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このドキュメントは有効期限を過ぎており無効です。 現在有効なドキュメントについては、以下をご参照ください。
http://www.nic.ad.jp/ja/doc/validity.html

文書管理情報
文書番号 JPNIC-00287
文書名 JPNICにおけるアドレス空間管理ポリシー
発効日 2001.4.1
最終更新日 2001.9.25
有効期限 2002/7/14
この文書によって無効となった文書 JPNIC-00286
この文書を無効とする文書 JPNIC-00866
-------------------------------------------------------------------------
|  JPNIC公開文書著作権表示 (Copyright notice of JPNIC open documents)   |
|                                                                       |
|  この文書はJPNIC公開文書であり、著作権は社団法人日本ネットワーク      |
|  インフォメーションセンター(JPNIC)が保持しています。JPNIC公開文       |
|  書は誰でも送付手数料のみの負担でJPNICから入手できます。また、こ      |
|  の著作権表示を入れるかぎり、誰でも自由に転載・複製・再配布を行っ     |
|  て構いません。                                                       |
|  〒101-0047  東京都  千代田区  内神田2-3-4  国際興業神田ビル6F        |
|        社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター             |
-------------------------------------------------------------------------

                  JPNICにおけるアドレス空間管理ポリシ


              社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター
                          最終更新 2001年  9月 25日
                          有効期限 2002年  7月 14日


*本文書について*

    本文書は、2001年  4月  1日より有効となります。

        本文書は、JPNICにおけるIPアドレスの割り振りや割り当てに関するポリ
        シをまとめたものです。

        まず本文書をご一読のうえ、他のアドレス割り当てに関する一連のJPNIC
        文書をお読みください。


*目次*

  0. 本文書について
    0.1. 本文書の構成
  1. はじめに
  2. 本文書が対象とする範囲
  3. アドレス空間分配の階層構造
  4. 定義
    4.1. インターネットレジストリ(IR)
      4.1.1. 地域インターネットレジストリ(RIR)
      4.1.2. 国別インターネットレジストリ(NIR)
      4.1.3. ローカルインターネットレジストリ(LIR)
    4.2. IPアドレス管理指定事業者
    4.3. 割り振られた/割り当てられたアドレス空間
      4.3.1. 割り振り
      4.3.2. 割り当て
  5. アドレス空間管理の目標
    5.1 目標
      5.1.1. 一意性
      5.1.2. 登録
      5.1.3. 経路の集成
      5.1.4. アドレスの節約
      5.1.5. 公平性
    5.2 目標の衝突
  6. ポリシを取り巻く環境
    6.1. 経路制御可能かどうかは保証されない
    6.2. 予測不可能な成長率
    6.3. 責任の共有
      6.3.1 顧客との適切な契約
      6.3.2 誠実さ
    6.4. 公平性
    6.5. 専門知識のさまざまなレベル
    6.6. IPアドレスは所有物ではない
    6.7 使用量を上回るアドレス空間蓄積の防止
    6.8. 効率的技術にもとづいた評価
    6.9. 最小割り振りサイズ
    6.10. 根拠資料
    6.11. 機密性
  7. 割り振りと割り当てのポリシ
    7.1. 首尾一貫したアドレス管理ポリシの採用
    7.2. アドレス空間のリース
    7.3. 正確な申請書にもとづく申請処理
    7.4. 安全性と機密性
      7.4.1. 情報登録のためのアクセスコントロール
    7.5. 公平な申請処理
    7.6. 割り振りの一般的要件
    7.7. 最初の割り振りのスロースタート
      7.7.1. スロースタートの例外
    7.8. 追加割り振りの基準
      7.8.1. 連続した割り振りは保証されない
    7.9. IPアドレス管理指定事業者のためのアサインメントウィンドウ
    7.10. 割り振りを全て使用したIPアドレス管理指定事業者
      7.10.1. 特殊な状況・大きな割り当て
    7.11. 予約は割り当てとみなされない
    7.12. プロバイダ集成可能アドレスの推奨
      7.12.1. プロバイダ非依存アドレス空間の割り当て元
    7.13. 経路集成を促進するためのリナンバリング
    7.14. プライベートアドレス
    7.15. 割り当てアドレスの使用見積り
    7.16. 複数のIRにアドレス空間を申請する組織
    7.17. 登録の必要性
      7.17.1. 登録情報の更新
      7.17.2. 連絡担当者の登録
    7.18. in-addr.arpa資源レコード維持の責任
    7.19. 割り振りと割り当ての有効性
    7.20. アドレス空間の譲渡
    7.21. IPアドレス管理指定事業者の合併、買収の割り振りへの影響
    7.22. IPアドレス割り当て管理業務の停止
  8. 特定のケース
    8.1. 静的な割り当て
      8.1.1. 静的なダイアルアップ接続
      8.1.2. ケーブルネットワーク
      8.1.3. バーチャルホスト
    8.2. IPアンナンバード
  9. 謝辞


0. 本文書について

        本文書は、JPNICにおけるIPアドレス(以下「アドレス」)の割り振りや割
        り当てに関するポリシをまとめたものです。

        まず本文書をご一読のうえ、他のアドレス割り当てに関する一連のJPNIC
        文書をお読みください。

        本文書では、具体的なアドレス割り当ての申請手続きについては一切述
        べていません。これについては以下で提示される文書に詳しい解説がな
        されていますので、それらの文書を参照してください。

