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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.2031【定期号】2023.10.16 ◆
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◆ News & Views vol.2031 です
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毎月15日(土日祝の場合はその翌営業日)に発行している定期号では、特集記
事のみならず、業界メンバーのコラムや用語解説、統計などもお届けしてい
ます。

本号の特集では、2023年9月7日(木)~9月14日(木)に京都市国立京都国際会館
で開催された、APNIC 56カンファレンスの概要をお届けします。APNIC設立30
周年という節目のタイミングで、APNIC誕生の地である日本での開催という記
念すべき回となりました。

またNews & Views Columnでは、インターネット上での迷惑行為や不正行為に
あたるAbuseに関する業務に従事しておられ、Internet Weekをはじめとした
JPNICの活動にも大変ご協力いただいている、さくらインターネット株式会社
の山下健一さんにお書きいただいたコラムを載せています。「Abuse窓口」の
お仕事を通じて感じられている山下さんの視点は、大変示唆に富んでいます。

また、インターネット用語1分解説では、ドメイン名登録の仕組みとして押さ
えておきたい「ドメイン名登録の先願主義」について解説しています。

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◆ 目次
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【 1 】特集 「APNIC 56カンファレンス報告
              全体概要およびアドレスポリシー関連報告」
【 2 】News & Views Column
       「真実の世界」
         さくらインターネット株式会社  山下健一氏
【 3 】インターネット用語1分解説
       「ドメイン名登録の先願主義とは」
【 4 】統計資料
         1. JPドメイン名
         2. IPアドレス
         3. 会員数
         4. 指定事業者数
【 5 】イベントカレンダー

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【 1 】特集 「APNIC 56カンファレンス報告
              ~全体概要およびアドレスポリシー関連報告」
                                               JPNIC IP事業部 中川香基
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APNIC 56カンファレンス(以下、APNIC 56)が2023年9月7日(木)~9月14日(木)
にかけて、京都市国立京都国際会館にて開催されました。本稿では、APNIC 56
の開催概要とアドレスポリシーに関する議論の動向についてご紹介します。


■ APNIC 56開催概要

APNIC 56は2015年に福岡市にて開催されたAPNIC 39以来、8年ぶりの日本開催
となりました。なお、APNIC 39はAPRICOT 2015との併催であり、APNICカン
ファレンス単独での開催は2002年に北九州市で開催されたAPNIC 14まで遡り
ます。今回のAPNIC 56ではJPNICがローカルホストを務め、さまざまな関係各
者様のご協力のもと、会期を終えることができました。ご協力いただきまし
た皆様にこの場をお借りして御礼申し上げます。

また、今回はAPNIC設立30周年という節目のタイミングとなり、このような回
をAPNIC誕生の地である日本で開催できたことは大変素晴らしいことでした。
会期中には30周年を記念するセッションや企画が用意され、APNIC設立時に携
わられた方々が久しぶりに顔を合わせたり、当時の様子や出来事を聞いたり
する大変貴重な機会となりました。

会期中、9月7日(木)~9月10日(日)の間は、さまざまなワークショップが行わ
れ、今回は日本開催ということで、日本語でインターネットオペレーション
の基本をお話しする「Internet Operations 101」といったセッションも行わ
れました。9月11日(月)~9月14日(木)は、議論の場となるカンファレンスセッ
ションが行われました。カンファレンスセッションでは、従来と同じく、ア
ドレスポリシーやルーティングセキュリティ、NIR (National Internet 
Registry; 国別インターネットレジストリ)、ソーシャルな課題など特定分野
に関心を持つ人達で議論が行われる「SIG (Special Interest Group)」、
カンファレンスの総括および全体報告が行われる「AMM (APNIC Member 
Meeting)」、その他各種技術に関する講演等が行われました。

主催者報告によると、今回のAPNIC 56では世界47の国と地域から504名が現地
参加しました。前回の単独開催であるAPNIC 54(シンガポール)は、オンサイ
ト開催再開後初のカンファレンスということもあり多くの人を集めましたが、
今回もそれと同水準の人数が集まりました。

