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ニュースレターNo.37/2007年11月発行

第54回RIPEミーティング報告

第54回RIPEミーティングは、2007年5月7日~11日、エストニアのタリンで行われました。エストニアは東欧の北部にあるバルト三国の一つで、人口が140万人程の小さな国です。バルト海のフィンランド湾を挟んだ反対側はフィンランドです。タリンはエストニアの首都で、タリンのすぐ近くにフィンランド湾に面した港があります。タリンには13世紀頃に建てられた歴史的な建造物が残る旧市街があり、今回RIPEミーティングが行われたSokos Viruホテルは、この旧市街のすぐそばにあります。

第54回RIPEミーティングは、1日目から3日目にかけてPlenary(全体会議)が、3日目から最終日の5日目にかけてWGのミーティングが行われました。Plenaryでは、“Colocation Workshop”と題して、IXを収容していて機器の集約が進みつつあるデータセンターに関して、パネルディスカッションが行われました。電力不足のネットワークへの影響や、設備、価格の動向などが話題になりました。

今回の参加登録者の数は288名で、前回の317名および前々回の315名に比べてやや少なかった模様です。最も多かったのはアメリカからの参加者で15%程、続いてドイツが11%、オランダが8%でした。日本からの参加者は7名で2%でした。

写真:Sokos Viru Hotel
会場となったSokos Viru Hotelの外観

全体会議報告

Plenaryミーティング

Plenaryミーティングでは、先に述べましたワークショップの他に、IPv6の普及の現状や移行に関するプレゼンテーションが行われました。特に関連するものを以下に挙げます。

□ IPv6 Routing Update
発表者:Gert Doring氏
IPv6におけるグローバルルーティングテーブルの傾向や、RIRの割り振りと経路広告の傾向などを紹介。
□ IPv6 deployment in reality - an update.
発表者:Fernando Garcia氏
国別のIPv6を使ったWebサーバ数紹介や、著名な組織のIPv6でのWebサービス提供状況などの紹介。
□ The Cost of Not Deploying IPv6
発表者:Jordi Palet氏
IPv6に移行せず、IPv4を使い続けた場合に考えられるコスト要素を、技術的な観点で紹介。

これらのプレゼンテーションの資料は、以下のWebページから入手できます。

□ RIPE 54 Presentations
http://www.ripe.net/ripe/meetings/ripe-54/presentations/tuesday.html

IPv4アドレスの在庫枯渇時期の予測に関する発表

IPv4アドレスの在庫枯渇時期について予測を行っているAPNICのGeoff Huston氏が、3日目のPlenaryミーティングで、最新の予測結果についてプレゼンテーションを行いました。

Huston氏は、これまでにも予測を行ってきており、その予測では2011年に枯渇すると言われていました。今回はIPv4アドレスの需要を予測する際、一次関数ではなく、より過去のデータに近似することができる二次関数を増加率の計算のために用いたそうです。その結果、最新の予測ではIPv4のIANAプールが2009年12月に枯渇するという結果になりました。

RIRをはじめ、多くの会議では2011年という予測を基に議論が行われてきましたが、今回発表された予測ではそれより2年も早まり、IPv4アドレスの在庫枯渇は、従来言われていた4年後ではなく、2年後に迫ったことになります。ただしHuston氏は、この予測が今後ポリシーの変更が無く、枯渇時期の混乱等が一切発生しない状況を前提としていることや、現実の割り振りや経路広告状況は刻一刻と変化していることなどから、予測時期は常に変化する可能性がある点を付け加えています。

最新の予測結果は以下のWebページで公開されています。

□ IPv4 Address Report
http://ipv4.potaroo.net/

RIPEミーティングでは、ミーティングのテーマについて、ISPの技術とビジネスという両方の観点から、うまく取り上げられているように感じます。例えば今回は、Colocation Workshopの他に、ビデオストリーミングサービスの普及によるISPへの影響や、IPv6への移行を議論するにあたっての、論点の整理などについて取り上げられました。議論の方向性はオペレーターを対象とした技術的な話題や、アドレス資源管理のポリシーに関する話題とは異なるものの、ISPにとっては大変興味深い議論ではないかと思います。ヨーロッパやアメリカに比べて、ユーザに提供されるネットワーク帯域が抜きん出ている日本でも、ISPの技術とビジネスという、それぞれの観点から議論ができる場が増えることで、より興味深い話題が取り上げられるのではと思いました。

次回の第55回RIPEミーティングは、2007年10月22日から26日にかけて、オランダのアムステルダムで開催される予定です。

(JPNIC 技術部 木村泰司)

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