          『IPアドレス管理指定事業者のIPアドレス割り振り/返却申請手続きについて』

          『IPアドレス割り当て報告申請処理について(IPアドレス管理指定事業者ネットワーク用)』

          『IPアドレス割り当て報告申請処理について(ユーザネットワーク用)』

          『IPアドレス割り当てにおけるJPNIC審議申請について』

          『IPアドレスリナンバ申請について(IPアドレス管理指定事業者ネットワーク用)』

          『IPアドレスリナンバ申請について(ユーザネットワーク用)』

          『割り当て済みIPアドレスの返却申請処理について』


        なお、本文書に記述された内容が効力を持つのは、本文書冒頭に示され
        た有効期限までの期間です。有効期限を過ぎた場合には、本文書の改定
        版を参照してください。

        本文書で解説するのは、2001年2月の時点でのアドレスの管理と割り当て
        に関するものであり、文書中で「現在」とあるのは、2001年2月を指すも
        のとします。

        本文書および関連する文書を読む際には、有効期限が過ぎていないこと
        を確認してください。


  0.1. この文書の構成

        本文書の構成は以下の通りです。

          ・ 第1節「はじめに」
              このJPNICポリシの目的について解説

          ・ 第2節「本文書が対象とする範囲」
              本文書で解説および説明する範囲に関する解説

          ・ 第3節「アドレス空間分配の階層構造」
              インターネットコミュニティーにおけるアドレス空間分解の階層
              構造に関する解説

          ・ 第4節「定義」
              本文書を読むにあたっての言葉の定義についての解説

          ・ 第5節「アドレス空間管理の目標」
              アドレス空間を管理することの目的についての解説

          ・ 第6節「ポリシを取り巻く環境」
              このJPNICポリシの策定にあたって要因となるさまざまな環境に
              ついての解説

          ・ 第7節「割り振りと割り当てのポリシ」
              JPNICにおけるアドレス割り振りと割り当てに関するポリシに関
              する解説

          ・ 第8節「特定のケース」
              特別な割り振りや割り当てに関連ことがらについての解説


1. はじめに

        日本ネットワークインフォメーションセンター(以下「JPNIC」)は、
        APNIC(Asia Pacific Network Information Center)のコンフェデレーシ
        ョンメンバーとして日本国内で機能している、非営利の国別インターネ
        ットレジストリである。

        JPNICはパブリックなインターネットアドレス空間を分配し、この分配を
        管理するためのポリシを立案・実施している。

        本文書に記述されているポリシは、JPNICをはじめとする、日本国内で機
        能している全てのインターネットレジストリが実施するものとして、ア
        ジア太平洋地域および日本国内のインターネットコミュニティが作って
        きたものである。

        現在、インターネットレジストリは、互いに自己調整しながら機能する
        環境にある。本文書に記述されたポリシは、そのような環境を継続して
        いくための明確な枠組みを提供するものである。

        本文書は、APNICが発行している以下の文書を参考に記述されている。こ
        のAPNIC文書はJPNICやJPNICが指定するIPアドレス管理指定事業者を含む
        すべてのインターネットレジストリが従うべき、アジア太平洋地域全体
        におけるアドレス空間管理ポリシについて記述されており、本文書の上
        位文書にあたる。したがってAPNIC文書が将来的に変更された場合には、
        本文書もそれにともなって変更されることになる。

          『Policies for address space management in the Asia Pacific region』
                (http://www.apnic.net/docs/add-manage-policy.html)


2. 本文書が対象とする範囲

        本文書は、JPNICおよびそのIPアドレス管理指定事業者のために、グロー
        バルでパブリックなIPv4アドレス空間の責任ある管理を行うことを目標
        としたポリシを記述している。

        特に、本文書はアドレス空間の割り振りと割り当てに関する目標、仮定、
        ポリシに焦点を当てている。

        かつてアドレス空間は「クラスA」、「クラスB」、「クラスC」といった
        アドレスクラスにもとづいて割り振られていた。しかし、Classless Inter
        Domain Routing(CIDR)技術の導入以来、アドレス空間は「/19」や「/21」
        のように表わされるプリフィクスによって割り振られている。

        本文書はクラスレスなアドレス割り振り/割り当ての問題のみを扱う。


3. アドレス空間分配の階層構造

        IPアドレスはRFC2050(もとはRFC1466)に記述された階層的構造にもとづ
        いて分配されている。その構造は図1の通りである。


                            +--------+
                            |  IANA  |
                            +--------+
                                 |
         +-----------+-----------+...........+.............+
         |           |           |           :             :
    +--------+  +--------+  +--------+  +..........+  +..........+
    |  ARIN  |  |RIPE NCC|  |  APNIC |  :  Potential future RIRs :
    +--------+  +--------+  +--------+  +..........+  +..........+
                                 |
                  +-----------+--+--------+
                  |           |           |
              +------+    +-------+       |
              |  NIR |    | JPNIC |       | National Internet
              +------+    +-------+       |    Registries
                  |           | (NIR)     |
           +------+--+        |           |
           |         |        |           |
       +------+      |     +------+    +------+  Local Internet
       | LIR  |      |     | LIR  |    | LIR  |    Registries
       +------+      |     +------+    +------+
           |         |        |           |
     +-----+         |        |           |
     |     |         |        |           |
     |     |         |        |           |
  +----+ +----+   +----+    +----+     +----+
  | EU | | EU |   | EU |    | EU |     | EU |    End-users
  +----+ +----+   +----+    +----+     +----+

                              図 1


        この階層構造では、IANA(Internet Assigned Numbers Authority)はアジ
        ア太平洋地域への再分配用としてAPNICにアドレス空間を割り振り、APNIC
        はNIRの一つであるJPNICにアドレスを割り振る。そして、JPNICは日本国
        内のローカルインターネットレジストリ(LIR)にアドレス空間を割り振り、
        同時にそのLIRがエンドユーザに対して割り当てを行う権限の委任も行う。

