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ニュースレターNo.48/2011年7月発行

東日本大震災によせて

JPNIC理事 石田 卓也

今回の震災で被害を受けられた会員やその関係者の皆様をはじめ、被災されたすべての皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

東日本大震災は2011年3月11日、JPNIC総会の最中に発生しました。総会は大きな揺れで中断され、立て続けに起こる余震によってそのまま終了せざるを得ませんでした。緊急対応に追われる方も多く、翌朝になっても会場からお帰りになることができなかった方もいらっしゃいました。

私は普段、主にインターネットサービスプロバイダー(ISP)の運用管理を業務としています。お客様の中には被災地に設備があったり、現地で地域に根差したサービスを行ったりしている事業者の方が多くいらっしゃいました。

今回、インターネット上でお客様を支える者としての課題を再確認しました。一つは、ファイバーの断線などによる通信断です。幹線を多重化していたにもかかわらず、接続が絶たれたところもありました。また、物理的な損壊がない場所においても、集中や迂回によるトラフィックの急な減増が発生し、停止するサービスも出てきました。二つ目は、やはり電源の確保でした。地域のISPやデータセンターにおいても、バッテリーや自家発電設備などは確保されてはいましたが、燃料の不足などでサービス不能に陥るところがありました。発電設備も計画停電における毎日の運用を想定されていないものも多いようです。

反対に、インターネットの有用性を再認識させられる場面も多く見られました。通常の通信よりも輻輳に強いインターネットを用いたサービスの方が、通信手段として有効だったという話がよく聞かれました。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)やミニブログ、インスタントメッセンジャー(IM)などが情報の発信、収集、連絡に役立ったという方も多かったと思います。私自身も、震源地や規模、警報などの情報を最初に得たのはTwitterでしたし、連絡にはSkypeを多用しました。日頃から使用しているツールが災害時にも役立ちました。また、新しい取り組みも多く見られました。インフラの一つとして、衛星を使ったインターネット接続を被災地に提供するボランティアが、震災後すぐに稼働し始めました。ほかにも、クラウドサービスを提供する事業者が連携して、被災地域の情報発信を支援する建設的な取り組みがなされています。災害時にも強いサービスとして、今後注目されるのではないでしょうか。

被災地の復興はもちろんのこと、その他の地域においても、現地の支援に加え、災害に備えた堅固で安全なネットワークを作り、災害時に正確かつ迅速な情報発信ができる準備を、新しい技術と十分な訓練を通じて整えていく必要があります。殊に、事業継続計画(BCP)に基づく、地域をまたいだバックアップ体制は、事前のシミュレーションがいざというときに力を発揮します。私も、地域を担当する理事として、微力ながら貢献できればと思っております。

厳しい情勢が続いておりますが、JPNICでは皆様のお力になれるよう取り組んでまいりますので、これからもご協力をいただければ幸いです。


執筆者近影 プロフィール●石田 卓也(いしだ たくや)
1998年、静岡県立大学国際関係学部(中途退学)在学中に有限会社イプリオ(現株式会社イプリオ)を起業。インターネットサービスプロバイダー、ケーブルテレビ、データセンター事業者などに対する技術支援を行う。NPO法人地域間高速ネットワーク機構理事、NPO法人ふじのくに情報ネットワーク機構副理事長、社団法人日本インターネットプロバイダー協会理事など歴任。
2008年からJPNIC理事(会員推薦)、分野担当(非営利、地域)。

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