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ニュースレターNo.59/2015年3月発行

JPNIC会員企業紹介

「会員企業紹介」は、JPNIC会員の、興味深い事業内容・サービス・人物などを紹介するコーナーです。

今回は、「QTNet(キューティーネット)」の愛称で知られる、九州通信ネットワーク株式会社を訪問しました。

同社は、J.D.パワー社の「2014年日本固定ブロードバンド回線サービス顧客満足度調査」において顧客満足度No.1を獲得するなど、複数の顧客満足度ランキングで実に高い評価を受け続けています。また、2015年2月下旬から3月上旬に福岡にて開催されたAPRICOT-APAN 2015といったコミュニティ活動にも、多くのリソースを投じて協力されています。

同社が高い顧客満足度を維持し続ける理由や、コミュニティへの積極的な貢献が意味するものを探るべく、お話をうかがいました。

九州通信ネットワーク株式会社
住所: 〒810-0001 福岡県福岡市中央区天神一丁目12番20号
設立: 1987年(昭和62年)7月1日
資本金: 220億2,000万円
代表取締役社長: 秋吉 廣行
URL: http://www.qtnet.co.jp/
事業内容: http://www.qtnet.co.jp/annai/
1. 電気通信事業
2. 電気通信設備およびこれに附帯する設備の工事ならびに保守
3. 電気通信および情報処理に関する機器・ソフトウェアの開発、製作、販売および賃貸
4. 一般放送事業
5. 電力の購入、販売
従業員数: 573名 (2014年3月末日現在)
インターネットを通じて、九州をきらきらと輝かせる。九州に根ざし、お客様原点で。

事業概要と主力サービスについて

写真:池田正信氏
お話しいただいた方:
九州通信ネットワーク株式会社
取締役 常務執行役員
技術本部長
池田 正信 氏

―まずは、貴社のご紹介をお願いします。

池田:社名は「九州通信ネットワーク株式会社」ですが、CM効果などもあり、皆さまには略称の「QTNet」の方がよく知られています。かつて社名を「QTNet」へ変更してはとの話もありましたが、お客さまにより親しんでいただけるよう、正式名には堅実な従来の社名を残したまま「QTNet」を常用しております。

弊社が提供している通信サービスには、個人向けと法人向けの二つのサービスがあります。個人向けについては、光ブロードバンドサービス「BBIQ(ビビック)」をブランド名として、光インターネットに光電話と光テレビをセットにしたトリプルプレイサービスを提供しています。法人向けについては、ネットワークの仮想化技術の一つであるVLAN(Virtual Local Area Network)を利用した広域イーサネットサービス「G-VLAN」をはじめとして、廉価なVPNサービス「Branch-VPN」などを提供しています。

1987年の会社設立から成長を続け、2013年度には売上高が500億円を超えました。個人と法人の売上高比率は、法人向けが若干多いかもしれませんが、おおむね半々となっております。

さらなる高みをめざしたサービス展開

―主力サービスBBIQやG-VLANの提供状況を教えてください。

池田:「BBIQ光インターネット」は、離島を除く九州各県の主要地域でサービスを展開しており、世帯カバー率は約6割です。近年は、さらに事業者間の競争が激しくなっているものの、着実に契約数を伸ばし、2014年度末の累計契約数は、約33万回線と見込んでいます。九州のFTTH世帯普及率は、35.3%と全国から3年6ヶ月遅れているものの、まだまだ伸びしろがあると考えています。

多チャンネル放送サービスの「BBIQ光テレビ」は、これまでの福岡、北九州、鹿児島などに加え、2014年9月より熊本でもサービス提供を始めました。また、他の地域においても、地元のCATV事業者と提携しながら進めており、例えば大分では、地元の大分ケーブルテレビ株式会社(OCT)と連携し、弊社の光インターネットと光電話に、OCTの放送サービスを合わせたトリプルプレイサービスを提供しています。

法人向けのG-VLANサービスは、九州全域でサービスを展開しております。G-VLANは、帯域保証型のサービスとして、複数拠点間を高品質・高信頼度のネットワークで構築するサービスであり、高い信頼性を必要とされるお客さまに多くご利用いただいております。一方、「拠点の規模や重要度に応じてアクセス回線を選択したい」「通信コストを抑えたい」というお客さまには、G-VLANとBranch-VPNを使い分けることをご提案するなど、お客さまのご要望に応じたメリハリのあるネットワークサービスを提供しています。

