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/P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.2211【臨時号】2026.1.20 ◆
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◆ News & Views vol.2211 です
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第124回IETFミーティング(IETF124)が、2025年11月1日(土)~7日(金)にかけ
て、カナダ・モントリオールで開催されました。本号では、WebとAIに関連し
たワーキンググループ(WG)およびその議論を中心にご紹介します。
本号の内容は、JPNICブログでもお読みいただけます。発表資料などへのリン
クも辿りやすくなっておりますので、ぜひブログでもご覧ください。
JPNICブログ:IETF国際動向 - 第124回IETFより
~WebおよびAI関連の動向~
https://blog.nic.ad.jp/2026/11495/
なお、これまでに発行した第124回IETF関連の記事については、下記のURLか
らバックナンバーをご覧ください。
□第124回IETF報告
○第124回IETFミーティング概要とBOFより -
https://blog.nic.ad.jp/2025/11444/
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◆ IETF国際動向 - 第124回IETFより ~WebおよびAI関連の動向~
株式会社グリー 後藤ひろゆき
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AIのここ数年での進化には目を見張るものがあります。多くの製品やサービ
スにおいてもAI機能が搭載されるようになり、凄い速さで利用が進んでいま
す。Webという文脈においても、AIエージェントがユーザーに代わりWebサイ
トにアクセスし情報を収集するようになっています。
そのような中で、AIに関する仕組み(例えばModel Context Protocol)の整備
はIETFに限らず進められています。IETFではHTTPといったWebの要素技術の標
準化も進められていますが、今回はIETFで行われているWebとAIに関連した
ワーキンググループ(WG)およびその議論を中心に紹介します。
■ AI Preferences (aipref) WG
AI Preferences (aipref) WGは、2025年1月に結成された比較的新しいWGで
す。その動機は、コンテンツ所持者が自身のコンテンツがAIの学習用途に利
用できるか明示的に許可/拒否を示せるようにするというものです。
今まで検索エンジンのクローラに対しては、Webサイトの所有者は
robots.txt (*1)という仕組みを用いて検索エンジンへの取り込み(index化)
を許可/拒否することができました。 https://example.com/robots.txtに
『Allow: /ok_path/』『Disallow: /ng_path/』などと書くことで制御するこ
とができます。
このrobots.txtの仕組みを拡張し、学習用クローラに対して許可・拒否を伝
えられるようにするのが『Associating AI Usage Preferences with Content
in HTTP』(*2)です。robots.txtに『Content-Usage: train-ai=n』と記載す
ることで、学習目的のクローリングを拒否することができます。また、この
提案仕様ではHTTPレスポンスヘッダを介してクライアントに通知する方法も
定義されています。
robots.txt拡張で利用する語彙を定義する『A Vocabulary For Expressing
AI Usage Preferences』(*3)も合わせて標準化が進められています。定義さ
れている語彙の例としてtrain-ai、searchなどがあります。現在もユースケー
スについて議論が行われており、整理が進むことでしょう。
(*1) https://datatracker.ietf.org/doc/html/rfc9309
(*2) https://www.ietf.org/archive/id/draft-ietf-aipref-attach-04.html
(*3) https://www.ietf.org/archive/id/draft-ietf-aipref-vocab-05.html
■ Web Bot Auth (webbotauth) WG
Web Bot Auth (webbotauth) WGも2025年10月に結成された新しいWGになりま
す。このWGには、WebにアクセスするBot (AIエージェント)が、本当にある組
織、またはある特定のプロダクトのBotであることを識別・認証したいという
背景があります。
モチベーションの一つの例として、CDNベンダーであるCloudflareは
『Introducing pay per crawl: Enabling content owners to charge AI
crawlers for access』(*4)という記事を書いています。これは、Webのコン
