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ニュースレターNo.78/2021年8月発行

JPNIC会員 企業紹介

「会員企業紹介」は、JPNIC会員の、 興味深い事業内容・サービス・人物などを紹介するコーナーです。

ヒカリを価値あるカタチに~新しい未来の創造をめざして~
ロゴ:HTNET
イメージ:タイトルバック

北陸通信ネットワーク株式会社

住所 〒920-0024 石川県金沢市西念1-1-3 コンフィデンス金沢
設立 1993年5月25日
資本金 60億円
代表者 德光 吉成
従業員数 179名(2021年6月30日時点)
URL https://www.htnet.co.jp/
事業内容 https://www.htnet.co.jp/company/
■電気通信事業法に基づく電気通信事業
■電気通信設備、電気設備およびこれに付帯する設備の工事ならびに保守
■電気通信および情報処理に関する機器ならびにソフトウェアの開発、 製作、販売および賃貸
■前各号に関連するコンサルティング
■前各号に付帯または関連する一切の事業

今回は1993年5月の設立で創立から28年を迎えた、 北陸通信ネットワーク株式会社を取材しました。 同社は北陸電力グループの通信事業会社として、 当初より一貫して法人向けのサービスに注力してきています。

同社は、自社敷設の高品質な光回線を元に、 それらに付随したさまざまなサービスを提供することで、 目には見えないヒカリを価値あるカタチとして見えるようにして、 北陸地域におけるICT基盤の発展に貢献しています。

当日はリモートで複数拠点を繋いでの取材となりましたが、 和やかな雰囲気の中にも、誠実に自身の強みを磨き続けるその努力と、 北陸地域とそこに暮らす顧客のために自分達に何ができるのかを常に考え続ける、 同社の熱い想いが節々に感じられる内容となりました。

ファイブナインの実績を誇る高品質な回線を元に各種事業を展開

写真:受付の様子

◎まずは貴社の成り立ちについて教えてください。

白江:当社は1993年5月の設立で、今年で設立から28年が経ちました。 2年後の2023年には設立30周年を迎えますが、会社としてはまだまだ若い方です。 北陸電力株式会社の100%子会社で、富山、石川、 福井の北陸地域3県を拠点に法人向けサービスを展開しています。 サービスエリア内には、 自社で総延長約14,000kmにも及ぶ光ファイバー網を張り巡らせ、 900超のお客様に対して8,000以上の回線サービスを提供しています。 主なお客様である、自治体や金融機関、大学、製造業を中心に、 その他民間企業も幅広い業種のお客様に活用いただいております。

当社は設立当初から一貫して、法人向けに特化して事業を行っています。 我々以外の電力系通信事業者だと、 コンシューマー向けのFTTHサービスを手がけているところも多いのですが、 当社では事業検討を行った結果として北陸地域では法人向けに特化した方が良いだろうという判断を行いました。 当社の主力商品は、 お客様の通信インフラを支える『HTNet-Ether』という広域イーサネットサービスで、 自社で敷設した光ファイバー網を最大限活用することで、 高速かつ高品質な通信を実現しています。 コーポレートメッセージとして「ヒカリを価値あるカタチに」を掲げ、 光サービスを価値のある形に変えて新しい未来を創造していくという目標の下に、 各種事業を展開しています

熊田:広域イーサネットサービスについては、 高品質の証として回線の年間稼働率は99.999%、 いわゆるファイブナインの実績となっています。 保守運用に関わる社員は皆「高い稼働率を維持して安定した高品質なサービスをお客様に継続して提供」という気概を持って業務に取り組んでいます。 また、北陸は全国的に自然災害が少ないとされていて、 ここ何年間は大きな地震も大規模水害もありませんが、 最近は自然環境の変化で甚大な災害が全国各地で発生していることもあり、 我々も常に危機感を持っています。 社内でも事業継続計画(BCP)に従って訓練を行っていますが、 一番重要なことは、災害やパンデミックなどが発生した、 もしくは発生しそうな時に、社員1人1人が自ら行動できる体制作りだと考えています。

小坂:回線に付加価値を付けるためのサービスとしては、 多様化する顧客ニーズに応えるために、この高品質な回線サービスをベースにして、 お客様のニーズに沿ったクラウドやセキュリティ、 各種ソリューションやシステムインテグレート(SI)事業の拡充に取り組んでいます。 法人向けということで、サービスの信頼性確保には力を入れていて、 設備面では障害の未然防止や障害時の復旧時間短縮、 拡大するクラウド利用においても、 いかに安定した環境で快適に利用していただけるサービスをどう展開するかに腐心しています。

◎回線事業に加えて、 SI事業にも展開を広げられた理由はなんでしょうか?

