メインコンテンツへジャンプする

JPNICはインターネットの円滑な運営を支えるための組織です

ロゴ:JPNIC

WHOIS 検索 サイト内検索 WHOISとは? JPNIC WHOIS Gateway
WHOIS検索 サイト内検索

ICANN DNSO ccTLDレジストリ部会会合2日目

日時:
2002年6月25日(火)11:10~17:00
会場:
Bucharest Marriott Grand Hotel(ルーマニア、ブカレスト)
司会:
Nigel Roberts
出席者:
約50名(各国ccTLD管理者他)
内容:
  1. ルートサーバー運用者とのワークショップ
  2. ccTLDサービスの改善について検討
  3. ICANNの発展と改革に関する委員会メンバーとのセッション
  4. IANAサービスについての議論再開
  5. 国際化ドメイン名(IDN)に関する各種プレゼンテーション

<概要報告>

  • 今回の会合ではルートサーバー運用者との対話という初の試みがあった。今後も継続してコミュニケーションを図っていく予定
  • ICANNの発展と改革に関する委員会からメンバー3名が参加し、ICANN改革案についての議論が行われた。ccTLD部会メンバーからは、委員会からの最新文書がブカレスト会議の直前に公開され、検討のための十分な時間が与えられなかったことへの抗議や、指名委員会や理事会の構成案についての批判的意見などが出された
  • ルートサーバーシステム諮問委員会(RSSAC)から村井氏、国際化ドメイン名委員会(IDN Committee)から加藤氏、JPRSから堀田氏がそれぞれプレゼンテーションを行い、日本人による積極的活動の目立つ会合となった

<詳細記録>

※9:00~10:30は政府諮問委員会(GAC)との合同ミーティングを実施。
 ccTLD管理者限定の会のため、JPNIC関係者は不参加。

■1. ルートサーバー運用者とのワークショップ

●1.1. ルートサーバー運用状況の概説(by Kilnam Chon, KAIST, KR)

○今回のワークショップ開催の趣旨説明
  • ccTLD管理者とルートサーバー運用者は、どちらもIANAサービスに関係しているという点で緊密な協力体制が必要であるにもかかわらず、これまで双方の間で対話を持つ機会がなかった
  • 双方でのコンセンサス形成のためのワークショップが必要
○ルートサーバーの運用について
  • 3つのネームサーバーが存在(ルートネームサーバー、TLDネームサーバー、SLDネームサーバー)
  • 現在はボランティアによる運営
  • 技術的問題:
    • 現行のボランティアによる運営は将来的に見ても適切か?
    • サービスレベルのアグリーメントが必要か?
    • 現行のルートネームサーバーの数は将来的に見ても適切か?
    • 現行のアレンジメントは十分に強固であるか?
    • アーキテクチャ面での改良は必要か?(ルートネームサーバーの配置など)
  • ポリシー問題:
    • 現行のボランティアベースによる資金確保は適切か?
    • 現行のボランティアベースによる運営で適切な契約を結ぶことができるか?
    • 現行の構造は政治上、運営上適切か?(地理的多様性など)

●1.2. ルートサーバーシステム諮問委員会(RSSAC)について(by 村井 純氏, RSSACチェア)

#以下の項目について説明(説明する村井氏、jpeg、53KB)

  • DNS Tree構造
    • 全構造にわたっての円滑な運用が重要。ルートサーバーの運用はその一部にすぎない
    • RSSACの役割:データベース更新、配置されたルートサーバー間でのデータベースの共有など
    • 運用上の要件:RFC2010、RFC2870、Y2K、TSIG、IETF DNSOP Working Group
  • ルートサーバー(再)配置の決定について
  • ルートネームサーバーとはdistributed system(配置システム)
  • ハードウェアの要件(バックアップなど)
  • 管理上の要件(運用者の連絡先情報など)
  • ゾーンファイルの配布
  • 多様性のある運用者(組織の性質、地理的多様性など)
  • 技術的ガイドライン
  • ICANNの役割:移行計画の完成、MoU締結に向けてのプロセス、IANA機能のバックアップルートサーバーの運用にとってccTLD管理者は重要。今後、DNS全体について相互のコミュニケーションを図っていきたい
[質疑応答]

Q.ルートゾーンファイルの変更はどの程度安全なのか?悪意によって誰かに乗っ取られた場合はどうなるのか?
A.我々運用者はルートゾーン自体を変更するわけではない。VeriSignが米国商務省(DoC)の承認のもとで行う。乗っ取りは不可能。13人の運用者のうちの誰かに問題が起きたとしても、残りの運用者はAルートサーバーを無視するだけのこと。

