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ニュースレターNo.76/2020年11月発行

New Normalとインターネット~ブロードバンドインターネット進化への期待~

JPNIC理事 鶴 昭博

コロナ事変

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大は、 否応なく人々の暮らしの変容を引き起こしました。 2020年2月には政府からのイベント自粛や休校要請、 4月には緊急事態宣言が発令される事態に至り、 これまで当たり前だった日常の通勤、通学や、出張、旅行などが自粛され、 リアル世界での社会、経済活動は困難になり、テレワークやリモート授業、 ネット通販などオンライン利用への移行が一気に拡大しました。 「2年分のDigital Transformation(DX)がわずか2ヶ月の間に起きた」との見解もあるように※1、 4月におけるインターネットトラヒック傾向においても、 平日昼間のトラヒックが2020年2月比で3~6割増加しました※2。 短期間でこのような行動変容を支えることができたのは、 まさしくインターネットという社会基盤があったからにほかなりません。

テレワークに関しては、 東京オリンピック・パラリンピック競技大会の交通混雑緩和目的もあり、 数年前から新たな働き方として定着させるための取り組みが各企業でも推進されています。 業種や地域によっても実態は異なりますが、 東京23区に限ればテレワークの実施率は40%を超える状況となっています※3。 一般的に、テレワークではインターネット上で社内ネットワークにアクセスするためのVPNが使われるため、 ブロードバンド回線などのインターネット接続環境が必要になることから、 自粛期間前後でテレワークに対応するために、 FTTHやモバイルルータの新規契約をされた方もいらっしゃるかもしれません。 総務省のトラヒック集計によると、 2020年5月の固定系ブロードバンドサービス1契約当たりのトラヒックは、上り、 下りとも前年同月比で約5割増加しており※4、 一気に進んだオンライン化がこのまま定着していくのか、 今後のトラヒック傾向を注視していきたいと思います。

5G時代のブロードバンドアクセス

今後のブロードバンドアクセスの一つとして、 2020年春よりサービスが開始された5G(第5世代移動通信システム)の本格展開が期待されます。 通信、関連デバイスメーカーのみならず、製造、教育、ゲーム、XR(AR/VR)、 地域ICTといったさまざまな分野における5G関連の取り組みに関するニュースは枚挙にいとまがなく、 5G利用への関心の高さが窺えます。 通信事業者はさまざまな産業分野のパートナーと一体となり、 5Gを活用したビジネスモデルの開発に向けて歩みを進めており、超高速・大容量、 超低遅延、多数・同時接続という特長を持つ5GネットワークとICT技術を掛け合わせることで新たなブレイクスルーを起こし、 より安心、安全、快適、便利な社会の実現に貢献することが期待されています。 この未来社会のイメージは、 今後のあるべき社会として提唱されているSociety5.0の概念とも一致しており、 5Gネットワークはさまざまな産業でのDXへの取り組みの中で、IoT、AI、 Roboticsなどの技術イノベーションに共通する社会インフラとして整備される必要があります。

これまで通信事業者はアクセスとサービスを一体として開発をすることで、 電話や専用線などの高品質なネットワークサービスを提供してきましたが、 5Gネットワーク時代のブロードバンドアクセスは単なるインターネット接続だけでなく、 スマートフォンなど端末上のアプリケーションと、 クラウド上のコンテンツやコンピュートリソースとの連携により提供される、 多種多様なネットサービスのユーザー体験価値に最適化される必要があります。 5G本格普及期には、 特性の異なる複数の論理ネットワークを同一ネットワーク上で提供できるネットワークスライスを前提とした5G SA(Standalone)が展開されますが、 その特長を生かした新たなサービスはそれぞれのスライス上で、端末、ネットワーク、 クラウドが連携してエンドツーエンドのサービスとして体験価値が提供できなくてはなりません。 例えば、低遅延を生かしたクラウドゲームやXRのようなサービスでは、 ネットワークとクラウドが連携しながら端末(エンドユーザー)にどこまで物理的に近付けるかが重要になります。 このようなアプリケーションレベルでの動作を実現するには、 インターネットの基盤技術やリソースが必要になりますし、 社会基盤としてのインターネットとの接続性は不可欠です。 New Normalに向けて、 5Gネットワークを含むブロードバンドアクセスの進化とインターネット発展の相乗効果によって社会課題を解決し、 より安心、安全、快適、便利で、楽しい社会が実現されることを期待したいと思います。

最後に

JPNICではCOVID-19も踏まえた今後の事業の在り方について検討しています。 総会運営の見直し、リモートでの理事会開催、 各事業におけるオンラインでの業務執行などの業務最適化を図っています。 引き続き、会員の皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。


執筆者近影
プロフィール●鶴昭博(つるあきひろ)
KDDI株式会社ネットワーク技術本部副本部長(現職)。 主に国内IPネットワーク(固定、モバイル)のデザインと構築計画策定を担当。 前職にてADSL、FTTHなどブロードバンドサービスの開発、事業化検討に従事。 2011年6月のWorld IPv6 Day以降、 FTTHを中心に商用サービスへのIPv6デフォルト導入を推進、 JPNICとはIPv6普及促進において連携。 2019年6月より日本インターネットエクスチェンジ株式会社取締役、 日本ネットワークイネイブラー株式会社取締役を兼務。 2020年6月よりJPNIC理事就任、資産運用委員会委員を担当。

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