小坂:自社のインフラだけにこだわっていた時代は、 我々の回線サービスのみを利用してもらうというのが中心でしたが、 2011年ぐらいに方向転換をしてSI事業も展開するようになりました。 回線販売だけならライバルはNTTグループ、KDDI、 ソフトバンクといった通信キャリアになるのですが、 SIだと何百というベンダーが競合になります。 法人向けサービスが主力ということで、 設立以来ずっと高い品質を追い求めてきたのですが、 そうは言ってもNTTのフレッツ光のような安価な個人向けサービスもある中で、 回線サービスの差別化も重要になってきました。 とはいえ、個人向けサービスをやっていないので、 スケールメリットがなく低価格で勝負するのは難しい。 やはり、我々の強みは低遅延で高速、安定したスループットといった品質です。 そして、北陸には水平展開のニーズもそれほど多くはないという事情もあり、 高品質な回線と、 顧客ごとのカスタマイズで差別化を図ろうということになりました。

そうなると、 ライバルが多いので勝つためにはお客様目線がとても大事になってきます。 代表的な例を挙げると、インターネットサービスのバックボーンは、 多くの事業者では技術部門で設計構築を行っていると思います。 それを当社ではお客様のニーズに合わせたコスト感、品質を極めるために、 営業主体で選定・調達を行っています。 自分達が売るものは自分達が仕入れ、 自分達が納得できるものをお客様に売りたいという考えからです。 カスタマイズしていくことで運用負荷は増えますので、 運用部門には大変苦労をかけていると思いますが、 そういった部分がお客様の評価に繋がっています。 苦労はありますが、お客様のためにはそれをいとわない、 そういう社員が集まっています。

そういった作り込みに加えて、最近になって5Gやクラウド化の流れが出てきて、 そこにさらにコロナ禍でリモートワークなどの需要が出てきたことで、 改めて品質の重要さが理解されるようにもなってきました。 その結果、我々のサービスに切り替えていただけたり、 一度他社のサービスに乗り換えたのにまた戻ってきていただけたりというお客様も増えてきています。

◎こういった高い回線稼働率を実現するためには、 運用部門もかなりのご苦労があるのではないでしょうか

熊田:運用部門は、 華々しい成果を出すとか何かを作り上げるという部門ではないので、 仕事に対するモチベーションを保つのが難しいと考えられがちですが、 運用に関わる社員は、自ら大変責任のある仕事をしているという自覚を持っています。 一方で、24時間365日の運用保守体制において特に3交代勤務者は、 最近の働き方改革の流れからするとたくさんの課題があります。 運用に関しては単純に人を増やせば良いという問題でもなく、 今後いろいろと取り組んでいく必要があると考えています。

白江:当社では健康経営の推進に力を入れています。 セルフキャリアドックを導入して、キャリア形成の促進支援や、 メンタルヘルスケアを通じての不調の予防、柔軟かつ多様な働き方の創造や、 働きがい、やりがい感のある職場の実現を図っています。 運用部門に限らず、個々人がどういう風にこれからやっていこうか考え、 能力を発揮してもらえるように取り組んでいます。 今は運用部門にいるかもしれないがこの先どういう風にやっていくのか、 社内的にキャリアコンサルタントを養成していて、 そういう人とキャッチボールをしながら取り組んでもらっているところです。

画面:リモートインタビュー

自らも使って納得できるものをお客様の元へ届けたい

◎コロナ禍により貴社の高品質がクローズアップされることになったとのことですが、 他にも何か影響はありましたでしょうか。

小坂:ICTベンダーやメーカーは首都圏、関西に集中していて、 従来はイベントも集客がしやすい大都市圏中心でした。 そこに我々も参加して、情報を取ってきて素早くお客様に展開していました。 それが、コロナ禍により最近はすべてがオンラインになり、 情報の取得が遙かに容易になっています。 メーカーやベンダーもテレワークをしているので、我々に対するアプローチもオンライン経由になっていま す。その結果、従来よりも親密に情報をもらえるようになっていると 実感しています。コロナ禍は大変ですが、その結果大都市圏と地域 の垣根がかなり低くなりました。

熊田:私のいる運用部門と粟生木のいるソリューション関係の部門は、 本社とは別の拠点に入っています。 運用は感染者が出たからといって中断できる業務ではないため、 感染予防や万が一感染者が出た時の対策には十分な注意を払っています。 一般的な感染対策は当然のこと、運用監視をしている監視室、 執務室など社外はもちろん社内からも完全に隔離して、 メンバー以外の立ち入りは一切禁止しています。 なので、私も白江や小坂がいる本社にはこの1年半ほど立ち入っていません。 ミーティングは社内でもすべてテレビ会議やWeb会議です。

