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ニュースレターNo.15/1999年12月発行

3.最新トピックス English Page

3.7 ICANN最新動向について

(JPNIC 事務局)

ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)の最新情報をお知らせします。ICANNは、8月と11月に国際会議を開催し、いくつかの決議を行ないました。ここでは、8月のサンチャゴ会議と、11月のロサンゼルス会議の各決議の主なものを紹介し、今後のICANNの動きを展望します。

ICANNサンチャゴ会議

8月24日から26日まで、チリの首都サンチャゴで、ICANN内の組織である各Supporting OrganizationやAdvisory Commiteeの会議、理事会会議など、ICANNの一連の会議が開催されました。アジアの参加者にとってチリが地理的に遠かったせいか、前回のベルリン会議に比較して、サンチャゴ会議には、アジアからの会議出席者が少ないという印象を受けました。

各種の会議での結論を受け、ICANN理事会は8月26日に幾つかの決議を行ないました。決議には、PSO(Protocol Supporting Organization)の承認、ASO(Address Supporting Organization)のMoU(Memorandum of Understanding)の承認とAd Hoc Groupの形成、gTLD レジストラの統一紛争解決ポリシー策定勧告の承認、一般(At-Large)会員に関する決議などがありました。

ASOのMoU承認

ICANNのSupporting Organizationは、ドメイン名、IPアドレス、インターネットプロトコルという3つの分野にそれぞれ1つ、合計3つあります。DNSO(Domain Name Supporting Organization)は、今年の前半からすでに形成が認められ、組織作りが進んでいます。PSOは、7月にMoUの署名が行なわれ、承認されました。ASOについては、このサンチャゴ会議で、地域インターネットレジストリ(ARIN、RIPE NCC、APNIC)とのMoUに基づく形成プロポーザルが受理されました。

臨時グループ(Ad Hoc Group)の形成

MoUに基づくASOの形成プロポーザル受理と同時に、IPアドレスに関する将来のポリシーや構造の提案を任務とする臨時グループの設置が決まりました。これは、世界的な市場のニーズを満たすためのものであり、また、情報技術におけるさまざまなサービスや、ネットワークの収斂を考慮に入れた検討グループです。このグループには、電話会社、ISP、業界団体などのビジネス代表、ASOCouncil、ICANN 理事会、その他しかるべき関係団体が含まれます。このグループは、2000年の第2回ICANN公開会議の前に、暫定レポートを発表することになっています。

gTLD レジストラの統一紛争解決ポリシー

1999年4月30日、World Intellectual Property Organization (WIPO) は、.com、.net、.org のトップレベルドメインに関する紛争における、統一紛争解決ポリシーの勧告を含む報告を、ICANNに提出しました。そして、5月のICANNベルリン会議では、理事会が、紛争解決のための勧告をDNSOに照会し、テストベッド(競争のもとでの上記ドメイン登録実験)レジストラが自発的に採用するモデル紛争解決ポリシーの作成を促しました。

1999年8月3日には、DNSOのNames Councilは、コンセンサスとして5つの統一紛争解決ポリシーの勧告を理事会に提出しました。テストベッドレジストラは、テストベッドレジストラ間、また、ポスト・テストベッドレジストラ及び、テストベッド以前までgTLDの登録を一元的に行っていたNetwork Solutions社と協議を行ない、自発的採用のためのモデル紛争解決ポリシーを提案しました。

このサンチャゴ会議で、理事会は、ICANNが.com、.net、.org のトップレベルドメインにおける認定レジストラのための統一紛争解決ポリシーを採択するというDNSOの勧告を承認しました。そして、そのポリシーの実施のためのドキュメント作成が決定しました。

なお、10月25日には、サンチャゴ会議で採択されたgTLDレジストラの統一紛争解決ポリシーの実施ドキュメントが完成し、承認されました。

一般(At-Large)会員

ICANNは、インターネットユーザの声を反映するために、一般会員制度を設けることにしています。その一般会員が直接選挙によって選ぶAt-Large Councilは、ICANN理事を選出します。今回の理事会の決議では、一般会員は、地理的に多様で広くインターネットユーザーコミュニティを代表するものとし、5000人以上の個人から成り立つものとなっています。

サンチャゴの会議で最も注目された決議は、MoUに基づくASOの承認と、Ad HocGroupの設置でした。サンチャゴ会議以前には、地域インターネットレジストリを中心としたMoUべースのASO設立プロポーザルの他、電話事業者などを中心とした別の勢力によるプロポーザルも提出されていました。今度の決議で、ASOは、地域インターネットレジストリのプロポーザルによって形成されると共に、関連組織としてAd Hoc Groupを設置することにより、電話事業者や関連ビジネス業界の意見を反映できる仕組みを組み入れ、双方の利害のバランスを調整する形を作りました。また、gTLDレジストラの統一紛争解決ポリシーが承認されたことにより、ドメイン名と知的所有権に関する紛争解決手順策定が大きく前進しました。

ICANN理事選挙

ICANNの各Supporting Organization(DNSO、ASO、PSO)は、10月の下旬までに、理事を3名ずつ選出しました。選出された理事は以下の通りです。

Address Supporting Organization(ASO):
- Robert Blokzijl
- Ken Fockler
- Pindar Wong
Domain Name Supporting Organization (DNSO):
- Amadeu Abril I Abril
- Jonathan Cohen
- Alejandro Pisanty
Protocol Supporting Organization (PSO):
- Jean-Francois Abramatic
- Vinton G. Cerf
- Philip Davidson

