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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1941【臨時号】2022.8.18 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.1941 です
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2022年6月中旬に開催された第74回ICANN会議を受けて、恒例となる第64回
ICANN報告会を開催しました。今回のICANN会議でも、gTLD関連やDNSの不正利
用に関する話題が取り上げられたほか、第66回ICANN会議以来の現地開催を含
むハイブリット形式での開催ということで、その話題などにも触れられまし
た。

なお、本報告会の資料をJPNIC Webで公開しておりますので、こちらも併せて
ご参照ください。近日中に、当日の動画も掲載する予定です。

  第64回ICANN報告会
  https://www.nic.ad.jp/ja/materials/icann-report/20220728-ICANN/

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◆ 第64回ICANN報告会レポート
                                               JPNIC 政策主幹 前村昌紀
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2022年7月28日(木)に、第64回ICANN (The Internet Corporation for 
Assigned Names and Numbers)報告会を、オンラインで開催いたしました。報
告対象は第74回ICANN会議(以下ICANN 74)で、会期としては2022年6月13日(月)
から16日(木)の4日間、これに2週間ほど先立ってPrep Week(会期前インプッ
トセッション開催)が実施されました。今回は、2019年11月にカナダのモント
リオールで開催されたICANN 66以来となる現地開催ですが、オンラインでの
参加も現地と同等に取り扱うことをめざした、ハイブリッド開催の形式でし
た。


■ プログラム

今回のICANN報告会のプログラムは、次の通りでした(話者敬称略)。

1. ICANN74会議概要報告
   ICANNジャパン・リエゾン 大橋 由美

2. 国コードドメイン名支持組織(ccNSO)関連報告
   株式会社日本レジストリサービス 高松 百合

3. ICANN政府諮問委員会(GAC)報告
   総務省 総合通信基盤局電気通信事業部データ通信課 森下 大

4. ルートDNSサーバーシステムに関する報告(RSSAC及びRSS GWG)
   株式会社日本レジストリサービス 堀田 博文

5. 日本語ルートゾーンLGRに関する報告
   株式会社日本レジストリサービス 堀田 博文

6. GNSOレジストリ・レジストラ部会報告
   株式会社インターリンク ジェイコブ・ウィリアムズ

7. 次期新gTLD申請手続きポリシー検討状況報告
   GMOブランドセキュリティ株式会社 寺地 裕樹

8. ICANN理事からの報告
   JPNIC 前村 昌紀

それぞれの報告の内容について、以下、簡単にご紹介します。


■ ICANN74会議概要報告

ICANNジャパン・リエゾンの大橋さんからは会議概要として、以下を中心に報
告がありました。

・101ヶ国・経済域から、現地参加917人、リモート参加900人、アジア太平洋
  地域からの参加者12%

・プレナリー(全体)セッション「Who sets ICANN's Priorities?」レビュー
  をはじめとする、ICANN事務局における業務の優先順位付けに関して枠組み
  が構築され、試行中。セッションでは枠組みが共有されて議論が持たれた。
  コミュニティと理事会・事務局の協力、透明性確保の重要性が確認された。

・主な議論テーマとして、登録ディレクトリサービス(RDS)における非公開情
  報開示システムSSAD (System for Standardized Access/Disclosure)につ
  いて。GNSO勧告に従った検討の結果、非常に高価な設計案が事務局から提
  示されたことを受けて、その軽量版(SSAD Light)の設計コンセプトの作成
  が、GNSO評議会から事務局に依頼された。この影響で会期後に、次回ラウ
  ンド新gTLD手続き(SubPro)の運用設計評価(ODA)の提出目標が、2022年10月
  末から12月に延びた。

・閉鎖的一般名称gTLD (Closed Generics)に関するAt-Largeポリシーセッショ
  ンでは、GNSO-GAC協議に参画する上でAt-Largeとしての取るべき立場を議
  論。

・GNSO契約者会議(CPH)の「DNS Abuse Community Outreach」セッションで
  は、CTOオフィスの調査報告、DNS Abuse InstituteのNetBeacon、レジスト
  ラ利害関係者グループのabusetool.orgなどツールの紹介

最後に、次回ICANN 75クアラルンプール会議が、2019年3月のICANN64神戸会
議以来のアジア太平洋地域での開催になるとして、地域責任者Jia-Rong Low
氏からのメッセージとともに、参加が呼び掛けられました。


