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/P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.2213【臨時号】2026.1.27 ◆
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◆ News & Views vol.2213 です
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2025年10月下旬に、アイルランド・ダブリンで第84回ICANN会議が開催されま
した。年次会合となる今回の会合では、新gTLDプログラムの次回ラウンドに
向けた準備が進むとともに、WSIS+20関連セッションなども開かれました。
なお、この第84回ダブリン会合の報告会を、2025年12月11日(木)に開催して
おります。報告会当日の資料はWebで公開しておりますので、ぜひ本稿と併せ
てご覧になってください。この報告会のレポートも、本メールマガジンで別
途お届けする予定です。
第74回ICANN報告会
https://www.nic.ad.jp/ja/materials/icann-report/20251211-ICANN/
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◆ 第84回ICANNダブリン会議報告
JPNIC 政策主幹 前村昌紀
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第84回ICANN会議(以下、ICANN84)は2025年10月25日(土)から30日(木)まで、
アイルランドのダブリンで開催されました。
事務総長のKurtis Lindqvist氏が閉会後に公開した会議振り返りブログ記事
(*1)によると、ICANN84には1,600名ほどの現地参加者、500名以上の遠隔参加
者を得たとのことで、現地参加者のうち104人が初参加だったようです。
(*1) A Look Back at ICANN84
https://www.icann.org/en/blogs/details/a-look-back-at-icann84-14-11-2025-en
毎年10月のICANN会議は年次会合(Annual General Meeting)で、理事会などの
リーダーシップが任期の更新を行うとともに、参加者数と会議フォーマット
が最大規模となります。
新gTLDプログラム次期ラウンドに向けた準備が着々と進み、ICANNの外に目を
転じると世界情報サミット20周年振り返り(WSIS+20)が佳境を迎えているとい
う状況でのICANN84でしたが、筆者の印象に残ったセッションをご紹介してい
きます。
■ 共同進行役が参加したWSIS+20セッション
2025年12月の国連総会で成果文書が採択されたWSIS+20に関して、ICANN84の
会期は、ゼロドラフトと呼ばれる成果文書草案が公開された後というタイミ
ングでした。10月27日(月)に開催された"Geopolitical Forum: WSIS+20
focus"は、WSIS+20の共同進行役のひとりであるケニアの国連大使、Ekitela
Lokaale氏が参加して、ICANN会議参加者からゼロドラフトに対する意見に耳
を傾けました。2025年6に開催されたインターネットガバナンスフォーラム
(IGF)でも、共同進行役2人がフロアマイクに並ぶたくさんの参加者から、時
間いっぱい意見を聞いていたのも記憶に新しく、政府以外のステークホルダー
に対する共同進行役の深い配慮を感じさせるものでした。
このセッションもう一つの見どころは、ICANN84の直前にICANN事務局に着任
したGovernmental Engagementチームのヘッド、Janis Karklins氏がこのセッ
ションの司会進行を務めたことです。Karklins氏はラトビアの元大使であり、
ICANNではGAC(政府諮問委員会)議長、理事会に対するGACからのリエゾンを務
めたことをはじめ、IGFやNETmundialなど、インターネットガバナンスに関す
るいろいろなポジションを歴任された方で、ICANN事務局着任も少なからぬ驚
きをもって受け止められました。
(*2) Geopolitical Forum: WSIS+20 focus
https://icann84.sched.com/event/29QIK/geopolitical-forum-wsis+20-focus
■ CCG Review of Reviews 2回のコンサルセッション
CCGとはCross Community Groupの略です。Review of Reviews (RoR)の後ろの
Reviewsは、ICANNの定款で規定され、ICANN内の支持組織(SO)、諮問委員会