万一感染者が出た場合は、監視室は除菌で一時的に使えなくなることを想定して、 ここの拠点とは別に監視のバックアップ拠点を設けて、 即座に切り替えられるように準備を整えています。 また、運用監視を行っている交代勤務者はチーム業務ですので、 1人感染者が出ると全員が濃厚接触者となる可能性が高く、 その場合一度に複数人の欠員が出ます。 そのため、技術部門全員の中で運用経験者をリストアップして、 いざという時にそこから補充できる体制を取っています。 どこまで対策するのかなどはいろいろな考え方がありますが、 コロナ禍が収束するまでは、自分達ができることであればすべてやろう、 そういう考えで挑んでいます。

粟生木:社内では以前からシンクライアントを使用しており、 一部ではリモートワークを導入し、 出張時や自宅などにタブレットやリモートワーク用のPCで社内と同じ業務ができる体制を整えていました。 また、業務に必要なファイルは、 すべてファイルサーバに置くという運用を徹底していました。 コロナ禍により、リモートワークを全社展開する必要が出てきたのですが、 そういった事前の準備があったおかげで、スムーズに展開することができました。

小坂:自分達が使ってもいないものはお客様に提案できないということで、 社内システムやアプリケーションなどは先進的なものを導入して、 これなら運用できそうだという自信が持てるものをお客様に提案しています。 なので、コロナ禍でこの1年間お客様からリモートワークやリモートアクセス、 Web会議といった相談が非常に多くなったのですが、 自社内と同様にお客様環境へのリモートワークの導入も大変スムーズに行えました。

元々、我々はお客様に最も近い存在になろう、 最初に相談してもらえる会社になろうと取り組んでおりましたが、 ここまでお客様に頼られているんだと実感できる1年となりました。 コロナ禍で移動の制限もあり、お客様の環境はさまざまで、 また超短納期での構築が求められるため、 SEが首都圏や関西に集中する大手SIerだと対応しきれません。 大都市圏でも同様に構築需要が増えているので、 北陸までSEを回す余裕もありませんし、現地で集めるのも難しい状況です。 その中で、SEの地産地消ではないですが、 我々は自社でお客様が見える地域に根ざしたSEを抱える強みを発揮して、 きちんとお客様の要望に応えて、お手伝いをすることができました。 過密なスケジュールで三密防止など大変でしたが、何とかこの1年は乗り切れました。

◎顧客のことを第一に考えてきた普段の行動が、 貴社にとっても顧客にとっても、 コロナ禍の影響を最小限に抑える助けとなったんですね。 今後はどのような方向性で事業を展開されていくつもりでしょうか。

白江:最初にお話ししたようにまだ若い会社ですし、 従業員も180名程度とコンパクトです。 行動を起こそうと思えば、迅速に行動できる規模です。 コロナ禍をきっかけに多くの企業が影響を受け変化を余儀なくされていますが、 その変化に対応していく必要があります。

小坂:北陸だけの特徴ではありませんが、 ICTに関わるお客様は限られた人数で運用を行っていて、 それは我々の方も同様です。 お客様のICTの運用負担軽減を図るために、 例えばネットワークではクラウド上でインフラを管理できるマネージドサービスを展開することで、 お客様のインフラ構築だけではなく運用負荷の軽減にも繋げていけると考えております。 また、自治体情報セキュリティクラウドのような公共系の大型案件にも携わらせていただき、 自然と最新の技術情報やトレンドが集まる場所にもなってきました。 北陸という物理的な環境からくる制限をお客様が意識せずに済むように、 積極的に有効な情報を収集してより迅速にお客様に展開すると同時に、 日々新しい技術に触れることで技術や営業の社員も鍛錬を積み重ねています。

それに加えて、地域格差を感じさせないように、 100Gとかの高速化に向けたインフラ整備の拡充も進めていきたいと考えていますし、 昨今は5Gエリア整備や低遅延の要求など、 今まではそれほど重要視されてこなかった、 エッジ側のインフラリソースが評価されつつあります。 コアネットワークだけではなく、エッジ側のコロケーションですとか、 今後はそういったリソースの価値を高めてサービス展開をしていきたい、 そういう風に思っています。

