,578人が参加したこと、そのうちア
ジア太平洋地域からの参加が22%であったことがまず報告されました。

次に以下のプレナリー(全体)セッションについて、説明いただきました。

・ICANN事務局の政府・政府間機関エンゲージメント(GE)チームによる活動報
  告プレナリーセッション:国際政府機関の活動、各国/地域の法律制定の動
  向調査結果について紹介されました。

・グローバルな公益の枠組み(Global Public Interest, GPI)に関するプレナ
  リーセッション:GPIの枠組みは、ICANNが定款などで責務を果たすと約束
  している分野ごとに関連する公益の種類を整理したもので、それがどのよ
  うに活用されているかが紹介されました。

・DNSの不正利用(DNS Abuse)に関するプレナリーセッション:「悪意で登録
  されたドメイン名」と「不正に使用されているドメイン名」の区別に焦点
  が当たっていたとのことでした。プレナリーセッションだけでなく、ccNSO
  のセッション、GACのセッションについても併せて紹介されました。

他に関心が高かった話題として、ユニバーサル・アクセプタンス(UA)(*1)お
よび国際化ドメイン名(IDN)、およびブロックチェーンをベースにした分散型
ドメイン名に関する情報交換と議論、などについてもお話しいただきました。
UAについてはその促進に向けた協力の在り方を議論するセッションが会期中
開催されたとのことです。

最後の分散型ドメイン名については、ブロックチェーンをベースにし、DNSを
ベースとはしていません。いくつかある事業者のうち、Handshake Naming
Service(非営利)では「すべての人にTLDを」ということで、350万の「TLD」
が提供されているということです。セキュリティと安定性や消費者保護につ
いて、そもそもICANNが関わる必要があるか、名前衝突を避ける手だてを講じ
る必要があるか、などのいろいろな論点がありそうですが、まずは動きを注
視する、という方向性だったとのことです。

(*1) インターネットにつながるすべてのアプリケーション、装置、システム
     類が、現在有効なすべてのドメイン名とメールアドレスを正しく矛盾な
     く受け入れ・検証・保存・処理・表示できる状態のことです。

     https://community.icann.org/download/attachments/52897555/UASG005-20170127-jp-quickguide-digital.pdf
     https://blog.nic.ad.jp/2017/1141/
     https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/tld-universal-acceptance.html


■ 国コードドメイン名支持組織(ccNSO)関連報告

JPRSの高松氏より、ccNSOが開催したDNS Abuseセッションでの議論、および
ccNSOガバナンスセッションにおける議論などについてお話しいただきまし
た。

DNS Abuseセッションについては、背景とこれまでの経緯が説明された上で、
ccNSOとして取り組む内容の案として、情報共有の強化、ccTLDの特性につい
ての情報発信、実装に向けた委員会の設置、状況計測のための取り組み実施
などが挙げられたとのご報告をいただきました。これらの内容について、支
持の程度を確認するため投票が行われ、いずれも投票者の半数以上が支持し
たそうです。また、セッション後には、ccNSO評議委員会で取り組む内容案の
実施が承認されたとのことです。

ccNSOガバナンスセッションでは、以下の2点が主な内容となる運営ルール改
定案についての紹介と、会員投票への参加呼びかけ、ならびに利益相反に関
する内部手続き(利害関係を報告)導入についての議論がなされたことを、お
話しいただきました。

・会員投票が有効となるための定足数の変更
・初回の投票で定足数を満たさない場合の手順明確化


■ ICANN政府諮問委員会(GAC)報告

総務省の森下氏より、DNS Abuseに関する議論と日本からの提案、GACと分野
別ドメイン名支持組織(GNSO)との会合における議論、WHOISとデータ保護ポリ
シーに関する議論、ウクライナ情勢の意見交換を行うプレナリーセッション
などについて、主にお話しいただきました。

DNS Abuseについては、欧州委員会が公表した研究報告書に記載された「DNS
不正利用の定義」について、意見交換を行うとともに、日本からDNS Abuseに
関する新たな事例を共有して、DNS Abuseに関する対処について継続的に検討
することとなったとのことです。総務省の発言の概要は、同一と思われる不
正行為者が、同一レジストラから異なるドメイン名を登録し不正行為を継続
したというもので、ICANN事務局のコンプライアンス部門によるレジストラの
監査など、対処に関する提案がなされ、GACコミュニケ(成果文書)(*2)に関連
する内容が記載されたとのことです。

(*2) https://gac.icann.org/contentMigrated/icann73-gac-communique

他にDNS Abuseの定義、ICANNとレジストリ・レジストラ間の契約中にDNS 
Abuseの対処規定がない点が、GAC PSWG共同議長から指摘され、欧州委員会の
報告書共同著者より、欧州委員会が提案するDNS Abuseの定義(ICANNのものよ
り幅広い)、およびDNS Abuseの分類について共有されました。これに対し、
米国のGAC代表からは、欧州委員会報告書記載のDNS Abuseの定義は、ICANNの
権限外であるインターネット上の違法有害活動も含まれている、との指摘が
あったとのことです。

