メインコンテンツへジャンプする

JPNICはインターネットの円滑な運営を支えるための組織です

ロゴ:JPNIC

WHOIS 検索 サイト内検索 WHOISとは? JPNIC WHOIS Gateway
WHOIS検索 サイト内検索

このドキュメントは有効期限を過ぎており無効です。 現在有効なドキュメントについては、以下をご参照ください。
http://www.nic.ad.jp/ja/doc/validity.html

文書管理情報
本文書番号 JPNIC-01024
文書名 JPNICにおけるIPv6アドレス割り振りおよび割り当てポリシー
発効日 2005/5/16
最終更新日 2005/4/1
この文書によって無効となった文書 なし
この文書を無効とする文書 JPNIC-01042

JPNICにおけるIPv6アドレス割り振りおよび割り当てポリシー

社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター

本文書の立場

本文書は、APNICが発行している以下のAPNIC、ARIN、RIPE NCCのコミュニティによって共同で議論され策定された文書をもとに記述されている。このAPNICの文書は、JPNICやJPNICが指定するIPアドレス管理指定事業者を含むすべてのインターネットレジストリが従うべきポリシーについて記述されており、本文書の上位文書にあたる。従って、APNIC文書が将来的に変更された場合は、本文書もそれにともなって遅滞なく変更されるものである。

IPv6 Address Allocation and Assignment Policy

本文書に記載されているポリシーは基本的にAPNICポリシーとの一貫性、透明性を旨として策定されるため、内容的にはほとんどの部分が同一であり、文書の体裁や構造も同一のものである。
ただし、これはJPNICポリシーがAPNICポリシーと完全に同一のものであるという意味ではない。地域インターネットレジストリと国別インターネットレジストリという立場の違いによる差異も存在する。

目次

本文書の立場
1. はじめに
 1.1. 概要
2. 定義
 2.1. インターネットレジストリ(IR)
 2.2. 地域インターネットレジストリ(RIR)
 2.3. 国別インターネットレジストリ(NIR)
 2.4. ローカルインターネットレジストリ(LIR)
 2.5. 割り振り
 2.6. 割り当て
 2.7. 利用率
 2.8. HD-Ratio
 2.9. エンドサイト
3. IPv6アドレス空間管理の目標
 3.1. 目標
 3.2. 一意性
 3.3. 登録
 3.4. 経路の集成
 3.5. 節約
 3.6. 公平性
 3.7. オーバーヘッドの最小化
 3.8. 目標の衝突
4. IPv6ポリシーの考え方
 4.1. アドレス空間は所有物とはみなされない
 4.2. 保証されないルータビリティ(経路制御可能性)
 4.3. 最小割り振りサイズ
 4.4. IPv4インフラストラクチャーの考慮
5. 割り振りと割り当てのポリシー
 5.1. 初期割り振り
  5.1.1. 初期割り振りの基準
  5.1.2. 初期割り振りの最小サイズ
  5.1.3. 最小サイズを超える初期割り振りサイズ
 5.2. 追加割り振り
  5.2.1. 追加割り振りの基準
  5.2.2. HD-Ratioの適用
  5.2.3. 追加割り振りのサイズ
 5.3. IP指定事業者からISPへの割り振り
 5.4. 割り当て
  5.4.1. 割り当てアドレス空間のサイズ
  5.4.2. 単一のエンドサイトに対する複数の/48の割り当て
  5.4.3. オペレータのインフラストラクチャーに対する割り当て
 5.5. 登録
 5.6. 逆引き
 5.7. 既存のIPv6アドレス空間保持者
6. 参考情報
7. 付録A :HD-Ratio

1. はじめに

1.1. 概要

本文書では、インターネットプロトコルバージョン6(以下、IPv6)に関して、世界的に固有なインターネットアドレス空間の分配とその運用に関するポリシーについて説明する。