        LIRはJPNICの指導のもとで、本文書に書かれたポリシや手続きに従い、
        自分のメンバーや顧客にアドレス空間を割り当てる。


4. 定義

        本文書に書かれている目標、環境、ポリシを理解するために特に重要な
        用語の定義を行う。


  4.1. インターネットレジストリ(IR)

        インターネットレジストリ(IR)はIPアドレス空間をメンバーまたは顧客
        に分配し、その分配を登録する責任を持つ。IRは図1の階層構造の中で、
        主要な機能と地域的担当範囲にもとづき分類される。

        本文書で用いられるIRという用語にはAPNICとその他の地域インターネッ
        トレジストリ(RIR)、JPNICなどの国別インターネットレジストリ(NIR)、
        ローカルインターネットレジストリ(LIR)を含んでいる。


    4.1.1. 地域インターネットレジストリ(RIR)

        地域インターネットレジストリ(RIR)はIANAの認可で設立され、大きな地
        域にサービス提供し、その地域を代表する。

        RIRの主な役割は、それぞれが担当する各地域内でアドレス空間を分配、
        管理することである。

        現在RIRとしては、APNIC、RIPE NCC、ARINの3つがある。将来はさらに他
        のRIRが設立されるかもしれないが、RIRの総数は比較的少なく維持する
        ことが期待されている。


    4.1.2. 国別インターネットレジストリ(NIR)

        国別インターネットレジストリ(NIR)は、主として、LIRであるメンバー
        にアドレスを割り振りするIRであり、一般的にNIRのメンバーは、国レベ
        ルで組織されたインターネットサービスプロバイダ(ISP)である。

        NIRはISPで構成されるが、それ自体はISPとしては機能しない。NIRは自
        らを構成しているISPの利益に関して中立を維持することが期待される。

        JPNICはこのNIRにあたる。


    4.1.3. ローカルインターネットレジストリ(LIR)

        ローカルインターネットレジストリ(LIR)は、主として自分が提供するネ
        ットワークサービスのユーザにアドレス空間を割り当てるIRである。LIR
        は一般にISPのことであり、その顧客は主としてエンドユーザであるが、
        その顧客が別のISPである場合もある。

        IPアドレス管理指定事業者はこのLIRにあたる。


  4.2. IPアドレス管理指定事業者

        IPアドレス管理指定事業者(以下「IP指定事業者」)とは、JPNICとの間に
        取り交わしたIPアドレス管理指定事業者契約書を保持しているネットワ
        ークサービス事業者を示す。


  4.3. 割り振られた/割り当てられたアドレス空間

        JPNICのアドレスポリシを理解するためには、「割り振り」と「割り当
        て」という用語の区別を明確にしておくことが重要である。


    4.3.1. 割り振り

        割り振りとは、再分配用としてアドレス空間をIRに分配することである。


    4.3.2. 割り当て

        割り当てとは、IRがエンドユーザに対し、割り振られたアドレス空間の
        一部または全部を、エンドユーザのネットワークで利用するために分配
        することである。また、IRが内部のネットワーク用として使うときも、
        そのアドレス空間は割り当てられたアドレス空間と呼ばれる。これらの
        アドレス空間には、ダイヤルアップ接続等のための動的な割り当てに使
        用されるためにプールされたアドレスが含まれる。

        割り当てられたアドレス空間は、エンドユーザが申告した特定の目的の
        ためにのみ使用されるものであり、さらに割り振りや割り当てされるも
        のではない。


5. アドレス空間管理の目標

  5.1 目標

        ここに記述されるアドレス空間管理の目標は、インターネットコミュニ
        ティにより形成されてきたもので、インターネットが最大限に機能し成
        長できることを保証し、このコミュニティ全メンバー相互の利益を反映
        するものである。

        日本国内におけるこれらの目標の達成を保証するのが、公共資源の管理
        者たるJPNICの第一の義務である。JPNICは、IP指定事業者が責任を持っ
        てポリシを策定・実現し、実践していくにあたり、リーダシップを発揮
        してその方向付けを行っていきたいと考えている。

        全てのIP指定事業者は各々の活動範囲において、責任を持ってこれらの
        目標を達成できるよう努めなければならない。


    5.1.1. 一意性

        各割り当ておよび割り振られたアドレス空間は、世界にただひとつしか
        ないことを保証しなければならない。

        これはインターネット上のそれぞれのパブリックなホストが一意に識別
        されるための絶対的要件である。


    5.1.2. 登録

        インターネットアドレス空間の割り当てと割り振りは、インターネット
        コミュニティの全メンバーがアクセス可能な、公開されているレジスト
        リデータベースに登録されなければならない。

        これは、インターネットアドレスの一意性を保証するためであり、また、
        RIRをはじめとする全てのIRやエンドユーザなど、インターネットを利用
        するあらゆるレベルの人が遭遇するインターネット上のトラブルを解決
        するための、参照情報として利用できるようにするためである。

        さらに、アドレス空間のように公共の資源を利用する全ての人が、その
        資源の状態等を確認可能であるべきとする、インターネットコミュニテ
        ィの考え方を反映するものでもある。


    5.1.3. 経路の集成

        アドレス空間は、ネットワークインフラストラクチャーのトポロジに沿
        って、可能な限り階層的に分配されなければならない。

        これは、経路情報を集成し経路表の増大を抑えるために必要なことであ
        る。


    5.1.4. アドレスの節約

        インターネットアドレス空間という限られた資源の寿命を最大限に延ば
        すために、アドレス空間は、実際の使用量に応じて当面本当に必要とな
        る数だけが分配されるべきである。