―J.D.パワー社の「日本固定ブロードバンド回線サービス顧客満足度調査」で総合満足度全国1位を獲得されていますが、どのような取り組みをされていますか。

池田:J.D.パワー社の評価にもあるように、九州に根ざしたビジネススタイルに対して評価をいただいていると思います。私たちも、九州の独自性を出したいとの想いでサービスをスタートしましたし、お客さまにより近いところで仕事をしたいと考えています。そのため、お客さまのご意見・ご要望などを「お客さまの声」として取りまとめ、毎週開催される社長・本部長クラスの会議で、お客さま目線で対応方針を議論し、即断即決に努めています。また、コールセンターは、一般的にはなかなかつながらない印象がありますので、弊社ではそのようなことが極力無いよう応答率を高める努力をしています。一般的なコールセンターでは、応答率70〜80%程度だと聞いておりますが、弊社は90%をめざして取り組んでおり、おおむね1回のコールでかかるようにしています。これも、評価いただいている点だと思います。

お客さまの声という点で一番印象的だったのは、テレビ番組の編集ですね。番組編成にあたっては、コンテンツ提供側の都合や設備の関係で、今まで放送していた番組が提供できなくなることもあります。このような場合、すぐにお客さまより厳しいご意見が届きますが、これまで「仕方ない」ということで、なかなか幹部までは届いておりませんでした。しかし、現在はすべての情報が幹部まで上がってきますので、会社の判断として対応を決定できるようになりました。

―言うは易しですが、応答率を90%まで上げるなど、お客さま満足度を向上させるのは、並大抵ではないですよね。他にはどのような取り組みをされていますか。

池田:そうですね。例えば、料金については、光ブロードバンドがISP料金込みで月額三千円台でご利用いただける長期利用割引や、スマホとセットでご加入いただくとスマホの利用料を割り引くサービスなども導入しています。また、電気と通信のセット販売も2014年7月に始めました。これは、マンションへの電力を弊社が高圧電力で一括契約し、低圧電力へ変圧して従来よりも安い料金で入居者や共用部に電気を供給するサービスです。BBIQとのセット利用で、さらに電気代を安く設定しています。このようにして、これからも、お客さまにご満足いただけるサービスを提供し続けていきます。

より盤石なインフラ整備へ向けて

―通信インフラ環境について教えてください。

池田:2015年3月1日に、九州電力から光ファイバー心線貸し事業とそれに関連するすべての光ファイバーケーブルを譲り受けました。弊社は、これまで弊社が保有していたケーブルに、今回譲り受けたケーブルを合わせ、9万kmの光ファイバーケーブルを保有することとなりました。これに伴い、日韓海底ケーブル(KJCN:Korea-Japan Cable Network)も弊社で保有することになり、今後は国際サービスの提供もより強化したいと考えております。

―KJCNの運用や地理的に韓国が近いことによる効果はありますか。

池田:弊社は、KJCNの運用に携わることで、APAN(Asia Pacific Advanced Network)と連携して将来の国際ネットワークの在り方について検討を行うなど、将来技術の動向や利用、技術面で知見を得ています。今後は、APANなどへのサービス提供を通じて、学術面などでも九州に貢献したいと思っています。一方で、料金面については、当初は距離の近さによるメリットがありましたが、国際回線サービスの市場価格が値下がりし、東京から迂回して提供した方が安くなるといった状況も出てきており、最近では価格メリットを以前ほどは出しづらくなりました。従って、今後は、九州に事業所を持つ韓国企業もたくさんありますので、そのようなお客さまに地理的優位性を訴求し、ご利用いただく営業活動が必要と考えております。

―また、新総括局の設置を進めていらっしゃるそうですね。

池田:弊社のネットワークは、各サービスシステムの頂点となる「総括局」から、各県庁所在地に設置する中心局、中心局配下でお客さま回線を収容する伝送端局・分散拠点局まで、階層的に構成しています。現在、最も重要である総括局機能を地理的に分散した二系列構成とするため、新しい総括局の建設を進めております。これにより、地震などの大規模災害時においても、安定したサービスの提供が可能となります。また、新総括局は、信頼性および機能拡張性を考慮し、免震構造にしており、総括局・BCP(Business Continuity Planning)・ネットワークセンター・データセンターの四つの機能を具備しています。

―耐震という点では、東日本大震災はリスクを大きくとらえるきっかけになったかと思いますが、BCPの観点や災害対策への需要はありますか。

池田:直接的な影響としては、総括局の新設を具体化することになったことですね。以前から話はありましたが、東日本大震災を機に加速されました。既存の設備も、主に自治体のハザードマップに照らして災害対策を講じていましたが、あの震災でハザードマップも基準が変わり、それまでの洪水対策に加え、津波対策についても検討項目に追加されています。このため、現在、新しいハザードマップにより対象箇所を見直し、対策を進めております。また、弊社は他社と提携してデータセンターサービスを提供しているのですが、やはり、お客さまのBCP対策としてのニーズは、確実に増加しているように感じます。昔、提携先のデータセンターが免震構造のデータセンター新設についてJANOGで発表した際に、「素晴らしいけれどもすごく高コストだよね」という話がありましたが、震災が実際に起こったことで、もしもの時への備えがとても重要である、ということをあらためて強く実感しました。