[RFC2373、RFC2373bis]では、IANAがRIRへ割り振ることのできるグローバル ユニキャストアドレス空間に2000::/3を指定している。[RFC2928、RFC2373bis、IAB-Request]に従い、IANAは既存のRIRに対して2001::/16アドレスブロックからのグローバルユニキャストIPv6アドレス空間の初期領域を割り振っている。本文書では、RIRが割り振り/割り当てポリシーを定めている2000::/3 ユニキャストアドレス空間の初期および追加の割り振りを扱う。エンドサイトは一般に/48の割り当て[RFC3177、RIRs-on-48s]を与えられるため、本文書では2000::/3から/48までの領域にあるビットに関するポリシーを特に重視する。ただし、エンドサイトには/64と/128の割り当てを受けるものもあるため、2000::/3から/64までの領域にあるすべてのビットが対象となる。

このポリシーは暫定的(Interim)であるものとしてみなされ、将来IPv6の運用に関するより幅広い経験に従って見直される。

2. 定義

以下の用語とその定義は、本文書に書かれている目標、環境、ポリシーを理解するために特に重要なものである。

IPv6アドレス空間を管理する責任は、以下のような階層構造により世界に配分される。

                +--------+
                |  IANA  |
                +--------+
                    |
              +-----------+
              |           |
          +--------+  +--------+
          |   RIR  |  |   RIR  |  Regional Internet
          +--------+  +--------+  Registries (APNIC, ARIN, RIPE NCC,LACNIC
              |           |       plus possible future RIRs)
              |           |
              |        +-----+
              |        | NIR |     National Internet
              |        +-----+     Registries (AP region)
              |           |
         +--------+   +--------+
         |LIR/ISP |   |LIR/ISP |   Local Internet
         +--------+   +--------+   Registries (ISPs)
              |           |
        +--------+        |
        |        |        |
    +-------+  +----+   +----+
    |EU(ISP)|  | EU |   | EU |     End users
    +-------+  +----+   +----+
            

2.1. インターネットレジストリ(IR)

インターネットレジストリ(IR)はIPアドレス空間をメンバーまたは顧客に分配し、その分配を登録する責任を持つ。IRは上記の階層構造の中で、主要な機能と地域的担当範囲にもとづき分類される。

本文書で用いられるIRという用語にはAPNICとその他の地域インターネットレジストリ(RIR)、JPNICなどの国別インターネットレジストリ(NIR)、ローカルインターネットレジストリ(LIR)を含んでいる。

2.2. 地域インターネットレジストリ(RIR)

地域インターネットレジストリ(RIR)は、各地域のコミュニティによる承認とICANNの認可で設立され、大きな地域にサービス提供し、その地域を代表する。
RIRの主な役割は、それぞれが担当する各地域内でアドレス空間を分配、管理することである。
現在RIRとしては、APNIC、RIPE NCC、ARIN、LACNICの4つがある。将来はさらに他のRIRが設立される可能性がある。

2.3. 国別インターネットレジストリ(NIR)

国別インターネットレジストリ(NIR)は、主として、LIRであるメンバーにアドレスを割り振りするIRであり、一般的にNIRのメンバーは、国レベルで組織されたインターネットサービスプロバイダ(ISP)である。NIRは主にアジア太平洋地域に存在する形態である。
NIRはISPで構成されるが、それ自体はISPとしては機能しない。NIRは自らを構成しているISPの利益に関して中立を維持することが期待される。
JPNICはこのNIRにあたる。

2.4. ローカルインターネットレジストリ(LIR)

ローカルインターネットレジストリ(LIR)は、主として自己が提供するネットワークサービスのユーザにアドレス空間を割り当てるIRである。LIRは一般にISPのことであり、その顧客は主としてエンドユーザであるが、その顧客が別のISPである場合もある。
IPアドレス管理指定事業者(以下「IP指定事業者」という)はこのLIRにあたる。

2.5. 割り振り

割り振りとは、再分配用としてアドレス空間をIRに分配することである。

2.6. 割り当て

割り当てとは、IRがエンドユーザに対し、割り振られたアドレス空間の一部または全部を、エンドユーザのネットワークで利用するために分配することである。また、IRが内部のネットワーク用として使うときも、そのアドレス空間は割り当てられたアドレス空間と呼ばれる。