会期中のセッションについては、動画、資料および発言録がWebで公開されて
います。もし興味のある内容がありましたらぜひご確認ください。また、現
地の様子はAPNICのFlickrで写真が公開されていますのでぜひご覧ください。

  APNIC 56プログラム
  https://conference.apnic.net/56/program/

  Flickr: APNIC 56のアルバム
  https://www.flickr.com/photos/apnic/albums/72177720311127255


■ 選挙結果のご紹介

APNIC 56では、NRO NC (The Number Resource Organization Number
Council)を選出する選挙が行われました。

NRO NCは、ICANN理事会がグローバルポリシーを承認する上で、アドバイスを
行う役割を担います。ポリシーフォーラムより選出された2名と、RIR
(Regional Internet Registry; 地域インターネットレジストリ)の理事会が
指名する1名の合計3名を、各RIR地域の代表者としています。五つのRIRから
選出された合計15名で、NRO NCを構成しています。

今回は、Di Ma氏(中国/ZDNS)の任期満了に伴い、選挙が行われました。今回
の選挙では現職のDi Ma氏と新人のAbhishek Mishra氏(インド/NIXI)が立候補
し、現職Di Ma氏が再選を果たしました。Di Ma氏の任期は、2024年1月~2025
年12月の2年間となります。2期目となりますので1期目の経験を糧にさらなる
活躍を期待したいと思います。

また、今回は定例の役職に関わる選挙とは別に、APNICの定款改定案に関する
投票が行われました。APNICの定款は長年変えられずに運用されてきました
が、昨今の状況を鑑みて、より堅牢性の高い組織にするために変更しようと
いうものでした。今回は5点の変更点に関して投票が行われ、すべて可決と
なっています。

なお、こちらのAPNIC定款改定に関わる経緯や変更内容等については、別途
特集記事を配信予定です。今しばらくお待ちいただきますよう、お願いいた
します。


■ Open Policy Meeting (OPM)での議論とその結果

今回のAPNIC 56では、5件の提案が行われました。

コンセンサス形成のための意思表示方法としては、挙手とConfer
(https://confer.apnic.net)を利用する形式で行われます。これらの投票の
結果をチェアが吟味して、コンセンサスの判断が下されます。

ここからは、5件のポリシー提案について、議論結果をご紹介します。提案の
内容や事前情報に関しては、JPNICブログにまとめていますので併せてご確認
ください。また、IP-USERSメーリングリストでは、カンファレンス開始前に
JPOPF運営チームによって、日本語での提案紹介および意見募集が行われてい
ます。今後の動向把握には、IP-USERSメーリングリストの登録をぜひお願い
します。

  APNIC 56でのIPアドレス・AS番号分配ポリシーに関する提案のご紹介
  https://blog.nic.ad.jp/2023/9196/

  IP-USERSメーリングリスト
  https://www.nic.ad.jp/ja/profile/ml/mailman.html#join-ip-users


○prop-148:「IPアドレスのリース禁止」
  提案者:Jordi Palet Martinez氏、Amrita Choudhury氏、
          Fernando Frediani氏
  https://www.apnic.net/community/policy/proposals/prop-148/

  概要:委任されたIPアドレスのリースは認められない旨を明記し、違反し
        た場合にはアドレスの委譲を取り消す旨をポリシー文書に追記する。

  結果:コンセンサスに至らず

APNIC 54から継続議論となっていた提案です。前回の議論において、IPアド
レスリースの定義をすり合わせることは困難であると考えた提案者は、文章
内から可能な限り「リース」という言葉を排除し、顧客との直接接続性を要
するという言葉に置き換えた、と主張しました。しかし、実際には提案文書
内に「リース」の文言が残っていること、またいくら文言を変えても提案者
が抱える問題意識の解決には「リース」という言葉の定義は避けられないこ
と、言葉を曖昧にしたことによる事務局の対応プロセスも曖昧であることな
どが指摘として入り、今回もコンセンサスには至りませんでした。