        したがってアドレス空間を使用せずに蓄積したり、顧客の為に予約した
        りすることは避けなければならない。

        節約するということはまた同時に、効率的に使用すべきというというこ
        とも意味しており、全てのインターネット利用者は、「可変長サブネッ
        トマスク(VLSM)」等の技術の他、効率的なアドレス空間の利用を実現す
        る技術をできるだけ採用するべきである。


    5.1.5. 公平性

        アドレス空間の使用に関する全てのポリシは、現在および未来にわたる
        全てのインターネットコミュニティの構成員に対し、場所、国籍、規模
        その他いかなる要因にも左右されることなく公平に適用され実践される
        べきである。


  5.2 目標の衝突

        アドレス空間の節約と経路集成という目標はしばしば衝突する。

        さらに、[5.1 目標]で述べたことは、時として個々のIRおよびエンドユ
        ーザの利益と衝突することがある。

        アドレス空間の割り振りと割り当ての申請を審査する全てのIRは、それ
        に関連する全ての事柄を注意深く分析し、インターネットコミュニティ
        全体のニーズと申請者のニーズのバランスを取らなければならない。

        本文書に記述されているポリシは、NIRであるJPNICを含む日本国内の全
        てのIRが、首尾一貫した平等な方法でこれらニーズのバランスを取るの
        を助けるためのものである。これには、意思決定過程の明文化と透明性
        維持も必要になる。


6. ポリシを取り巻く環境

        [5. アドレス空間管理の目標]にある目標の他、インターネットコミュニ
        ティの期待、現行の管理構造、技術的制限などの要因全てを考慮して、
        JPNICポリシは策定される。

        環境の変化は突然おこることもあり、それをまったく予測できないこと
        もある。

        指定事業者の代表たるJPNICの重要な役割は、この環境変化を監視し、そ
        の環境変化がJPNICポリシに対してどのような意味を持つかをIP指定事業
        者に通知していくことである。

        この節では、今現在の環境でJPNICポリシの策定に最も重要な意味を持っ
        ている要因を記述している。


  6.1. 経路制御可能かどうかは保証されない

        アドレス空間の経路制御可能性は保証できるようなものではない。

        それは、グローバルに広告された経路数を減らすために、世界中のトラ
        ンジットプロバイダが、プリフィックス長にもとづく経路フィルタリン
        グを実施しているからである。

        この観点からみると、プロバイダ非依存アドレスはインタネット上で、
        経路制御可能性が最も低くなる可能性をはらんでいる。

        以上の理由から、JPNICポリシでは、ユーザは直接JPNICやAPNICに対して
        プロバイダ非依存アドレスの割り当てを申請するのではなく、接続する
        プロバイダに対してプロバイダ集成可能アドレス申請を行うべきである
        としている。


  6.2. 予測不可能な成長率

        アドレス空間分配における初期の戦略は、インターネットの爆発的成長
        と利用できるアドレス空間の大きさ、経路制御に関して、成長の結果生
        じる規模拡大への対応性の問題を予測したものではなかった。

        アドレス管理ポリシおよび手続きの策定に際しては、過去の経験を考慮
        し、将来起こりうる問題を予測する努力をしなければならない。


  6.3. 責任の共有

        JPNICは、管理可能で規模が拡大しても対応可能なインタネットの成長を
        確保することに対し、IP指定事業者およびその顧客と共に、その責任の
        一端を担っていると認識している。

        JPNICはIP指定事業者に対し、アドレス空間管理のポリシ策定とその実行、
        [5. アドレス空間管理の目標]にある目標と合致した意志決定の推奨や支
        援に、主要な役割を担わなければならない。


    6.3.1 顧客との適切な契約

        本文書に示すポリシが一貫したかたちで地域全体に適用されるようにす
        るために、IP指定事業者は顧客との間でそれを実現する適切な契約を結
        ぶ必要があると考える。


    6.3.2 誠実さ

        JPNICとIP指定事業者との関係は、提示される情報やネットワークプラン
        等の根拠書類が、虚偽なく正確なものであるという信頼関係にもとづい
        て成立している。


  6.4. 公平性

        JPNICはインターネットコミュニティ全体、特に日本のインターネットコ
        ミュニティ全体の利益を代表している。

        JPNICはポリシを公平、平等に全IP指定事業者に適用し、対象組織の規模
        や地理的場所、その他の要因によって左右されることはない。


  6.5. 専門知識のさまざまなレベル

        IRスタッフとエンドユーザが持つ経験と専門知識のレベルはさまざまに
        異なる。

        JPNICはポリシを全てのIP指定事業者に平等に適用するが、JPNICはIP指
        定事業者それぞれのレベルに応じた支援や指導を行っていく。

        この支援により、日本のインターネットコミュニティ全体のアドレス空
        間管理が、首尾一貫して実施されることが保証されるだろう。


  6.6. IPアドレスは所有物ではない

        アドレス空間を所有物とみなすことは、本文書で述べられている目標だ
        けでなく、インターネットコミュニティ全体の利益にも反することであ
        る。

        JPNICポリシはこの認識にもとづき、アドレス空間は希少な共有資源であ
        り、その分配は必要な数だけを責任を持って行われるべきであると、イ
        ンターネットコミュニティ全体に働きかけるものである。