地元九州への貢献を第一義に

―ところで、コーポレートスローガン「きらきらつながる」は、素敵ですね。いつ頃からですか。このスローガンによる変化はありましたか。

池田:将来ビジョン策定の一環として、社内でワークショップを設置し、議論を重ね、2010年5月に制定しました。気持ちは、かなり変わりましたよ。弊社の存在意義や役割の表れでありますし、ロゴの星は、九州各県の県庁所在地を表しています。「つながる」というのがキーワードとなっており、九州とつながってしっかりした事業を行い、「九州のお客さまが“光”輝くように。」という私たちの想いを込めています。その想いを私たちは忘れないように、そしてお客さまにも伝わるように、とスローガンを決めて、それが効果を発揮していると思っています。手前味噌ですが、いいスローガンだと思います。

―ネットワークに関係しているものとして、「つながる」という言葉には打たれます。ただ、「きらきら」は、重厚さには欠ける印象もあるかもしれません。

池田:「きらきら」には、弊社コア事業である光ファイバー通信サービスの「光」と、お客さまのくらしをよりよく「輝かせたい」という熱い想いを込めています。私たちの想いを端的に表し、今では「きらきらつながるQTNet」として、九州のお客さまに広く浸透しています。

―生まれ育った地元に対しては、皆それぞれ思うところがあると思いますが、九州の方の地元愛はすごいですね。特に、福岡の方の地元愛は強いように思います。

池田:はい、社員たちは弊社で働いているのを自慢にしていますよ(笑)。福岡は街の規模もちょうど良いですし、繁華街である天神と博多の距離も適度です。また、海も山も川もあって、食べ物もおいしいですしね。多趣味な人でも、博多だったら山登りからサーフィンなど何でもできます。私の出身は熊本なんですけどね(笑)。

―APRICOT-APAN 2015もスポンサーいただき、ありがとうございました。また、APRICOT-APAN 2015実行委員会の相談役である「アドバイザリーボード」へ貴社社長にご参画いただいたり、ネットワークチームへのエンジニアの方のご参加、回線を提供いただいたりなど、大変ご尽力いただきました。APANや学術とのつながりという話がありましたが、APRICOTをスポンサーする意義はどのようなものでしたか。

池田:九州でこのような会合が開催される機会は、なかなかありませんので、弊社が少しでもお役に立てるのであれば大変喜ばしいことです。貴重な地元開催ということで、ぜひとも協力させていただこうとスポンサーになりました。

JPNICに望むこと

―今まで貴社についてのお話を伺ってきましたが、ここでJPNICへの要望をお伺いできればと思います。

池田:弊社としては、今回のAPRICOT-APAN 2015でもそうですが、JPNICがいろいろな調整や情報展開をしてくれているのがありがたいですね。個人的にも、IPv6の普及は頑張ってほしいです。ゲーム業界をはじめ、IPv6にすると良いことは一杯あるので、うまくアピールしていただきたいですね。良い情報を、ますますタイムリーに提供してくれればと思います。

―IPv6はなかなか普及しない感じがあります。貴社におけるIPv6対応は、どのような状況でしょうか。

池田:今のところ、法人向けはIPv6対応していますが、個人向けは未対応です。もともと利用者のニーズが無い、というのが直接的な理由です。ただ、サービスの競争力を高めるためには、設備投資は必要になりますが、タイミングとしてはそろそろかな、と考えています。お客さまがIPv4とIPv6を意識しなくても両方に対応できるような形で進めていきたいですね。

―ゲーム業界など、IPv6の機も熟しはじめていますよね。JPNICとしては、次はコンテンツ提供事業者のみなさんにIPv6へ移行してもらうのが課題です。そして、「良い情報をタイムリーに流す」、これは、私どもとしても常に意識し、課題としているところです。事業者の皆さまがなかなか独自に入手できない情報を、いかにうまく伝え理解していただくか、というところがJPNICの存在意義だと思っています。

―最後に、貴社にとって、「インターネットとはどのような存在か」お聞かせください。

池田:何でもできるという意味で、魔法の小箱ですよね。今でも情報がこれだけ溢れているので、もっともっと充実していけば、違う世界が出てくるような気がします。世界中を無意識につなげる、ただでさえすごい技術ですが、まだ極限までは使い切れていないのではないか、と感じています。歴史は浅いですから、まだまだこれからが楽しみですね。

―まだまだ、こんなもんじゃないはず、ということですよね。そうすれば事業的にも広がりますし、楽しみですよね。JPNICとしても、お手伝いできればと思います。

写真:QTNetエントランス
● コーポレートスローガンが存在感を放つエントランス

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