提案者は本提案を一度取り下げ、タイトルや内容の修正をした上で再提案を
予定しているようです。


○prop-152:「IPv4アドレスの最大割り振りサイズを/23から/24へ変更」
  提案者:Rajesh Chharia氏
  https://www.apnic.net/community/policy/proposals/prop-152/

  概要:1.現在ある在庫(103/8)が枯渇するまでは、現状通り/23を上限とし
          た分配を継続する。
        2.103/8の枯渇後はすでにIPv4アドレスの分配を受けたものは新規に
          分配を受けることはできない。
        3.新規メンバーには最大/24の分配をReservedプールから行う。
        4.完全枯渇した際には新規メンバーのためのwaiting listを作成
          する。

  結果:コンセンサスに至らず

提案者は、現在APNICが保有する分配可能なIPv4アドレスの在庫は2024年中に
完全枯渇を迎えることが推測されることから、IPv6アドレスの導入に必要な
IPv4アドレスとして多くの組織に分配できるように、このような延命措置を
講じる必要があると主張しました。

しかし会場からは、このような提案が実装されることで、駆け込みでの申請
が発生し混乱をきたす可能性が指摘されたり、現在の最大割り振りサイズ/23
よりさら小さくしてしまうと、もはや事業者としてできることはかなり限ら
れてしまったりといった、ネガティブなコメントが寄せられました。

コンセンサス確認では賛成派と反対派で割れましたが、チェアの判断により、
コンセンサスには至りませんでした。


○prop-153:「Policy Development Processの変更」
  提案者:Bertrand Cherrieri氏
  https://www.apnic.net/community/policy/proposals/prop-153/

  概要:Policy Proposalの提出は次回OPMの5週間前までとし、4週間前には
        Policy SIGへ投稿される(提出期限を明確化する)。

  結果:コンセンサスに至らず

現在のPDPでは、OPM開催の4週間前にはポリシーSIGのメーリングリストに提
案が投稿され、事前ディスカッションを始められるようにする必要があると
規定されていますが、提案の提出期限については明記されていませんでした。
今回はその明確化を図るため、OPMの4週間前に加え、ポリシー提案の内容を
SIGチェアが確認し、投稿作業をする期間として1週間追加した5週間前を、
ポリシー提案の提出期限とする提案でした。

十分な事前ディスカッションの期間としてOPM開催前の4週間が設定されてい
ますが、実態としてメーリングリストでのディスカッションは、投稿後1週間
程度でほとんどの提案が議論を終えていることが会場から指摘されました。
また、会場からは、JPOPFのような母国語に翻訳してポリシーディスカッショ
ンを行うような人々には必要な時間なのではとの意見もありましたが、いつ
公開されるかが明確であればさほど問題とはならないとJPOPF-STからコメン
トがされました。

賛成・反対拮抗しましたが、コンセンサスには至りませんでした。


○prop-154:「IXP向け割り当てアドレスサイズの変更」
  提案者:Simon Sohel Baroi氏, Aftab Siddiqui氏
  https://www.apnic.net/community/policy/proposals/prop-154/

  概要:1.IXP向け割り当てのデフォルトサイズを/26とする。
        2.60AS以上のピアがある場合には/25まで割り当てを受けることがで
          きる。
        3.100AS以上のピアを計画または証明できる場合、/24まで割り当て
          を受けることができる。
        4.保有IPv4アドレスが/24以下のIXPは利用率が60%を越えているこ
          とを証明することで/23までの割り当てをリナンバするこ
          とで可能とする。
        5.保有IPv4アドレスが/23のIXPは利用率の80%超えを証明すること
          で/22までの割り当てをリナンバ可能とする。

  結果:コンセンサスに至らず

本提案は、RIPE NCCで実装された提案を一部改変して、APNICでも実装しよう
とされた提案です。IXPはAPNICから/23分のIPv4アドレスの分配を受けること
ができますが、実態として多くのIXPでは持て余す量となっており、効率的・
効果的な分配となっていないと提案者は主張しています。そこでデフォルト
の割り当てサイズを/26に縮小し、ピアリングの数や利用率を条件として、追
加での割り当てを受けられるようにしようというのが本提案でした。