        特にユーザが特定のアドレス空間を所有することは、経路集成と効率的
        アドレス利用に悪影響を与える。そのため、JPNICポリシは、アドレスが
       「所有されるもの」ではなく「リースされるもの」だという理解にもとづ
        いた上で、IP指定事業者が自分の顧客にサービスを提供するよう求めて
        いる。


  6.7 使用量を上回るアドレス空間蓄積の防止

        アドレスを使用せずに蓄積しておくことは、節約と公平性の目標に反す
        る。

        JPNICポリシは、蓄積するのではなく、すぐ使用するものとして具体的
        に示された必要性にもとづき、効率的にアドレスを分配するべきである
        としている。


  6.8. 効率的技術にもとづいた評価

        特定の状況において、効率的・階層的なアドレス分配が可能になる適切
        な技術がある場合、エンドユーザはその時々に最も推奨される技術を採
        用するべきである。

        効率的な技術の採用を計画していない組織は、その技術の採用を改めて
        十分に考慮した上で、採用が困難である根拠を提供しなければならない。

        運用上の便宜を図るということは、非効率な技術を使う根拠にはなり得
        ない。しかし、規模対応性、ネットワークの複雑性、安定運用の必要性
        といった要素が、そのような技術の採用を遅らせることもありえるとい
        うことも理解することはできる。

        JPNICはIP指定事業者やさらに広い範囲のインターネットコミュニティと
        協力し、インターネットアドレスに関するその時々に推奨される方法を
        定義し、発展させていく。


  6.9. 最小割り振りサイズ

        経路集成とアドレス空間の節約という2つの目標はしばしば衝突する。

        このためアドレス空間割り振りに関しては、アドレス空間の節約という
        観点からは最小限で、経路集成という観点からは実用的な、バランスの
        取れたサイズを設定する必要がある。

        現在グローバルインターネットで実用的だと考えられるアドレス空間の
        大きさは /20 (4,096アドレス分) であるが、JPNICではこれよりも小さ
        い /22(1,024アドレス分) を最小割り振りサイズとして採用し、それを
        含む /20 をそのIP指定事業者に対して保留している。IP指定事業者は当
        面の間この /20 をグローバルインターネットに対して広告することがで
        きる。

        ただし、実用的だと考えられるアドレス空間の大きさはは技術的条件、
        運用条件の進歩にともって変化すると考えられるため、この措置は今後
        状況の変化で変更される可能性がある。


  6.10. 根拠資料

        アドレス申請を適切に審議するために、IP指定事業者には該当するネッ
        トワークに関する詳細な資料の提出が要求される。

        この資料にはネットワークエンジニアリング計画、サブネット計画、ネ
        ットワークトポロジ、経路制御計画などの説明が含まれる。

        この資料は首尾一貫した基準にもとづいている必要があり、ここに含ま
        れる見積もりや予測は全て現実的でかつ根拠あるものになっていなけれ
        ばならない。


  6.11. 機密性

        IP指定事業者は、アドレス申請の中で組織や個人の活動に関する情報を
        分析する必要があるが、これらの情報には非常に高い機密性が要求され
        るものが多い。

        したがって、JPNICはIP指定事業者およびその顧客のビジネスおよび個人
        に関する機密情報を保護する手段を適用・強化し、IP指定事業者や顧客
        の信頼に足るサービスを提供する。


7. 割り振りと割り当てのポリシ

        [1. はじめに]で強調しているように、JPNICポリシはインターネットコ
        ミュニティの総意と、アジア太平洋地域全体の総意であるAPNICポリシか
        ら生まれたものである。

        JPNICの役割はこのポリシを明確にし普及することである。JPNICはこの
        ポリシをIP指定事業者に強制するつもりはなく、むしろ首尾一貫し責任
        あるポリシ実践のモデルを日本全体に提供しようとするものである。


  7.1. 首尾一貫したアドレス管理ポリシの採用

        IP指定事業者は、本文書で示される、インターネットコミュニティで形
        成されたポリシに沿った方針で運用するべきである。


  7.2. アドレス空間のリース


        JPNICは、「リース」という考え方にもとづいて、IPアドレスの割り振り
        を行う。このリースの期限は、通常1年間という限定された期間である。

        リースの条件は、リースの開始または更新時に適用される。これらは資
        源の割り振りと割り当てに関するJPNICポリシに従ったものである。

        リース更新は可能であり、その条件は以下の2点を満たしていることであ
        る。

            (a) 割り振り当初の根拠が更新時点でまだ有効である
            (b) その割り振りに関する登録要件が更新時点で満たされている

        リースが更新される時、更新後のリース条件は、更新時点の資源割り振
        りポリシとリース更新ポリシが適用される。

        リース条件の変更は、IP指定事業者の総意により認められた例外を除き、
        規定されている一定の通知期間を経るものとする。


  7.3. 正確な申請書にもとづく申請処理

        JPNICは、完全かつ適切に文書化されている申請書を処理する。

        申請書に間違いや抜けがある場合、JPNICは申請者にできるだけ速やかに
        通知する。また、JPNICは提出された申請書の中の不明確な部分に関して、
        さらに詳細な情報や説明を求めることがある。

        申請者がこのJPNICの疑問を十分解消する解答を行った場合、できるだけ
        速やかに処理を進める。申請書に間違いや抜けが無かった場合も同様で
        ある。

        JPNICは申請処理に関して一貫した信頼に足るレベルのサービスを維持す
        るために、可能な限り努力する。


  7.4. 安全性と機密性

        JPNICは、IP指定事業者およびその顧客のビジネス上/インフラ上の運用
        に関する情報の機密性を保護するシステムや手段を維持する。JPNICのス
        タッフまたは代理業者は全て明文化された機密性保持の条件にもとづき
        雇用されている。