ICANNロサンゼルス会議

ICANNは、11月2日から4日にロサンゼルスで、第1回年次会議を含む一連の会議を開催しました。11月4日の理事会では、役員人事に関する決議が行なわれました。10月中に選出されたSupporting Organization出身理事も、この理事会で正式に承認されました。その他、ICANNと米国商務省、Network Solutions社との契約関係に関する決議、ICANNの財政に関するタスクフォースの勧告承認、ASO関連のAd Hoc Groupチャーター承認、一般会員制度に関する決議が行なわれました。

ICANNと米国商務省、Network Solutions社との契約関係

ICANNと米国商務省、Network Solutions社、米国商務省との間の契約案として、以下の5つが理事会に提案されました。

  • Registry Agreement
  • Registrar Accreditation Agreement
  • NSI/Registrar License and Agreement
  • Amendment 19 to the NSI/U.S. Government Cooperative Agreement
  • Amendment 1 to the Memorandum of Understanding between ICANN and the United States Department of Commerce

ロサンゼルスの理事会では、これらの契約に対して、ICANN事務総長による署名を行なうことが承認されました。なお、これらの契約は、11月10日付で三者によって署名されました。各契約は以下に公表されています。

 http://www.icann.org/nsi/nsi-agreements.htm

ICANNの財政に関するタスクフォースの勧告

10月31日に、ICANNの当面の財政を安定させる方策を検討するICANN資金調達タスクフォースが、最終報告案を公表しました。ロサンゼルスの理事会では、この最終報告に規定された勧告が採択されました。この報告書には、過渡期予算、予算手続き、予算拠出金の全世界割り当て、gTLDレジストラに適用される資金調達方式などが規定されています。また、理事会は、上記Registry AgreementおよびRegistrar Accreditation Agreementに基づき、gTLDレジストリ及びレジストラに適用するよう報告書で勧告された資金調達方法の実施に向け始動することとなりました。

最終報告は以下に公表されています。

 http://www.icann.org/tff/final-report-draft-30oct99.htm

ASO関連のAd Hoc Groupチャーター

サンチャゴのICANN会議で、IPアドレスの問題に関する検討を行なうAd HocGroupの設置が決まりましたが、ロサンゼルスでは、そのチャーター(憲章)が承認されました。また、ICANNのウェブサイト上には、専用のICANNパブリックコメントフォーラムを設けることになりました。そして、このフォーラムの作業を調整し、これに貢献する少人数からなる編集グループを形成することになりました。

一般(At-Large)会員

今度のロサンゼルス会議で、理事会は、事務総長兼CEOに対し、インターネットユーザーのコミュニティを全世界的に代表するような会員を広範に多数獲得するための戦略を策定して実施する、会員制度実施タスクフォースを召集することを命じました。また、有効な会員証明及びオンラインでの選出手続きを立案し、理事会または事務総長により委任される、会員選出方式の実施にかかわるその他の職責を果たすよう命じました。

ICANN今後の動き

こうして、ロサンゼルス会議でも、ICANNにまつわるさまざまな動きがありましたが、特に大きなものとしては、ICANNとNetwork Solutions社、米国商務省との契約でした。三者の関係の明確化と再整備により、ICANNの法的位置づけが明らかになり、さらに、gTLDの登録と共有レジストリシステムへのアクセスに関するレジストリとレジストラ、ICANNとの関係が、以前よりも明確になりました。

今後のICANNの動向として注目されるのは、各ccTLDレジストリとICANNとの契約関係、及び一般会員の動員です。各ccTLDレジストリとICANNの契約関係については、DNSOのccTLD Registry Constituency(注)が具体的な議論を行なっています。この契約については、JPNICも.JPドメインのレジストリとして、当事者となります。したがって、ccTLD Constituencyの議論に積極的に参加し、ICANNとのより良い契約関係を築く努力をしています。

一般会員の実質的な勧誘は、2000年3月7日から9日にアフリカで開催が予定されているICANN会議に向けて、急速に前進する可能性があります。しかし、サンチャゴの決議にある、前世界で5000名以上の一般会員を獲得するという目標をいかに達成するかについては、具体的回答はまだ出ていません。今後会員制度実施タスクーフォースを中心に集中的な議論が行なわれるでしょう。

JPNICとしては、これらの動きを中心に、引き続き情報収集を行ない、ニュースレターやJPNIC Webページ、その他の場を借りて随時紹介していきます。また、日本からのICANN参加を促すための努力も行ないます。ICANNは、ドメイン名やIPアドレス、プロトコルなどのインターネット資源の一意性をグローバルに維持、調整する、重要な機関です。ICANNが正常に機能することにより、インターネットの分裂を回避し、ユーザにとってのインターネットの使いやすさを実現できると言っても過言ではありません。したがって、日本のユーザやISPのみなさまからも、ICANNをより良く機能させるためのインプットをいただければと考えております。

注:ccTLD Registry Constituency:各国別コードトップレベルドメインレジストリの集合体。DNSO Names Councilへ代表を選出}

参考

Resolutions Approved by the Board; Santiago Meeting, August 26, 1999
http://www.icann.org/santiago/santiago-resolutions.htm
Preliminary Report - Annual Meeting of the ICANN Board 4 November, 1999, Los Angeles
http://www.icann.org/minutes/prelim-report-4nov99.htm

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