本提案での最大の懸念点は、/23以上の割り当てを受ける際にリナンバを伴う
という点でした。IXP事業者の方からは、リナンバリングに必要な労力とそれ
に見合う効率化が結果として出るのかどうか、強く懸念が表明されていまし
た。

効率を重視する人やIPv4アドレスが欲しい賛成派と、IXPを中心とした反対派
で意見はぶつかり、OPMの中ではまとまり切れず、コンセンサスには至りませ
んでした。

○prop-155:「アソシエイトメンバーへのIPv6割り当て」
  提案者:Simon Sohel Baroi氏, Aftab Siddiqui氏
  https://www.apnic.net/community/policy/proposals/prop-155/

  概要:Associate memberは/48のIPv6 PI割り当てを受ける資格を持つ。


  結果:コンセンサス

APNIC 52の際に、prop-137として提案されたものが再度議論となりました。
IPv4/IPv6アドレスをどちらも持たない、選挙権だけを持つAPNICメンバーカ
テゴリ「アソシエイト」に対して、/48のIPv6割り当てを認めようという提案
です。この変更によって、小規模事業者や学術期間等で試験的なIPv6実装な
どが容易になると見込まれます。

会場ではコメントが出ませんでしたが、IPv6実装を推進、支援していく機会
が増えるのは良いことであるとして、多くが賛成に回り、コンセンサスに至
りました。


■ 次回以降のAPNICカンファレンスについて

次回のAPNIC 57は、2024年2月21日(水)~3月1日(金)、タイ・バンコクで
APRICOT 2024と同時に開催される予定です。次々回がニュージーランド・ウェ
リントン、その次がバングラデシュ・ダッカというところまでが発表されて
います。

APNICカンファレンスは、APNICメンバー以外の方にも広く門戸を開いていま
す。ポリシー動向はもちろん、世界での最新技術動向やトレンドトピック、
国際連携・国際交流に関心をお持ちの方は、ぜひ一度参加されてみてはいか
がでしょうか。英語でのカンファレンスですが、同時英語字幕等、初心者や
非ネイティブスピーカーへの配慮もなされています。また、YouTube Liveや
アーカイブの動画を見ることもできます。皆様と、APNICカンファレンスの場
でお会いできることを楽しみにしています。


 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃     ◆◇◆◇◆  本特集のご感想をお聞かせください  ◆◇◆◇◆     ┃
 ┃良かった                                                          ┃
 ┃ https://feedback.nic.ad.jp/2031/b0ef101c8d034ba719c6ce164413ac02 ┃
 ┃                                                                  ┃
 ┃悪かった                                                          ┃
 ┃ https://feedback.nic.ad.jp/2031/9bf4a32af790246b8453952d8d93c296 ┃
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

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【 2 】News & Views Column
       「真実の世界」
                                 さくらインターネット株式会社 山下健一
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

スタンフォード大学と言えば、カリフォルニア大学と共に1969年10月29日、
インターネットが誕生した地です。英語版Wikipediaの"Stanford University"
ページにもコンピュータやインターネットの発展における非常に重要な業績
が並び、きら星のようです。そんなスタンフォード大学の公式Webサイトに、
Digital Safetyというページがあります。

Digital Safety (Stanford 大学 SHARE Title IX)
https://share.stanford.edu/education-and-outreach/learn-topics/digital-safety

このDigital Safetyページは、オンラインでの嫌がらせ(Online Harassment, 
Online Abuse)について、類型、人が心理的、身体的、経済的に深刻な影響を
受け得ること、受けた場合に通報したり支援を求めたりする方法を伝えてい
ます。特別な知識を有さない学生や職員にも理解が及ぶよう配慮するわかり
やすさ、現に嫌がらせに直面する人が読むことを想定したと思われる端的さ
と文脈の強さ、情報の実用性などから、大学当局が強い危機感を持っている
様子が察せられます。

