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各位
                                                          1999年12月15日
                     社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター


『ドメイン名の紛争解決ポリシーに関するタスクフォース』の設置について

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目次
 1.背景と概要
 2.タスクフォースの位置付けと構成
 3.審議事項
 4.スケジュール
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1.背景と概要
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■何が問題か --- サイバースクワッティング(不正なドメイン名の登録・使用)

 ここ数年、COMドメインを中心としてサイバースクワッティングという問題が
取りざたされております。これは、他人が権利を持つ商標などの文字列を含むド
メイン名を先に登録し、それを後から高額で転売しようとしたり、それが著名な
名前である場合には、その著名性を利用してユーザーに故意に誤認混同を生じさ
せ、自分の Webサイトに多くのユーザーを引き寄せようとするような行為です。


■JPドメイン名空間の将来とサイバースクワッティング対策

 米国ではすでに幾つかの裁判例が見られますが、日本では一部商標などに抵触
するドメイン名の存在が指摘されてはいるものの、裁判によってその解決を求め
るという動きは少ないというのが現状です。日本で紛争が少ないのは、「一組織
一ドメイン名」「ドメイン名の移転禁止」などの JPNIC が持つ原則によるとこ
ろが大きいと考えられますが、日本社会におけるインターネットの急速な拡大と
ともに、これらの原則を廃止し、もっと自由にドメイン名の登録ができるように
なることを求める声が大きくなってきているのも事実です。

 JPNIC としては、当事者間の合意に基づくドメイン名移転を自由にすること、
並びに、一組織が複数ドメインを登録できる汎用SLD(汎用第2レベルドメイン)
の導入を検討していますが、その実施に当たっては、ドメイン名と知的財産権
(特に商標)との紛争の未然の防止、並びに、紛争が発生した場合の解決手続き
を策定する必要があると考えております。


■世界の動き --- ICANN の試み

 一方、先にあげた COMドメインを含む gTLD の世界では、ここ数年に渡る議論
を経て、大きな進展を見せつつあります。

 1998年6月に米国商務省から出されたホワイトペーパーを受けて、同年秋、
ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)が承認されま
した。ホワイトペーパーはまた、WIPO(世界知的所有権機構)に対して、商標と
ドメイン名の紛争解決の問題に関する一連の勧告をまとめるよう求めておりまし
たが、WIPO はこの要請を受け、同年7月にインターネット・ドメインネーム・プ
ロセスを開始。三度に渡るコメント要請と世界各地で開催した公聴会の結果を受
けて、1999年4月、最終レポートを ICANN 理事会に提出しました。

 ICANN はこれを受け、同レポート「第3章:統一紛争解決手続き」の検討を開
始。原則支持の決議を経て、具体的なドキュメント作成へと進み、10月末の理事
会にて「統一紛争解決ポリシー」並びに「紛争解決ポリシーの手続きルール」の
採用が承認されました。また、同時にこれらに則って紛争を解決する「紛争解決
サービスプロバイダ」と呼ばれる組織も複数名乗りをあげております。同ポリシ
ー並びにルールは、一部のレジストラを除いて12月1日より採用され、すでに12
月2日の時点で既存のドメイン名に対して紛争解決の申立てが出されています。

 ICANN で採用された紛争解決ポリシーの大きな特徴は、「悪意による不正なド
メイン名の登録・使用」に起因する紛争は、同ポリシーで規定する「義務的紛争
解決手続き」による解決を図り、それ以外のドメイン名紛争(例えば、両当事者
ともに正当な権利をもっている場合)は、裁判または仲裁など従来の方法で解決
を図るというものです。

 ドメイン名の登録・使用が悪意をもってなされているかどうかという判断は難
しいところですが、同ポリシーによると、(1) 商標権者またはそのライバル会社
に対して、ドメイン名登録に要した実費金額を越える対価で販売・貸与・移転す
ることを目的に登録している場合、(2) 商標権者によるドメイン名使用を妨害す
るために登録している場合、(3) ライバル会社の事業を混乱させることを目的に
登録している場合、(4) ドメイン名を使って商標権者の商標との混同を故意に起
こし、利益を目的として、自社の Webサイトにインターネットユーザーを引き寄
せるようにしている場合、などが悪意によるドメイン名の登録・使用の証拠とし
てあげられています。

 また、手続き的な面における特徴をあげるならば、レジストラの非関与(手続
きへの不参加、結果に対する免責)、義務的(同ポリシーを採用しているレジス
トラ経由でドメイン名を登録した者は、第三者から申立てがあった場合、紛争解
決サービスプロバイダによる紛争解決手続きに必ず付託しなければならない)、
非拘束的(紛争解決サービスプロバイダによる手続きの最中、あるいは、終了後、
裁判所に不服を訴え出ることができる)、迅速(紛争解決のプロセスは原則とし
てすべてオンラインで行われ、手続き開始から結果が DNS に反映されるまでの
所要日数は55日程度)、低コスト(パネリストが1名の場合、費用は US$1,000
程度)、などがあります。