Q.トラフィックの変更についてオブザーブしたことはあるか?
A.Yes。継続的チェック機能は重要

●1.3. 他のルートサーバー運用者によるプレゼンテーション

  • DNS lemas
    • DNSはシステム。個々のパーツがシステム全体に影響を及ぼすべきではない
    • 我々はデータについてはタッチしない
  • DNS解決の仕組みについて説明
  • システムの統一性を保持
  • ネームサーバーの数(パブリックネームサーバーは使用すべきではない)
  • ルートサーバー運用者による近年の成果:RFC2010、Y2Kステートメントなど
  • 政治的問題は我々の範囲外
  • ルートサーバー運用者に望むことは何か?(信頼性のあるサービス?テクノロジーアドプションについてのガイダンス?ローカルな問題にさらに関与?合同勉強会の実施?)
  • TLD運用者に望むこと:強固なシステム、正確なデータの提供など
[質疑応答]

Q.ICANNとのMoUはいつ契約に変わるのか? ボランティアによる運営に敬意は払うが、 数百万人のユーザーに対する責任を負うccTLD管理者の立場としては、 正式な法的関係の構築が必要と考える
A.契約問題については進行中だが、しばらく時間が必要

Q.ルートサーバー運用者は誰に対して責任を負っているのか? なぜICANNとの契約を結ばないのか?
A.13人の運用者それぞれ利害が異なる。 我々はICANNが設立される以前から運用を行ってきた。 契約締結へのコンセンサス形成プロセスは進行中だが、 それよりもコミュニティへの継続的サービスが最優先事項


■2. ccTLDサービスの改善について検討

●2.1. John Crain(ICANN)によるプレゼンテーション

  • ns.eu.netについて(67のccTLDがセカンダリとして使用していた)
  • 直面している問題:
    • 親(ルート)と子(ccTLD)の間の差異
    • セカンダリサーバー間の差異 など
  • 継続している問題:ccTLDのポリシー問題
  • 主なポリシー問題:ゾーンファイル変更要請
  • DNSは混沌とした状態。運用レベルでのベストプラクティスを策定することが望ましい

~ゾーンファイル変更についての議論~

●2.2. IANAへのコメント提出のための議論

  • IANA機能に焦点を絞って検討すべきでは?プロセスが規定されていないことが問題(Kane)

■3. ICANNの発展と改革に関する委員会メンバーとのセッション

#委員会メンバーより

○ccTLD部会からの質問状に回答

○コメント
  • ICANNがccTLDを規制しようとしているといった発想はやめてほしい。ccTLDからの貢献はICANNにとって重要。
  • ccTLDとICANNとの間で何らかの相互契約を結ぶ必要がある。強制力のある参加を果たすことが基本。

[質問/意見]

#ccTLD部会メンバーからの質問(Q)/意見(C)に対し委員会メンバーが回答(A)

Q.指名委員会にGNSOからは代表を7名入れることができるのに対し、ccSOからは1名のみとなっているのはなぜか?
~今回のICANN改革についてのプロセスが性急であることに対し、ccTLDメンバーから抗議が出た~

Q.6月20日に発表して8日後に理事会で決議をするという性急なプロセスをどう考える?
A.改革の議論は4月に始まっており、 主要な検討材料はすでに公開されている。 最新に公開した文書(「改革に向けての青写真」)は新たなものではなく、 過去の文書の確認的意味合いを持つ
A.検討材料としては、 Mission Statement(「ICANNの使命に関して」)が一番重要
A.CENTRのポジションペーパーには同意できない。 グローバルとローカルのバランスの問題があるが、 ccTLD契約についてはグローバルな側面が重要
A.ccTLD組織の法人化については現時点で反対はしないが、 ccTLD組織がICANN全体に与える影響について検討する必要があるのではないか
A.ccTLD部会がDNSOから脱退し、 独自の支持組織を結成しようとしてきた動きを考えると、 改革案ではCNSOから理事会へ代表を2名出せるというのは大きな進歩ではないか
C.ポリシー策定は直接の利害を持つ者によってなされるべきである。 利害関係者がポリシーを策定し、 理事会の責務はそこから出されてきたポリシーを承認すること。 ボトムアップなプロセスが重要

Q.支持組織(SO)は利害関係者の組織であるというロジックからいくと、 自国のインターネットコミュニティを代表しているccTLD管理者の組織であるCNSOが、 指名委員会への代表を1名しか出すことができないのはおかしいのではないか
A.指名委員会の構成については、 異なる利害関係者のグループそれぞれが満足できるよう検討した。 異なるグループが皆相互に関係している。 ポリシー策定機関と各構成部会(constituency)等については分けて考えてほしい

Q.理事会が他の組織に対して強制力を持つのか?
A.理事会のパワーはポリシー策定プロセスが適切なコンセンサスの下になされたかをチェックすること。 コンセンサスが形成されない場合は理事会が決定を行う。 ICANNと契約を締結した者に対しては強制力が発生する
C.ccTLDメンバーの多数の合意がない限り、 理事会がポリシーに関する決定を行うべきではない