さて、これを語る僕はオンラインの嫌がらせに対応する「abuse窓口」の仕事
をしています。さまざまな嫌がらせに遭遇しますが、総じれば自分ではない
誰かの「過ち」「悪意」「狭量」「他責」「認知のゆがみ」をレビューする
仕事です。ずっと誰かの尻拭いをし続ける、感謝もされないということが立
て続いて、「なんで僕が」と考え込んでしまう時もありました。「クソどう
でもいい仕事の類型に『尻拭い』がある」とデヴィッド・グレーバーと言う
人が述べているということを知り『ブルシット・ジョブ―クソどうでもいい
仕事の理論』を読んでみました。わかったのは、この仕事は「クソどうでも
いい仕事(Bulls hit Jobs)ではない」「クソ仕事(Shit Jobs)である」「エッ
センシャルワーカー的である」ということでした。

Digital Safetyページから伺える危機感は、「オンラインの嫌がらせで死ん
でしまう人がいる」ここから発せられていると受け止めます。悪質な誹謗中
傷、それだけでなくセクストーション(性的脅迫)や、スワッティング(虚偽の
犯罪通報により警察を他者の家に突入させる嫌がらせ)、インターネット誕生
から五十余年、インターネットが存在することで人が死ぬようになりました。
インターネットがあることで巨額の窃盗が起きたり、国家が転覆したりもし
ます。事件のたびにニュースで騒がれます。でも僕は仕事をしながら考える
ようになりました。「問題だ、危機感を持ち、対策はしなければならない、
しかし驚くには値しない、うろたえるな!」。テクノロジーとインターネッ
トの発展がこれからも爆発的に続くと信じられることと同じくらいに、人々
の欲望、暴力、争い、悲嘆、犠牲、努力、愚かさ、生死、希望もまた、イン
ターネットに現れると疑わないからです。真実の世界がどれほどに美しく恐
ろしいか、僕は未だ、知りません。


■筆者略歴

山下 健一(やました けんいち)

2004年12月さくらインターネット株式会社入社。データセンター勤務、サー
バ保守、クラウドサービス運用に従事した後、2016年よりabuse窓口の業務に
従事。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 3 】インターネット用語1分解説
         「ドメイン名登録の先願主義とは」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ドメイン名登録の先願主義とは、ドメイン名の登録は基本的には最初に申請
を行った申請者に登録の権利がある、いわゆる「早い者勝ち(First come, 
First served)」で登録が行われるという仕組みを指します。

通常、ドメイン名の登録申請においては、商標などのように申請文字列に対
する事前の審査は存在しません。空いている文字列であれば、自身の組織名
やサービス名などに関係ないものであっても、登録者が自由に選ぶことがで
きます。このような仕組みになっている理由は、事前審査などの仕組みを導
入した場合、Web経由でのその場での登録や廉価での登録が難しくなってしま
うからです。

もちろん、だからと言って他者の権利を侵害する登録が許容されているわけ
ではなく、多くのトップレベルドメイン(TLD)ではそのような登録は登録規則
などで禁止されています。また、実際にそのような登録がなされた場合には、
当該ドメイン名の移転や取消を求めることができる「ドメイン名紛争処理方
針(DRP)」と呼ばれる紛争解決のための仕組みが一般的には用意されていま
す。

なお、先願主義による登録にも一部例外があり、新しいTLDができて新規の募
集が行われる際や、既存のTLD内にセカンドレベルドメイン(2LD)が新設され
たり予約語などが解放されたりする際には、商標権利者や既存登録者に対し
て優先登録期間(サンライズピリオド)が設定されることがあります。その場
合は、一般ユーザーによる先願登録に先立って、対象者に対する優先登録が
実施されます。