割り当てられたアドレス空間は、エンドユーザが申告した特定の目的のためにのみ使用されるものであり、さらに割り振りや割り当てされるものではない。

2.7. 利用率

IPv4と異なり、IPv6は概ね各エンドサイトに固定サイズ(/48)で割り当てられる。それぞれの割り当て内での実際の利用率は、IPv4の割り当てと比較すると極めて低くなる。IPv6では「利用率」は/48境界の左側のビットについてのみ計測する。言い換えれば、利用率とはエンドサイトへの/48の割り当てを指すのであり、それらエンドサイトにおける個々の/48内での割り当てアドレス数を指すものではない。

本文書では、利用率という語はエンドサイトへの/48の割り当てを指し、それらのエンドサイトにおける個々の/48内での割り当てアドレス数を指すものではない。

2.8. HD-Ratio

HD-Ratioはアドレス割り当て効率を評価する方法である[RFC 3194]。これは[RFC 1715]で当初定義されたH-Ratioの応用であり、以下のように表される。

                Log (割り当てられたオブジェクトの数)
          HD = -----------------------------------------
                Log (割り当て可能なオブジェクトの最大数)
            

(注)上位文書では、「割り振られたオブジェクトの数」、「割り振り可能なオブジェクトの最大数」と記述されていますが、本来割り当てと記述されるべき個所であるため、本文書ではは割り当てとしています。

この文書の場合、オブジェクトとはあるサイズのIPv6プリフィックスの中から割り当てられたIPv6サイトアドレス(/48)となる。

2.9. エンドサイト

エンドサイトは、以下のようなサービスプロバイダと契約関係を持つエンドユーザ(加入者)として定義される。

  • エンドユーザにアドレス空間を割り当てるサービスプロバイダ
  • エンドユーザに対し、他のサイトへのトランジットサービスを提供するサービスプロバイダ
  • エンドユーザのトラフィックを転送するサービスプロバイダ
  • エンドユーザの割り当てを含む集成プリフィクス経路を広告するサービスプロバイダ

3. IPv6アドレス空間管理の目標

3.1. 目標

IPv6アドレス空間は公共の資源であり、インターネットの長期的な利益に関し慎重に管理されねばならない。責任あるアドレス空間管理には、時として対立する目標同士のバランスをとる必要がある。次に述べるのはIPv6アドレスポリシーに関する目標である。

3.2. 一意性

割り当ておよび割り振られた各アドレス空間は、世界にただ1つしかないことを保証しなければならない。
これは、インターネット上の各パブリックホストが一意に識別できるようにするための絶対的要件である。

3.3. 登録

インターネットアドレス空間は、インターネットコミュニティの適切なメンバーがアクセス可能な、レジストリデータベースに登録されなければならない。これは、各インターネットアドレスの一意性を保証するためであり、また、RIRをはじめとするすべてのIRやエンドユーザなど、インターネットを利用するあらゆるレベルの人がインターネット上のトラブルを解決するための参照情報として利用できるようにするためである。
さらに、アドレス空間のように公共の資源を利用するすべての人が、その資源の状態等を確認可能であるべきとする、インターネットコミュニティの考え方を反映するものでもある。
登録という目標は、適切なプライバシーへの配慮と既定の法に従って施行されるべきである。

3.4. 経路の集成

アドレス空間は、ネットワークインフラストラクチャーのトポロジに沿って、可能な限り階層的に分配されなければならない。これは、経路情報を集成し、経路表の増大を抑えるために必要なことである。

この目標はIPv6アドレス体系において特に重要であり、IPv6アドレスでは、アドレスプール全体のサイズが内部経路制御および外部経路制御の両方に重大な影響を与える。

IPv6アドレスポリシーは、アドレスレンジの断片化防止に努めるものであるべきである。

さらにAPNIC/JPNICは、現在割り振りを行っている空間に、連続した空間で追加割り振りが行える可能性を最大にするような運用を採用すべきである。ただし、連続した割り振りは保証されるものではない。

3.5. 節約

IPv6は非常に膨大なアドレス空間を持つものの、アドレスポリシーによって不必要に浪費的な運用を回避すべきである。アドレス空間の申請者は、適切な文書による裏付けを行うべきであり、未使用アドレスの備蓄は避けるべきである。

