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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.2239【臨時号】2026.6.3 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.2239 です
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2026年3月にインド・ムンバイで開催された第85回ICANNムンバイ会議につい
ては、先日発行したvol.2231でお伝えしたところですが、本稿ではそのムン
バイ会議を受けて2026年4月23日(木)に開催した、第75回ICANN報告会につい
てご報告します。

今回の報告会は新gTLDプログラムの申請受付開始1週間前の開催ということ
で、多くの登壇者からそれに関連した報告が行われたほか、最後にパネルディ
スカッションも実施されました。

なお、報告会の資料はJPNIC Webで公開していますので、本稿と併せてご参照
ください。

  第75回ICANN報告会
  https://www.nic.ad.jp/ja/materials/icann-report/20260423-ICANN/

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◆ 第75回ICANN報告会レポート
                                     JPNIC インターネット推進部 山崎信
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2026年3月7日(土)から12日(木)にかけて、インド・マハーラーシュトラ州ム
ンバイおよびオンラインのハイブリッドでICANN85会議が開催されました。そ
の内容の概要を国内向けに報告する、第75回ICANN報告会を2026年4月23日(木)
にオンラインで開催しましたので、その内容をお伝えします。


■ プログラム

今回のプログラムは次の通りでした(発表者敬称略)。

1. ICANN85会議概要報告
   ICANNジャパン・リエゾン 大橋 由美

2. 国コードドメイン名支持組織(ccNSO)関連報告
   株式会社日本レジストリサービス(JPRS) 高松 百合

3. ICANN政府諮問委員会(GAC)報告
   総務省 総合通信基盤局電気通信事業部データ通信課 今尾 和樹

4. 理事会とASO(アドレス支持組織)を中心とした活動の報告
   JPNIC 前村 昌紀

5. GNSO(分野別ドメイン名支持組織)レジストリ・レジストラ部会報告
   株式会社インターリンク ジェイコブ・ウィリアムズ

6. 次期新gTLD申請手続きポリシー検討状況報告
   GMOブランドセキュリティ株式会社 寺地 裕樹

7. コンテンツ側からみたICANN85の報告
   弁護士・弁理士 丸田 憲和

8. 新gTLD申請開始に先立ってのパネルディスカッション
   総務省 総合通信基盤局電気通信事業部データ通信課 宮本 知典
   株式会社インターリンク ジェイコブ・ウィリアムズ
   GMOブランドセキュリティ株式会社 寺地 裕樹
   モデレーター:JPNIC 前村昌紀


■ 1. ICANN85会議概要報告

ICANNジャパン・リエゾンの大橋氏より報告されたICANN85の概要では、合計
2,195人(現地参加1,517人、リモート参加678人)の参加があり、現地参加者の
うち59%をアジア太平洋地域が占めたことが示されました。今回の主要なト
ピックとして、2026年4月30日に申請受付が開始される新gTLD募集ラウンドの
タイムラインや申請管理システム、基本レジストリ契約についての最新状況
が共有されました。また、DNS不正利用(DNS Abuse)対策に向けたポリシー策
定プロセス(PDP)のうち関連ドメイン名チェックに関するPDP (PDP 1)の主な
論点とスケジュール、さらにgTLD登録データ(標準化されたデータアクセス・
開示システム(SSAD)(*1)/登録者データ請求サービス(RDRS)(*2))の現状や法
執行機関からの緊急要請への対応といった、セキュリティと運用面に関する
重要なアップデートが報告されました。

ガバナンスや制度の見直しに関する議論も多岐にわたり、WSIS+20への対応に
ついては、ICANNが今後もIGF(インターネットガバナンスフォーラム)への支
援を継続する方針であり、現時点で活動への具体的な影響はないことが確認
されました。ICANNレビュー全体の見直し(Review of Reviews)については現
在も検討が継続されています。これらについてはICANN86に向けてコミュニ
ティ提案を取りまとめる予定となっており、今後の動向が注目されます。

(*1) System for Standardized Access Disclosureの略。標準化されたデー
     タアクセス・開示システム。EUのGDPR施行に伴い、非公開のドメイン名
     登録者データへのアクセスを標準化するために検討が開始されました。
     https://www.nic.ad.jp/ja/newsletter/No76/NL76_0800.pdf

(*2) Registration Data Request Serviceの略。非公開のgTLD登録者データ
     を請求するための、無料でグローバルかつ一括請求窓口となるシステム
     です。
     https://www.nic.ad.jp/ja/icann/topics/2023/20231208-01.html


■ 2. 国コードドメイン名支持組織(ccNSO)関連報告

JPRSの高松氏からは、国コードドメイン名(ccTLD)レジストリの連合体として
ccTLD全体にまたがるグローバルな課題についてポリシー案を作成し、ICANN
理事会に勧告を行う支持組織である、ccNSOの動向が報告されました。報告で
は、DNS不正利用対策に関してレジストリ部会との共同セッションで交わされ
た意見交換やPDP 1での検討内容が共有されたほか、ICANNのレビュー制度見
直しにおいて、現行のレビュー体制が持続不可能であるという共通認識のも
と、Review of Reviews Cross-Community Group (Reviews CCG)が提示した新
しいレビュー体系案についての議論とフィードバックが行われたことが伝え
られました。


