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ニュースレターNo.59/2015年3月発行

第91回IETF報告 全体会議報告

第91回IETF Meetingは、2014年11月9日(日)から11月14日(金)の間、ハワイのホノルルにあるヒルトン・ハワイアン・ビレッジにて、米シスコ・システムズ社のホストで開催されました。本稿では、そのレポートをご紹介します。

はじめに

ちょうど四半世紀ぶりに、第15回IETF以来のIETF Meetingがハワイにて開催されました。ハワイは、イーサネットの礎と言えるALOHAnet発祥の地で、インターネット史において大変縁のある場所で、IETF Meetingも比較的早期にこの地で開催されていました。1989年当時のIETF Tシャツには、1987年に上映された映画「Revenge of the Nerds 2」の副題「Nerds in Paradise」の文字がプリントされていたそうです。このTシャツは数あるIETF Tシャツの中でもコアなファンがいる大変人気の1枚のようで、なんと今回は公式IETF Tシャツとは別に、一部の有志によって当時と同様のピンクのボディに「Nerds in Paradise 2.0」の文字をプリントし、現代版としてアレンジを加えて、もう一つの公式IETF Tシャツとして復刻されました。

先に「もう一つのTシャツ」を取り上げてしまいましたが、今回の公式IETF Tシャツは米シスコ・システムズ社のロゴが入ったIETFオリジナルデザインのアロハシャツでした。意図して作られたものであるかは定かではありませんが、服好きの著者としては、米シスコ・システムズ社のアロハシャツとはずいぶんこちらも洒落を効かせた一着だなぁと思わず感心してしまいました。というのも、会場となったヒルトン・ハワイアン・ビレッジの敷地内のビーチの名前にもなっていたハワイの英雄デューク・カハナモク、彼がデザインしたアロハシャツを販売していた企業の一つが、今は無きシスコ・カジュアルズ社なのです。彼の名を冠したアロハシャツは、アカデミー賞にて数々の賞を獲得した映画「地上より永遠に」の劇中で、主演のモンゴメリー・クリフトをはじめとする出演者等が着用し注目を集め、それまでローカルな位置づけであったハワイアンファッションを米国本土ではやらせるきっかけとなった歴史的なブランドです。そんな現在においてもヴィンテージとして大変人気が高い、伝説的なブランドを持つアロハシャツメーカーと同名の「シスコ社」がアロハシャツを作った!という、こちらもまた歴史的な一着でした。

さて、ここからは11月12日(水)に開かれた「IETF Operation and Administration Plenary」と、11月10日(月)の「Technical Plenary」の様子について、簡単にご報告します。

IETF Operation and Administration Plenary

11月12日(水)の「IETF Operation and Administration Plenary」では、ホストのシスコ社の挨拶から始まり、IETFチェア、IAOC(IETF Administrative Oversight Committee)チェアとIAD(IETF Administrative Director)、IETFトラストチェア、NomComチェアからの報告、IAOCオープンマイク、IESG(Internet Engineering Steering Group)オープンマイクという流れで議事進行されました。

IETFチェアレポートでは、IETFチェアのJari Arkko氏より、参加者の内訳や新しい取り組みの報告がありました。第91回の参加者は、50の国と地域から1,080人の参加となり、前回の1,175人から95人ほど減少しています。また、昨年の同時期にバンクーバーにて開催された第88回の1,189人や、その他1,200人前後で推移してきた近年の参加者数と比較すると100名程度減ったことがわかります。新規参加者は136人と、全体の1割強は新規参加者で、新しい層の取り込みは継続的に進んでいるようです。国別の参加者数は、1位米国、2位中国、3位日本、4位カナダとなっており、参加者全体の約半数を米国、約7割を上位4ヶ国が占める割合となっておりました。また、近年中国からの参加者の増加に伴い、ビザの発行に関する諸問題が増えてきており、IETFとしても改善に向けた検討が続けられるとの報告がありました。

続いて、今年の9月および10月に試験的に行われた、IESGのテレチャットを公開する取り組みについて報告がありました。この取り組みは、IESGの公平性を保つことを目的として、IETF参加者もオブザーバーとしてテレチャットに参加できるように実施したとのことでした。また、今後も知見の収集のためにテレチャットの公開を継続するとの報告がありました。

また、2015年夏頃を目処に現在ある八つのIETFエリア(応用分野(APP)、インターネット分野(INT)、運用管理分野(OPS)、リアルタイム応用・基盤分野(RAI)、ルーティング分野(RTG)、セキュリティ分野(SEC)、トランスポート分野(TSV)、その他分野(GEN))の再編をIESGが進めているとの報告がありました。このエリア再編の目的には、新たなWGのサポート体制の整備や、エリアディレクターの人数の調整などがあげられました。また一方で、IESGでは、この再編に伴い影響を受ける可能性のあるAPPエリアやRAIエリアについては、エリアを統合するなどして今後も応用分野に関する活動を継続していくことを検討していると報告がありました。

今回のRecognitionでは、中南米からのIETFへの参加者増加に貢献したAlvaro Retana氏、IETF Datatrackerの改善に貢献したLars Eggert氏、20年以上にわたりインターネットおよびIETFに貢献してきたBert Wijnen氏等3名が紹介されました。また、Bert Wijnen氏は、スピーチの際に氏の十八番であるオランダ語による歌を披露し、参加者から拍手喝采を浴びていました。

IAOC・IADチェアレポートでは、IAOCチェアのChris Griffiths氏およびIADのRay Pelletier氏より報告がありました。今回の会議の収支決済速報では、参加者数は予測の1,200人より少なく、参加費およびスポンサー費の合計は150,000ドルの赤字であることが報告されました。そのため、今回のBits-N-Bitesもスケジュールされないことがあらためて伝えられました。一方で、トロントで行われた、第90回の収支決算の最終報告では、参加者数は予測を超え、参加費およびスポンサー費ともに収支見通しを上回り、192,349ドルの収益があったとのことでした。また、これまでのIETF継続に伴う純利益は640,000ドルとなったとのことでした。