■ 国コードドメイン名支持組織(ccNSO)関連報告

ccNSOに関しては、JPRSの高松さんから、主にポリシー検討状況、ガバナンス
セッション、DNS Abuseに関するccTLDの役割の3点に関して、以下のように報
告がありました。

・ccPDP3の委任終了プロセスに関しては、検討と意見募集まで完了、理事会
  に渡されている。ccPDP3のプロセスレビュー方法検討に関して、ICANN 74
  で検討が進み、ICANN 75前に最終案完成予定。ccPDP4、IDN ccTLDの文字列
  選定要件に関しては、作業部会における検討方針が共有された。

・ガバナンスセッションからは、会員数増に伴う運営ガイドラインの見直し、
  IDN ccTLD運営事業者のccNSO参加に際した、付属定款の変更点、運営ルー
  ル上の変更点(IDNを含む複数TLDは1国1票に調整)、利害相反対策としての、
  利害声明の導入などのルール化が報告されたことが共有された。

・DNS Abuseに関しては、ICANN 73で設立されたDNS Abuse Standing 
  Committee (DASC)を通じて検討中であり、ICANN 74では5ヶ国における取り
  組みを共有するセッションを開催した。


■ ICANN政府諮問委員会(GAC)報告

総務省データ通信課の森下さんからのGAC報告では、冒頭でDNS不正利用に関
して、総務省から日本における不正利用の事例紹介とともに、それを踏まえ
たレジストラでの対応強化に向けた提案を行ったこと、公共安全作業部会
(PSWG)の共同議長(Laureen Kapin氏)からも同様の姿勢が見受けられたことが
紹介されました。

その他、GACの議題として、新gTLD次回ラウンドやDNS不正利用に関する意見
交換を行ったGNSOとの合同会合、グローバルな公益に向けた取り組みやSSAD
に関して情報交換を行ったICANN理事会との合同会合に関して紹介があり、最
後に次回ICANN 75会議に向けてGACの議長、副議長の選挙が行われることが共
有されました。


■ ルートDNSサーバーシステムに関する報告(RSSAC及びRSS GWG)

JPRSの堀田さんからのRSSAC、RSSGWGの報告では、RSSACの紹介、業務状況と
文書公開状況が紹介された後、ルートサーバシステム(RSS)の新たなガバナン
ス構造の検討活動である、RSS Governance Working Group (RSSGWG)の検討状
況が紹介されました。ICANN 73以降RSSGWGでは、当初RSSACからの任命メン
バーが3名だったのを変えて、全ルートサーバ運用者が任命されるように変更
されたことが紹介されました。また、ICANN 74では新たなガバナンス構造と
して、現在IANA機能を遂行しているPTI (Public Technical Identifiers)の
ような「子会社モデル」と、GNSOやccNSOのような「支持組織モデル」を詳細
に検討した旨、報告がありました。


■ 日本語ルートゾーンLGRに関する報告

引き続きJPRSの堀田さんから、日本語ルートゾーンLGRの検討が完了したとし
て、それを振り返る報告が行われました。ICANNが管理するトップレベルドメ
イン名空間では、2010年にIDN ccTLDファストトラックが開始されて以来、国
際化ドメイン名(IDN)が導入されているものの、異体字管理を含むドメイン名
ラベルに関する規則、ラベル生成ルール(Label Generation Rules)がありま
せんでした。そのため、各言語コミュニティの専門家による検討グループが
各言語のLGRの検討を開始、日本語に関しても2014年から日本語生成パネル
(Japanese Generation Panel, JGP)が検討を続けてきました。日本語は漢字
を、中国語、韓国語と共有しているため、3言語間の協調が必要で、その結
果、中国語における繁体字と簡体字の異体字関係を受け入れることと、それ
に加えて視覚的に類似する文字を異体字として定義することなどに対応しま
した。2022年5月に日本語ルートゾーンLGRが完成、同月にICANNから公開され
たルートゾーンLGR第5版に組み入れられた結果、JGPは作業完了により解散し
たとのことでした。


■ GNSOレジストリ・レジストラ部会報告

GNSOレジストリ・レジストラ部会に関しては、インターリンクのジェイコブ・
ウィリアムズさんから、レジストラ間移管ポリシー、DNS Abuseに関するアウ
トリーチ、契約者会議(CPH)会員会合の3点に関して報告がありました。