    7.4.1. 情報登録のためのアクセスコントロール

        JPNICはデータベースにおいてアクセスコントロールメカニズムを提供す
        る予定である。しかし、そのようなメカニズムを利用していくのは、各
        IP指定事業者やエンドユーザの責任である。


  7.5. 公平な申請処理

        JPNICは、適切な申請書を受け取った順番に公平な方法に則って申請を扱
        う。

        全IP指定事業者は平等に扱われなければならないため、JPNICは地理的条
        件、規模その他いかなる理由にも左右されず、どのような状況において
        も申請処理の通常の順番から特別扱いをしたり例外を作ったりすること
        はない。

        JPNICは、効率的な管理のため申請チケットシステムを構築する予定であ
        り、これを用いて一定の期間内に申請を処理するよう努める。


  7.6. 割り振りの一般的要件

        アドレス空間の割り振り申請は全て、申請しているIP指定事業者のネッ
        トワークインフラストラクチャー、申請しているアドレス空間の用途を
        説明した根拠情報を提出しなければならない。

        JPNICはその根拠情報とともに、そのIP指定事業者が現在保持している全
        てのアドレス空間と過去の割り当て履歴を考慮して申請を処理する。


  7.7. 最初の割り振りのスロースタート

        JPNICは新規のIP指定事業者全てにスロースタートのメカニズムを適用す
        る。

        JPNICで適用される1回目の割り振りは、[6.9. 最小割り振りサイズ]に示
        されるサイズとなる。

        スロースタートはJPNICのほかにも多くのIRが採用している方法であり、
        RIRおよびNIRから割り振りされた大きなアドレスブロックが割り当てさ
        れないまま残ってしまうことを防止するためである。

        JPNICは首尾一貫し公平に全IP指定事業者に対してスロースタートを実施
        し、同じ原理と基準をアドレス申請者全てに適用する。


    7.7.1. スロースタートの例外

        例外的に、IP指定事業者は規定より大きいサイズの割り振りを最初に受
        け取ることもある。これはIP指定事業者がすぐに必要とするネットワー
        クアドレスが、標準的なスロースタート割り振りの大きさを上回ること
        を示す、十分に詳細で具体的な根拠情報を提供できる場合においてであ
        る。

        そのような根拠情報の例としては、設備購入の領収書、発注書、署名入
        りプロジェクト契約等のように、IP指定事業者が目下ネットワーク用に
        アドレスを必要としていることを示す書類があげられる。


  7.8. 追加割り振りの基準

        IP指定事業者は、最初の割り振りを受けた後も、必要に応じて追加の割
        り振りを申請することができる。

        追加割り振りは、IP指定事業者の過去の割り振り実績、アドレス空間利
        用計画、割り当て実績と割り当て率を確認し、IP指定事業者がどの程度
        JPNICポリシに準拠しているかにより決定される。

        ここでいう割り当て率とは、指定事業者が過去に受けた割り振り中の、
        実際に割り当てを行った空間の割合のことである。

        JPNICはこれらを審査し、IP指定事業者に対してアドレス空間の追加割り
        振りをする。

        この時割り振られるアドレス空間のサイズは、IP指定事業者の過去の割
        り当て実績を考慮して決定される。


    7.8.1. 連続した割り振りは保証されない

        JPNICは前回の割り振りと連続したアドレス空間を追加で割り振るよう努
        力する。

        しかし、アドレスの予約ができないため、JPNICは連続した空間の割り振
        りができるとは保証できない。


  7.9. IPアドレス管理指定事業者のためのアサインメントウィンドウ

        IP指定事業者が、JPNICポリシと[5. アドレス空間管理の目標]を理解し、
        それに準拠した活動を行うために、JPNICはアサインメントウインドウと
        いうメカニズムを採用する。

        アサインメントウィンドウとは、IP指定事業者がJPNICに割り当て審議申
        請を行わずに割り当てができる最大のアドレス数のことである。指定事
        業者がアサインメントウィンドウを超える割り当てを行うことを希望す
        る場合は、IP指定事業者は割り当てを行う前にまず割り当て審議申請を
        JPNICに提出しなければならない。

        新規にIP指定事業者になったときIP指定事業者の最初のアサインメント
        ウインドウはゼロである。つまり、この段階では全ての割り当てはまず
        JPNICに承認されなければならない。JPNICは定期的にIP指定事業者のス
        タッフが割り当てや割り当て審議の申請を効率的に行っているかを査定
        し、アサインメントウィンドウのサイズを再検討する。IP指定事業者の
        スタッフの業務熟達度が上がれば、JPNICはアサインメントウィンドウの
        サイズを拡大する。

        IP指定事業者のアサインメントウィンドウの最大サイズは/20(4,096アド
        レス分)である。

        新人スタッフのトレーニングその他関連する事情により、IP指定事業者
        のスタッフの業務熟達度がJPNICの基準を満たさなくなると、JPNICは一
        時的にそのIP指定事業者のアサインメントウィンドウのサイズを縮小す
        ることがある。


  7.10. 割り振りを全て使用したIPアドレス管理指定事業者

        IP指定事業者が保持する全割り振りの80%を超える空間がその時点で割り
        当てされていなければ、JPNICはそのIP指定事業者に割り振りを行わない。


    7.10.1. 特殊な状況・大きな割り当て

        IP指定事業者が保持する全割り振りの80%を超える空間がその時点で割り
        当てされていない場合でも、残っている空間よりも大きいサイズの割り
        当てを行う必要がある場合、その指定事業者はJPNICに追加割り振りを申
        請できる。


