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ニュースレターNo.48/2011年7月発行

第29回ICANN報告会レポート(カルタヘナ会議報告)

2010年12月5日(日)から10日(金)にかけて、コロンビアのカルタヘナで第39回ICANN会議が開催され、本会議の報告会を2011年1月27日(木)にスター貸会議室 神田・大手町(東京都千代田区)にて、JPNICと財団法人インターネット協会(IAjapan)の共催で開催しました。本稿では、報告会のレポートを中心に、カルタヘナ会議の概要をご報告します。

はじめに

カルタヘナはカリブ海に面した港町で、スペイン植民地時代の建築物が多く、1984年にユネスコの世界遺産にも登録された、美しい観光都市です。会場となったカルタヘナコンベンションセンターは、湾に面しているとともに、城壁に取り囲まれた旧市街のすぐ近くなので、歩いてこれらの世界遺産を楽しむことができました。

写真:Rod Beckstrom氏
会場で発言するICANN事務総長のRod Beckstrom氏(ICANN提供の画像より引用)

新gTLDプログラム ~プロセスもいよいよ大詰めへ~

今回最も大きな注目を浴びたのは、新gTLDプログラムに関する決議でした。

ドラフト版申請者ガイドブックは、4版を重ねた上で、ついに2010年11月9日付けで最終案(Proposed Final)と名付けられたドラフトが公表されました。この最終案公表に至るまでには、9月末の理事会合宿があり、直前の11月5日に臨時理事会でVI(レジストリ・レジストラ垂直統合)※1を条件付きで容認する方針が打ち出されるなど、活発な動きがありました。

新gTLDプログラムに関するカルタヘナの理事会決議※2では、まず、今まで残余課題(Overarching Issues)として挙げられていた、次の各課題への認識を示しました。

  • 商標保護
  • 不正行為対策
  • ルートゾーンスケーリング※3
  • 経済分析
  • 地名
  • 公序良俗に関する対処状況

続いて、経済分析に関しては次の通りとしました。

  • 募集中だったパブリックコメントを考慮、公序良俗に関しては勧告6コミュニティ作業部会(Rec6CWG)※4の勧告を2011年1月7日期限で要請し、これを勘案する
  • さらに政府諮問委員会(GAC)と理事会合同の残余課題検討会合を2011年2月に開催して、これらすべてのインプットを検討した上で、次の版のガイドブックに反映する

通例に従って、2010年12月10日(金)に、理事会に先立って開催された支持組織・諮問委員会議長報告において、政府諮問委員会が発表した「カルタヘナコミュニケ」には、新gTLDプログラムに対する懸念が数多く指摘されていましたが、この懸念を解決するために、さらに追加でプロセスを踏むという形となりました。

また、サービス開始に向けた準備とは独立して、新gTLDプログラムの評価基準策定が始まろうとしています。理事会は、競争、消費者の信頼、選択の幅などの観点から、新gTLDの評価基準を策定する作業に今後3年間取り組むことを決議し、それにあたり、支持組織および諮問委員会に助言を求めることとしました。

その他の論点

新gTLDプログラム以外の論点をいくつか挙げます。

(1) .XXXについて
2003年にアダルトエンターテイメントコミュニティ向けスポンサ付きgTLDとして申請され、一旦は申請が棄却された、.XXXに関して、理事会では新gTLD同様、2011年2月の合同会合でGACと協議した上で、契約締結に向けたプロセスを踏んでいくとしました。

(2) ファストトラック以降のIDN ccTLDについて
ccNSO※5では、現在Fast Track(暫定プログラム、以下ファストトラック)※6として取り扱われているIDN ccTLD(国際化国コードTLD)に関して、ファストトラック以降の正式なポリシーとして、ccTLDとして認められる文字列の規定や、ccNSOにおける票数規定などの検討が進められています。

(3) レジストラ認定契約の改定について
GNSO※7では、RAA(レジストラ認定契約)の改定が議論されています。現在のRAAに対して、ICANNが登録者の権利と義務を明確に定め、レジストラにその提示を求めるよう改定する案が、カルタヘナ会議中のGNSO評議会に上程されました。その場では持ち越されましたが、会議終了後、2011年1月の評議会で承認されました。