3.6. 公平性

パブリックなアドレス空間の使用に関するすべてのポリシーは、現在および未来にわたるすべてのインターネットコミュニティの構成員に対し、場所、国籍、規模その他いかなる要因にも左右されることなく公平に適用され実践されるべきである。

3.7. オーバーヘッドの最小化

アドレス空間の委任によるオーバーヘッドは最小化されるのが望ましい。JPNICに対して追加アドレス空間の申請をあまりに頻繁に行うこともオーバーヘッドとなるほか、大きい空間拡張を少ない回数で行うのではなく、小さな拡張を続けて数多く行うこともアドレス空間管理のオーバーヘッドに結びついてしまう。

3.8. 目標の衝突

アドレス空間の節約と経路集成という目標はしばしば衝突する。
さらに、上に述べた目標は、時として個々のIRおよびエンドユーザの利益と衝突することがある。

アドレス空間の割り振りと割り当ての申請を審査するすべてのIRは、それに関連するすべての事柄を注意深く分析し、インターネットコミュニティ全体のニーズと申請者のニーズのバランスを取らなければならない。
IPv6アドレスポリシーでは、集成の目標が最も重要であると考えられる。

4. IPv6ポリシーの考え方

3.[IPv6アドレス空間管理の目標]で示した目標を達成するために、本文書におけるポリシーは以下にかかげるような基本的な考え方を議論し、採用する。

4.1 アドレス空間は所有物とはみなされない

アドレス空間を自己の所有物とみなすことは、本文書で述べられている目標だけでなく、インターネットコミュニティ全体の利益にも反することである。

本文書におけるポリシーでは、グローバルにユニークなIPv6ユニキャストアドレス空間は所有されるものではなく、ライセンスが交付されたものだという理解にたっている。

具体的には、IPアドレスはライセンスに基づいて割り振り/割り当てが行われ、そのライセンスは定期的に更新を受ける。ライセンスを受けるには、ライセンスの交付時または更新時に適用される特定の条件がある。

JPNICは通常、申請組織が割り振り/割り当ての資格あるいはライセンスを交付された際の基準を満たすべく、誠意を持って努力している場合、ライセンスを自動的に更新する。ただし、申請組織がそのアドレス空間を当初の予定通りに使用していない、あるいはアドレスのライセンスに伴う義務の遂行に対して不誠実であった場合、JPNICはライセンスを更新しない権利がある。

ライセンスを新しく更新するとき、そのライセンスは、更新時に適用されているIPv6アドレスポリシーに基づいて審査および管理が行われるが、そのポリシーは割り振り/割り当てを受けた時点でのポリシーとは異なる場合がある。

4.2. 保証されないルータビリティ(経路制御可能性)

割り振りや割り当てはいずれも、グローバルに経路制御可能であるという保証はない。

しかしJPNICは、ルータビリティ(経路制御可能性)の低下を引き起こしかねないアドレス空間分断化の可能性を抑える方法を採用しなければならない。

4.3 最小割り振りサイズ

プリフィクスを基準にしたフィルタリング促進のため、JPNICはIPv6割り振りに対して最小割り振りサイズを適用する。

IPv6アドレス空間における最小割り振りサイズは/32である。

4.4. IPv4インフラストラクチャーの考慮

IPv6アドレスの初回割り振りサイズを判断するにあたり、5.1.3[最小サイズを超える初期割り振り]のもと、既存のIPv4ネットワークを考慮することも可能である。

5. 割り振りと割り当てのポリシー

5.1 初期割り振り

5.1.1. 初期割り振りの基準

IPv6アドレス空間の初期割り振りの資格を得るには、申請する組織は、

a) IP指定事業者であること
b) エンドサイトでないこと
c) /48を割り当てた組織に対し、IPv6の接続性を提供する計画があり、その経路広告を、割り振られたアドレス一つに集成して行うこと。
d) 2年以内に最低でも200の/48の割り当てを行う計画があること。

以上の4つを満たさねばならない。

プライベートネットワーク(グローバルインターネットに接続を行っていないネットワーク)も上記と同等の基準を満たしていればIPv6アドレスの割り振りを受けられることがある。