■ 3. ICANN政府諮問委員会(GAC)報告

総務省の今尾氏からは、各国政府の代表で構成される政府諮問委員会(GAC)に
おける議論内容が報告されました。DNS不正利用対策においては、ホスト国で
あるインドのccTLDレジストリであるNIXI (National Internet Exchange of 
India)の取り組みが紹介されたほか、関連ドメイン名チェックPDPの開始や、
今後予定されているレジストリおよびレジストラが提供するAPIに対する無制
限アクセスを利用した悪質な登録を防ぐためのセーフガードを策定するPDP 
(PDP 2)など、各種PDPに関する情報共有と今後の対処方針が話し合われまし
た。また、ドメイン名登録者の連絡先検証に設けられている15日間の猶予期
間に対する新たな対策の必要性が指摘されるなど、セキュリティ強化に向け
た具体的な議論が交わされました。

WHOIS登録情報の正確性や2026年4月開始の新gTLDラウンドについての進捗と
しては、SSADの検討に関するGACの対応方針や、法執行機関等からの緊急要請
対応への取り組み状況が確認・共有されました。さらに、新gTLDの次回ラウ
ンドに向けては、プログラム概要や申請システム、CPE(コミュニティ優先評
価)ガイドライン、早期警告実施プロセスの文書化といった制度設計に関する
情報共有が行われ、各国政府としての関心事項が改めて整理されました。


■ 4. 理事会とASO(アドレス支持組織)を中心とした活動の報告

JPNICの前村からは、2026年3月末までのICANN理事会決議概要の紹介に加え、
ICANN85で印象に残ったトピックとして、Amrita Choudhury氏のコミュニティ
優秀賞受賞が報告されました。また、IPアドレス関連ではInternet 
Coordination Policy 2 (ICP-2)(*3)改定作業やそのためのエンゲージメント
に多大な労力が割かれたこと、さらにインターネットのレジリエンスに関す
るセッションにおいて、DNSが無料のオープンソースソフトウェアで機能して
いる現状への問題提起や、クラウドシステムおよび電力との連関性を考慮す
る必要性が議論されたことが伝えられました。

(*3) 新たなRIRの設立要件を規定した文書で、本稿執筆時点では、改定に関
     する検討が進められているところです。
     https://blog.nic.ad.jp/2024/10159/

     改定版文書草案バージョン2日本語訳:
     https://www.nic.ad.jp/ja/translation/nro/20250828.html


■ 5. 分野別ドメイン名支持組織(GNSO)レジストリ・レジストラ部会報告

インターリンクのウィリアムズ氏からは、ドメイン名登録事業者側の観点か
ら報告が行われました。DNS不正利用対策(DNS Abuse PDP1)においては、不正
利用されたドメイン名と同一登録者が持つほかのドメイン名の調査義務付け
が検討されていますが、スコープの管理や、作業を急ぎたいステークホルダー
と負担増を懸念するボランティア側の間でのタイムラインを巡る対立が課題
となっています。また、フィッシングやマルウェア配布に悪用されるドメイ
ン名への迅速な対応を義務付ける契約改定が進められている一方で、登録デー
タへのアクセス(SSAD)に関しては、認証された申請者(Authenticated 
Requestor)の定義に法執行機関以外を含めるべきかという争点があり、理事
会で採択されない見込みであることが共有されました。

2026年4月30日に申請が開始される新gTLDについては、まったく問題のない申
請であってもDNSへの委任は最速で2028年初頭になる見通しが示されました。
これに関連し、2026年3月12日の理事会で承認された基本レジストリ契約の最
新版のアップデート内容も報告されています。具体的には、銀行信用状やエ
スクローデポジットといった継続運用手段(COI)の要件廃止や、EBERO(緊急
バックアップ・レジストリ運用事業者)の改善が盛り込まれたほか、契約締結
から12ヶ月以内にTLDの委任を受けることが必須化されるなど、運用の効率化
と厳格化が進められています。


■ 6. 次期新gTLD申請手続きポリシー検討状況報告

GMOブランドセキュリティの寺地氏からは、新gTLDの申請プロセスおよびスケ
ジュール、2025年以降の最新状況、および申請に向けて準備すべき点などに
ついて報告いただきました。この報告で使用された資料は、2026年4月30日の
新gTLD申請開始に先立ち、申請者が実務を進める上での実用的なガイドとなっ
ています。申請プロセスとスケジュールに関しては、2026年4月30日から同年
8月12日までとされる申請受付期間や現在の準備状況が共有され、前回の2012
年ラウンドとの違いについても解説されました。また、申請費用に関する基
本手数料や条件付き手数料、払い戻し規定をはじめ、申請準備に直ちに役立
つチェックリストが盛り込まれているほか、2025年12月に開催された前回報
告会の資料も参考情報として収録されています。