■ 参考

   ドメイン名紛争処理方針(DRP)
   https://www.nic.ad.jp/ja/drp/


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 4 】統計資料
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1. JPドメイン名

o 登録ドメイン数(2023年5月~2023年10月)
--------------------------------------------------------------------------------------------
日付|  AD  AC    CO    GO   OR    NE   GR   ED   LG   GEO    GA    GJ     PA   PJ   TOTAL
--------------------------------------------------------------------------------------------
  5/1|251 3822 471153 791 40043 12820 5498 6393 1900 2081 1096417 84702  9271 1384 1736526
  6/1|251 3830 471955 791 40079 12815 5483 6409 1901 2077 1097611 84451  9258 1336 1738247
  7/1|251 3831 472710 796 40109 12828 5473 6414 1901 2073 1101001 84289  9249 1336 1742261
  8/1|251 3827 473259 795 40190 12801 5456 6408 1901 2070 1103866 84090  9251 1333 1745498
  9/1|251 3827 473975 794 40231 12814 5452 6417 1901 2068 1106482 84028  9251 1333 1748824
 10/1|251 3824 474756 794 40286 12719 5346 6430 1902 2064 1108106 83854  9222 1333 1750887
--------------------------------------------------------------------------------------------

 GA:汎用ドメイン名 ASCII(英数字)
 GJ:汎用ドメイン名 日本語
 PA:都道府県型ドメイン名 ASCII(英数字)
 PJ:都道府県型ドメイン名 日本語


2. IPアドレス

o JPNICからのIPv4アドレス割り振りとJPNICへのIPv4アドレス返却ホスト数
  (2023年2月~2023年7月)
------------------------------------------
  月 |   割振   |   返却   | 現在の総量
------------------------------------------
   2 |     8704 |        0 |   91609736
   3 |     5888 |    25600 |   91590024
   4 |     1024 |        0 |   91591048
   5 |     1024 |        0 |   91592072
   6 |     1024 |    13312 |   91579784
   7 |   330752 |     1024 |   91909512
------------------------------------------

□統計情報に関する詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/stat/


3. 会員数  ※2023年10月13日 現在

 ---------------------
  会員分類  | 会員数 |
 ---------------------
  S会員     |      3 |
  A会員     |      0 |
  B会員     |      1 |
  C会員     |      3 |
  D会員     |     92 |
  非営利会員|      9 |
  個人推薦  |     28 |
  賛助会員  |     40 |
 ---------------------
  合計      |    176 |
 ---------------------

□会員についての詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/member/list/


4. 指定事業者数  ※2023年8月10日 現在

   IPアドレス管理指定事業者数           500


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 5 】イベントカレンダー
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  2023.10.16(月)~18(水)        NANOG 89 (San Diego, U.S.A.)
  2023.10.16(月)~20(金)        SANOG 40 (Colombo, Sri Lanka)
  2023.10.17(火)~20(金)        Security Days Fall 2023 [後援] (東京
                                都、JPタワー ホール&カンファレンス)
  2023.10.18(水)                自分が働く"ネット業界"をよく知ろう!
                                「インターネット入門」(東京都、KDDI
                                ホール+オンライン)
  2023.10.19(木)~20(金)        ARIN 52 (San Diego, U.S.A.)
  2023.10.20(金)                RPKI実証実験 体験ハンズオン
                                (大阪府、大阪大学 グランフロント
                                大阪 + オンライン)
  2023.10.21(土)~26(木)        ICANN78 (Hamburg, Federal Republic 
                                of Germany)
  2023.10.26(木)                Security Days Fall 2023 [後援] (大阪
                                府、グランフロント大阪)
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  2023.11.4(土)~10(金)         IETF 118 (Prague, Czech Republic)
  2023.11.14(火)                2023 Annual CENTR meeting
  2023.11.15(水)~22(水)        Internet Week 2023
  2023.11.27(月)~12.1(金)      RIPE 87 (Rome, Italian Republic)
  2023.11.29(水)                第45回JPNICオープンポリシーミーティン
                                グ(オンライン)
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  2024.1.17(水)~19(金)         JANOG53 (福岡県、博多国際展示場&カン
                                ファレンスセンター)
  2024.1.29(月)~2.2(金)        APAN57 (Bangkok, Thailand)


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