5.1.2. 初期割り振りの最小サイズ

初期割り振りの基準を満たす組織は、/32の最小割り振りを受けることができる。

5.1.3 最小サイズを超える初期割り振り

以下の前提のもと、/32より大きな初期割り振りを正当化することができる:

a)構築を計画しているIPv6のインフラストラクチャーが、/32より大きな割り振りを必要なことを示す審議情報の提供;
もしくは
b)以下すべての審議情報の提供

  • 既存のIPv4ネットワークにおけるインフラストラクチャーおよび顧客規模
  • 既存のIPv4サービスをIPv6経由で提供し、かつ、2年以内に、既存のIPv4顧客の一部をIPv6に移行させる意思の表明

a)、b)いずれの方法を選択した場合も、HD-Ratioをもとにした利用率に従って算出されたアドレスの需要を満たす割り振りが行われる。

5.2. 追加割り振り

既存のIPv6アドレス割り振りを受けている組織は、以下のポリシーに従って追加割り振りを受けることができる。

5.2.1. 追加割り振りの基準

追加割り振りは、IP指定事業者が、/48を単位とするサイト数という観点において過去のアドレス使用での評価基準を満たした場合に実施される。HD-Ratio[RFC 3194]は、以下に示すように、アドレス空間の追加割り振りを正当化する利用率を確定するために用いられる。

5.2.2. HD-Ratioの適用

アドレスの追加割り振りを正当化するための必要なアドレス利用率を示す値として、HD-Ratioは 0.8 が採用される。付録 Aは、アドレスブロックのサイズに対して、必要な利用率を達成するために必要な割り当て数を示した表である。

5.2.3. 追加割り振りのサイズ

組織が割り振られたアドレス空間において必要な利用率を満たした場合、その組織は、結果としてアドレス空間が2倍となる追加割り振りをただちに受けられる。その追加割り振りは、可能な限り隣接したアドレスブロックから行われる。つまり既存の割り振りが1ビット左に拡大する。

組織がより大きなアドレス空間を必要とする場合、2年間の必要量を証明する審議情報を提出しなければならない。割り振りはこの必要量を基にして行われる。

5.3. IP指定事業者からISPへの割り振り

IP指定事業者がアドレス空間を下位ISPに割り振るための特定のポリシーはない。
各IP指定事業者は、IP指定事業者に割り振られたアドレスブロック全体の効率的な利用を確保するため、下位ISPのための独自のポリシーを作成することができる。しかし、追加割り振りが必要になった場合にJPNICがHD-Ratioを正しく評価できるように、エンドサイトに割り当てられた/48はすべて、IP指定事業者によって登録される必要がある。

5.4. 割り当て

IP指定事業者/ISPは以下の条件に従ってIPv6割り当てを行わなくてはならない。

5.4.1. 割り当てアドレス空間のサイズ

割り当ては現在あるガイドライン [RFC3177,RIRs-on-48]に従って行われる。

そのガイドラインを要約すると;

  • 非常に規模の大きな申請者を除き、通常は/48
  • 仕様により唯一のサブネットが必要であることがわかっている場合は/64
  • 唯一の機器が接続することが確実にわかっている場合は/128

JPNICは、IP指定事業者/ISPが実際にどのアドレスサイズを割り当てるかについて関与しない。そのため、JPNICは、IPv4の場合と異なりIPv6ユーザネットワークの詳細情報を要求しない。ただし、4.4[IPv4 インフラストラクチャーの考慮]で説明した場合や、本文書で定義された利用率を計測する目的がある場合は除く。

5.4.2. 単一のエンドサイトに対する複数の/48の割り当て

単一のエンドサイトが複数・追加の/48アドレスブロックを必要とする場合、複数割り当て請求時には、その要求の妥当性を示す審議資料を提出しなければならない。その請求は、APNIC/JPNICレベルで審議・検討(つまり妥当性の判断)が行われる。

注: 同一エンドサイトに対し複数の/48を割り当てることについては、これまで経験がない。APNIC/JPNICでこのような割り当てすべてを審議するのは、ある程度の経験が積まれ、一般に通用するポリシーが整備されるまでの一時的な措置である。この件に関するポリシーを策定するさらなる作業が近々に行われるべきである。