(AC)などの組織や、ICANNが維持向上していくべきテーマごとの遂行体制を、
5 年ごとに見直すレビューを示します。このレビューの機構は、ICANNのマル
チステークホルダーによる方針検討過程を、当事者であるコミュニティメン
バー自身が見直していくという、ICANNのマルチステークホルダープロセスの
根幹ともいうべきものです。しかしながら、5年ごとのレビュー実施が非現実
的で度々延期が打ち出されることから、近年、包括的レビュー(Holistic
Review)や、継続的改善プラン(Continuous Improvement Plans)のような新た
な方法が試行されてきました。これらの試行を踏まえて、ICANNコミュニティ
全体でレビュー機構のレビューをしようというのが、このCCG RoRです。
2025年9月に理事会がこのCCGの設立を承認した後、各支持組織・諮問委員会
にCCGメンバーの指名が求められました。筆者は現在ASOアドレス評議会のメ
ンバーですが、ASO指名でICANN理事を6年務めたこともあり、これらのレ
ビューを間近に眺めてきたことから、CCGメンバーに志願しました。
ICANN84ではCCG RoRが二つの意見聴取セッションを設けました。Co-Chairは
Chris Dispain、Avri Doria、Manal Ismailの3氏で、いずれも長らくICANNに
関与し、ICANN理事会を経験した方々で、ICANNコミュニティメンバーのあら
ゆる方によく知られている3人だと思います。
CCG RoRの検討はまだまだ初期段階で、ICANNのミッションや、レビューの意
義など、検討の前提を確認しているような段階ですが、フロアからは活発な
意見表明が相次ぎました。
CCG Review of Reviews (1/2),(2/2)
https://icann84.sched.com/event/29QIN/review-of-reviews-session-1-of-2
https://icann84.sched.com/event/29QLl/review-of-reviews-session-2-of-2
■ 理事会ASO合同会議ではAFRINICの現況報告
各SO/ACと理事会との合同会議は、年次会合とコミュニティフォーラムでは定
番のセッションです。今回のASOと理事会の合同会議の話題は大きく二つで、
一つはICP-2 (新RIR設立要件文書)の改定作業です。「RIRガバナンスドキュ
メント」と命名された、改定版ICP-2の草案第2版が2025年8月28日(木)に公開
され、各RIRの会議やウェビナー、メーリングリストなどで意見募集が進行中
という状態でICANN84の会期に入りました。ICANN84でも、さまざまなSOやAC
のセッションに、ASO ACのメンバーが説明に行っており、意見聴取期限の11
月7日(金)までの意見提出を呼びかけましたが、その状況に関してASOから理
事会に報告しました。
もう一つはAFRINICの状況です。AFRINICはある会員企業からの裁判に端を発
して、裁判所命令により理事会の意思決定ができなくなり、次いでCEOと理事
会が空席となりました。これによる機能不全が3年ほど続いていたところ、
2025年9月にやっと正常な選挙によって理事が選出され、機能し始めたところ
でした。AFRINIC理事会から議長のAdewale Adedokun氏と理事のFiona Asonga
氏が合同会議に出席し、ICANN理事会に対して、新たに全議席が埋まった
AFRINIC理事会の対応状況を報告しました。管財人(最高裁から指名され正常
化プロセスにあたっていた)の離任プロセス開始、CEO探索開始、選挙不正の
調査などが紹介され、AFRINICの復調を期待させるものでした。
Joint Meeting: ICANN Board and ASO
https://icann84.sched.com/event/29QLe/joint-meeting-icann-board-and-aso
■ データ正確性に関するGNSOの議論
レジストリやレジストラが保持するドメイン名登録者に関する情報は、DNS
Abuseをはじめとする不正利用との関連でも懸念が大きく、GNSOではポリシー
策定プロセスの事前検討にあたるスモールチーム検討が終了したところです。
そのような中GNSOでは、「データ正確性:我々は匿名性とセキュアなインター
ネットを同時に持つことができるのか」と題された議論セッションが持たれ、
満員で立ち見が出るほどでした。議論の中では、ドメイン名の登録に必要な
のは、KYC (Know Your Customer:顧客の厳格なアイデンティティ精査)など
による登録者の特定なのか、連絡可能性なのか、といった問いや、KYCを実施
しても、不正・不法利用を行う登録者は証明書を偽造するなどして実効性が
挙がらない状況の紹介に対して、さまざまな意見が交わされました。データ
正確性に関するポリシー策定にはまだ見通しが立ちませんが、今後の議論の
