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ニュースレターNo.44/2010年3月発行

ICANNと米国政府との新しい関係 ~「責務の確認(AoC)」の締結~

2009年6月15日発行のJPNIC News & Views vol.646※1にて、インターネットの資源管理の頂点に立つICANNと米国政府の関係について述べ、両者が締結し終了を間近に控えたJPA(Joint Project Agreement「共同プロジェクト合意」の意)※2について解説しました。その際、「JPA満了後の枠組みや、ICANNと米国政府の関係がどのようになるのか興味深い」と記しましたが、2009年10月1日に、JPAに代わる「責務の確認(Affirmation of Commitments; AoC)」と呼ばれる新しい文書が発効しました。本稿では、このAoCの解説と、これまでの背景についてお伝えします。

背景

今回、AoCの締結に至った背景は、AoCの前身であるJPA、さらにその前身となるMoU(Memorandum of Understanding)※3の締結にまで遡れます。ICANNと米国商務省(Department of Commerce;DoC)との間でのMoUの締結は、「ドメイン名の一元的管理を含むDNSの管理権限は米国政府が持っている」とする米国政府の主張に基づいて、1998年11月に行われました。この主張はいわゆるホワイトペーパー※4の中で主張されたものですが、同文書は「DNSの管理は民間主導で行われることが望ましい」とも述べ、ICANNが設立された際にMoUを結び、DNSの管理をICANNに委託することになりました。MoUはその後何回か改訂された後、3年の期限付きであるJPAとなりました。

JPA終了が近づいた2009年5月、NTIAはJPAに関して意見募集を行いました。また、同時期に米国議会もこの問題に興味を示し、公聴会を開いてICANNおよびNTIAより参考人を招致しました。これらの動きを背景に、NTIAとICANNとの間でJPA終了後の取り決めについて交渉がなされたと思われます。

ICANNがWebページで公開している内容によりますと、2009年9月11日から12日にかけて理事合宿を行っています。正式な理事会ではないため議事録は公開されていませんが、主な議題を列挙している中にAoCが含まれています。そして、AoCがICANN理事会で正式に承認されたのは、JPA終了期限ぎりぎりの2009年9月30日となっています。

AoCとは

AoCとは、DoCとICANNとが、それぞれが果たすべき責務を記載した文書です。その前身であるJPAが2009年9月30日に終了したのに伴い、同日DoCの一機関である米国商務省電気通信情報局(National Telecommunications and Information Administration; NTIA)およびICANNがそれぞれ公開し、翌10月1日より発効しました。

AoCに書かれている責務は多岐にわたりますが、ICANNに関する主なものは次の通りです。

a)
公益のための、DNSのグローバルな技術的調整
b)
DNSのセキュリティ、安定性、回復性の維持
c)
競争、消費者の信頼、DNS市場での消費者による選択の自由の促進
d)
DNSの技術的調整における国際的な参画の促進

これに対し、DoCの責務としては主に次のものを挙げています。

e)
グローバルなインターネットユーザーのメリットを代表するDNSの技術的調整において、マルチステークホルダー、民間セクターが率いる、かつボトムアップなポリシー策定モデルへの関与

前身であるJPAとAoCを比べた場合の主な違いは、以下の4点となります。

1)
期限が定められていない
2)
これまで定期的にICANNからDoCに報告書を提出して評価を受けていた仕組みから、ICANNの自主性を尊重した評価の仕組み※5に移行する
3)
米国政府のICANNに対する関与は、米国以外の各国政府同様にGAC(Governmental Advisory Committee:政府諮問委員会)※6を通じて行う
4)
AoCは、米国政府もしくはICANNのどちらか一方の当事者が、意思を表明することにより、いつでも終了となる

これに対し、JPAの頃から一貫して変わらない点は、ICANNが米国に本拠地を置く一民間非営利団体として運営されることです。

AoCが示すもの

では、JPAからAoCになったことで、DNSの管理運営が民間主導となったと言えるのでしょうか。これについては、前述したAoCとJPAの相違点の4番目である「AoCは、米国政府もしくはICANNのどちらか一方の当事者が意思を表明することにより、いつでも終了となる」という条項により、必ずしもそうとは言えないと解釈することが可能です。つまり、AoCが終了すればICANNはDNSの管理権限を持たなくなるため、DoCはICANNに対してAoCの終了通告を行うことで、引き続きいざというときの関与を可能としているということです。ただし、通常時における米国政府の関与は、他国の政府と等しいGAC経由の関与とされているため、この点だけが注目されて、ICANNが米国政府の管理下より独立したという見方がされているようです。

AoCの締結後に、ICANNに寄せられたコメントは公開されており、米国の連邦議員からのものも含め、歓迎する内容のものばかりです。米国政府が前述の「相違点4)」という担保を残している点では、JPAとそれほど変わらないのでは、という見方も可能なAoCですが、ICANNが米国政府の管理から独立することを望んでいたと思われる国々も歓迎している理由は、上記、相違点4)が発動されない限りにおいて、全ての政府はGACを通じてICANNに関与することになっており、同等の権利を有するからです。今後、ICANNの評価委員会がスムーズに立ち上がり、ICANNの評価内容が肯定的なものとなれば、AoCおよびそれに付随した体制が成功したということになるのかもしれません。

画面:ICANNのWebサイト
「ICANNのCEOが語る新しい『責務の確認』」が掲載されているICANNのWebサイト
画面:JPNICのコメント
ICANNと米国商務省間のDNS管理に関する「責務の確認」契約締結に対するJPNICのコメント

参考

Affirmation of Commitments(原文)
http://www.icann.org/en/announcements/announcement-30sep09-en.htm#affirmation

(JPNIC インターネット推進部 山崎信)


※1 JPNIC News & Views vol.646
ICANNと米国政府の関係 ~JPA終了に向けて~
http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2009/vol646.html
※2 JPA(Joint Project Agreement:共同プロジェクト合意)
米国商務省(DoC, Department of Commerce)とICANNの間で、2006年9月に結ばれた覚書のことを指します。1998年11月にICANNと米国商務省との間の覚書(ICANN/DoC MoU)として締結されて以来、明確にJPAと称されるようになった2006年9月に至るまで6回更新され、2009年9月30日に期限満了を迎えました。
※3 ICANN/DoC MoU(Memorandum of Understanding)
ICANNと米国商務省(DoC)が、DNSの技術的管理の権限を米国政府から民間セクター(ICANN)へ移行させるために、その方法や手順を両者が共同で策定することを目的として、1998年11月に締結した覚書です。1998年11月25日に締結され、2006年9月30日まで延長された後、JPAへと引き継がれました。
※4 ホワイトペーパー
998年6月5日に発表された、インターネットの管理体系に関する提案が記述されている、米国政府による文書の通称です。1998年1月30日のグリーンペーパーに対するコメントの一部を反映してまとめられました。ドメイン名やIPアドレスの管理の調整のために非営利法人を設立するとしています。グリーンペーパー、ホワイトペーパーという流れを受けて、ICANNという新しい組織が設立されました。
※5 AoCでのICANN評価の仕組み
AoCでは、GAC議長、ICANN理事長または事務総長、DoC情報通信担当次官補、ICANNの各諮問委員会(Advisory Committee; AC)および各支持組織(Supporting Organization; SO)の代表、および独立した専門家からなる評価委員会を設置する、としています。
※6 GAC(Governmental Advisory Committee:政府諮問委員会)
ICANNの諮問委員会の一つで、各国政府の代表などで構成されています。各国政府の立場からICANNの理事会に対して助言を行っています。

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