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ニュースレターNo.28/2004年11月発行

ICANNクアラルンプール会議

2004年7月19日から23日まで、マレーシア・クアラルンプールにてICANN会議が開催されました。ここでは、主な決議事項の他、今回の会議の特色となった2つのワークショップについてご紹介します。

2004年7月19日から23日まで、マレーシア・クアラルンプールにてICANN会議が開催されました。会議期間中のクアラルンプールは、猛暑の東京に比べれば遥かに過ごしやすく、東京で最高気温39.5度を記録した時期に、赤道に近い熱帯の国で思いがけず「避暑」ができたと言いたいところですが、実際は、過剰冷房が当たり前のマレーシアで、拷問的な寒さに耐えながら会議に出ていたありさまでした。

【今回の特色】
今回のICANN会議では、通常のアジェンダの他に以下の2つのワークショップが開催されました。

ICANNクアラルンプール会議の様子
ICANNクアラルンプール会議の様子

世界情報社会サミット(WSIS)に関するワークショップ

前回2004年3月のローマ会議に続いて、今回も世界情報社会サミット(World Summit on the Information Society:WSIS)に関するワークショップが開催されました。今回のワークショップでは、2003年12月のジュネーブサミットの結果、国連に設置されることになった「インターネットガバナンスに関するワーキンググループ」(UN Working Group on Internet Governance:WGIG)について、その事務局長を務めるMarcus Kummer氏がプレゼンテーションを行いました。

Kummer氏によると、2004年7~10月の準備段階では、政府および利害関係者と協議のうえで、ワーキンググループの構成や活動範囲などについての検討を行い、2004年11月以降にワーキンググループが設置され次第、活動を開始するということです。

国際化ドメイン名(IDN)に関するワークショップ

1日かけて行われたこのワークショップでは、午前中にInternet Engineering Task Force(IETF)のJohn Klensin氏らによるチュートリアルが行われ、午後には各地域におけるIDNの実装状況報告が続きました。

アジア地域における状況報告では、中国、日本、韓国、台湾、シンガポールからの関係者が、それぞれIDN導入の経緯やIDNの実装状況について説明を行いました。日本における状況報告では、(株)日本レジストリサービス(JPRS)の堀田博文氏が、ウェブブラウザや電子メールアプリケーションでのIDN対応を進めるなど、ユーザー環境を整備する必要性をアピールしていました。

その他、.MUSEUM/.COM/.NET/.INFOの各gTLDにおけるIDN導入状況や、ポーランドやチュニジアなどアジア以外の地域における状況についての報告も行われました。

【主な理事会決議】
以下では、最終日に行われた理事会での決議事項の中から、主要なものをご紹介します。

2004~2005年度予算案の承認

今回承認された2004~2005年度のICANN予算案(2004/7/1~2005/6/30)は、これまでの予算に比べ、いくつかの大きな変更が見られます。まず、支出予算が前年度の827万ドルから1,583万ドルへと大幅に増加しています。これは、ICANN-米国商務省間の覚書に規定されている目標の達成を主眼としている他、訴訟への対応や世界情報社会サミット(WSIS)に関する活動なども影響しています。

次に、レジストラへの課金モデルの変更です。ICANNの財源は、現在その約70%をICANN認定レジストラが負担していますが、今回の予算増に対応するため、レジストラ支援料(380万ドル)が新たに設定されることになりました。これをレジストラ224社で割ると、1レジストラ当たり約17,000ドル/年の負担になります。(ただし、小規模レジストラへの救済措置として、場合により3分の2に減額することも提案)

また、レジストラ認定料(年間)の一部が、従来の登録ドメイン名数ベースからトランザクションの発生件数ベースに変更されることになりました。(ドメイン名の新規登録/更新/レジストラ変更など、登録者からレジストラへの支払が発生する件数に応じて課金)

小規模レジストラの間では、レジストラ支援料の導入が経営に打撃を与えるとして、予算案導入への反対運動も起きていたようですが、今回の会議中には表立った議論もなく、スムーズに予算案が承認された印象でした。

「セキュリティと安定性に関する諮問委員会」からのCOM/NETドメインにおけるリダイレクションに関する勧告について

ICANNの「セキュリティと安定性に関する諮問委員会」(SSAC)では、2003年9月にVeriSignが開始したSite Finderサービス(DNSワイルドカードを使用して、存在しないCOM/NETドメイン名を同社が運営するサイトにリダイレクトするサービス)に関する調査を行ってきましたが、2004年7月9日にその調査結果およびICANNへの勧告を報告書にまとめ、発表しました。今回の理事会では、このSSACからの勧告を受けて、以下の決議がなされました。

  1. 「DNSワイルドカードの仕様には欠陥が存在するため、RFC規定を必要に応じて修正すべき」とのSSACからの勧告に従い、DNSワイルドカードに関する標準についての解釈を、インターネット・アーキテクチャ・ボード(IAB)に確認する。
  2. その確認がなされるまで、いかなるTLDにも新たなワイルドカードのアプリケーションを導入しないよう勧告する。
  3. レジストリサービスへの重大な変更を行う場合には、適切な通知およびコミュニティによる検討・議論・コンセンサス形成の機会を持ったうえで、慎重に行うよう勧告する。
SSACによる勧告の詳細
http://www.nic.ad.jp/ja/topics/2004/20040715-02.html

国際化ドメイン名(IDN)について

現在では、さまざまなccTLDやgTLDにおいてIDNの導入が進められていることから、その実装状況や懸案事項についての報告を行うことがICANNスタッフに対し指示されました。

また、IDNのポリシーに関する問題(特にトップレベルドメインにおけるIDN実装に影響を与える問題)についての助言を行う「IDNに関する諮問委員会」を、ICANN事務総長の管轄下に設置することも決議されました。

(JPNIC インターネット政策部 入交尚子)

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