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ニュースレターNo.59/2015年3月発行

第27回JPNICオープンポリシーミーティング報告

2014年11月18日(火)に、東京都千代田区の富士ソフトアキバプラザにて、第27回JPNICオープンポリシーミーティング(JPOPM)を開催いたしました。今回のJPOPMは、11月18日(火)〜21日(金)にかけて開催されたInternet Week 2014の同時開催イベントとして、初日の午後に開催されました。本稿では、このJPOPMの模様をご紹介します。

JPOPMは、日本におけるインターネット資源のうちIPアドレス、AS番号等の番号資源の管理ポリシーを検討・調整し、コミュニティにおけるコンセンサスを形成するための議論の場です。年2回の開催で、JPNICとは独立した組織であるポリシーワーキンググループ(ポリシーWG)が主催し、近年この時期のミーティングはInternet Weekの中で開催しています。また、プログラムについては、ご応募いただいたポリシー提案や、情報提供プレゼンテーションから構成しています。

今回は3件の提案と6件の情報提供がありました。ミーティングには、オンサイトで約50名(関係者含まず)の皆様に参加いただきました。今回も、JPNICの協力により、映像ストリーミング、Jabberチャット、Twitterによるリモート参加環境を構築しました。ストリーミングにおいては、ユニークなアクセスは89人(セッション)、平均で15人前後のアクセスがありました。

以下、提案議論の概略、および、いくつかの情報提供トピックスについて報告します。

今回議論された提案について

027-01 JPNICにおけるアドレス移転支援について
027-02 エンドユーザIPアドレス割り振り・割り当てサイズの明確化
027-03 レガシーIPv6アドレス空間の有効利用に関する提案

これらのうち、027-01、027-02の2件はすぐにポリシーの変更が伴う提案ではなく、現行のポリシーとその周辺の制度において課題となっている点の改善提案であり、番号資源コミュニティに対する議論の提起となっています。それぞれの提案について簡単に紹介します。

1. JPNICにおけるアドレス移転支援について(027-01)

027-01は、IPアドレス移転制度の利用を希望する組織のうち、移転する組織が移転を受け入れる組織を見つけることが難しいという認識からの提案です。本提案は、IPアドレスを有効利用するために情報提供の方法を検討して、適切な移転の活用がより進むための施策の検討と実施を、レジストリに依頼したいという内容です。議論の結果、コミュニティからのニーズは確認されたため、コンセンサスと同等の扱いとなりました。ただしポリシーではないため、実装勧告等は行わず、今後の進め方についてはJPNICとポリシーWGの間で協議して進める予定になっています。

2. エンドユーザIPアドレス割り振り・割り当てサイズの明確化(027-02)

027-02は、アドレスプリフィクス内における個別の利用状況の把握が該当ネットワークの運用者以外にとって難しく、別ネットワークが攻撃を受けた際、被攻撃側ネットワークでフィルター(ブロック)を実施するケースにおいて、関係ないアドレス領域までをフィルターの対象にしてしまうという、オーバーブロッキングの可能性があるという認識に基づいた提案です。利用者に割り当てたアドレスのプリフィクスサイズを知るために必要な施策を、レジストリに依頼したいということが提案されました。

これは提案者の考える問題を解決するための一つの施策が、ポリシーの変更を必要とする可能性があることから、本フォーラムに提案したことが補足されました。ニーズや必要性について多くの意見が交わされ、議論の結果、提案そのものがポリシーの特定部分を変更する内容ではなかったためコンセンサスとせず、一度提案者へ戻し、今後の問題解決の活動についても提案者に委ねることになりました。ただし、必要な議論を行うために本フォーラムを活用することについては歓迎することとしました。

3. レガシーIPv6アドレス空間の有効利用に関する提案(027-03)

027-03は、特定のIPv6アドレスブロックからの割り振りを受けている組織に対して、最大で/29までの割り振りを要求ベースで行えるようにするという提案です。この提案は日本のコミュニティの判断だけで実施できるものではなく、APNICのポリシーフォーラムでのコンセンサスが必要となる提案です。割り振りのポリシーが過去と現在で異なることで不公平感があるという意見がある一方、提案者からはアドレスの死蔵を防ぐための有効活用であるという説明が行われました。

議論の結果、本ミーティングにおいてはコンセンサスと判断してポリシー策定プロセス(PDP; Policy Development Process)プロセスを進めることとなりました。発行日現在、オンラインフォーラム(IP-USERSメーリングリスト)にてラストコールを実施中ですが、その中でコミュニティからの反対の意見や質問が投稿され、提案者からの説明が行われる等の議論がされています。ラストコールは2014年12月26日(金)までの期間で実施されましたが、追加の意見が出たため2015年1月9日(金)まで期間が延長されました。最終的にはコンセンサスに至ったとの判断が行われています。

ポリシーの施行について(報告)

前回開催のJPOPMでは提案が無かったため、実装についての報告はありませんでしたが、最近のポリシーの変更に伴い実施された「JPNICに返却済みIPv4アドレスからの割り振り」と「AS番号移転」についての報告がありました。割り振りの件数等、情報の詳細については、右記第27回JPOPMプログラムのURLから当日発表の資料をご参照ください。


その他、現状の日本におけるPDPの解説、国際IPv4アドレスの移転について、APNIC 38カンファレンス参加報告、ベトナムの国別インターネットレジストリ(NIR)であるVNNIC(Vietnam Network Information Center)の担当者からの発表、番号資源におけるIANA機能の監督権限移管に関する状況アップデート等のセッションを開催しました。

ミーティングを振り返って

今回、数回ぶりに提案およびそれについての議論のあるJPOPMでした。情報提供を通じて番号資源利用者コミュニティを盛り上げていくことも重要ですが、各種提案があり、それに対する議論が実施できる方がミーティングが充実することは自明です。運営に関わる者としての手前味噌な評価ではありますが、内容としてとても良かったと考えています。一方で、ポリシーに直接変更を加えることではない内容であっても、最終的にポリシーに影響を及ぼす可能性を意識して議論することが重要であることを気付かされたミーティングでもありました。今後も、コミュニティのニーズや実情に注意を払って運営してまいります。


第27回JPNICオープンポリシーミーティング(今回)の資料について

当日の発表資料および議事メモは、次のURLに掲載しております。

第27回JPNICオープンポリシーミーティングプログラム
http://www.jpopf.net/JPOPM27Program

第28回JPNICオープンポリシーミーティングについて

2015年6月を目処に開催を予定しております。詳細が確定し次第、IP-USERSメーリングリストにてお知らせいたします。

JPNICメーリングリスト
https://www.nic.ad.jp/ja/profile/ml.html


最後になりますが、オンサイト、リモートともに議論にご参加いただいた皆様、ご発表いただいた皆様、ありがとうございました。

次回のミーティングでも、アドレスポリシーに関してご意見をお持ちの方の提案や、プレゼンテーションのご応募をお待ちしています。今回ご参加いただけなかった方も、ぜひともご参加ください。

写真:会場の様子
● 会場の様子。たくさんの方々にご参加いただきました。

(ポリシーワーキンググループ/グリー株式会社 橘俊男)

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