制度や契約面での変更点についても詳細が共有されており、3月の理事会で承
認された基本レジストリ契約のアップデートとして、継続運用手段(COI)の廃
止や予約名の拡大などが挙げられています。さらに、セーフガード公益コミッ
トメント(Safeguard PICs)に関しては、ドメイン名登録者が必要な認可や資
格を保持しているかを確認する仕組みや、コンテンツ自体を直接規制しない
範囲での「登録ポリシー」の策定といった具体的な方針が示されており、適
正な運用に向けた実務的な指標となっています。


■ 7. コンテンツ側からみたICANN85

コンテンツ側の視点からの考察として、ICANN GNSO知的財産部会(IPC)のメン
バーであり出版5社マンガ海賊版サイト対策会議(JPMAC)に関わる丸田氏より、
海賊版対策に関してご報告いただきました。報告では、DNS不正利用(DNS 
Abuse)対策のPDP 1において対象のトリガーに海賊版(デッドコピー)を含める
べきであるとの主張や、gTLD登録データへのアクセスを可能にするRDRSにつ
いて、一部のレジストラのみの導入では不参加事業者への乗り換えを招くた
め「全レジストラの参加」が望ましいという主張が示されました。さらに、
コンテンツ侵害に対してより迅速かつ効率的なテイクダウンを実現する手段
として、「Trusted Notifierプログラム」が有効な対策になり得ると期待が
寄せられています。

■ 8. 新gTLD申請開始に先立ってのパネルディスカッション

2026年4月30日に募集が開始された新gTLD次期ラウンドに向けたパネルディス
カッションでは、まず準備プロセスの大きな進展が評価されました。パネリ
ストからは、前回の2012年ラウンドの経験を活かして計画的なプロジェクト
マネジメントが行われている点や、レジストリサービスプロバイダー(RSP)の
事前認定制度の整備により技術審査による遅延が防げるようになったことが
大きな進歩として挙げられました。一方で、申請費用の高騰や円安による日
本企業の負担増、プライベートオークションの禁止に代表されるルールの厳
格化、さらにドメイン名空間拡大に伴うDNS不正利用(DNS Abuse)への懸念と
いった、コストや運用面における課題も指摘されました。

企業のブランドTLDに対する活用の目的には変化が見られており、従来の知財
保護目的から、サイバーセキュリティの強化や自社ドメイン名の把握といっ
たガバナンス目的へとシフトしていることが指摘されました。特にAI時代の
到来により、AIによる検索や引用において運営者が明確なブランドTLDは、
ユーザーにとってもAIにとっても「信頼できる正しい出所」としての価値が
高まっているという見解が示されました。今後の展望としては、特定の専門
テーマに特化した市場の細分化が進むと予想されるほか、多数のドメイン名
を効率的に扱うためのレジストラ側のシステム接続や契約プロセスの電子化
といった、運用の効率化が求められています。

ディスカッションの締めくくりとして、各パネリストからはそれぞれの立場
に応じた重要なメッセージが発信されました。宮本氏はスムーズな進行と不
正利用対策を期待しつつ政府への早期相談の重要性に言及し、寺地氏はRSPの
改善やAI・セキュリティの観点からブランドTLDの価値を改めて強調しまし
た。ウィリアムズ氏は費用の高騰や新オークション規定、レジストラの負担
増という実務的な懸念を投げかけ、モデレーターの前村は国際化ドメイン名
(IDN)や名前衝突(*4)対策の進展に期待を寄せ、セッションを締めくくりまし
た。

(*4) https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/name-collision.html


■ 最後に

今回の報告会では、新gTLDの次期ラウンド(申請受付開始)が目前に迫ってい
ることが強く意識されていました。DNS不正利用対策についても、さまざまな
ステークホルダーの会合で議論されました。いずれの報告者からも詳細なご
報告をいただき、感謝いたします。各発表の詳細については、下記ページよ
り個別のスライド資料をご確認ください。

  第75回ICANN報告会
  https://www.nic.ad.jp/ja/materials/icann-report/20260423-ICANN/


次回ICANN86ポリシーフォーラムは、スペイン・アンダルシア州セビリアで、
2026年6月8日(月)から11日(木)まで開催されます。現地参加なさる方は6月7
日(日)までに参加登録が必要で、会期中会場では参加登録を受け付けていま
せん。遠隔参加も可能で、その場合にも参加登録が必要です。開催後、夏ご
ろにはその国内報告会の開催を予定しています。ご期待ください。

  ICANN86 Policy Forum in Seville, Spain
  https://meetings.icann.org/en/meetings/icann86/


   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
      わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
             https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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