■ICANN 紛争解決ポリシーの日本へのローカライズ

 このような ICANN の実績をふまえ、また、より自由な登録へと向かう JPドメ
インの今後を見据え、JPNIC ドメイン名検討部会では、知的財産権や不正競争な
どの法律の専門家、また、既存の調停・仲裁機関の関係者を中心として「紛争解
決ポリシーに関するタスクフォース(DRP-TF)」を結成することにいたしました。

 このタスクフォースは、日本の法制度や調停・仲裁のシステムを十分配慮した
上で、ICANN で策定された「統一紛争解決ポリシー」並びに「統一紛争解決ポリ
シーのための手続きルール」をローカライズするということを主たる目的として
作業を進めていくものと考えております。また、合わせて、国境を越えたメディ
アであるインターネットの特性を考慮に入れ、国際的な紛争の可能性をも視野に
入れながら、その作業を進めていくことになると思われます。

 タスクフォースの結論は、JPNIC 運営委員会に対して勧告として提出され、そ
の後、一般からのコメントを求めるために公開される予定です。


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2.タスクフォースの位置付けと構成
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本タスクフォースは、運営委員会の外部答申委員会という位置付けにおくものと
し、その審議結果を運営委員会に答申するものとします。

本タスクフォースの名称、目的、メンバー構成は次の通りです。

 和名:ドメイン名の紛争解決ポリシーに関するタスクフォース
 英名:Domain Name Dipute Resolution Policy Task Force
 略称:DRP-TF

 目的:ドメイン名登録に関する紛争解決のポリシー、並びに、それを具体的に
    実現する手段・方法について検討する

 構成:(敬称略、50音順)
  主査
    松尾 和子(中村合同特許法律事務所 弁護士・弁理士、(元) 日弁連
                   知的所有権委員会 委員長、(現) 日弁連 知的所有権委員会
                   意匠・商標小委員会 委員長、日本商標協会 常務理事)

    メンバー
    押本 泰彦(押本特許商標事務所 弁理士、弁理士会 (元) 商標委員長、
            日本商標協会 事務局担当常務理事)
    小田 久司(富士通株式会社 法務部、JEIDA・EIAJ・JBMA 情報家電委員会
           知的財産権分科会メンバー、JPNIC DOM-WGメンバー)
    加藤 幹之(富士通株式会社ワシントン事務所長、ニューヨーク州弁護士、
           ICANN DNSO Names Council メンバー)
    菊池 武  (新橋国際法律事務所 弁護士、工業所有権仲裁センター
          副センター長、国際商事仲裁協会理事)
    久保 次三((元) 日本知的財産協会 商標委員長、WIPO PANEL OF EXPERTS
          メンバー、JPNIC DOM-WGメンバー)
    小島 武司(中央大学法学部 教授、法制審議会 民事訴訟法部会 委員、
                   (前) 民事訴訟法学会 理事長)
    佐藤 恵太(中央大学法学部 助教授)
    則近 憲佑(財団法人ソフトウエア情報センター(SOFTIC) 専務理事、
          WIPO PANEL OF EXPERTSメンバー)
    丸山 直昌(JPNIC 副理事長)
    水谷 直樹(水谷法律特許事務所 弁護士・弁理士、日弁連 知的所有権委員会
                   委員、財団法人ソフトウエア情報センター(SOFTIC) 特別研究員)
    室町 正実(東京丸ノ内法律事務所 弁護士)
    矢部 耕三(ユアサハラ法律特許事務所 弁護士、日本商標協会
          法制度部会 副部会長)
  メンバー兼世話人
    坪 俊宏 (JPNIC DOM-WGメンバー、グローバルコモンズ株式会社 代表
          取締役)

  オブザーバ
    通商産業省、特許庁、郵政省


なお、本タスクフォースの進行を円滑に進めるため、ドラフト文書を作成するド
ラフティング小委員会を次の構成にて設置するものとします。

 ドラフティング小委員会(敬称略、50音順)
    メンバー  久保 次三、坪 俊宏、丸山 直昌、室町 正実、矢部 耕三


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3.審議事項
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本タスクフォースでは次の事項について審議するものとします。

 (1) ドメイン名登録に関する紛争解決ポリシー
 (2) 紛争解決のための手続きルール
 (3) ドメイン名登録規則との関係について
 (4) その他
   ・紛争解決サービスプロバイダの選定について
   ・不正なドメイン名登録防止のための法整備について


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4.スケジュール
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本タスクフォースは、以下のスケジュールにて設置し、審議を進めていきたいと
考えております。

 1999年12月上旬 メンバー決定
         タスクフォース設置について一般に告知
         (1) (2) (3) に関するドラフティング開始
    12月16日 Internet Week '99 DOMAIN-TALK ミーティング
    12月下旬 第1回 DRP-TF
          審議事項:論点の整理
  2000年 1月下旬 第2回 DRP-TF
          審議事項:ドラフト文書についての審議
     2月下旬 第3回 DRP-TF
          審議事項:答申文書についての審議および確定
     3月中旬 DOM-WG 3月部会
          審議事項:答申文書の検討
     3月中旬 運営委員会
          審議事項:答申文書の検討
     3月下旬 一般への告知、パブリックコメントの募集(2カ月間)
     5月下旬 最終文書の策定・公表



以上

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