テンツオーナーがクローリングを行うAIエージェントに対して課金を行える
ようにする仕組みです。彼らは、この仕組みについてもIETFにDraftを提出し
ています(*5)。AI用途の学習を行う企業に課金をするためにも、このように
WebにアクセスするBot (AIエージェント)を適切に識別する必要が出てきてい
ます。
まだまだできたばかりのWGであり、ユースケースの収集をしている段階です。
(*4) https://blog.cloudflare.com/introducing-pay-per-crawl/
(*5) https://www.ietf.org/archive/id/draft-meunier-web-bot-auth-architecture-00.html
■ ユーザーの代理としてのAIエージェント
WGとしての活動はまだ目立ってはありませんが、AIエージェントに関しても
う一つのテーマとしてあるのが、権限委譲の議論です。実際の人間がAIエー
ジェントに権限を委譲する仕組みの提案の例として『AAuth - Agentic
Authorization OAuth 2.1 Extension』(*6)があります。このように、人間が
AIエージェントに権限を委譲すること、もしくは逆にWebサイト側としてはア
クセスしてきたAIエージェントが人間の代理であることを正しく識別すると
いうのは、今後課題となる一つのテーマなのではないかと思います。
(*6) https://datatracker.ietf.org/doc/draft-rosenberg-oauth-aauth/
■ Future of the Open Web サイドミーティング
もう一つ、WebとAIという観点で重要な議論があります。IETFの会合ではサイ
ドミーティングとして、有志者によって標準化の前段階となるような現在抱
えている課題の共有などが行われます。今回IETF 124で行われたサイドミー
ティングの一つに、『Future of the Open Web』(*7)というものがありまし
た。
このサイドミーティングは、Mark Nottinghamさんの呼びかけで開催されまし
た。Mark NottinghamさんはIETFでは長らくHTTP WGのチェアも務め、W3C
Technical Architecture Group のポジションも担う人物です。
ミーティングでは、前提とする『Open Web』が何を指すか共通認識はないと
しつつ、出発点としていくつかの点を挙げています。例えば、現在のWebコン
テンツは公開することで、検索エンジンにクロールされ、ユーザーがWebサイ
トにアクセスしにきてくれることが望まれます(いくつかのコンテンツはログ
インする必要もありますが)。また、Webコンテンツの一部はWeb広告の収入を
得ることで、無料でWebコンテンツが提供されている点も挙げられています。
私見では、『Open Web』とは誰しもがWebコンテンツにアクセスでき、Webコ
ンテンツ事業者も利益を享受しながらコンテンツを提供できるというエコシ
ステムを指していると理解しました。
WebへのアクセスがAIエージェントによって行われるようになったら、このエ
コシステムは維持されるのでしょうか?という問いが今回のサイドミーティ
ングの一つであるようです。Webコンテンツ事業者は、広告を閲覧しないAI
エージェントが支配的になった際にコンテンツを作り続けるのでしょうか?
検索エンジン事業者は、AIエージェントの利用が増えてもWebコンテンツのク
ローリングを引き続き行うのでしょうか?
OpenなWebというエコシステムによりインターネットおよび世界が発展してき
た中で、AIの登場はこのエコシステムにどのような影響を及ぼすのか、潜在
的課題を投げかけているように感じました。
もちろん議論の中では、Open Webの定義の話や、Web Bot Authのような要素
技術、エンドユーザーの年齢認証、プライバシーの問題など幅広くコメント
が行われています。
サイドミーティングという限られた時間の中で結論らしいものは出てはいま
せんが、Webの一端を担う標準化の場でも高い課題感を持って議論が行われた
ことがわかります。IETFの翌週、W3Cの技術会合であるTPAC (Technical
Plenary and Advisory Committee)でも、同様にMark Nottinghamさんによる
Breakoutセッションが行われました。そこでも、おおむね似たような議論が
行われました。詳しくは、議事録をご覧いただければと思います。
(*7) https://docs.google.com/document/d/1WaXDfwPP6olY-UVQxDZKNkUyqvmHt-u4kREJW4ys6ms/edit?tab=t.0#heading=h.o7pe1jtypsho
■ 終わりに
AIは急速に進化しており、Webの要素技術としても足りていないピースの標準
化が急速に進められています。一方で、Webのエコシステムや法整備を含めそ
の影響は未知数なところがあり、各所で議論が進められている状況です。イ
ンターネットおよびWebが引き続き、健全かつ持続的に発展していくように、
引き続き活動し、その動きをまたご紹介できればと思います。
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