5.4.3. オペレータのインフラストラクチャーに対する割り当て

IP指定事業者/ISPは、IPv6サービスオペレータのサービスインフラストラクチャーとして、PoP毎に1つの/48を割り当てることができる。PoPに対するそれぞれの割り当ては、PoPを利用するエンドユーザの数にかかわらず1つの割り当てとみなされる。オペレータの社内業務に対しては別途の割り当てを受けられる。

5.5. 登録

IPv6アドレスを割り振られた組織は、IPv6アドレス割り当てを行う際、JPNICが必要に応じてアクセス出来るデータベースに、その割り当てに関する情報を登録しなければならない (JPNICによって登録された情報は、将来的にはアドレス管理情報を登録するための分散データベースに置き換わる可能性がある)。情報は割り当てた/48ネットワークの単位で登録される。組織が/48より大きなアドレス空間を割り当てられた場合、そのアドレス空間をJPNICのデータベースに登録されるようにすることは、IP指定事業者の責任である。

RIR/NIRは、追加割り振り申請時のHD-Ratio の計算、および割り当ての過去の実績を検証するためにこの登録データを利用する。

IRは、申請審議時に使用された個人情報やビジネス情報の安全性を確保するシステムと運用を維持すべきである。しかしこれは公開情報として登録される必要はない。

5.6. 逆引き

APNIC/JPNICは、IPv6アドレス空間を組織に委譲するとき、割り振られたIPv6アドレス空間に対応する逆引きルックアップゾーンを管理する責任も委譲する。各組織はその逆引きルックアップゾーンを適切に管理する。アドレスの割り当てを行う際、組織は、割り当てられたアドレスに対応する逆引きルックアップ ゾーンを管理する責任を、要求に応じて割り当て先の組織に委譲しなければならない。

5.7. 既存のIPv6アドレス空間保持者

以前のIPv6アドレスポリシーに従って/35のIPv6割り振りを受けている組織は、保有している割り振りを/32のアドレスブロックに拡張することが直ちに可能になる。その際5.1.1[初期割り振りの基準]で述べた基準を満たしている限り、正当化の必要はない。/32アドレスブロックは、割り振り済みのより小さなアドレスブロック(多くの場合、1つまたは複数の/35アドレスブロック)を含む。そのブロックはその組織への追加の割り振りのためにAPNICによって予約されたブロックである。
/32の最小サイズを超える追加空間の申請は、5.1.3[最小サイズを超える初期割り振り]で説明した通りに審査される。

6. 参考情報

   [RFC1715] "The H Ratio for Address Assignment Efficiency", C.
           Huitema.
                November 1994, RFC 1715.

   [IAB-Request] "Email from IAB to IANA",
           http://www.iab.org/iab/DOCUMENTS/IPv6addressspace.txt.

   [RFC2373] "IP Version 6 Addressing Architecture", R.  Hinden, S.
           Deering.  July 1998, RFC 2373.

   [RFC2373bis] draft-ietf-ipngwg-addr-arch-v3-07.txt.

   [RFC2928] "Initial IPv6 Sub-TLA ID Assignments", R.  Hinden, S.
           Deering, R.  Fink, T.  Hain.  September 2000, RFC 2928.

   [RFC3177] "IAB/IESG Recommendations on IPv6 Address".  IAB, IESG.
           September 2001, RFC 3177.

   [RFC3194] "The H-Density Ratio for Address Assignment Efficiency An
           Update on the H ratio", A.  Durand, C.  Huitema.  November
           2001, RFC 3194.

