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【 3 】News & Views Column 
        「アクセスプロバイダーに対する発信者情報開示の請求」
                                           JPNIC DRP検討委員会メンバー 
                                          一橋大学大学院法学研究科教授
                                                              松本恒雄
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他人の名誉を毀損したり、著作権などの知的財産権を侵害する情報がインター
ネット上で発信されている場合に、情報発信の場を与えたプロバイダーの責任
の有無や被害者からの発信者情報の開示請求の権利を定めた「プロバイダー責
任制限法」が2002年5月から施行されて、1年余りを経過した。

発信者情報開示に関して、最近二つの判決が出され、注目を集めている。

まず、Yahoo!事件(東京地裁平成15年3月31日判決)では、眼科病院に対する
名誉毀損情報が匿名でYahoo!の掲示板に書き込まれた。同掲示板では、自己の
電子メールアドレスを登録・確認後でないと書き込みができないシステムになっ
ているため、Yahoo!側は、書き込み者の同意を得て、その電子メールアドレス
を病院側に開示した。

その後、病院は書き込み者と個別に接触して、その氏名・住所・勤務先等を知
ることができたが、さらに、Yahoo!を相手取り、同法が、氏名・住所・電子メー
ルアドレスに加えて情報開示の対象とする「侵害情報に係るIPアドレス」およ
び「侵害情報が送信された年月日及び時刻」の開示を求めた。これは、書き込
み者が、被害者である病院と競争関係にある病院の理事長が経営する企業の従
業員であることから、職場から発信されている場合には、競争病院ぐるみの行
為であることを明らかにできるというねらいがある。

判決は、これらの請求を認めた。しかし、書き込み者は、アクセスプロバイダー
経由で書き込んでいたために、接続のたびに動的に割り当てられるIPアドレス
であり、これが開示されても、アクセスプロバイダーが判明するだけで、それ
から先の接続経路については、アクセスプロバイダーから別途の情報開示を受
けるしかない。

このアクセスプロバイダーから別途情報開示を受けられるか否かが争点となっ
たのが、So-net事件(東京地裁平成15年4月24日判決)である。名誉毀損情報
の書き込まれたWebサイトを運営するプロバイダーから発信者の電子メールア
ドレスの開示を受けた被害者が、その電子メールアドレスから明らかになった
アクセスプロバイダーに対して、発信者の氏名・住所の開示を求めたケースで、
判決は、単なるアクセスプロバイダーは、法律の定める発信者情報の開示義務
のあるプロバイダーに当たらないと判断した。

たしかに、通信の秘密や発信者の個人情報の保護との関係から、法律を厳密に
解釈する必要はある。しかし、アメリカでは、P2Pで音楽の無料交換を行って
いるユーザーが加入するアクセスプロバイダー(Verizon)に対して、加入者
情報を全米レコード協会に提供するよう命じる連邦地裁判決が本年1月に出さ
れ、6月にはその執行停止の申立てが連邦控訴裁で却下されている。わが国で
も、インターネットの匿名性を悪用した詐欺商法はあとをたたない。法律の対
象となる違法情報の範囲や発信者情報開示の義務者の範囲を含めて、法改正の
ための検討を開始すべきであろう。


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