  7.11. 予約は割り当てとみなされない

        IP指定事業者が顧客に割り当てる際には、必ず現在保有しているアドレ
        ス空間から割り当てをしなければならない。JPNICは割り振り申請を評価
        するときに、IP指定事業者によって他の顧客用に予約された空間を未割
        り当て空間とみなす。


  7.12. プロバイダ集成可能アドレスの推奨

        JPNICは全ての割り振りをプロバイダで集成可能(Provider Aggregatable、
        以下PA)になるように行う。これは、割り当てはリースであるという考え
        方にもとづいている。

        経路集成という目標を達成するために、エンドユーザはそのIP指定事業
        者の顧客である間だけアドレス割り当てを保持するということを、ユー
        ザとIP指定事業者間で合意しておくことが要求される。

        PA割り当てにおいて、エンドユーザはサービスプロバイダを変更する場
        合、変更前のIP指定事業者から割り当てられたアドレスを返却し、変更
        後のIP指定事業者から割り当てを受け直して、そのIP指定事業者のアド
        レスブロックにリナンバする必要がある。

        プロバイダに依存しない(Provider Independent, 以下プロバイダ非依存)
        アドレス空間の使用が適切な場合がありえるが、その利用の根拠は、運
        用上の便宜を図るということではなく、技術的に強力な根拠を持ってい
        なければならない。


    7.12.1. プロバイダ非依存アドレス空間の割り当て元

        プロバイダ非依存割り当てを行う権限を持っているのは、アジア太平洋
        地域ではAPNICだけである。

        プロバイダ非依存割り当ての必要がありその根拠を示せる組織は、アド
        レス空間割り当てをAPNICに直接申請する。


  7.13. 経路集成を促進するためのリナンバリング

        複数の集成されないプリフィクスを保有するエンドユーザは、PAアドレ
        ス空間を単一の集成可能なプリフィクスと付け替え、そのアドレスを返
        却することが望ましい。


  7.14. プライベートアドレス

        ファイアウォールの内側で運用するネットワークあるいはインターネッ
        トに接続しないネットワークには、「プライベートアドレス空間」を使
        用すべきである。


  7.15. 割り当てアドレスの使用見積り

        割り当て申請は、割り当てしてすぐ発生する必要性と将来予想される必
        要性にもとづいた使用見積りによって裏付けされなければならない。そ
        の見積りは非常に信頼できる水準で証明できていなければならない。見
        積りは3ヵ月以内、半年以内、1年以内のものを提出する。

        アドレス割り当ての直後にアドレス空間の25%、1年以内に50%が使用され
        るという見積りにもとづいて割り当てが行われる。


  7.16. 複数のIRにアドレス空間を申請する組織

        JPNICポリシのもとでは、組織は一度にただ1つのIRからのみアドレス空
        間を取得できる。

        複数のIRにアドレス空間を申請する場合、申請組織は現在保有している
        アドレス空間を、どこから割り当てを受けたかにかかわらず全て申告し
        なければならない。

        さらに、複数のIRに同時に申請している組織はその全ての申請の詳細を
        申告しなければならない。

        しかし、特定の状況(例:組織がマルチホームしている場合)では強力な
        技術的理由により1つ以上のプロバイダからアドレス空間を受け取るのが
        適切なこともある。

        このため、親組織とその傘下組織は一般に単一の組織とみなされる。

        組織の一部が別個の法人で完全に独立したネットワークインフラストラ
        クチャーを維持していて、それぞれ異なるAS番号のもとに経路制御され
        ている場合、あるいは複数のIRからアドレス空間を取得する必要がある
        ことをその根拠とともに示せる場合は例外となる。


  7.17. 登録の必要性

        アドレス割り当ての際、IP指定事業者はJPNIC データベースにその割り
        当てに関する全ての情報を登録しなければならない。

        また割り振り時には、JPNICは上位組織であるAPNICのデータベースに割
        り振りに関する全ての情報を登録する。

        データベースの情報はインターネット上のトラブルを解決するときに必
        要なものであり、かつインターネットコミュニティ全体の利益となる、
        情報の信頼性と透過性の維持に役立っている。


    7.17.1. 登録情報の更新

        IP指定事業者は、登録情報に何らかの変更があった場合にJPNIC データ
        ベースを更新しなければならない。

        登録情報を最新に保つのはIP指定事業者の責任だが、割り当ての条件と
        して、正式にエンドユーザに委任することもできる。


    7.17.2. 連絡担当者の登録

        連絡担当者の登録は責任あるアドレス空間管理の重要な部分である。

        運用責任者は、その組織を代表する人物でなければならない。

        技術連絡担当者は、ネットワークの所在地に必ずしも物理的に居る必要
        はないが、そのネットワークの日常的な運用に責任を持つ人物でなけれ
        ばならない。


  7.18. in-addr.arpa資源レコード維持の責任

        /24よりも小さな割り当てに関しては、IP指定事業者は顧客のネットワー
        クに関するin-addr.arpa資源レコードを維持しなければならない。


  7.19. 割り振りと割り当ての有効性

        アドレス空間の割り振り、割り当ては全て、割り振られたまたは割り当
        てられたときに適用された基準が効力を持つ間のみ有効となる。

        特定の目的の為に割り振りまたは割り当てが行われても、その目的がな
        くなった場合は割り振りもしくは割り当ても有効ではなくなる。

        割り振りまたは割り当ては、虚偽もしくは不完全な情報にもとづいて行
        われたことが判明した場合無効になる。このときアドレスは適切なIRに
        返却されるべきである。