   [RIRs-on-48]
           http://www.arin.net/library/guidelines/ipv6_initial.html,

   IPv6 Address Allocation and Assignment Policy
           http://www.apnic.net/docs/policy/ipv6-address-policy.html
   "IPv6 Address Allocation and Assignment Policy" 翻訳文
           http://www.nic.ad.jp/ja/translation/ipv6/20040714-01.html
            

7. 付録A : HD-Ratio

HD-Ratioは、現在ISPがIPv4にて使用している、従来の利用率の計測法に置き換えることを意図されているわけではない。実際、HD-Ratioでも、依然として割り当ての登録数を数える必要がある。HD-Ratioの主要な価値とは、あるアドレス空間に対し必要な目標利用率を設定する際の有効性にある。本文書では、ある割り振りが必要なレベルの利用率を達成し、追加割り振りが正当化されるような閾値を設定するために、HD-Ratioを使用する。

利用率の基準Tは、IPv6プリフィクスPから割り振られる個々の/48プリフィックスの数として表され、次のように計算できる。

                     ((48-P)*HD)
               T =  2
            

したがって、IPv6アドレスブロックの追加割り振りを申請する組織に対する利用率の基準は、プリフィクスサイズと対象HD-Ratioの利用比率の関数として指定される。ここでの利用率は、エンドサイトに対する/48の割り当てを指し、それらのエンドサイト内での/48の利用率を指すものではない。これはアドレス割り振りの利用率であり、アドレス割り当ての利用率ではない。

[RFC3194]の推奨に従い、本文書ではIPv6アドレス空間割り振りにおける利用率の閾値として、HD-Ratio は0.8を採用する。

次の表は、0.8のHD-Ratioに対応する、IPv6プリフィクスのアドレス利用の絶対値と百分率で示したものである。

        P    48-P          /48の総数               閾値    利用率

       48       0                   1                1     100.0%
       47       1                   2                2      87.1%
       46       2                   4                3      75.8%
       45       3                   8                5      66.0%
       44       4                  16                9      57.4%
       43       5                  32               16      50.0%
       42       6                  64               28      43.5%
       41       7                 128               49      37.9%
       40       8                 256               84      33.0%
       39       9                 512              147      28.7%
       38      10                1024              256      25.0%
       37      11                2048              446      21.8%
       36      12                4096              776      18.9%
       35      13                8192             1351      16.5%
       34      14               16384             2353      14.4%
       33      15               32768             4096      12.5%
       32      16               65536             7132      10.9%
       31      17              131072            12417       9.5%
       30      18              262144            21619       8.2%
       29      19              524288            37641       7.2%
       28      20             1048576            65536       6.3%
       27      21             2097152           114105       5.4%
       26      22             4194304           198668       4.7%
       25      23             8388608           345901       4.1%
       24      24            16777216           602249       3.6%
       23      25            33554432          1048576       3.1%
       22      26            67108864          1825677       2.7%
       21      27           134217728          3178688       2.4%
       20      28           268435456          5534417       2.1%
       19      29           536870912          9635980       1.8%
       18      30          1073741824         16777216       1.6%
       17      31          2147483648         29210830       1.4%
       16      32          4294967296         50859008       1.2%
       15      33          8589934592         88550677       1.0%
       14      34         17179869184        154175683       0.9%
       13      35         34359738368        268435456       0.8%
       12      36         68719476736        467373275       0.7%
       11      37        137438953472        813744135       0.6%
       10      38        274877906944       1416810831       0.5%
       9       39        549755813888       2466810934       0.4%
       8       40       1099511627776       4294967296       0.4%
       7       41       2199023255552       7477972398       0.3%
       6       42       4398046511104      13019906166       0.3%
       5       43       8796093022208      22668973294       0.3%
       4       44      17592186044416      39468974941       0.2%
            

JPNIC公開文書著作権表示 (Copyright notice of JPNIC open documents)

この文書はJPNIC公開文書であり、 著作権は社団法人日本ネットワーク
インフォメーションセンター(JPNIC)が保持しています。
JPNIC公開文書は誰でも送付手数料のみの負担でJPNICから入手できます。
また、この著作権表示を入れるかぎり、 誰でも自由に転載・複製・再配布を
行って構いません。

〒101-0047 東京都千代田区内神田2-3-4 国際興業神田ビル6F
社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター

このページを評価してください

このWebページは役に立ちましたか?
よろしければ回答の理由をご記入ください

それ以外にも、ページの改良点等がございましたら自由にご記入ください。

回答が必要な場合は、お問い合わせ先をご利用ください。

ロゴ:JPNIC

Copyright© 1996-2024 Japan Network Information Center. All Rights Reserved.