動向が気になるところです。
GNSO: Accuracy: Can We Have Anonymity and a Secure Internet
https://icann84.sched.com/event/29QOe/gnso-accuracy-can-we-have-anonymity-and-a-secure-internet
■ 理事会では重要な決定、そして陣容の変更
年次総会の最終日は、公開理事会をもって理事の任期の節目を迎え、新たな
メンバーによる議長や委員会メンバー指名のための組織人事理事会が行われ
ます。
今回公開理事会では重要な議決が二つありました。一つは新gTLDプログラム
次期ラウンドに関する申請者ガイドブック(Applicant Guidebook, AGB)の承
認です。AGBは、次期ラウンドに関するプログラムの詳細が記述された文書で
す。承認されたAGBは、2025年12月16日(火)に公開されました。
New gTLD Program: Next Round - Applicant Guidebook Homepage
https://newgtldprogram.icann.org/en/application-rounds/round2/agb
もう一つは、RDRS (Registration Data Request Service)の期間延長です。
RDRSは、gTLDの登録データのうち非開示となっている個人情報などの開示請
求手段として、2023年から2年間試行されていたもので、2025年11月で試行が
終了することになっていました。理事会はこの期限を2年延長し2027年11月ま
でとするとともに、さらに開示請求提供の要領の検討を深めることとしまし
た。
公開理事会が終わり、組織人事委員会では新たな理事会の陣容がお目見えし
ました。私にとって感慨深いのは、私がASO指名で理事会入りした2016年に同
時に理事となった、GNSO選出のBecky Burr氏と指名委員会選出のMaarten
Botterman氏が、任期制限の3期を満了して退任となったことです。もうひと
りは指名委員会選出で1期を務めたChris Chapman氏ですが、Chapman氏に関し
ては、CEO探索委員会のチェア、戦略計画委員会の共同チェアをBotterman氏
と務めるなど重要な役目を果たしており、理事会としては再任の上さらなる
貢献を期待していたとして理事会議長、Tripti Singha氏がPublic Forumの席
上発言しましたが、これに対しては指名委員会メンバーからも、自身の適正
なプロセスの結果だという反論も聞かれました。
退任する3人に替わって、GNSOからは、2025年の評議会議長を務めたGreg
DiBiase氏が、指名委員会からはLACNICのCEOなど要職を歴任したRaul
Echeberria氏と、Internet Societyでインターネット政策分野の責任者を務
めた経験のある、Constance de Leusse氏が理事会入りしました。
■ 最後に
今回の会場は、前回2015年のICANNダブリン会議と同じ会場でした。市街地中
心には古い街並みが残り、アイリッシュパブが立ち並ぶテンプルバー地区に
は、毎晩たくさんのICANN会議関係者が繰り出していたようです。10月半ばな
がらとても寒かったのですが、街並みの温かみが印象的でした。ICANN84の内
容、スケジュール、資料、録画などは、ICANN Webサイトの以下のページから
ご覧いただけます。
ICANN84 Dublin Annual General Meeting
https://meetings.icann.org/en/meetings/icann84/
ICANN84ダブリン会議の報告会は、2025年12月11日(木)に実施しました。日本
から参加した皆さんのご発表、本稿の内容を含む私の発表など、当日の資料、
録画は以下からご覧いただけます。また、報告会の模様は本メールマガジン
でも後日レポートをお届けする予定です。
第74回ICANN報告会
https://www.nic.ad.jp/ja/materials/icann-report/20251211-ICANN/
次回ICANN85ポリシーフォーラムは、インドのムンバイで、2026年3月7日(土)か
ら12日(木)まで開催されます。遠隔参加も可能で、その場合にも参加登録が
必要です。
ICANN85 Mumbai Community Forum
https://meetings.icann.org/en/meetings/icann85/
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わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
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