理事改選

今回の会議では理事改選があり、以下の通り理事会の陣容が変更になりました。今までAt-Large※8からは、ALAC※9指名のリエゾンとして非投票理事1名の枠でしたが、今回付属定款の変更により、At-Large選出理事として1名が投票権を持って理事会に参加することになりました。

  • 退任理事
    Harald Tveit Alvestrand氏、Dennis Jennings氏、Jean-Jacques Subrenat氏(以上、指名委員会(NomCom)※10による指名)、
    Vanda Scartezini氏(ALACリエゾン)、
    Jonne Soininen氏(技術リエゾングループ(TLG))
  • 新任理事
    Cherine Chalaby氏、Bertrand de la Chapelle氏、Erika Mann氏(以上、NomCom指名)、
    Sebastien Bachollet氏(At-Large選出)、
    Reinhard Scholl氏(TLG)

これに伴い、役職者および理事会の各委員会委員も改めて指名され、理事会議長にはPeter Dengate Thrush氏が再任、副議長には、理事を退任したDennis Jennings氏に変わり、Steve Crocker氏が指名されました。


以下、当日のプログラムに沿って、報告会の内容をご紹介します。今回も、新gTLDの最新動向をカバーした上で、幅広い内容をお伝えする機会となったのではないかと思います。

今回も前回の第28回に引き続き、録画メッセージをプログラムに含めることとし、分野別GNSO評議会前議長のChuck Gomes氏およびALAC前議長のCheryl Langdon-Orr氏からのメッセージをご覧いただきました。

ICANNカルタヘナ会議概要報告

JPNICの前村昌紀より、ICANNカルタヘナ会議の全体概要、中でも主な理事会決議および新gTLDの主な課題について報告しました。また、RAA改定についての議論、理事の改選など、他の講演者が取り上げていない動向についても触れました。詳細な内容は前述の通りです。

各支持組織(SO)/諮問委員会(AC)からの報告

○ ccNSO関連報告
次に株式会社日本レジストリサービス(JPRS)の堀田博文氏より、ccNSOについてご報告いただきました。報告では、ccNSOメンバー会合で検討された主な議題として、同組織よりICANNへの資金貢献についての議論状況、インターネットガバナンスにおけるITUの動きなどについて触れられました。他に主要な内容として、ファストトラックおよび恒久的なポリシー策定プロセス(PDP)※11の両方を含む形で、IDN ccTLDの動向およびDNSの安全性・安定性についてお話しいただきました。後者については、DNS CERTについての現状課題分析を行う作業部会がccNSO、GNSO、ALACより提案され、メンバーの決定待ちとのことです。

○ ICANN政府諮問委員会(GAC)報告
総務省総合通信基盤局電気通信事業部データ通信課の中沢淳一氏より、GACの動向についてご報告いただきました。新gTLDの導入、GACの役割、および.XXX gTLDについて主にお話しいただきました。

  • 新gTLDの導入については、カルタヘナ会合で申請者ガイドブックを承認することは時期尚早との助言をGACが行い、それが考慮されてICANN理事会での承認は見送られたとのことです。
  • GACの役割については、ICANN理事会への助言のあり方などを中心に議論され、次回のICANN会議で具体策を含む報告書が作成される予定です。
  • .XXXについては、GACが2010年10月に理事会から受けた照会は、ICANN付属定款で定められている、正式なGACへの照会手続きに則ったものとは認められないと判断されました。そのため、改めて照会手続きをやり直すこととし、理事会がGACへの照会とそれに対する助言を踏まえて、.XXXのレジストリ契約を締結すべきであると決議しました。

これらの状況を受け、新gTLD導入および.XXXについては、2011年2月28日から3月1日にかけて、GACと理事会間での中間会合が開催されることになったことについても触れられました。

○ GNSO評議会前議長からのメッセージ
ICANN GNSO評議会で議長を務められ、カルタヘナ会議で退任されたChuck Gomes氏の録画メッセージをご覧いただきました。