  7.20. アドレス空間の譲渡

        アドレス空間の売買や無許可の譲渡は認められない。そのような譲渡は
        無効である。

        そのような譲渡によるアドレスを保持する組織は、そのアドレスを適切
        なIRに返却しなければならない。


  7.21. IPアドレス管理指定事業者の合併、買収の割り振りへの影響

        IP指定事業者の合併、売却、買収の後、JPNICは新組織(複数ある場合は
        それら該当する複数組織)の保有する全割り振りがどのような状態にある
        かを確認する。また、これに伴い、当該組織のインフラストラクチャー
        に対する実際的な影響も顧慮する。

        合併、売却、買収の実際的影響として2つ以上のIP指定事業者のインフラ
        ストラクチャーが合併された場合、JPNICは両方のネットワークにそれぞ
        れ継続してアドレスを割り振ることはない。この場合包含されるIP指定
        事業者のIPアドレス管理指定事業者契約は無効となる。

        このケースにおいてJPNICは割り振りの状態を確認する際に、該当する全
        IP指定事業者が保持するアドレス空間の完全な情報開示を求める。この
        ような開示が行われない場合は、割り振りは無効とみなされ、JPNICはそ
        のアドレスの返却を求める。


  7.22. IPアドレス割り当て管理業務の停止

        IP指定事業者がIRとして機能しなくなると、そのIRの未割り当てアドレ
        スは全てJPNICに返却されるべきである。さらに、そのIP指定事業者(ま
        たはIP指定事業者の事業整理のため指名されたIP指定事業者の清算人、
        管財人)は全顧客にIPアドレス割り当て管理業務停止の旨を通知し、別の
        IP指定事業者のアドレス空間へのリナンバリングに向けた調整を進める
        責任がある。そのIPアドレス管理業務を停止するIP指定事業者が割り当
        てていたアドレスが未割り当てアドレス空間のプールに返却できるよう
        にするべきである。


8. 特定のケース

        本文書に記載されているポリシは、割り振りや割り当てに関連するもの
        であり、最新の技術を採用する上での推奨される適用方法を述べるもの
        である。

  8.1. 静的な割り当て

        アドレスの割り当ては、サービス毎に静的に行うべきではない。

        静的なアドレス割り当てを計画する場合には、明確かつ詳細な技術的根
        拠を示し、その正当性が確認されなければならない。

        運用上の便宜を図るという理由は、静的割り当ての根拠としては不十分
        である。

        そのような静的アドレス割り当て申請を審議する際に、申請者の該当ネ
        ットワークに対し、アドレスの動的割り当てが本当に適用不可能である
        かどうかを検討するべきである。


    8.1.1. 静的なダイアルアップ接続

        ダイヤルアップ接続に対して静的にアドレスを割り当てることは避ける
        べきである。

        このような割り当てを計画しているユーザは、まず動的な割り当て技術
        を適用できないか確認しなければならない。

        通常、ダイヤルアップに対しては動的なアドレス割り当てが可能である。


    8.1.2. ケーブルネットワーク

        ケーブルベースのインフラストラクチャーについては、静的アドレス割
        り当てが避けられない状況もありえる。

        DHCPなどの動的アドレス割り当て技術を使用したとしても、消費者から
        の常時接続要求に対応する場合は、IPアドレスの節約効果は期待できな
        いことが多いからである。


    8.1.3. バーチャルホスト

        HTTP1.1のような最近開発されたプロトコルや技術により、個々のバーチ
        ャルホストに対してアドレスを割り当てる必要が無くなった。バーチャ
        ルホストの使用を計画している組織に対しては、これらの新しい技術を
        用いた実現が強く推奨される。


  8.2. IPアンナンバード

        マルチホーム接続ではなく単一の接続しか持たず、静的な経路制御を行
        っており、なおかつ「IPアンナンバード」に対応した機器とソフトウェ
        アを利用している場合は、「IPアンナンバード」の利用が推奨される。

        このような構成を取った場合、point-to-pointリンクのためにIPアドレ
        スを割り当てる必要はなく、シリアルインターフェース上でIPを機能さ
        せることができる。

        これはアドレス節約だけでなく、運用レベルにおいてISP内部の経路表の
        大きさを縮小し、大規模にも発展可能なシステムが構築できるという効
        果をもたらす。


9. 謝辞

        本文書作成にあたり、貴重なコメントをしていただいたAPNICに感謝する。


以上


*関連文書*

「IPアドレス管理指定事業者のIPアドレス割り振り/返却申請手続きについて」
    ( http://www.nic.ad.jp/doc/jpnic-00192.html )

「IPアドレス割り当て報告申請処理について(IPアドレス管理指定事業者ネットワーク用)」
    ( http://www.nic.ad.jp/doc/jpnic-00144.html )

「IPアドレス割り当て報告申請処理について(ユーザネットワーク用)」
    ( http://www.nic.ad.jp/doc/jpnic-00154.html )

「IPアドレス割り当てにおけるJPNIC審議申請について」
    ( http://www.nic.ad.jp/doc/jpnic-00099.html )

「IPアドレスリナンバ申請について(IPアドレス管理指定事業者ネットワーク用)」
    ( http://www.nic.ad.jp/doc/jpnic-00058.html )

「IPアドレスリナンバ申請について(ユーザネットワーク用)」
    ( http://www.nic.ad.jp/doc/jpnic-00067.html )

「割り当て済みIPアドレスの返却申請処理について」
    ( http://www.nic.ad.jp/doc/jpnic-00444.html )

「Policies for address space management in the Asia Pacific region」
    ( http://www.apnic.net/docs/add-manage-policy.html )
            

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