■4. IANAサービスについての議論再開

#IANAへ提出するコメントを作成。以下の案が最終的に可決された。

[コメント案]

  1. Is this group in favor requesting IANA process different type of requests. For example, (1) in the simple change case, i.e, Phone number, e-mail address. It should be changed quickly. (2)other types of request has the same kind associated.
  2. IANA and ccTLD should agree on authentication method for changing the IANA database.
  3. IANA will record any changes that are not related to change of ccTLD managers which are requested by ccTLD managers.
  4. IANA will maintain a formal change control system to track all changes to the IANA database with a comprehensive and accurate audit trail that is available to ccTLD managers.
  5. IANA should only require of ccTLDs what is prescribed under policies that have been established under a formal policy that has the affirmative support of the majority ccTLD managers.

■5.国際化ドメイン名(IDN)に関する各種プレゼンテーション

●5.1. 国際化ドメイン名委員会(IDN Committee)からの報告(by 加藤幹之氏, チェア)

○過去数ヶ月間の委員会の取り組みについて報告
  • IDN.IDN キーワード問題:
    一般的にICANNはDNSに混乱を生じさせない限りはキーワードの使用を支持
  • 許容可能なコードポイント問題
    line and symbol-drawing character
  • 非ASCII TLDに関する予備的枠組み
    • IDNAの標準化待ちの状態
    • ルートゾーン実装テスト、レジストリ運用者の選出など、ステップが多い
    • 6つのカテゴリーについて説明
  • 特定のキャラクターセットをどのようにして決定するか、国名を非ASCII TLDでどのように規定するか、といった課題がある
  • コミュニティに対し、パブリックコメントを2度募集した(コメント募集期間が非常に短かった点は申し訳ない)
○非ASCII TLDレジストリ選出のポリシー(仮)
  • 技術的能力
  • コミュニティからのサポート
  • TLDサービスおよび信任に対するコミットメント
  • 独立した評価パネルを持つ
○理事会への勧告
  • IDNポリシー問題に対しては、継続して慎重なアプローチをとるべきである
  • 将来的には、新たに専門家グループを設置し、ICANNが現在行っているポリシー策定および調整の役割を担わせるべきである
[質問/意見]

Q.今、レジストリ選出について検討するのは時期尚早では?
A.新ASCII TLDの導入とレジストリ選出は同様の問題なので、 平行して検討すべきと考える
C.ccTLDコミュニティへの提言: ローカル化をいかにして相互運用可能なものにするか。 長期的アーキテクチャの問題(名前空間)を共に検討していきたい(Chon, KR)
A.ccTLDコミュニティと共同して関連問題の検討をしていくつもり

Q.米国の法人であるICANNが、 日本語ドメインなどIDNについてのポリシーを決定することをどう思うか?
A.IDNの活動はグローバルベースで行っていく必要がある

●5.2. 日本語JPドメイン名についてのプレゼンテーション(by JPRS 堀田博文氏)

説明する堀田氏(jpeg、63KB)

  • サイバースクワッティング防止のために数千の予約語を作成
  • 優先登録期間の登録状況---日本語ドメイン名の方が多数
  • 利用事例の紹介 など

●5.3.その他IDNについてのプレゼンテーション


【略語注】

APTLD
Asia-Pacific Top Level Domain Association
(アジア太平洋地域のccTLD連合組織)
ccSO
country code Supporting Organization
(ccTLDレジストリ部会が結成を目指している独自の支持組織)
CENTR
Council of European National Top-Level Domain Registries
(ヨーロッパ地域のccTLD連合組織)
CNSO
Country Name Supporting Organization
(改革案で提案されているccTLDの支持組織)
DNSO
Domain Name Supporting Organization(ドメイン名支持組織)
GAC
Governmental Advisory Committee(政府諮問委員会)
ICP-1
Internet Coordination Policy シリーズその1「インターネットドメインネームシステムの構造と権限の委任」
http://www.nic.ad.jp/ja/translation/others/icp-1.pdf
LACTLD
Latin American & Caribbean Country Code Top Level Domain Organization (中南米地域のccTLD連合組織)
RFC1591
「ドメインネームシステムの構造と権限の委任」
http://www.nic.ad.jp/ja/translation/others/rfc1591-j.html
RIR
Regional Internet Registry(地域インターネットレジストリ)
SRS
Shared Registration System (共有登録システム)

このページを評価してください

このWebページは役に立ちましたか?
よろしければ回答の理由をご記入ください

それ以外にも、ページの改良点等がございましたら自由にご記入ください。

回答が必要な場合は、お問い合わせ先をご利用ください。

ロゴ:JPNIC

Copyright© 1996-2024 Japan Network Information Center. All Rights Reserved.