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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.2219【臨時号】2026.2.25 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.2219 です
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カナダ・モントリオールで2025年11月1日(土)~7日(金)にわたり、IETF 124が
開催されました。今回は量子計算機の実用化に備えて、量子計算機でも解読し
にくい暗号について、どの程度の進展があるのかをお届けします。

本号の内容は、JPNICブログでもお読みいただけます。

 JPNICブログ:IETF国際動向 - 第124回IETFより
        耐量子計算機暗号(PQC)標準化の進展と
        IETF 124のハイライト
 https://blog.nic.ad.jp/2026/11611/

なお、これまでに発行した第124回IETF関連の記事については、下記のURLか
らバックナンバーをご覧ください。

 □第124回IETF報告
  ○IETF国際動向 - 第124回IETFより
   https://blog.nic.ad.jp/2026/11495/

  ○第124回IETFミーティング概要とBOFより
   https://blog.nic.ad.jp/2025/11444/


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◆IETF国際動向 - 第124回IETFより
  耐量子計算機暗号(PQC)標準化の進展とIETF 124のハイライト
                              セコム株式会社IS研究所上級研究員/
                              JNSA PKI・PQC相互運用WGリーダ 伊藤忠彦
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こんにちは、セコム株式会社IS研究所上級研究員/JNSA PKI・PQC相互運用WG
リーダの伊藤忠彦です。

2025年11月、カナダ・モントリオールで開催されたIETF 124では、耐量子計算
機暗号(Post-Quantum Cryptography:PQC)の標準化に関する議論が大きく進
展しました。量子計算機の進歩に伴い、既存の公開鍵暗号の安全性に対する検
討が続く中、PQC導入に関する複数のアプローチが並行して整備されています。
今回は、デジタル証明書分野についてPQC標準化の最新状況を整理し、今後の
方向性について解説します。

■「PureなPQC」利用の標準は出そろいつつある

NIST(米国国立標準技術研究所)が標準化したPQCアルゴリズム(ML-KEM、
ML-DSA、SLH-DSA)を、既存のX.509証明書やCMSでそのまま利用するための標
準化が進んでいます。

- ML-DSAの利用:RFC 9881、RFC 9882
- SLH-DSAの利用:RFC 9909、RFC 9814
- ML-KEMについても、近くRFCとなる見込みです。

この「PureなPQC」アプローチは、既存プロトコルの変更を最小限に抑えるア
プローチです。そのため、比較的容易に実装できると期待されています。従っ
てRFCの公開に伴い、それらのRFC準拠した製品が登場し、PQCを導入しやすい
環境を(後述の方式に比べて)早期に実現することも期待されています。なお、
SLH-DSAの利用では、状態管理に注意が必要ですが、その点を解説するドキュ
メント(draft-ietf-pquip-hbs-state)の整備も進んでいます。

■既存アルゴリズムとの併用方式も標準化の山場を越える

従来の「枯れた」アルゴリズムをPQCと組み合わせ、安全性を高めるComposite
方式の標準化も進展しました。このアプローチはPure方式に比べ仕様が複雑化
することから、標準化に時間がかかっていましたが、標準化に向けて大きな進
展が見られました(draft-ietf-lamps-pq-composite-kem、
draft-ietf-lamps-pq-composite-sigs)。もっとも、今後細かな修正が行われ
る可能性もありますので、これらの方式を標準化を待たずに実装する場合は注
意が必要となります。

■新しいプロトコルへの置き換え提案も始動

既存の公開鍵暗号をPQCに置き換えることが、(各種データ量の増加等に伴い)
困難が予想されるユースケースも存在します。そのようなユースケースに対し
ては、新たなプロトコル(やエコシステム)を構築するアプローチが考えられ
ます。

IETF 124でBoFが開催され、その後に正式なWGとなったplants WGは、そのアプ
ローチの代表例となります。このWGでは、現状広く利用されているX.509証明
書を、Merkel Tree Certificate(MTC)を利用する方式に置き換えることが検
討されています。今後、実装および評価をしつつ標準化が進展する見通しです
が、普及の見通しがつくまでには相応の期間が必要となりそうです。

■まとめと今後の注目ポイント

- PureなPQC利用の標準化はほぼ完了し、実装しやすい環境が整いつつありま
  す。
- Composite方式は標準化の山場を越えたものの、完了時期は未定であり、実
  装には注意が必要です。
- 新しいプロトコルの提案も始動しており、長期的な視点での対応が求められ
  ます。

PQCは、今後のセキュリティ基盤を支える重要な技術です。標準化の進展を注
視しつつ、実装計画を柔軟に見直す体制を整備することが、企業や組織にとっ
て重要となるでしょう。



      わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
              https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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