白江:我々の強みは機動性です。 また、お客様の見直しタイミングに合わせることも重要です。 自社でインフラを持っている強みもありますが、 他社のサービスを活用するスピード感も持って、 バランス良くやっていくことが満足度などにも繋がるのかなと考えています。 お客様の理解度とかニーズに合わせてカスタマイズしていくことで、 それがお客様の評価に繋がると考えていますし、 営業も構築も運用も、どの部隊もそういう意識を持って取り組んでいます。

業務に対する責任の重さは、自らが果たす重要な役割の証

◎NIRとしてのJPNICへのご意見や、 会員としてのご要望など何かございますでしょうか。

栗生木:当社としては法人特化なので他社ほど逼迫はしていませんが、 まだまだIPv4のサービス拡張に伴いIPv4アドレスが欲しいというお客様は多くいます。 特に、クラウド事業者の方などはIPv4アドレスの需要が旺盛で、 当社としてもそろそろ移転を受ける準備をしないといけないかなとは考え始めています。 IPv6への移行に関しては、現在IPv4を使っているお客様からすると、 IPv6にすることで設定などがドラスティックに変わりますので、 乗り換えはハードルが高いようです。 時々問い合わせは受けるのですが、 実際に利用するところまではなかなか至っていないのが現状です。 そういう意味では、設定のところで躓いてしまうお客様が多いので、 セミナーだけではなくその辺りを手助けしてくれる解説資料や動画コンテンツなどをJPNICで提供してくれれば嬉しいですね。 ルータの設定や、構築などに関するものがあると喜ばれそうです。

小坂:新入社員に対しては多彩なICTに関する教育を行っているのですが、 本来は対面で実施していたものが、 コロナ禍によりテレワーク環境での実施となっています。 ただ、それだと制約も多いので、インターネットとはどういうものか、 どう作られているのかといったことが勉強できて、 知識が身につくようなコンテンツの重要度が増してきています。 JPNICにはそういったコンテンツを充実して欲しいですし、 あれば活用していきたいですね。

◎貴重なご意見、ありがとうございます。 最後になりますが、あなたにとって「インターネット」とは?

白江:ありきたりですが、 仕事においても生活においてもなくてはならない基盤になっています。 コロナ禍で通勤、通学、出張、旅行とすべて自粛が求められていますが、 テレワークだとかリモート授業、ネット通販など、 オンラインで利用できることで何とか仕事も生活も細々ながら活動を維持できています。 それもこれも、インターネットがあったからです。 5Gも始まってネットワーク環境も進化していくと思いますが、 同様にインターネットも発展してより素晴らしい、 安全便利な社会になっていくと良いなと思っています。

小坂:インターネットはリアルとオンライン、 バーチャルを繋ぐ境界線であると同時に、 ビジネスの機会を与えてくれる場所でもあります。 繋がって当たり前の空気みたいな存在ではありますが、 日常ではなかなかその価値を意識することはないかもしれません。 ただ、この1年で自分達の仕事がそこにある、 それを支えているという使命感は大きく増しました。 我々は営業という仕事柄、 トラブルの時には真っ先にお客様のお叱りを受けるわけですが、 お客様にご迷惑をおかけするのは大変申し訳なく思う反面、 インターネットに繋がることの価値は、 繋がらなくなることで初めて強く認識されるんだなとも実感しました。 「目には見えない“ヒカリ”サービス」を、 「価値あるカタチに」というスローガンに向けて、 引き続き取り組んでいきたいと思っています。

熊田:私も同じく、仕事、プライベートともに、なくてはならないもの、 なくなったらもう生活できないのではないかというぐらいに思っています。 個人的な話ですが、我が家では 3歳の孫がスマホを操作して動画を見て、 87歳の母親がコロナ禍で会えない親戚とビデオ通話をしています。 これを見てもわかるように、 インターネットを利用している年齢層が広がっているという印象を持っています。 そういった意味でも、これからは子供からお年寄りまで、 安全で不安なく利用できる環境が必要なんだろうなと思っています。

栗生木:個人としては、みなさんと一緒で、ショッピング、料金支払い、 動画視聴などに使っていて、 社会インフラというよりはもはやライフラインに近いものになりつつあると感じています。 生活の大部分も、インターネットに依存して生活しています。 仕事では、私の部署がインターネットの運用構築等をしていることもあり、 数年前と比べてクラウドが世の中に浸透してきていること、 その結果としてインターネットがそうたやすくは止められないものになっていることを実感しています。 障害だけではなくメンテナンスであっても、 専用線のレベルでもうほとんど止められないような状況になりつつあり、 もし障害が起きれば新聞に載るような大事になりかねません。 そういう意味では責任の重さを痛感する一方、 いかに自分達が重要な役割を担っているのかを実感しています。

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