WHOISとデータ保護ポリシーに関する議論のうち主なものでは、導入が検討さ
れているSSADシステム(正当な目的を有する者が非開示情報へアクセスするた
めのシステム)への、ICANN理事会によるODA(運用設計評価)が試算した運用費
やシステム利用者の数字について疑義が示されました。また、データの「正
確性」の定義には、ICANNの使命(定款や契約等)に沿って、レジストリやレジ
ストラがデータを収集して処理することだけでなく、登録したデータの検証、
データの妥当性の確認、必要に応じた修正についても検討すべきという意見
が提示されました。

ウクライナ情勢の意見交換を行ったプレナリーセッションでは、ウクライナ
代表からウクライナが置かれた過酷な状況や、ICANNが表明した資金支援への
感謝の意が示され、米仏などからはロシアに対する非難、ウクライナに対す
る哀悼・理解、ICANNの資金支援への称賛、ICANNは政治的には中立であるべ
き旨の発言があり、ロシア代表からはICANNは技術的な話題に特化すべき旨の
発言があったそうです。


■ ICANN理事からの報告

JPNICの前村より、ICANN72以降の理事業務、比較的最近理事となった2名
(Katrina Sataki氏、Edmon Chung氏)の紹介、ICANN72以降の理事会決議内容
の紹介、ウクライナ情勢のうちICANNに関わる事項などについて報告しまし
た。

最後のものは、ウクライナ政府からICANNに対して送付された、ロシアの
ccTLDを無効にするなどの要求に対してICANNが送付した返事について、およ
びICANNがウクライナのアクセス事業者などに対して緊急資金支援を行うこと
についてのものでした。


■ GNSOレジストリ・レジストラ部会報告

株式会社インターリンクのウィリアムズ氏より、レジストラ部会会合の主要
な話題、レジストリ部会におけるポリシーの検討状況報告、レジストラ間の
ドメイン名移管に関するポリシー、レジストリとレジストラの優先事項など
について主にお話しいただきました。

レジストラ部会会合の主要な話題は、レジストラ間のドメイン名移管に関す
るポリシー、レジストリ・レジストラ間の契約(Registry-Registrar 
Agreement, RRA)の変更内容確認の効率化および変更内容の把握のためのサブ
グループ設置、DNS Abuseのトリアージツールの紹介などでした。

レジストリ部会会合の主要な話題は、GNSOで策定プロセス中にあるポリシー
に関する状況の共有でした。レジストラ間のドメイン名移管に関するポリシー
についてはレジストリ部会、レジストラ部会両者共通の話題だったため、詳
細に共有されました。


■ 次期新gTLD申請手続きポリシー検討状況報告

GMOブライツコンサルティング株式会社(報告会開催時点、その後社名変更さ
れ、本稿執筆時点では「GMOブランドセキュリティ株式会社」)の寺地氏より、
Operational Design Phase (ODP)の、ICANN73における進捗について報告があ
りました。ODPは、GNSOによって作成されたポリシーを試験的に運用し、
ICANNスタッフが工程の分析を行う一連のフェーズを指します。また、寺地氏
からは、ICANNのシステムを通さない、Web3.0に関連したドメイン名(NFTドメ
イン名)の管理や課題についてもお話しいただきました。

ODPについては、その進行にあたって作成された九つの作業トラック、組織体
制、進捗および今後の予定について主にお話しいただきました。2022年10月
にODPが完了し、報告書が提出される予定とのことです。

NFTドメイン名については、暗号資産取引を行う際のウォレットのトークンを
簡潔に分かりやすく表現するために活用されているそうで、従来型のドメイ
ン名とは位置付けが異なるとのことです。提供事業者によっては、Webへのア
クセスに使うことができるよう拡張した例もあるとのことで、今後起こるの
がドメイン名との衝突なのか棲み分けなのかわかりませんが、議論が加速す
る可能性について言及されました。割り当てを受けた人が完全に所有するこ
とになること、中央集権的な管理が行われないため、ICANNの管理外となるな
ど、従来のドメイン名とはかなり性格が違うため、ICANNが扱っているTLDと
の競合など課題が発生することとなりそうです。うまく両者が共存できる方
向を期待したい旨を述べて、締めくくられました。


■ 最後に

本メールマガジンでご紹介した第63回ICANN報告会については、資料と録画を
以下Webページでご覧いただけます。

  第63回ICANN報告会
  https://www.nic.ad.jp/ja/materials/icann-report/20220426-ICANN/

また今月、2022年6月13日から16日まで次のICANN74会議が開催予定となって
おり、同会議の内容も追って次回第64回ICANN報告会でご報告いたしますので、
ご期待ください。


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      わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
             https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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 JPNIC News & Views vol.1924 【臨時号】

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