  • gTLDを利用する人なら誰でも、GNSOで策定されるポリシーの影響を受けるだろうから、皆さんにもっと興味を持って欲しいこと
  • ポリシー策定プロセス参加への門戸は誰にでも開かれているので、ぜひ積極的に参加して欲しいこと
  • 最大の成果は新gTLD導入プロセスに関するポリシー策定であること

などがメッセージの主な内容でした。

写真:ビデオメッセージ
今回も会場でビデオによるメッセージを投影しました

○ ICANN At-Large諮問委員会(ALAC)議長からのメッセージ
ICANN ALAC議長を務められ、カルタヘナ会議で退任されたCheryl Langdon-Orr氏の録画メッセージをご覧いただきました。下記がその主な内容です。

  • ALACの仕組み
  • ドメイン名などに興味がある人なら誰でも、At-Large Structure (ALS)※12を通じてICANNに参加できること
  • カルタヘナ会議での成果として、複数の支持組織/諮問委員会にまたがる作業部会(WG)でセキュリティ・安定性・回復性についてのリスクについて議論したこと、すなわちALACが組織横断的な発言力を持ったこと

新gTLD関連報告

○ 新gTLD募集開始に向けて
JPNICの丸山直昌より、新gTLD募集開始に向けての動きについて報告しました。ブリュッセル会議以後の新gTLD関連動向として、次の3点を主な内容として取り上げました。

  • 2010年9月に開催された理事合宿の内容
  • 2010年11月に予告無しに開かれた理事会でVIを容認、つまりレジストリ・レジストラ間の資本関係についての制限を設けないことになったこと
  • カルタヘナ会議での理事会決議、中でも新gTLD残余課題についてのGACとの協議

報告の最後に、「理事会はGACとの協議が必要だと認識し、Rec6CWGとJAS WG(次項で解説)のアドバイスが十分でないと感じているものの、現行案で乗り切ることができると考えているのではないか」という分析が示されました。

写真:理事会の様子
理事会の様子(ICANN提供の画像より引用)

○ 新gTLD申請者支援合同作業部会(JAS WG)報告
GNSO評議会メンバーであり、JAS WGの共同議長を務めるRafik Dammak氏より、JAS WGについてご報告いただきました。JAS WGのこれまでの軌跡、支援の対象/種類/原則および修正されたチャーターについて、主にお話しいただきました。チャーターについてはGNSOとALAC間での温度差があり、両者間の調整が課題であるとのことです。

○ New gTLD Program: Getting Readyセッション報告
株式会社アーバンブレインのJacob Williams氏より、「新gTLDプログラム:申請に向けて」と題し、申込受付開始後を見据えて行われたセッションについてご報告いただきました。主な内容は「レジストリ業務のうち、どの部分をアウトソースすべきか」「費用」「商標保護」「地名gTLD」「コミュニティgTLD」「IDN gTLDの申請」などとなっています。

○ GNSO知的財産部会(IPC)報告
株式会社ブライツコンサルティングの金慧善氏より、GNSO知的財産部会(IPC)についてご報告いただきました。まず新gTLDにおける登録開始前および開始後の権利保護メカニズム(RPM; Rights Protection Mechanism)を一通りカバーしていただいた後、申請者ガイドブック案最終版に記述されている権利保護メカニズムに対する、IPCのコメント内容のうち主なものを共有していただいた上で、これらが最終申請者ガイドブックにどの程度採用されるかが注目されると締めくくられました。


質疑応答では、「新gTLDの導入がいつ頃になるのか」という質問に対し、「Williams氏が資料で示した導入時期(2011年3月に開催されるICANNシリコンバレー会議の理事会で承認、2011年8月頃申請開始)になるのではないか」という見通しを述べた複数の講演者がいらっしゃいました。

閉会挨拶

最後に、共催団体であるIAjapan副理事長の高橋徹氏からのあいさつの中で、ICANN報告会についてのさらなるアウトリーチと啓発の必要性、およびICANN理事会メンバーなどで日本人が再び活躍するようになることを希望することなどが言及されました。


本カルタヘナ会議の直前にガイドブック最終案が公表され、その後に始まったパブリックコメント募集が会期中の理事会当日が締め切りとなっていたことから、「カルタヘナ会議で申請者ガイドブックを足早に承認するのでは」という憶測も飛び交っていました。しかし、結果としては、カルタヘナで決するということにはならず、次回サンフランシスコ会議以降に持ち越しとなりました。