IETFチェアレポートでも触れられた、ビザの発行に関する諸問題についての今後の対策については、検討を続けるとともに、必要な参加者へ会議参加を証明するための招待状を発行するなどの方針について報告がありました。また、IAOCではこの問題に対して十分な理解があるため、問題が生じた際はぜひ連絡を取ってほしいと述べられていました。

また、第95回IETF Meetingおよび第98回IETF Meetingの開催地が決定したとの報告がありました。第95回はIETF史上初となる南米で、アルゼンチン・ブエノスアイレスにて開催されることが決まりました。また第98回は、カナダ・モントリオールにて開催されることが決まりました。

最後に、各スポンサーの紹介がありました。ホストのシスコ社の他に、Welcome ReceptionをスポンサーしたNBCユニバーサル社、回線提供をしたタイム・ワーナー・ケーブル社、そして、休憩時の飲食物を提供した各社が紹介されました。会期初日の日曜日に開催されたWelcome Receptionでは、スポンサーがNBCユニバーサル社であったこともあり、参加者にはミニオンのぬいぐるみが配られ、一部の参加者は至る所(自室やビーチ、ターミナルルームなど)で、このミニオンを撮影し、参加者のメーリングリストに投稿することが会期中はもとより会期後もしばらくはやっておりました。

写真:IETF Operation and Administration Plenaryの様子
● IETF Operation and Administration Plenaryの様子

Technical Plenary

11月10日(月)の「Technical Plenary」では、IAB(Internet Architecture Board)チェア、IRTF(Internet Research Task Force)チェア、RSE(RFC Series Editor)・RSOC(RFC Series Oversight Committee)チェアからの報告、ITU(International Telecommunication Union) Plenipotentiary Conferenceの報告、IABに関する問題の報告が二つ、IABオープンマイクという流れで議事進行がされました。

はじめにIABチェアのRuss Housley氏より、第90回IETF Meetingからのハイライトについて紹介がありました。まず、IRTFチェアにLars Eggert氏が、ISE(Independent Submission Editor)にNevil Brownlee氏が、それぞれ再任したことが紹介されました。続いて、IABが執筆したRFCとして、RFC7322「RFC Style Guide」が発行されたことが紹介されました。最後に、2015年のICANN NomComメンバーとして、John Levine氏が選ばれたことが紹介されました。

IRTFチェアのLars Eggert氏からは、次のような報告がありました。今回のIETF Meetingの期間中に開催されるIRTF Meetingは、八つあるResearch Group(RG)のうち、以下の四つのRGでした。

  • Software-Defined Networking(SDNRG)
  • Information-Centric Networking(ICNRG)
  • Internet Congestion Control(ICCRG)
  • Network Management(NMRG)

また、提案中のRGとして、Datacenter Latency Control(DCLCRG)およびNetwork Function Virtualization(NFVRG)がありました。第90回以降にIRTF関係として発行されたRFCは、今回はないとのことでした。

最後に、Applied Networking Research Prizeの紹介がされました。2014年は過去最多となる46人の推薦者の中から、Sharon Goldberg氏、Misbah Uddin氏、Tobias Flach氏、Robert Lychev氏、Kenny Paterson氏、Keith Winstein氏の6名が受賞しました。

RSE・RSOCチェアからの報告では、Heather Flanagan氏より、RFC formatの改訂作業の進捗としてdraft-flanagan-rfc-frameworkの紹介があり、新たなRFC formatの作業は順調に進んでいる旨の報告がありました。また、その機能として、図表の挿入をできるようにするとの紹介があり、猫の絵を例にあげて、従来のASCIIアートによる表現からSVGファイルによる表現が可能となる点を紹介し、参加者にこの機能を使ってみたいか問いかけがあり、多くの参加者が挙手をしていました。

Sally Wentworth氏からは、ITU Plenipotentiary Conferenceについて報告がありました。これは、ITUの最高意思決定機関として4年に1度開催されます。2014年は開催年にあたり、10月20日から11月7日の期間に開催されました。インターネット関連の議論ではITUがスコープとする、プライバシーや監視、人権、インターネットガバナンスとそれに関する政策などの諸問題を中心に話し合いがされましたが、これらインターネットの運用に関する諸問題についてはITUの条約やその定義の変更、範囲の拡大には至らなかったとの報告がありました。また、この結論は投票ではなく、参加者の合意形成により導かれたとのことでした。

IABに関する問題として、以下の二つについて報告がありました。

  • IP Stack Evolution
    Joe Hildebrand氏より、IPv4とIPv6が共存し進化し続ける今日において、このような共存環境がトランスポート層において、さまざまな影響を引き起こす可能性について説明がありました。そして、この問題に関連するWGとしてTransport Services(TAPS) WG、TCP Increased Security(TCPINC) WG、Advanced Queue Management(AQM) WGやその他のAPPエリアの紹介がありました。また、2015年の1月26日から27日の期間でIAB Workshop on Stack Evolution in a Middlebox Internet(SEMI)を行い、その結果を次回IETF Meetingにて発表するとの報告がありました。
  • Privacy and Security
    Ted Hardie氏より、プライバシーとセキュリティに関する諸問題について、現在IABではInternet Scale Resilience、Confidentiality、Trustの三つのエリアに分類を行ったところで、今後この三つのエリアごとにプライバシーとセキュリティに関する諸問題について取り組んでいくと説明がありました。

(青山学院大学 情報メディアセンター 根本貴弘)

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