レジストラ間移管ポリシーの検討に関しては、フェーズ1a、1b、フェーズ2に
分かれており、このうちフェーズ1aの初期報告書が2022年6月に公開され、意
見募集中(8月2日まで)。移管後ドメイン名ロックの期間短縮、GDPRに対応し
たFOA (Form of Authorization)の整理・廃止、表現の改善、移管の不承認
と、移管しようとする登録者に発行されるオースコード(AuthCode)の名称変
更(Transfer Authorization Code, TACに変更)など、22件の勧告が含まれる
とのことです。フェーズ1bでは、登録者情報変更に係るドメイン名ロックに
関して見直す予定とのことでした。

CPHのDNS Abuseに関するアウトリーチでは、CTOオフィスからDAAR (Domain 
Abuse Activity Reporting)の情報提供があり、Abuseの件数の減少が見られ
ること、GAC報告でも触れられたツール、Abusetoolsが紹介されたとのこと
で、Abusetoolsに関してはウィリアムズさんからも利用画面を交えて、詳し
く紹介がありました。

CPH会員会合では、GNSO評議会のDNS Abuse小チームの検討状況が紹介され、
DNS Abuseに関する対応を小規模なPDPを通じて検討するという考えが示され
つつ、その実効性は薄く、ICANNとの契約の中で必要な対策強化に取り組むこ
とが実効的ではないか、といった議論があったことが紹介されました。その
他、RDAP導入に伴うWHOISサービスの停止(サンセット)に向けた契約改定の取
り組みが、2023年2月までの計画で進められていることなどが報告されまし
た。


■ 次期新gTLD申請手続きポリシー検討状況報告

GMOブランドセキュリティ(GMOブライツコンサルティングから社名変更)の寺
地さんからは、次期新gTLD申請手続き(SubPro)に関する状況が報告されまし
た。

SubProは、現在GNSO勧告に基づく運用設計フェーズ(ODP)が2022年1月から進
行中で、進捗は想定通り。ODPが完了して、運用設計評価(ODA)が完成し理事
会で承認された後に始まる、申請者ガイドブック改版を含む実施準備は、1年
から2年は掛かるだろうと寺地さんは想定しています。2012年の第1ラウンド
においては、実施準備段階で大きな修正が幾度となく入ったことから、その
対策として予測可能性フレームワークというものの導入が検討されていると
のことでした。その他、閉鎖的一般名称gTLD、SSADに関する検討状況にも触
れられ、SubProに関する全体的な報告となっていました。


■ ICANN理事からの報告

今回の報告会最後は、ICANN理事会からの報告を筆者である前村から行いまし
た。前回会議以降の理事会の活動として日常的な活動に引き続き、ICANN 74
の会期に先立って実施された理事会ワークショップの内容を紹介し、他の発
表者の方々から報告のあったSSAD、SubPro、DNS Abuseなどの検討に加え、理
事会運営プライオリティ(Board Operational Priority, BOP)の振り返り、戦
略目標の振り返りではIDNとユニバーサルアクセプタンスがテーマに選ばれて、
グループワークで検討したことを報告しました。

理事の横顔では、ASO選出のAlan Barrett氏、SSACリエゾンのJames Galvin氏
を紹介し、今回で全理事の紹介が完了しました。理事会決議の振り返りでは、
ICANN 73以降の理事会の議題を振り返り、いくつかの議題に関してはその背
景となっている状況や付属定款の定めなどに触れました。

ホットトピックでは、次回ICANN 75の年次総会で前村の退任に伴って第10議
席の後任となるChristian Kaufmann氏や、その他任期満了を迎える理事の去
就に触れました。また最後には、今回久しぶりに対面で開催したICANN会議の
様子を数枚の写真で紹介しました。


■ 最後に

本メールマガジンでご紹介した第64回ICANN報告会については、資料を以下の
Webページでご覧いただけます。追って、動画も公開する予定です。

  第64回ICANN報告会
  https://www.nic.ad.jp/ja/materials/icann-report/20220728-ICANN/

次回のICANN会議は、2022年9月17日(土)から22日(木)まで、マレーシアのク
アラルンプールを開催地としたハイブリッド形式で開催されます。こちらの
内容も、追って次回ICANN報告会でご紹介します。ご期待ください。


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 JPNIC News & Views vol.1941 【臨時号】

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