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ニュースレターNo.92/2026年3月発行

インターネットことはじめ モバイルデバイス

スマートフォン

現代では多くの人が持ち歩いているスマートフォンですが、 そのご先祖様はどのような形をしていたのでしょうか?

現在主流のスマートフォンはキーボードの代わりに全面カラーディスプレイとタッチパネルを装備し、 通信だけでなくさまざまなアプリをインストールして実行できます。 このスタイルを主流にしたのは、 間違いなく2007年発売のiPhoneでしょう。

iPhone以前にもスマートフォンと呼ばれるものはありましたが、 キーボード前提だったり、 インストールできるアプリも限定的だったりでした。 歴史を遡ると、1996年のNokia 9000 Communicatorや1994年のIBM Simonといった製品がスマートフォンの先駆けとされています。

日本においては2000年代にフィーチャーフォン、 いわゆるガラケーと呼ばれる携帯電話が普及しましたが、 機能的にはスマートフォンと遜色ないものでした。 ただ、通信事業者やメーカーによる囲い込みがあり、 ユーザーが自由に機能を追加することはできませんでした。

PDA

スマートフォンに至る流れの一つが、PDAと言えます。 これはPersonal Digital Assistantの頭文字を取ったもので、 スケジュール、電話帳、メモ、 ToDoといった情報を電子化して持ち歩けるデバイスです。

1984年のPsion社によるOrganizerが嚆矢とされていますが、 当時PDAという単語はありませんでした。 その後1993年にApple社からNewton MessagePadが発売され、 この時にPDAという単語が作られました。 日本では1990年代後半に、 いわゆる電子手帳から発展したシャープ株式会社のザウルスがPDAとして普及しました。

それまで単体で運用されていたPDAですが、 1996年にUSロボティクス社から発売されたPalm Pilotが新たな道を開きます。 HotSyncと呼ばれる機能で、 有線接続ながらPCとのデータ同期を可能にしたのです。 大量のデータはPCで効率良く入力し、 外出先ではPDAで手早くデータを参照/入力するといった使い分けができ、 またデータのバックアップデバイスとしても機能しました。

1990年代の一般的なPCは、携帯用であっても大きく、重く、 起動に時間がかかり、バッテリー駆動時間も短いものでした。 このため機能は限定されるものの、小型軽量で起動が早く、 長時間稼働するPDAが流行したのです。

モバイルPC

イラスト:モバイルPC

もう一つの流れはモバイルPCです。 一般的なPCとそこそこの互換性を保ちながら、 現在で言うスマートフォンとタブレットの中間くらいの大きさに収めたPCで、 製品によってはバッテリーで数日間の連続使用が可能なものもありました。

この分野ではAtari社のPortfolioが最初の製品と認識されています。 1989年の発売なので、 OSとしてはMS-DOS 2.11ベースのものが採用されました。 テキストベースながら、 PDAとしての機能も内蔵されていたようです。 同じようなMS-DOSベースのモバイルPCは、 その後ヒューレット・パッカード社から1991年にHP95LXが発売され、 HP100LX、HP200LXとシリーズ化しました。 日本でも1996年に日本電気株式会社からモバイルギアが発売され、 一定の成功を収めました。

その後、1996年にMicrosoft社からWindows CEがリリースされ、 以後のモバイルPCはWindows CEからWindows Mobileベースの製品が主流となっていきます。

3者の融合

イラスト:スマートフォンに融合

携帯電話とPDAとモバイルPCはそれぞれ独立して発達しましたが、 2000年代に入ると技術の発展と低コスト化により徐々に融合していきます。

海外では2002年発売のHandspring社Treoが転換点と目されます。 前述のPalm Pilotの流れを汲むPDAに携帯電話の機能が内蔵されたのです。 日本における象徴としては、 2005年に発売されたウィルコム社のW-ZERO3が挙げられます。 ちょっと大きめのスマートフォンという見た目ですが、 スクリーン部分をスライドさせると小型ながらフルキーボードが現れます。 そして通信機能としてPHSを採用して通話に限らず、 外出先でもインターネットにアクセスできました。 メールはもちろん、比較的高機能なWebブラウザを搭載し、 Webも普通に見ることができたのです。

W-ZERO3は技術者やガジェット好きな人に大受けしました。 しかし2年後にはiPhoneが発売され、さらにノートPCの軽量化、 高速化が進みました。 そのため現在では、 PDA/モバイルPC+携帯電話の形態はスマートフォンに吸収された形ですっかり廃れてしまいました。

現在私達が使っているスマートフォンはiPhoneによって形が決まったようなものですが、 そこに至るまでには相応の試行錯誤が積み重なっているのです。

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