(JPNIC インターネット推進部 前村昌紀・山崎信)


※1 レジストリ・レジストラ垂直統合(VI;Vertical Integration between Registries and Registrars)
登録ドメイン名のデータベースを一元的に管理する「レジストリ」と、エンドユーザーからドメイン名の登録や変更など各種申請の受け付けを行いレジストリデータベースへの登録を行う「レジストラ」両者の、兼業等を認めるかどうかという問題です。両者の兼業に対する立場の違いなどから、「レジストリ・レジストラ(垂直)分離問題」などとも呼ばれます。
※2 “Adopted Board Resolutions | Cartagena”
http://www.icann.org/en/minutes/resolutions-10dec10-en.htm
※3 ルートゾーンスケーリング
DNSSECやDNSレコードへのIPv6のアドレス登録、IDN TLD、新gTLDなどが今後導入されることにより、ルートゾーンにおいて予想される、データ量および更新頻度の増加を指します。ただし、実際にはその増加に対応するための方策も含めてこの名称で呼ぶことも多いようです。
※4 勧告6コミュニティ作業部会(Cross Community Working Group on GNSO Recommendation 6; Rec6CWG)
2007年9月にGNSO評議会よりICANN理事会に提出された、新gTLD導入に関する原則、ポリシー勧告、実装に関するガイドラインなどを含む、新gTLD導入に関する最終報告書中の勧告6「新gTLDの文字列は、国際法の原則により認識されている公序良俗に関して一般的に認められている法的規範に反するものであってはならない」に沿って、GAC、GNSOおよびAt-Largeより選出された委員および一般の参加者から構成されたワーキンググループ(WG)。

同WGが提出した報告書(委員一覧が含まれています)
http://gnso.icann.org/issues/new-gtlds/report-rec6-cwg-21sep10-en.pdf
※5 国コードドメイン名支持組織(ccNSO; Country-Code Names Supporting Organization)
ICANNの基本構造となる三つの支持組織(SO;Supporting Organization)の一つであり、国コードトップレベルドメイン(ccTLD; Country Code Top Level Domain)に関するグローバルポリシーを策定し、ICANN理事会への勧告を行う役割を負っています。
※6 Fast Track(ファストトラック)プロセス
IDN ccTLDの早期導入を期待するコミュニティの要求に応えることを目的として、ICANN付属定款に則った正式なポリシー策定プロセスと並行して行われる、暫定的なポリシー策定プロセスのことです。限定的な数で、問題のない(non-contentious) IDN ccTLDを導入することを目的としていて、2009年11月16日より本プロセスによる申請受付が開始されました。
※7 分野別ドメイン名支持組織(GNSO; Generic Names Supporting Organization)
ccNSOと同様にICANNのSOの一つで分野別トップレベルドメイン(gTLD; generic Top Level Domain)に関するポリシーを策定し、ICANN理事会への勧告を行う役割を負っています。
※8 AT-Large
ICANNなどにおいては個人インターネットユーザーの総称として用いられます。
※9 At-Large諮問委員会(ALAC;At-Large Advisory Committee)
ICANNの諮問委員会の一つで、ICANNの活動の中で個人インターネットユーザー(At-Largeコミュニティ)の利益に関わる事項についての検討および理事会への助言を行います。
※10 指名委員会(NomCom;Nominating Committee)
ICANN理事会メンバーの過半数や、各支持組織の評議会およびALACメンバーの一部を指名する役割を負う委員会です。ICANNの各構成組織や外部の専門機関からの代表により構成されています。
※11 ポリシー策定プロセス(PDP;Policy Development Process)
ICANNの役割の一つに、インターネットの各種資源の調整業務に関連するポリシー策定があり、このポリシー策定のための一連の流れをPDPと呼んでいます。ICANN改革を受けて改定された新付属定款には、プロセスの詳細が明確に規定されています。
※12 ALS(At-Large Structure)
世界5地域に設立されるAt-Large組織、RALO(Regional At-Large Organization)を構成する自主運営の現地At-Large組織です。

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