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ニュースレターNo.33/2006年7月発行

インターネット歴史の一幕:
INET'92 神戸のこと

財団法人インターネット協会副理事長/高橋徹

1991年6月のデンマーク・コペンハーゲンでINET'91が開かれました。 それまで、学術研究の国際ネットワークの会議はいくつかあったのが、 インターネットの商用化・民営化に伴って統合した会議が必要だと判断して国際ネットワーク会議INET (International Network Conference)が開催されました。 このときTCP/IPの発明者であるVinton CerfとRobert KahnたちがInternet Society (ISOC)の設立を提唱し、 INET'91の参加者がISOCのパイオニア・メンバーになったわけです。 その会期中に、村井純さんが来年は日本でやろうと、 組織者たちと話し合って、INET'92の神戸開催を決めました。

それからが大変です。 1992年6月15~18日の開催に向けて実行委員会を組織し、 相磯秀夫大会議長、 石田晴久プログラム委員長のもとにWIDEプロジェクトが事務局で動き始めたのです。 村井さんはregional conference co-chairsの一人で、 日本代表でした。 資金集めの会合のときに、 私はJUNETの会員組織から協賛金を集めようといいましたが、 無視されたような記憶があります。 ISOCが始まって最初のイベントが、このINET'92です。 私は村井さんと毎年のINTEROP視察ツアーを1989年から組織していたので、 参加者のプロ モーションを担当したように記憶しています。

この会議で、 IABがInternet Activity BoardからInternet Architecture Boardに変わりました。 IPng※1がOSI (Open Systems Interconnection)ではなくIPv6の方向に転じました。 商用インターネットの重要性が強調される場面がいたるところで見られ、 CIX (Commercial Internet Exchange)が紹介されました。 基調講演をしたLotus社の創立者Mitch Kaporにインタビューする機会を得たときに、 彼が「20世紀に残された最大のビジネスチャンスは、 疑いなく商用インターネットだ」と語っていたことは、 今も耳に残っています。 この年には、 インターネット商用化研究会が旧郵政省で開かれましたが、 私は別個に商用インターネットの調査に米国に行き、 INET'92で出会った人々を訪ねて回りました。 その調査報告書は(株)トッパンから出版されました。

当時、私が横河ディジタルコンピュータ(株)(当時)で扱っていたProteon社のルータのユーザ会が米国・ボストン郊外であり、 そこで出会った人々がこのINET'92にやってきていました。 Merit社にいたElise Gerichもその一人で、毎年のINTEROPでも会い、 親しく付き合っていましたが、 このとき神戸のホテルでバーが閉ざされた後に、 車座になって各フロアの自動販売機の酒を集めてきて飲んだ思い出があります。 話題はいつしか、それぞれの先祖がどこから来たかとなって、 EliseとニュージーランドのWellington大学から来たニューヨーク州出身のJohn Hineがアメリカ原住民の血が八分の一入っている、 いや十六分の一だ、などという話になったのでした。 なぜか、酒を飲まないRandy Bush(現IIJ)もそこにいたことを思い出します。

INET'92は多くの成果をもたらしました。 一番大きなことは、インターネットに関心を引き付け、 もうパソコン通信の時代ではない、商用インターネットが始まるのだ、 という認識が参加した日本人に生まれたことだと思います。 付け加えると、 INTEROPの創立者Dan Lynchが日本でINTEROPを開催したいので手伝え、 といってきたのもこの神戸でのことです。 翌93年には私はINTEROPを組織する立場に転じていました。


※1 IPng:Internet Protocol Next Generation
IPv4に代わる新しいインターネットプロトコルの暫定的な通称。その後、名称が「IPv6」に決まったため、現在ではこの呼称は使われていません。

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